絶対転生特典間違えただろ   作:ナカタカナ

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 ようやくプラウダ戦に入ることができました・・・といっても、試合が始まるのは次話からなんですが・・・


開戦 プラウダ高校

 「すごいねミカッ!こんなに美味しいご飯、初めて食べたよ」

 

 「アムアムアムッ。うめぇ、なんだこれッ。店主さんって料理の天才じゃないのか?いや、神様だろ」

 

 「うむ、それにしても十六夜はずるいね。こんなに美味しい料理を毎日食べているだなんて」

 

 食べ始めて三十分が経過したが、三人の手が収まることはなかった。むしろ、料理の無くなった皿が増える度に料理を掴む箸の速度は速くなる。

 

 「喜んでもらえたようで何よりだ」

 

 三人の食べっぷりを見てエミヤも頬を緩ませる。

 

 「シロウ、早く来てください。ラストオーダーが待っています」

 

 「あぁ、分かったよ。ではな」

 

 エミヤはアルトリアに呼ばれて、厨房へ戻っていった。

 

 「さて、腹も膨れたことだし、あんたらをどうするかだ」

 

 「できれば、このまま見逃してもらいたいところなのだが」

 

 「う~ん、どうしようかな」

 

 「や、やっぱり十六夜は悪い奴だ」

 

 「ほう、そんなことをいうのか?」

 

 俺が悪い顔をすると、アキとミッコは顔を引きつらせている。

 

 ミカも何か言い訳を考えているのか、無言だ。

 

 「はぁ~、それで今晩泊るところはあるのか?」

 

 「・・・それがね、ないんだよ」

 

 「まぁ、いつも通り戦車で寝泊まりすればいいんだけどね」

 

 「そうだよな。戦車の中って案外寝心地いいし」

 

 俺の問いに三人はそう答えた。

 

 「うち泊まっていくか?空き部屋はあるし・・・それと、正直臭うぞ」

 

 「「「なっ」」」

 

 「せっかく、三人とも顔はいいのに、もったいねぇぜ」

 

 ちょっとからかうつもりで、そういうとアキとミッコは顔を赤くする。

 

 ミカは相変わらず涼し気な顔をしているが、耳を見ると赤くしているため、やはり羞恥心というものはあるのだろう。

 

 「ったく、着替えはあるから、飯食ったら早く風呂入ってこい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 継続の三人の世話を終わらせた俺は自室に戻り、ゆっくりしていた。

 

 いや、正確にはゆっくりと脳内で明日のシミュレーションをしていた。

 

 原作通りに展開が進むのなら、調子に乗った大洗はプラウダをガンガン攻めるが、逆に追い込まれてしまい、倉庫に退避させられる。

 

 その後、カチューシャから降参するようにという使者が送られてくる。

 

 そこから、どうするかみんなで話し合う。みほを含め、ほとんどの生徒が降参することに賛成するが、生徒会メンバーはそれを拒否する。

 

 理由は優勝しなければ大洗学園は廃校になってしまうからだ。

 

 そのため、みんな降参せずに、プラウダに突っ込み、なんとか勝利するのだが・・・

 

 「はぁ、俺達がいるせいで、どうなるかだよなぁ」

 

 「どうしたんだ、ますたぁ?」

 

 すると、お栄ちゃんが部屋に入ってきた。

 

 「あぁ、お栄ちゃんか」

 

 「随分と悩んでるなぁ。しかたねぇ、俺が人肌脱ぐとするか」

 

 そういうと、お栄ちゃんはベッドに横たわっていた俺の隣にやってきたと思ったら、俺の頭を持ち上げて、自身の膝の上へと乗せる。

 

 「カッカッカ、俺の膝の感触はどうだ?」

 

 「柔らかい、暖かい、いい匂いがする。最高」

 

 「喜んでもらえたようで、それで、悩みごとってのはなんだ?」

 

 それから俺はお栄ちゃんに明日のことを話し始めた。

 

 「なるほどなぁ~まぁ、聞いたところ、相手がかなりの強敵っていうのは分かった」

 

 「隊長は勿論、他の選手だって強者揃いだ。それに加えて、歩兵までいるとなると・・・正直、未知数だ」

 

