俺はいま、サーヴァントのみんなに正座させられています。
理由はきよひーとの行為でだ。
「さて十六夜よなにか言い訳はあるか?」
「ますたあ殿はなんでいきなりあんなことをしてたんだ?」
「羨ましいです清姫さん。沖田さんだってマスターとあんなことやこんなことをぉ」
「マスターひどいぞ。沖田ちゃんがいるにも関わらずその蜥蜴娘を選ぶなんて」
「あらあら、流石にこれは見逃せませんわねぇ。第一、母にいってくれればいくらでもしてあげたのですが・・・」
「先輩・・・」←冷たい目
「マスター、私とはしてくれないの?」
「ま、マスターだって男だもんね「お前は黙ってろ」はい、ごめんなさい」
「なぜこの騎士王がいるのかはいまはどうでもいい。マスターは私が殺す」
う~ん、酷い言われようだぁ。
「待って、言い訳させて」
「どうします皆さん?」
「余は奏者を信じるぞ」
ネロェ
「母として我が子の話を聞くのは大事ですよね」
「主は私を見捨てたのですか?」
ジャンヌは十字架をもって祈っている。その隣では邪ンヌが十字架をへし折っている。
「仕方ない、その言い訳とやらをいってみろ」
師匠からのお許しをいただき、骨董品屋からアルトリアを召喚するところまで話をする。
「奏者よ、もしやそなたは余の工房に入ったのか?」
すると、ネロが顔を青くさせわなわなと震える。
「そうだけど、なんか悪かったか?」
「い、いや、悪くはないのだがな・・・その」
「ほう、どうやら心当たりがあるようだな?」
俺への集中攻撃が収まり矛先はネロに向かった。
「そ、そのだな。実は静謐殿の毒を改良していてだな。その、できたものが発情させる薬だったのだ。
魔力耐性のある者には効かないのだがマスターには効いてしまったのだろう」
「あちゃぁー」
ほんとあちゃぁーだよ。しかし、魔力耐性ならば俺の体だって多少はあるはずだ。
十六夜は恩恵の無効化があるはずだ。それなのに、どゆこと?
「なるほどそれで先輩はあんなことを」
「そうか、それは納得できるな。マスターはヘタレだからな」
「沖田さんは信じてましたよ」
「沖田ちゃんは最初から信じていたぞ」
「旦那様は薬のせいで・・・」
きよひーは落ち込んでいた。どうせ、薬の作用がなかったらあんなことしてくれないんだとか思ってるんだろう。
「それでアルトリアは聞かなかったのか」
「そうみたいですシロウ」
「なにはともあれ、これで問題は解決したな」
ここで俺が占める。
「ねぇマスター、なんでサーヴァント召喚したの?私がいるのに」
いい感じで終われそうだったのだが背後から毒を纏わせて爪が俺の首筋に触れるか触れないかの辺りまで
運ばれて抑揚のない静謐ちゃんボイスが耳元から囁かれる。
「ひゃい」
変な声が出る。耳は弱いのだ。仕方ないだろ。
「お話しよっか」
「その、お手柔らかに・・・」
このあと静謐ちゃんに二時間ちょっとお話された。まだ高町式交渉術ではなかったのが救いだ。
あれをサーヴァントが覚えたらと思うと・・・ゾクッ ヤバイな。
「あれ、皆さんどうしたんですか?こんなに集まって」
「BBか、いままで何してたんだお前は?」
「いやぁ、たまたまハッキングしたときに見つけた戦車道連盟の黒い部分が思ったよりも深くてですね。
調べてたらこんな時間までかかっちゃいましたよ」
「そうか、それでだな実は斯く斯く然々で」
「へぇ、弟君がねぇ・・・姉として説教をするべきでしょうけど、アレを見たらね、少し慰めてあげましょうか」
こうして第一次十六夜暴走は終わりを告げた。
その日の深夜、静謐ちゃんにより椅子に縛られた俺は縁から月を眺めていた。
海上ということもあり、星空がきれいだ。
「ま、ますたぁ?」
そんなときだった、居間の方からきよひーがちょこんと顔を出す。
「どうしたんだ?」
「い、いえ、その」
「もしかしてさっきのことか?」
「は、はい」
「少しこっちに来て話をしないか?」
きよひーを俺の隣の席に座らせて月明かりが刺す客間で話をする。
「ますたぁは薬のせいで、その・・・」
「きよひー、実はな俺には魔力耐性があるはずなんだ」
「あるはずとは?」
「いや、確信をもてないというか。アレでな」
「では、ますたぁは私を」
「あぁ、薬とか関係なくあんな感じにはなってただろうな。もし、薬が効いていたとしてもキスじゃなくて膝枕とか添い寝は頼んでたと思う」
「ほんとうですかッ」
きよひーは急に元気になり俺を見る。
目元が若干赤くなっているのを見ると泣いていたのだろう。
彼女は裏切られることが嫌いだ。
彼女は安珍という僧侶に恋をした・・・話は長くなるので省略するが結果をいえば彼女は安珍に裏切られた。悲しみ、憎しみ、安珍を殺すという行動に出た。
俺は彼女を裏切りたくはない。
みんなも知っているだろ。彼女が純粋な乙女だということは・・・
ヤンデレ属性がなければ本当にただの良妻だろう。
こんな愛らしい彼女に好かれた俺は幸せ者だ。きよひーだけじゃない。
他のみんなからも好かれているということは非常に幸せなことだ。
俺からしたらただのゲーム内で使っていたキャラなのに
それなのに、彼女たちは俺を慕い、助けてくれる。
ならば、俺も彼女たちの思いに応えなくてはならない。
というか、答えなければ男が廃る。
「旦那様ぁ」
頭を胸元に擦り付ける彼女の頭を撫でてあげたいが、椅子に縛り付けられているせいで撫でることができない。
だから、いまはただ彼女のやりたいようにさせてあげる。
みんなは知ってるか?彼女のヤンデレ属性のレベルが下がれば、彼女はとてつもなくかわいいということを、いや、下がらなくても可愛いけどね。もっと、かわいくなるんだよ。
拝啓、名も知らぬ女神様、俺は今、幸せです。
おっかしいな、きよひーがメインヒロインしちゃってるよ