ネロ帝が女のわけないだろ!いい加減にしてくださいお願いしますから!!   作:オールドファッション

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予想以上の反響でガチでビビっております。何が読者をここまで駆り立てるのだろう()


ネロ帝は女に決まってるだろ!慈悲はないのですか!?

 ネロ・クラウディウスにとってルシウスは気に食わない男であった。

 

 生まれて間もない頃から知識と才能に優れ、国中にテルマエを建設した天才浴場技師。

 自分とは違い誰からも愛されている。そう思うと気に食わなかった。

 

『あれがネロか。あのアグリッピナの娘なのだろう』

 

『グナエウスが父親と聞いたがそれも本当かどうか怪しいものだな』

 

『末恐ろしい。いずれネロも母親と同じになるだろう』

 

『ああ、ネロは怪物だ』

 

 私は誰にも愛されたことはないのだから。

 

 初めて彼の作品を目にしたのは宮殿をこっそり抜け出して噂の浴場に赴いた時だった。脱衣場に入った瞬間から私はローマの建築様式からではまったく考えられないものを見て驚愕する。籠の脱衣入れ、大きな姿鏡、喜劇のポスター。今までにはない斬新さでありながらどれも無駄なく機能的だった。

 

 浴場に入るとそこには見事なヴェスビオス火山が描かれた壁画が来訪者を出迎える。

 普段は騒がしい浴場も雄大な自然に魅了された人々は物静かに語らっていた。私も湯に浸かりながら壁画を改めて眺める。雄大なヴェスビオス火山、波風を感じさせるナポリ湾、そして青く生い茂る松。こういうのを人は風流というのだろう。珍しく私の心は落ち着いていた。市街の人工物から隔絶された自然の空間の中でこそ人はくつろげるものなのかもしれない。

 

 風呂を上がると売り子の前に行列ができていた。聞いたことがある。なんでもフルーツ牛乳という飲み物があり、風呂上がりに飲むのが格別だとか正義だとか。売り子が丸い枠のようなものがついた針金を使いガラス瓶のふたをきゅぽんと取り外してフルーツ牛乳を手渡す。

 

(雪のように冷たい!キンキンに冷えている!これはありがたい!)

 

 手に伝わる冷たさに驚きながらも恐る恐る口に運び飲み込む。

 

 ごくり。

 

「くっ!?」

 

 ごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごく!

 

 口の中に広がる牛乳のまろやかさと果物の爽やかな甘みとコク。驚くことにまったく乳臭くない。牛乳とは果物の果汁を入れただけでこれほど化けるものだったのか!?

 何よりこのキンキンに冷えた液体が喉を流れる感覚が何とも言えない。湯上がりの火照りと部屋の熱気で息苦しい体に染み込んでくる!体に!

 まるで依存性のある麻薬だ。このフルーツ牛乳一本のためなら強盗だっていとわないだろう。

 

 気づくとネロは腰に手を当てた状態でフルーツ牛乳を飲み干していた。

 

(恐るべしルシウス技師!次期皇帝である余を籠絡しようとは!)

 

「フフ……へただなあ、お嬢ちゃん。へたっぴさ……!欲望の解放のさせ方がへた……!」

 

(なんだこの平たい顔の奴隷は!?)

 

 今思い返してもあの平たい顔の奴隷はなんだったんだろうとネロは思う。

 とにかくその瞬間からネロにとってルシウスは油断できない気に食わない男に変わった。それからネロは以降の建造物すべてを回った。

 

 家庭用簡易風呂は庶民には画期的で歩くのが難しい老人も使える。

 露天風呂は自然の中でゆったりとくつろげ、温めたワインと温泉卵が合う。

 温泉街は多くの人で賑わい、ものの売り買いが盛んに行われていた。

 ナイル風浴場は遠い異国に迷い込んだと思わせられ、密林の植物に実ったバナナがうまい。

 スライダー式浴場は初めは怖かったが、そのスリルが病みつきになる。

 木製樽浴槽は持ち運びと組み立てやすさから遠征中の兵士たちにとても喜ばれていた。

 