 「カッカッカ、心配するこたねぇさ。ますたあには俺達がついている。そして、俺達にはますたあがついてる。みほ達にもますたあがついている。みんなで協力すれば勝てるだろう。まぁ、苦戦はするだろうがな」

 

 といって、再び「カッカッカ」とお栄ちゃんは笑う。まったく、漢気溢れすぎだろ。

 

 「にしてもよぉますたあ」

 

 「なんだ?」

 

 「ますたあは、ちっとばかし、女を連れ込み過ぎだと思うんだが?」

 

 その瞬間、俺の背筋は凍りついた。

 

 「い、いやぁ、あれは盗人から、うちの学園の戦車を守ろうと思って・・・」

 

 「言い訳はそれだけかえ?」

 

 「え、えっとぉ」

 

 「お仕置きだ」

 

 お栄ちゃんはそういって、俺の顔をガッシリ掴むと顔が近づいてくる。

 

 「ま、まさか、ちょ」

 

 「静かにしろ」

 

 そして、俺の唇に柔らかい何かが触れる。

 

 「うっ!?うんんッ」

 

 触れるだけのキスかと思いきや、思いっきり口の中にヌルヌルとしている、暖かいものが入ってきた。

 

 どれほど時間が経っただろうか?体感的には五分以上経っている。

 

 呼吸も苦しくなってきた辺りで、ようやくお栄ちゃんは俺の唇から離れる。

 

 「ぷはぁ~、カッカッカ。久しぶりのますたあとの接吻だ」

 

 「ったく、何するんだよ」

 

 「もう少し俺のことも構ってくれよ。口には出さねぇが、俺だって寂しいんだぞ」

 

 「・・・悪かったよ」

 

 俺はそういって、お栄ちゃんの頭を撫でる。

 

 「ん・・・もっと、撫でろ」

 

 「はいはい」

 

 こうして、プラウダ戦前夜は過ぎ去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、プラウダ戦当日。

 

 昨夜泊って行ったミカたちはというと・・・

 

 「結局、あなたは私たちを助けてくれた。この恩は忘れるまで覚えておく」

 

 「ちょっとミカ。え、えっと、十六夜さん。ご飯だけじゃなくて、泊まる場所まで用意してくださって、本当にありがとうございます」

 

 「いやぁ、ほんとに助かったよ。ありがとな」

 

 「おう、その代わり、この学園艦の戦車は盗むなよ。第一、この学園艦に残されてる戦車なんて、オンボロばっかりだからな。盗むならサンダースとかにしとけよ」

 

 「ボロロン。そうだね、そうしておくよ」

 

 「だから盗むのは駄目だって言ってるでしょ」

 

 「サンダースに行くのか?ステーキ食おうぜ」

 

 アキは相当の苦労人のようだ。いや、わかっていたけど。

 

 「じゃあな。気を付けろよ」

 

 「また、ご飯を食べにくるよ」

 

 「ちゃんとお代払いに来いよ」

 

 そして最後に俺は耳打ちをした。

 

 「ちゃんとお代を払わないと、島田流家元にいうからな」

 

 「なっ・・・君は一体何をしって」

 

 「いやぁ、なんか顔が似てるなと思ってカマをかけたんだが・・・まぁ、気にするな。いわねぇし」

 

 ミカは涼し気な顔を一気に歪めて、俺の方を見る。

 

 「・・・本当に、君は恐ろしい」

 

 

 

 

 

 「寒ッ。まじ、寒いんだけど」

 

 「三突のキャタピラはウィンターゲッテンにしたし、ラジエーターに不凍液も入れたよね」

 

 みほは戦車の最終確認を済ませると、新チームのカモさんチームを見る。

 

 「あの、いきなり試合で大変だと思いますが、落ち着いて頑張ってください」

 

 「分からないことがあったら、無線で質問してくれ。そど子」

 

 「だからそど子っていわないでよ。私の名前は園みどり子」

 

 とまぁ、原作通りの会話を進めている。

 

 他のメンバーはどうかというと・・・

 

 うん、原作通り雪合戦などをしている。

 

 そんなみんなの姿を見て、みほは苦笑している。

 

 そして、やって来た。

 

 「よう、カチューシャさん。ノンナさん」

 

 やって来た二人に挨拶をすると、二人も返してくれた。

 

