絶対転生特典間違えただろ   作:ナカタカナ

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 長くなった。

 少し戦闘描写が不安ですがまぁ、そこはね・・・


聖グロ戦 大奮闘

 「機嫌がいいみたいだけど何かいいことでもあったのダージリン?」

 

 黒いウサギの耳の様な形をしたリボンを身に着けている少女が紅茶を飲むダージリンに聞く。

 

 「えぇ、少しね。昔会った少年に再開したの」

 

 「それって、いつも仰っていた初恋少年ですか?」

 

 オレンジの髪をした少女が興味を持つ。

 

 「そうよ。名前は逆廻十六夜」

 

 「良かったじゃない」

 

 「ありがとうアッサム。フフッ、面白い試合になりそうね。そうだ、勝ったら彼を私達の学園に転入させましょうか」

 

 「それは、難しいのでは?」

 

 「冗談よ」

 

 「目が冗談ではないわよ」

 

 私は思い出す。七年前のあの日のことを・・・

 

 

 

 

 

 

 私が彼と出会ったのは七年前の夏休みのことだった。

 

 私は夏休みの自由研究に家の近くにあった水族館の生物の観察を出そうとした。

 

 当時の私は小学校五年生で両親が仕事が忙しく、いつも家に一人という状況だった。

寂しいと思ったこともしばしばあったが、それがいつものことなのであまり気にしたりはしなかった。

 

 そして、いざ水族館に行くと昔のことを思いだした。

 

 優しい父と母の二人が私の手を握って水槽の向こうに優雅に泳ぐ魚たちを見せてくれた。

 

 そんなときだった、私は足を挫いてしまいその場に座り込んでいた。

 

 見た所、大分腫れており、下手をすれば捻挫をしていたかもしれないほどの腫れだった。

 

 「大丈夫、立てる?」

 

 そんな私に一人の少年が声を掛けてくれた。

 

 オレンジの髪で少々悪そうな顔をしていた美少年だった。

 

 「へっ、あ、はい。大丈夫です・・・痛いッ」

 

 心配してくれた彼を困らせないように大丈夫だといったはずだったが思ったよりも痛むせいで声が出てしまう。

 

 「ほら、無理しないで、俺の家族が近くにいるから、一旦そこまで行こう」

 

 私をおんぶした彼は彼の家族の元へと連れて行ってくれた。

 

 「家族の人は?」

 

 「家族は来てない。私の家がこの近くだったから夏休みの自由研究にしようと思ってきたの」

 

 話しかけてきてくれる彼に私も返事をする。

 

 「へぇ、小学生?」

 

 「うん、小学校五年生だよ」

 

 「じゃあ、俺の一つ上だね。俺の名前は逆廻十六夜」

 

 どうやら、私の一つ下だったらしい。

 

 「私は橘朱里、朱に里って書いて朱里」

 

 お互いに自己紹介をしていると彼の家族の元へ着いたらしく、一人の男性が近づいてきた。

 

 おそらく、彼の父親だろう。白髪で褐色のイケメン紳士。

 

 私の心配をしてくれる彼の父親は優しい人だ。

 

 他にも彼の姉という人もおり、結構な人数だった。

 

 仲が良さそうな彼の家族に私は少し嫉妬した。

 

 それからは、魔法のように私の足の痛みを抑えてくれたり、一緒に水族館を回ってもらったり、自由研究の手伝いをしてもらった。

 

 僅かな時間だったが、私にとってはとても楽しい時間となった。

 

 彼と別れてから数年が経った私は気が付くと彼に惚れていた。

 

 中学ではクラスの男子から何回か告白されたが、いつも脳裏には彼の姿があった。

 

 生意気そうな年下の少年、しかし、優しく。カッコいい。そんな少年、逆廻十六夜。

 

 「フフッ、本当に楽しみね」

 

 私はオレンジペコに注いでもらった紅茶を飲み笑う。

 

 

 

 

 

 

 今回は殲滅戦だ。

 

 こちらも五両、向こうも五両と戦力的にはあまり差はないように思えるがこちらは初心者がほとんどということもありまだ操縦に慣れていないというハンデがある。

 

 崖の上から聖グロを見ると。

 

 「綺麗な隊列を組んでますね」

 

 「こちらの徹甲弾では向こうの装甲を貫通できません」

 

 「そこは戦術の腕かな」

 

 「ヤハハ、ここで一体減らしとくか?」

 

 「できるの?」

 

 「さぁな、だがしばらくの間、動きを止めることは出来るぜ」

 

 「分かった。敵、前方より接近中」

 

 みほが戦車から体を乗り出し双眼鏡を覗いて相手の位置を知らせる。

 

 俺はというとそこらへんに落ちていた拳サイズの石を持って相手のマチルダの一両を狙う。

 