 浴場だけでは無くハーブの精油で香りづけされた石鹸やオリーブから作ったリンス、豚の尾の毛歯ブラシや炭の歯磨き粉なども開発。美しさに磨きがかかるという触れ込みで女性貴族の間で広く広まった。

 

 ルシウスのアイデアはネロの予想外のものばかりであり、常にローマ市民たちを喜ばせている。ネロはこの時から、あるべき皇帝像のようなものをルシウスに見出だしたのかもしれない。

 

 ネロにとってルシウスは気に食わないが尊敬に値する人物になった。

 

 初めてルシウスと顔を会わせたのは宮殿の庭だった。アグリッピナがルシウスを呼び出したと聞いて一目みるために足を運ぶと、中庭でいかにも疲労困憊といった感じの男が若干前かがみに立っている。アグリッピナと会った男は大抵頬は赤く陶酔した面持ちになることが多いが、ルシウスの反応は珍しい。だが、ネロはようやく会いたかった人物と対面できたのでそんなこと気にも止めずに興奮しながら名乗り上げた。

 

「かの名高いルシウス技師であるな?余は次期インペラートルカエサル!ネロ・クラウディウスである!さあさあ、面を上げてくれ!」

 

「ムリ」

 

 ネロは思考が停止した。

 

(気のせいだろうか?今『ムリ』と聞こえたような気がしたのだが)

 

 それからしばらくしてようやくルシウスは面をあげた。

 年齢は三十代後半というくらいで、成熟し始めた大人の男という雰囲気だ。その上無骨でいかにも職人気質。美丈夫だが軟弱な優男ではなさそうだった。

 

(この様な男が弱音を吐くとも思えぬ。きっと聞き間違いであろう)

 

 ネロは再び声高々に名乗りを上げた。

 

「余は次期インペラートルカエサル!ネロ・クラウディウスである!」

 

 ドヤ顔でふすんふすんと触角を動かすネロを他所に今度はルシウスが思考停止した。

 インペラートルとは古代ローマにおける命令権の絶対保持者。カエサルとは後の帝政ローマを築いたガイウス・ユリウス・カエサルその人であり、その名は今も君主号として使われている。つまりこの娘は自分は次代のローマ皇帝であると言っているのだ。しかし当時のローマで女が皇帝になるなんて考えられるはずもなかった。だからその後のルシウスの反応は正当化できるものではなかったが至極当然のものではあった。

 

「…ふっ」

 

(鼻で笑った!?)

 

 やはりネロにとってルシウスは気に食わない奴になった。

 

 その後も顔を会わせるたびにネロは自分が次期皇帝であることを告げたが、ルシウスの反応はまるで手のかかる娘をあやす父親のそれだ。それでも宮殿内で微妙な立ち位置ゆえ不干渉を貫いてきた者たちと比べれば真面目で真摯に対応してはいた。まあ、次期皇帝に対する礼はまったくなかったが。

 

 ネロが作り上げた芸術品や建築の構想はいつも粗を見つけてはダメ出し。その容赦のなさは初対面のセネカが優しく思えるほどだ。ネロは毎晩ルシウスを想ってベッドを濡らした(涙)

 次第に自信もなくなっていき、自分は皇帝に相応しいのか思い悩むようになる。

 ローマ市民の誰もがルシウスの功績を称え、彼を愛している。そんな彼らの間に自分が入る隙なんてまったくないのではないか?

 

 自信作の黄金宮殿の設計図をダメ出しされたその日、ネロは泣きながら初めて自身の弱音を吐露した。

 

「やはり余は皇帝になる器ではないのだ!みんな影でルシウスが皇帝になればいいって思ってるんだ!うわーん!!」

 

 これには流石のルシウスも周りからの視線で居たたまれなくなったのか、ネロを連れ出し宮殿から飛び出した。守衛たちはネロ様ファイトと内心ガッツポーズ。見送りさよならストライクである。

 

 ようやく落ち着いたネロは目を擦り、周りの光景を見てルシウスに尋ねる。

 

「ここはどこだ?まさか余は異国に迷い込んだのではないだろうな」

 