 「どうも、十六夜さん」

 

 「来てあげたわよ。十六夜・・・にしても、何よこの戦車たち。カチューシャたちを馬鹿にしてるわけ?」

 

 二人は俺達の戦車を見て嘲笑する。

 

 「やぁやぁカチューシャ。よろしく。生徒会長の角谷だ」

 

 「・・・ノンナッ」

 

 そして、今度は会長が挨拶をした。

 

 しかし、カチューシャさんはノンナさんに肩車してもらい、話を続ける。

 

 「あなたたちは、全てにおいて、カチューシャの下なのッ。戦車も、実力も、身長も」

 

 「肩車してもらっているじゃないか」

 

 ポツリと冷泉がそう漏らした。

 

 「な、なによッ・・・あっ、あなたは西住流の、去年はありがとう。あなたのおかげでカチューシャたちは優勝することができたわ」

 

 「・・・」

 

 「今年もよろしくね。ではピロシキィ~」

 

 そういってカチューシャたちは去っていった。

 

 「あっ、そうだ。良い忘れたことがあったわ」

 

 突然カチューシャはそういうと、再びこちらに戻ってきた。

 

 「この試合、私達が勝ったら、そこの男。十六夜、イザーシャをプラウダに貰えないかしら?」

 

 「「「「「「「「「「なっ」」」」」」」」」」」

 

 カチューシャの言葉に、戦車道チーム全員が言葉を失う。

 

 「イザーシャも文句はないでしょう。こんな弱小なんかにいるより、私達プラウダに来た方がいいわよ」

 

 「な、なにを言ってるんですかッ十六夜さんは私達のモノですよ」

 

 「そうだ、十六夜は沖田ちゃんのモノだ」

 

 「いいえ、旦那様は私のモノです」

 

 「カッカッカ、冗談にしては面白くねぇ冗談だなぁ」

 

 「奏者は余たちのモノである。お主たちのモノではない」

 

 「先輩は、絶対にあなたたちには渡しません」

 

 サーヴァント達がそういったが

 

 「あなたたちには聞いてないわよ。ねぇ、イザーシャ、どうかしら?」

 

 カチューシャがニッコニコな表情になると、手を差し出してきた。

 

 「コ、コーチ」

 

 すると、誰かが俺の服の裾を掴んだ。

 

 「どうした磯辺?」

 

 「え、い、いや、その、い、行かないよな?」

 

 不安そうな表情を浮かべて、ギュッと小さな手で俺の服を掴んでいる。

 

 手を見ると真っ赤にかじかんでしまっている。

 

 「ヤハハ」

 

 俺は笑う。

 

 「カチューシャさん。その話、ありがたいな」

 

 「でしょッ「でもな、悪い。断らせてもらう」なっ」

 

 「問題児には問題児なりの譲れねぇもんって奴があるんだわ。くだらねぇって笑うかもしれねぇけど、やっぱり、俺・・・こいつらと過ごす、この学校が好きなんだわ」

 

 「コーチ」

 

 「ふ、ふんッ。せいぜい、カチューシャたちに負けることを後悔すればいいわ。行くわよノンナ」

 

 「フラれてしまいましたね」

 

 「うるさいッ。あんただって、十六夜のことは嫌いじゃないでしょ」

 

 「そうですね、好きか嫌いかで問われると好ましいと思います」

 

 「まぁいいわ、この試合の後にもう一度聞いてあげるわ。よく考えておくことね」

 

 そういって、今度こそ二人は去っていった。

 

 「さて、負けられない理由がまた一つ増えたな」

 

 そういいながら、俺は磯辺の手を握って、一緒にポケットに突っ込む。

 

 「コ、コーチ!?」

 

 「指先、かじかんでるぞ。セッターなのに、指は大切にしろよな」

 

 「は、はい」

 

 「「「「「「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」」」」」

 

 背後からものすごい、視線を感じるが今は気にしないでおこう。きっと、試合後にお話しされるからな。

 

 

 

 

 

 

 

 





 どうでしたか?最初はお栄ちゃん、最後、磯辺をヒロインにしてみました。

 個人的に磯辺はかなり好きなキャラクターです。

 ぜひとも十六夜とくっ付けてあげたいところですね・・・IFルートで書くかw

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