 「俺からのプレゼントだッ喜びやがれ流星一条(ステラァァァ)

 

 Ⅳ号の砲撃と同時に石を少し強めに投げる。

 

 Ⅳ号の砲撃は外れたが俺の投げた石は見事にマチルダの履帯に直撃した。

 

 白旗は上がらなかったが履帯は外れたのでしばらくは時間稼ぎになるだろう。

 

 「うわぁ」

 

 みほが若干引いている。

 

 聖グロはというとマチルダを置いてこちらに向かってくる。

 

 砲撃が飛んでくる。

 

 俺のⅣ号の中に入り一時撤退と見せかけてポイントまで聖グロを引き付ける。

 

 「みぽりん危ないって」

 

 「あぁ、戦車の車内はカーボンでコーティングされてるから大丈夫だって」

 

 「そんなに身を乗り出して当たったら危ないよ」

 

 「滅多に当たることはないから大丈夫だよ」

 

 「でもみぽりんにもしものことがあったら」

 

 「心配してくれてありがと。じゃあ、お言葉に甘えて」

 

 

 

 

 

 

 待機している戦車組は・・・

 

 「革命」

 

 トランプをしていたり、バレーをしていたりと結構楽しそうである。

 

 「十六夜さんは大丈夫でしょうか?」

 

 「カカ、ますたあ殿だぜ、大丈夫に決まってんさ」

 

 「そうじゃな。余の奏者だぞ」

 

 「いつから十六夜は貴様のモノになったんだ?」

 

 「ますたぁは私のですよ」

 

 こちらもいつも通りである。

 

 「皆さん、試合中なの分かってますか?」

 

 マシュは苦労しているなぁ。ほんと、お疲れ様です。

 

 そして桃ちゃん先輩、そんなカリカリなさんなって。

 

 「Aチーム敵を引きつけつつあと三分で着きます」

 

 

 

 

 

 

 そして、俺達がポイントを通過するといきなり砲撃される。

 

 「馬鹿かッ仲間撃ってどうすんだよ」

 

 砲撃のせいで向こうにはばれてしまい、砲撃もまともに着弾することはなかった。

 

 マジでありえん。

 

 それにしても聖グロは臆することなく突っ込んでくる。装甲が厚いということもあるのだがな。

 

 そしてDチームは逃げ出した。

 

 「馬鹿っ、今出て行ったらあぶねぇだろ」

 

 みほの隣で顔を出すと一年生組が逃げていくところが見えた。

 

 「きよひー、あいつら頼む」

 

 俺のスキルというかなんか使える念話を使ってきよひーに一年生チームのことを頼む。

 

 「了解しました」

 

 「助かる。沖田姉妹はBチームに、ネロとお栄ちゃんはCチーム、ネロとマシュは会長たちを頼む」

 

 「「「「了解」」」」

 

 ほんと、頼もしいサーヴァント達だ。

 

 「もっとこそこそ作戦開始します」

 

 俺達は市街地に逃げ込み敵を仕留める作戦に出る。

 

 「こちらCチーム一両撃破」

 

 「こちらBチーム一両撃破」

 

 聖グロside

 

 「攻撃受け走行不能」

 

 「こちら被弾を受け現在確認中」

 

 「なッ・・・おやりになるのね。フフ、面白くなってきましたわ」

 

 

 

 

 

 大洗side

 

 路地裏に逃げ込んだ三突は旗を狙われ撃破されてしまう。

 

 Bチームもマチルダを撃破できておらず、逆にやられてしまう。

 

 「Cチーム走行不能」

 

 「Bチームも戦闘不能。および撃破失敗すみません」

 

 「残っているのは我々だけです」

 

 「向こうは何両?」

 

 「三両」

 

 「いや、四両だ。一両まだ撃破できていない」

 

 「ここから別行動に出るから頼むぞみほ」

 

 「分かった。裏こそこそ作戦開始ね」

 

 『沖田姉妹とネロとお栄ちゃんは行けるか?』

 

 『大丈夫です』『問題ない』『余はいけるぞ』『カカッ、大丈夫だい』

 

 『よし、ここから裏こそこそ作戦に入る』

 

 『『『『了解』』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃Ⅳ号はというと・・・

 

 市街地を逃げ回っていた。

 

 「追い込まれた」

 

 「こんな格言を知っている。イギリス人は恋愛と戦争では手段を選ばない」

 

 チャーチルの主砲がⅣ号へ向けられたそのとき。

 

 「参上」

 

 生徒会チームがやって来た。

 

 「発射」

 

 38tの主砲が火を噴き敵の戦車を・・・撃破しなかった。

 

 「桃ちゃんここで外す」

 

 ドンッ

 

 「やられたぁー」

 