「残念ながらここはローマだ。宮殿からはだいぶ離れた場所の区画だから見たことはないのだろう」

 

「何?だがここは……うっ」

 

 そこはまるで掃き溜めのような場所だった。

 道幅は狭く高く連なった民家が日を遮り深い影を落としている。そのせいか空気が重く沈み、ゴミのような匂いが充満していた。ネロは思わず口元を抑える。

 

「なぜこうも歪に建物が並んでいるのだ?」

 

「ローマ市民の増加に伴って建築技師の手が足らなくなり、市民らが中途半端な知識で建造し始めたからだ。責めてはならない。彼らはただ雨風を凌げる場所が欲しかっただけなのだから」

 

 たしかにローマでは他部族や他民族、解放奴隷に市民権を広く与えている。ネロは国民が増えればその分だけ国は強大となり繁栄していくのだと思い疑わなかった。しかしそのせいで市民たちが苦しい思いをしている。

 

(なぜ余は、こんな簡単なことにすら気付けなかったのか!)

 

 今までローマが完璧なものであると信じて疑わなかったネロにとってそれは大きなショックだった。だがそれは悲しみの渦の入り口でしかないことをネロは知る。

 

 ルシウスが『おいで』と声を上げると路地裏から彼らは現れた。

 髪はボサボサでフケだらけ。顔は煤で汚れ灰色。服は所々破れとても見窄らしい身なり。体は皆痩せ細り肋骨が浮き出ている者もいる。

 そして誰もがまだ幼い子供たちだった。

 

「あー、るしうすしゃまだぁ」

 

「またよみかきのじゅぎょう?」

 

「その前に食事だな。新入りにも配るといい」

 

「わーい、るしうすしゃまだいしゅき!」

 

「えーい!服を引っ張るな伸びるだろうが!」

 

 子供達は皆ルシウスに懐いているらしく、ルシウスはあっという間に彼らに囲まれていた。

 子供達の何人かは木の板の様な物を首からぶら下げ、板にはたどたどしい字が書かれている。どうやらルシウスは彼らに読み書きを教えていたらしい。

 

(これは誰だ?本当にローマの民なのか?)

 

「ル、ルシウス。何なのだこの子供達は?なぜ皆こんなにも貧しいのだ?」

 

「それは彼らが孤児だからだよ」

 

「馬鹿を言うな!ローマ市民権はローマ人であれば誰しも持つ特権!金や服やパンの支給がされるはずだろう!?」

 

「だからその市民権を彼らは持ち得ないのだよ。親類や親の顔も見たことがない幼子は出自が特定できない。おそらくローマ人ではあるのだろうが、不確かな者は市民権を得ることができない。そして、いずれは奴隷商の商品として市場に並ぶことだろう」

 

 ネロは足場がなくなった様な思いだった。

 

 ああ、これがローマなのか。

 世界の中心、歓楽の都と誰も信じた国。だが実際は中から腐り始めている。

 貴族の腐敗。元老院の腐敗。そして国の腐敗。

 甘く熟成した匂いにも思えるが、腐りすぎるとそれはすっぱい刺激臭となり人を苦しめる。だが人は酩酊してその事実には気付けない。

 

 何のために今までお忍びで外へ出た。好奇心やお遊びではない。ローマを知るためだったのではないのか?それがどうだ、まるでわかってなかった。これでは宮殿の中でぬくぬくとしていた連中と同じではないか。

 

 つまるところ私は知ったかぶりをしただけの小娘であったわけだ。

 

 やはり私には皇帝は務まらない。

 

 崩れ落ちそうになる体を受け止めながらルシウスは言った。

 

「私も孤児だったのさ」

 

「何!?」

 

 唐突な事実にネロは驚愕した。

 ルシウスの出生を知る人間は彼の師匠と兄弟子、母のアグリッピナだけだったのだ。

 

「知っているか、孤児が路地裏から出るとどうなるか」

 

「……?」

 

「私がまだ孤児だった頃、町の灯りに誘われて市場にでたことがある。市場は人で賑わい誰も笑顔で暖かな場所だった。しかし私を見た瞬間、誰もが野良犬を見る様な目を向けるのだよ」

