さて、十六夜君がはいったことで誕生した歩兵相手にどう立ち回るのでしょうかね
一番くじのラストワン賞を見られガレージにいた全員から冷たい目を向けられた俺は一番くじで当てた景品を全て袋から出されて正座させられている。
「あのぉ~いつまで正座しておればいいのでしょうか?」
「知らないッ」
「あっ、はいすみません」
もうすでに正座を始めてかれこれ二十分は経っている。
みんなは自動車部のみんなと協力して戦車のパーツの名前を覚えたりだの、簡単な整備の仕方を学んでいる。
授業後にみんな一時間ほど自主練をしていたらしく、今は整備について勉強していた。
「それはこの道具を使うんだって」
「難しいよぉ」
「こっちじゃなかった?」
「あれ、どっちだっけ?」
みんな車の整備自体やったことがないっていうのに戦車の整備をいきなり学んでいるせいで何がなんだかわかっていない。仕方ない、俺も未だに整備の方は苦手だ。
結局、あれから十分ほど正座させられたのだが、戦車の最後の仕上げは自動車部に任せて俺は会長に頼まれていたサンダースの映像を見せていた。
「とまぁ、これがサンダースの歩兵だな。戦車とかの方は優花里が撮ってるから明日にでも確認しようぜ。
それでなんだが、ラストワン賞返してくれませんかね?」
「えっ、駄目だけど。かーしまー西住ちゃんには連絡したか?」
「はい、西住は現在エミヤ食堂という店にるそうです」
「はぁッ、なんでだよ」
「ちなみに、あんこうメンバー全員がいるそうです」
なんと、あんこうチーム全員が家に来ていた。
俺はエミヤに電話を掛ける。
prrrrrガチャ
『どうしたんだいきなり、みほちゃんたちが来ているぞ。早く帰ってきたらどうだ』
『いや、なんでみほたちがいるんだよ』
『なんでも沖田たちが連れてきてな。作戦会議を開くそうだ』
『はぁ、ちょっとみほに代わってくれ』
『あぁ、了解した』
『もしもし、十六夜君、どうしたの?』
『いや、どうしたのじゃなくてだな。俺の方がどうしてって聞きたいんだが?』
『えっとね、優花里さんの家に行ったんだけど優花里さんがサンダースの映像を見せてくれて、それで作戦会議をしてたんだけど、一緒に来ていた沖田さんが家で作戦会議しましょうっていうからお邪魔させてもらってる』
そういえば沖田さんは何故か優花里と仲が良かったな。そのせいか?
『それでなんだが、今な学園にいるんだ。偶然にも他のみんなもいるんだが。もう、今から家で作戦会議しようぜ』
もういいよね、明日するんじゃなくて今日したら明日はずっと戦車道の練習できるし。
『それはありがたいけど、十六夜君はいいの?』
『エミヤに代わってくれ』
『代わったぞ。それでどうしたんだ?』
『今から十七人いや、二十一人ほど家に呼んでもいいか?』
『私は構わないが』
『よし、あっ、出来ればでいいんだけど夕飯も作ってくれないか。帰りに材料は買っていくから』
『了解した頼光殿に手伝ってもらえれば手はかからんだろうからな』
『サンキュー、じゃあもう少ししたら帰るわ』
通話を切り会長たちの方を見る。
「とまぁ、聞こえてたと思うがいいよな」
全員いいと頷いた。
「ホシノたちはどうだ、終わりそうか?」
「なんとかね、あと十分くらいあれば終わるよ」
「こっちも」
「私もです」
「私は終わったぞ」
流石、仕事が早くて助かる。
「晩御飯の買い物してから家にいくことになるけど手伝ってくれるか?」
「あっ、私手伝います」
大野が手をあげる。
「私も良いですよ。丁度私も買うものあったし」
山郷が続き
「私も手伝うぞ、十六夜一人では持つのが大変だろう・・・というか、いいのか夕飯まで頂いて?」
店のことを心配しているであろう磯辺が気をつかってくれる。
「気にすんな。二十一人分作るくらい父さんは余裕だろう」
「十六夜の家は飲食店であったはずだがいいのか?」
エルヴィンも店のほうを心配している。
「和室だったら店の迷惑にならないからそこですればいい」
そういうことで、全員で一度商店街に寄って食材を買ったあと家に向かった。
「おっ、十六夜が返って来たぞぉ」
顔を赤くしたおっさんが俺に絡む。
「うわ、酒くせぇな。こんな時間から飲んでていいのかよ日下部のおっさん」
「ガハハ、良いんだよ良いんだよ、たまにはパァーって飲みてぇんだよ」
「ったく、あんま飲みすぎんなよ。嫁さんが心配するぞ」
「それもそうだ。おっ、今日は女の子がいっぱいだね。あれかい、戦車道の子たち」
「あぁ、そうだぜ。店の迷惑にならないところで作戦会議するからよ、安心して食べてくれよ。店も儲かるしな」
「おう、ジャンジャン食ってやるぜ」
このノリがいいおっさんの名前は日下部さんといい、商店街にある金物屋をしている。
エミヤの料理にはまってからは週に二回はこの店を訪れるようになった。
ちなみに嫁さんと現在中学三年生の娘がいるらしく、家族でも食べに来たりしている。
「おかえりなさい」
母さんが出迎えてくれた。
「ただいま。これエミヤに渡しといてくれ」
「わかりました。みほちゃんたちは和室にいますよ」
「オッケー」
この家の和室は三階、しかも店の真上にありそれなりの広さがある。
和室に入るとみほやマシュたちが座っていた。そこまではいいんだなんで・・・
「おかえり弟君」
「遅かったな、すっかり鍛錬する時間がないではないか」
「皆さんが十六夜のご友人ですか、初めまして十六夜の姉ジャンヌです」
「へぇ、可愛い子ばかりね。私はジャンヌ・オルタ十六夜の姉よ」
「静謐・・・十六夜の姉です」
なんでお姉ちゃんズがここにいるんだよ。
「えっ、十六夜のお姉さん?」
「すごい綺麗な人ぉ」
「まさか聖女ジャンヌッ」
「沖田姉妹といい、ネロといいこの家は偉人の名前が多いな」
しまった、歴女も来るんだ。めんどくさい事になりそうだ。
「それより、早く作戦会議しようぜッ」
このままでは永遠に本題の作戦会議に入れそうにないので強引に話題を切り替える。
「そ、そうだね。優花里さんあの映像見せて」
みほがなんとなく俺の意図を読み取ったらしく優花里の映像を見る事になった。
うん、アニメと同じだった。
そして、優花里の映像の次は俺の映像ももう一度
「この映像をもとに作戦会議を始めます。敵の数は十五両というのは確定です。敵の戦車の配置はこれと変わるかもしれませんが、おそらく戦車の種類はこのままの筈です」
みほが今まで戦車道で培ってきた経験をフル活用し作戦を練っていく。
その作戦を聞きながら他のメンバーも意見をだして、いくつもの作戦が生まれて行った。
これはアニメと少し違う展開になるかもな・・・タノシミだぜ!
次回もオリジナル展開です。
せーの!パンツァーフォー