絶対転生特典間違えただろ   作:ナカタカナ

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ノリと勢いって・・・アンツィオって

 CV33に乗せられて俺が最初に向かった場所はアニメでも秋山がビデオに映していた生徒たちの屋台が広がる場所だった。

 

 あちこちから美味しそうな匂いが漂うこの場は育ち盛りの俺にとっては空腹を誘う場だ。

 

 「どれもうまそうだな」

 

 「おう、いつもは私もここで料理出してるんだぜ」

 

 ペパロニの勢いのいい声が心地よい。

 

 「それは食ってみたいな」

 

 「旦那ならいつでもサービスするからよ」

 

 「そりゃありがたい。でも、そんなことしたらP40は買えないんじゃねぇのか?」

 

 「なんで十六夜がP40のことをしっている。私は一度もP40のことはいってないぞ」

 

 『やべ、いらんこといっちまった』

 

 どうやって誤魔化すかを考える。

ペパロニだけなら騙せそうだがこういうときのドゥーチェは勘が鋭いというか変な勘が働いている。

 

 「そ、それはだな。ここってCV33が主力だろ。だったら、そろそろ他の戦車も取り入れたいんじゃと思ってな。重戦車だったら一気に火力も耐久も増えると思って、そこから出てくるのはイタリアの重戦車P40だったというわけだ。どうだ俺の名推理、真実は・・・いつも一つってな」

 

 どうだ、これで誤魔化せたか?

 

 「流石っす旦那。あってます」

 

 「随分と頭のキレるお方なのですね」

 

 「そうか、ふむ、確かにそうだな」

 

 「ヤハハ、『何とか誤魔化せたぜ』」

 

 さらにCV33に揺られること二分ほどポンペイの遺跡から発見された石柱を使われた建造物の前に来ていた。

 

 「すげぇな」

 

 「そうか?邪魔なだけじゃないか?」

 

 『世界遺産を邪魔って・・・』

 

 「ネロに見せてやりたかったな。そうだ、今度連れてきていいか?」

 

 「ネロさんとは十六夜さんの彼女さんですか?」

 

 カルパッチョが反応する。なんなの?恋愛とかに興味津々なの?

 

 「違うぞ。俺の家族だ。ローマが好きでな」

 

 「そうなんですか」

 

 「ハハハカルパッチョ何言ってんだよ。十六夜の旦那はドーチェの彼氏だろ」

 

 「「違う」」

 

 「えっ、違うんすか?」

 

 ペパロニよ馬鹿かッ。いや、確かにドゥーチェが俺の彼女だったとしようきっと毎日が楽しくて仕方がないだろう。

 

 しかし、ドゥーチェはこう見えても乙女である。ガルパンに出てくるキャラの中でも一位二位を争うほどの乙女である。そんな彼女に俺は不釣り合いだろう。なんたって問題児様だぜ。

 

 「それよりあのコロッセオに行ってみたいんだが」

 

 「それよりって・・・はぁ、まぁいいだろう。よし、行くぞペパロニぃ」

 

 「はいっす」

 

 こうして俺を乗せたCV33はコロッセオに向かう。

 

 

 

 

 

 「どうだ、ここが私達の練習場であるコロッセオだ」

 

 コロッセオのなかはめちゃくちゃ広く、ネロに見せたらどんな反応をするのか見てみたい。

今は練習中ではないので人は少ないが何組かのカップルらしく男女のペアがコロッセオ内にいた。

 

 「なぁ、なんでこんなすげー建造物があんのに金がねぇんだ?」

 

 「「「・・・さ、さぁ・・・」」」

 

 全員が顔をそらす。

 

 ほんとなんで金が無いんだ?どこもかしくも綺麗な建造物ばかりだというのに金がない。

これらの建造物を建てるのにかかった金に比べれば戦車を買うなんて普通に出来そうだ。

 

 まぁ、どうせノリと勢いの高校だから調子に乗って建物増やしたら金がなくなったとかありそうだ。

・・・割とマジでありそうだから怖いんだが・・・

 

 「ノリと勢いって怖いな」

 

 「褒めるな」

 

 「褒めても鉄板ナポリタンしか出ませんよ」

 

 「ふふ、そうですかね?」

 

 駄目だこりゃ

 

 

 

 

 

 

 コロッセオから出た頃には昼飯時となっておりアンツィオ名物鉄板ナポリタンをいただくことになった。

 

 その際にだがあちらこちらの屋台にいる生徒から

 

 「あれがドゥーチェの男」

 

 「ワイルド系」

 

 「肉食?乙女なドゥーチェが喰われちゃう、キャァァァ」

 

 うん、武部以外にも脳内ピンクの輩ばかりだった。

 

 「どうぞっす」

 

 いつの間にか調理服に着替えたペパロニがこれまたいつの間に創ったのかもわからない鉄板パスタをくれた。

 

 「いただきます」

 

 これが伝説の鉄板ナポリタンか・・・うまっ、えっ、マジでヤベぇ。

 

 ビックリすることにこのパスタはあのエミヤよりうまかった。

正直、ここまでうまいとは思っていなかった。生まれてこのかたというより記憶を取り戻してからエミヤの料理が一番だと思っていたのだがこの鉄板ナポリタンはそれを超えてきた。