 

「そんなっ、だって」

 

「人を人たらしめるのは貧富や身なりではない。だが、どれも大切なものではある。伝説の浴場技師だなんて呼ばれている私もな、人波の中を歩ける様な、ただの人になりたくてこれまでがむしゃらに走って来たのだ」

 

 ネロは幼少期のルシウスを想像して涙した。

 雪の降る星空の下、路地裏で蹲り寒さを凌いだのだろう。

 空腹の中、市場の料理の匂いを嗅いだのだろう。

 街角を歩く親子の姿を見て人肌恋しくなったのだろう。

 

 ネロは過去の己を恥じた。

 才能や知識がないから勝てないなどと不貞腐れていた自分を引っ叩いてやりたい。裸一貫でこれまで頑張ってきたルシウスのなんと立派なことだろうか。

 

「ネロよ。そなたはその齢にして私が浴場技師として成功した域に届いている。私はここまで三十年かかったが、生まれながらに才と財力を備えたそなたなら数年で追い越すだろう」

 

「ルシウス……」

 

「もしも、もしもそなたが皇帝になるようなことがあれば、誰もが人として暮らせる国をつくってほしい――次期ローマ皇帝よ」

 

 この一言でネロは確信した。

 ルシウスはネロが次期皇帝であることを知っていたのだ。それどころか誰よりも信頼していたのだろう。今まで辛く当たってきたのは彼なりに理由があるに違いない。

 

「ルシウスよ!余は、余は必ず良き国を作るぞ!」

 

 この瞬間からネロにとってルシウスは……やはり気にくわない相手だった。だって、ルシウスが他の女と話しているとなぜか心がモヤモヤするのだ。おかげでまた毎晩ルシウスを想ってベッドを濡らしている。ネロはその感情の正体はまだ知らないが、側からみれば丸わかりなので密かに彼女の初恋は応援されているようだ。

 

 数ヶ月後、ネロは皇帝に即位し、案の定アグリッピナの子供でその上女に皇帝が務まるかと民衆は激怒した。しかしネロが最初に行ったルシウスのこれまでの功績を称えるため作った”国家浴場技師”という特別な役職を与えたことで『中々話のわかるやつだ』と手のひら返し。ちなみにこの役職は後にも先にもルシウスだけのものだった。

 さらにルシウスの生涯を劇にして公演。初公演は当然満員で会場の外で劇を聴く者まで現れる。というかローマ中の市民が集まり外から来た商人や旅人が無人の街を見てローマが滅ぼされたのではないかと一時期噂が立ったりした。

 なんとルシウス役にはネロが立候補し、その真に迫った演技と恋に向かって突き進む姿に多くのファンを獲得する。これがのちの宝塚の起源だったりする。

 

 後世においてネロは劇王、ルシウスは王の書き手と呼ばれるようになり、二人の熱い信頼関係から多くの小説、演劇のモチーフとされることになる。まあ、後世ではなぜかネロは男になっているので高確率でBL物になることはお口チャックが慈悲である。

 

 

 

 

 

 

 

 ルシウスは絶望していた。

 自称次期皇帝だと思っていた小娘が本当に皇帝になった件について。うせやん、何で女が皇帝になってるの?え、私が法?アグリッピナさまほんと政治的権力ないのよね?

 

 ネロ帝かぁ、なんかしっくりくる名前だなぁ。確かあれだろ、趣味の芸術に国庫の金使ったり、キリストを虐殺したり、民衆に叛逆されたりするんやろ?いやぁ、乱世乱世ですね!はははは………………。

 

 

 

 いやあああああああああああああああああああああ!!!!!

 

 

 

 

 やだ!やだ!小生やだでござる!

 そんな世紀末モヒカン肩パット族が蔓延る北斗の拳世界なんて冗談じゃないぞ!こうなったらギリシャあたりに逃げてテルマエ聖闘士星矢になるぅ!そう思った矢先に国家浴場技師とかいう役職で私をローマに縛り付けやがって!この国家浴場技師という制度自体がおそらく私という人柱を選ぶためのものなんだろ!?くそ、ローマが私を離してくれない!ヤメローシニタクナーイ!シニタクナーイ!シニタクナーイ!