 「前進、一撃で離脱して」

 

 みほが敵の主砲に砲弾を再装填される前を狙って38tの影から一両撃破して離脱する。

 

 作戦は成功し、大通りにでた4号はもう一両マチルダを撃破する。

 

 さらにもう一両撃破した4号はチャーチルに一撃浴びせるが装甲を破けずに最終決戦に出る。

 

 Ⅳ号がチャーチルに回り込み砲撃を放った時、チャーチルに謎の物体が襲い掛かる。

 

 謎の物体はチャーチルの主砲にあたり主砲を曲げる。

 

 ズドンっとⅣ号の主砲が着弾し、チャーチルは撃破された。

 

 そして肝心のⅣ号は無事だ。

 

 「十六夜君ッ」

 

 「ヤハハ、間に合ったな」

 

 Ⅳ号から身を乗り出し少し横の建物を見ると石を手に持った十六夜君が立っていた。

 

 

 

 

 十六夜side

 

 「よし、もうすぐだな」

 

 『全員、もしものときの準備は出来てるか』

 

 『おうよ』

 

 『はい』

 

 『大丈夫だ』

 

 全員の準備も整っていることだし、俺はⅣ号の姿を捉える。

 

 マチルダ二両を撃破したⅣ号はチャーチルに正面から突っ込む。

 

 そこに向かって。

 

 「しゃらくせぇ」

 

 ポケットに忍ばせておいた石をさっきのマチルダに投げたときよりほんの少し強めに投げる。

 

 ズドンッとⅣ号の主砲の音が響く。

 

 「十六夜君ッ」

 

 「ヤハハ、間に合ったな」

 

 これで俺達の勝利の筈・・・アレ

 

 『こちら沖田ちゃん姉妹。敵の歩兵部隊と交戦し勝利したが敵のマチルダ一両、さきほどの位置にはすでにおらず。既にどこかに移動した模様』

 

 『すみませんマスター』

 

 俺が仕留めそこなったマチルダを探しに行った沖田姉妹から念話が入る。

 

 『ますたあッ、後ろです』

 

 そこへきよひーからの念話が入る。

 

 Ⅳ号の数十メートル後ろを見るとあのマチルダが見えた。

 

 「まずいッ、みほ後ろだッ」

 

 通信機でⅣ号に伝えるが

 

 「クソっ間に合えぇぇぇぇぇ刺し穿つ死棘(ゲイ・ボルグ)

 

 完全に不意を突かれたⅣ号がやられる前にマチルダを撃破するために石を投げる。

 

 シュンッと音速を超えた石はマチルダの側部の装甲を破壊したが撃破できなかった。

 

 ドンッとマチルダの主砲が火を噴く。

 

 「大洗学園全車両走行不能。よって聖グロリアーナ女学園の勝利」

 

 

 

 

 

 

 

 「あなたが隊長さんですわね」

 

 試合後、ダージリンたちがみほたちの元へとやってきた。

 

 みほたちAチームの全員煤塗れだ。

 

 「あなたお名前は?」

 

 「もしかして西住流の?随分まほさんとは違うのね」

 

 「えぇ」

 

 「十六夜さん」

 

 今度は少し離れた所にいた俺に向かってきた。

 

 「よう。負けちまったぜ」

 

 「フフッ、面白い試合でしたわ。それにしてもあの砲撃は何ですの?主砲の音も聞こえませんでしたし」

 

 どうやら俺の攻撃が主砲だと勘違いしていたらしい。

 

 「あ、あぁ、あれな。企業秘密」

 

 「それは残念ですわ。ところでですが、このあと一緒にお茶でもいかがですか?」

 

 なんとあのダー様からお茶の誘いだと。

 

 「良いのか?なら是非とも」

 

 「えぇ、私もあなたとお話したかったですの」

 

 「淑女にそう思われるとは感激だな」

 

 「では、後程」

 

 そう言ってダー様は去った。

 

 ジーとこちらを見つめる視線を感じる。

 

 「な、なんだよ」

 

 「べっつにーただあの人とどういう関係なのかなって?」

 

 「ちょっとな」

 

 「いやー負けちゃったね」

 

 みほの目からハイライトが消えそうになっていると大魔王が降臨した。いや、今回は女神か。

 

 「約束通りやってもらおうかあんこう踊り」

 

 「まぁまぁ、こういうのは連帯責任だから」

 

 よし、ちょっくらこの辺にいる男共の目を潰すか・・・

 

 

 

 

 




 いやぁ、どうなるんでしょうかね男の人の目は全員ムスカになるんですかね(笑)

 「目が、目がァァァァァァ」なんちゃって。

 次回はダー様たちとのお茶会です。お楽しみにね。

 感想待ってまーす。

 せーの!パンツァーフォー

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