 

 「おかわり貰えるか?」

 

 「おかわりっすね。はいどうぞっす」

 

 「サンキュー」

 

 フォークにパスタを巻き付けて次々に口へ運んでいく。

 

 「良い食べっぷりだな」

 

 「トマトスムージーもありますよ」

 

 横からカルパッチョが赤い色のドロドロした液体をくれた。

 

 見た目はなんとも言えないが飲んでみるとトマト本来の甘みが口に広がる爽やかで冷たく美味しかった。

 

 「マジでやべぇな。どれもうますぎる」

 

 鉄板パスタの他にもピザやサラダなどを貰ったのだがどれもエミヤの料理と並ぶほどうまく、いくらでも腹に収まりそうだ。

 

 「いやぁ作ってる側からしても気持ちい食べっぷりっすね」

 

 調理服から着替え制服姿に戻っているペパロニが俺の隣に座った。

 

 「すんげーうまい」

 

 「うれしいこといってくれますね」

 

 「事実だし・・・ゴキュ、ゴキュ、ゴキュ・・・プハァ、食った食った。ごちそうさま」

 

 「お粗末っす」

 

 「にしても一人でよくこんなに平らげたな」

 

 「男性ってこんなに食べる物なのですか?」

 

 俺の目の前に積み上がった皿を見ると

 

 鉄板ピザ四人前、ピザ三枚、トマトスムージー二人前、ケバブ二本、カルパッチョ一皿、シーザーサラダ三人前とかなりの量を平らげていた。

 

 「全部うまかったからな。ついつい手が動いちまってな。代金はちゃんと払うから安心しろ」

 

 「気にしなくたっていいのに」

 

 「いや、こんなうまいもんを只で食うなんて駄目だ」

 

 「変な所で頑固っすね」

 

 「そういえばタカちゃんも頑固なところがあったような」

 

 それにしても料理ができる女の子というのはいいものだな。

 

 うちはエミヤがほとんど料理を作るので料理を作る人物は少ない。

バレンタインのときだけ全員が俺にチョコをくれるのだがそのくらいだ。

 

 まぁ、たまにきよひーが作ってくれるのだがどうやら変な薬が入っているらしく食べたあとはいつも一人で悶々としている。

 

 えっ、なら食べるなって?

 

 無理だ。涙目を向けられたら食わざるにままならない。

 

 「と、ところで十六夜?」

 

 するとモジモジしているドゥーチェが人差し指同士を引っ付けたり離したりしている。

 

 「なんだ?」

 

 「そ、そのだな。もしよかったらこのままアンツィオ高校に転入しないか?」

 

 おいおい、このやり取りついこの前したところだぞ。しかも、顔を見る限り冗談ってわけじゃなさそうだし。

 

 「転入って、ここ女子高だろ一応」

 

 「そうだな。しかし学園長に頼めば十六夜なら転入させられるぞ」

 

 「それは魅力的だな。こんなに美味しい料理を毎日食える」

 

 「なら「でも、今は大洗にいたいんだ」そ、そうか」

 

 一気にテンションは下がってしまいご自慢のツインテールもシナシナっとなってしまっている。

 

 「ドゥーチェがフラれたっす」

 

 そこへペパロニによる超ド級の精神攻撃が行われる。

 

 「グハッ」←チーン

 

 「ドゥーチェが死んだッ」

 

 「この人でなし」

 

 「フラれたって、俺は別にフッてねぇよ。人聞き悪い事言うんじゃねぇよ」

 

 「だって、アンチョビ姐さんが」

 

 「たまに飯食いに来るからそれでいいだろ」

 

 「・・・・・・」

 

 ドゥーチェはまだ死んでいる。

 

 「そうだな、俺は大洗にいるのは変わらないがアンツィオが試合のときは応援に来てやるよ」

 

 ピクッとツインテールが動く。

 

 「他には誰かさんが好きそうな恋愛小説をここに来るたびにもってきてやるってのは「ああああああああ」」

 

 完全復活したドゥーチェが雄叫びをあげる。

 

 「わ、分かった。仕方ないッ、仕方ないよなぁ。うむ、無理強いはしない」

 

 先ほどとは態度がまるで違う。

 

 「プッ、あ、あぁ仕方ないな」

 

 ドゥーチェの顔を見ると涙目になっておりその目はこういっていた。

 

 「恋愛小説が好きだと何で知っている。バラしたら殺す」

 

 ドゥーチェをいじめるのもここまでにしておこう。

 

 

 

 

 

 「ヤハハ、試合できたらいいな」

 

 あれから時間は過ぎてすっかり夕方となってしまい俺は大洗に帰ることにした。

 

 「そのときは私達が負けないように頑張るじゃなくて勝つッ」

 

 「はいはい、今日は楽しかったぜ。じゃあまたな」

 

 「ほんとにもう帰るのか?」

 

 「あぁ、家族が心配するからな」

 

 「そっか、また来いよ歓迎するから」

 

 「近いうちに来るわ」

 

 「またな」

 

 「あぁ、またな」

 

 こうして、俺のアンツィオ高校訪問は終わった。

 

 帰ってから修羅場が発生したのはお分かりだろ。

 

 「なんでさ」

 


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