 

 くそ、やるしかないのか。不合理こそ博打、それが博打の本質不合理に身をゆだねてこそギャンブル!地獄の淵が見えるまで倍プッシュだぁ!

 

 そして国家浴場技師として初めての仕事は私をモデルにした劇の脚本。いや、それ誰得なのと思ったが上目遣いのネロちゃまに頼まれて思わずイエスマンになった私。その後期限が今日までと知らされて『あのビチグソがああああ!』と血反吐を撒き散らしながら脚本を書き上げた。物理的に心血を込めたぞ。

 

 そしていざ公演になると安室奈●恵の最後のライブ並みに人が来るわ来るわ。ひぇ、ひとがゴミの様だぁ。

 

 みなさん私の孤児編のはじめの語りから号泣なさってハンカチの売り子まで出る始末。感動なさってるけどあれ全部ネロちゃまのアドリブで美談になってるだけだからね。だから私が妻に逃げられた話をそんな韓流の恋愛ドラマ的なストーリーにするのやめてぇ!アニョハセヨもカムサハムニダの一言もなく夜逃げされただけなのに!

 

 孤児を弟子にしてるのだって雇い賃安いし、私と弟子たちの仕事の報酬が結局は全部私の懐に入るからという割とせこい考えなのだ。

 まあ、実際は孤児にしては待遇がそこらの一般市民よりも良く、過分に生活費や給金を支給していることを現代脳なルシウスは理解していない。おかげで弟子たちはルシウスに永遠の忠誠を誓っている。もしルシウスが『君たち、もう独り立ちしていいよ』と言ったとなったら阿鼻叫喚の地獄絵図が生まれることだろう。

 

 こうしてネロちゃまのアドリブ95パーセントのおかげで公演は大成功。あれ?本当に私の脚本必要でした?(血涙)

 

 しかし大成功したせいで続編を望む声が多数届く。いや、現在進行形で私の人生それしかないんですが?このままでは市民らの不満が爆発してどうなるかわからないということで私は続編を書かされた。まあ、ノンフィクションのネタがないから私の人生の二次創作的なものということでとりあえず考えたが、素人の私にいい物語が書けるはずもないので知ってる漫画や映画の作品をぱく、げふんげふんリスペクトさせてもらったおかげでいまは【ルシウス銀河英雄伝32・ターミネーターVSコマンドー編】『我ら生まれた日は違えど死ぬときはフォースと共にあり!出しなぁテメーのニワトコの杖を!』というカオスになり果てている。私の人生、ここまで分厚くない(真顔)

 

『ルシウス!私がお前の父親アバダケダブラぁぁぁぁ!!!』

 

『嘘だぁ!!やろうぶっ殺してエクスペクトパトローナム!!!』

 

「うう、まさかあのダルズベルダ卿がルシウス様の父君だったなんて、なんたる運命だろうか!」

 

「カンヌー、リュビール、チョウヒーンが次々倒れていく中で、あの屈強なカラクリ人形までもが火口へ落ちてしまって涙が止まりません!」

 

 皆さん泣く要素本当にあるぅ?私にはネタが多すぎてタグに困る動画を見ているような気分なんだが……。

 

「さすが余のルシウス!今回の興行も大成功だな」

 

「そうですねネロ。ですが、そのような発言は誤解を招くのでおやめなさい。ねえ、ルシウス?」

 

「む、母上こそルシウスにくっつきすぎではないですか?」

 

 いや、両方ともくっ付きすぎて私プレス機に掛けられてる肉みたいになってるからね。

 あれか。幼いネロの才能に嫉妬して今まで理不尽に難癖つけてたがそれの恨みか!

 

「こらぁ!ルシウスも母上にデレデレするでないわぁ!」

 

 うごごご!腕の骨が折れるからぁ!やはりローマは私を全力で殺しに掛かってるやんけぇ!!!

 

 

 

 ――ハドリアヌス帝よ、早くお生まれください。ルシウスはそろそろ死ぬかもしれません。


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