レミリアは悩む。
十六夜咲夜を選ぶか、多々良小傘を選ぶか。


——やっぱりどっちかなんて選べるはずがない!!

1 / 1
十六夜咲夜か、多々良小傘か!?

 レミリア・スカーレットは実にくだらないことで悩んでいた。

 

「どうすればいいの……!? 咲夜か小傘か、なんて私には選べないわ!!」

 

 〜〜

 

 完全で瀟洒なメイド、十六夜咲夜。

 レミリアに忠実に従い、どんなことも完璧にこなす。

 その完璧っぷりには同性であるレミリアもつい、うっとりしてしまう。

 それでいて主にだけ見せる健気な一面もレミリアの心を打つ。

 完璧とはいえレミリアに比べればまだまだ未熟、レミリアだけが知っている彼女の影ながらの努力は感動を誘う。

 

 そんな十六夜咲夜に今日の昼話しかけられた。

 

「お嬢様、大事な話が……/// 」

「——大事な話? なんだい、大事な話って……えっ?」

 

 カリスマっぷりを発揮させ、余裕な面持ちをしていたレミリアだが、つい少し声に出てしまうほど、内心超驚いていた。

 なんとあの咲夜が、顔を赤くしながら自分に話しかけてきたのである。

 

「えっと顔が赤いけど……大丈夫、咲夜?」

「あの、その、ですね。えっと、夜七時にまたこの部屋を伺ってもよろしいでしょうか?」

「別にそれはいいけど」

「ではその時に話しますので!」

 

 そう言い終わるといつの間にか十六夜咲夜の姿は消えていた。

 よっぽど恥ずかしかったのか、時止めまでしていなくなってしまった。

 

 まあでも、大体内容は分かる。ていうか、これしかないだろう。

 

 ——告白じゃね? えっ私咲夜に告られちゃうの? 

 

 〜〜

 

 対して、愉快な忘れ傘多々良小傘。

 つい笑ってしまうほど妖怪にしては情けなく、むしろ小動物のような可愛さまで感じられる彼女だが! 

 周りからの好感度は高く、逆に言えば驚かせる以外のことなら大抵のことができてしまう才女なのである! 

 ギャップ萌えというやつがとにかくすごい。

 ついつい心配してしまう一面を持ちながらも、ついつい頼ってしまうようなたくましさもある。咲夜とはまた違った、完璧である。

 

 夕方頃レミリアは人里の方へ散歩していたのだが、そこで人を驚かせようとして相変わらず失敗している多々良小傘に出会った。

 

「あっレミリアさん!」

 

 彼女は妖怪として、気持ちだけは一人前なのである。

 常に好奇心と向上心に駆られ、努力はとどまることを知らない。

 レミリアが弱いやつである。

 

「今日はですね、レミリアさんに前教わったカリスマポーズを実践してみたんです! でも、やっぱりまだまだ未熟な私ではレミリアさんのようにうまく使いこなせませんでした……。精進あるのみですね!」

 

 私のカリスマを簡単に真似られては困る、と思いつつ。

 この子にはなんとかして成功してもらいたいなぁ……などとも思う。

 複雑な心情である。

 

 で。ここからが問題なのだが。しばらく話していると

 

「えっと、あの、レミリアさん! 大事な話があるんですけど!」

「だ、大事な話……?」

 

 聞き覚えのあるフレーズに思わずビクッとする。

 

「その、あのですね? 恥ずかしい話なんですけど……///」

 

 うぎゃあああぁぁぁぁ!!! デジャブ!! 

 

「う、うん、恥ずかしい話がどうしたの……?」

「やっぱり恥ずかしいです! 今日の夜にレミリアさんの家に尋ねても良いですか!?」

「えっ、うん、別に良いけど」

「ならその時に話します! では!」

 

 そう言って小傘は猛ダッシュでその場を去った。

 あっ、転んだ。でも立ち上がったぞ、頑張れ。

 

 この一連の流れ、やっぱりあれしかないだろう。

 

 ——告白じゃね? えっ私小傘に告られちゃうの? 

 

 〜〜

 

 そして現在に至る。

 

 どうすればいいのだ! 正直に言えばどっちも魅力的! 選べるはずがない! できることなら二人とも付き合いたい! だがそれは叶わない! 

 

 私は初めて幻想郷を心の底から憎んだ……。せめて一妻多妻? 制ならば……! 

 

 時計が七時に近づく。

 まだ結論は出てない。

 

 そもそもどっちが先に来るのだ!? 

 小傘が先なの? 咲夜が先なの? 

 同時に来ても困るけど別々に来られても私どっちかに選べないわよ? どっちも「so good!」って言っちゃうわよ? 

 

 トントン

 

 ひぃぃぃぃぃ!? 扉の音!? 

 ど、ど、どっちなのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 

 

「「お邪魔します」」

 

 咲夜と小傘が同時乱入。

 まさかの同時にカリスマブレイクもすれすれ……! 

 

 泣きそう。

 

「では言わせてもらいますね、お嬢様」

 

 待て待て、咲夜!? 

 ここでそれを言ってしまえば、隣の小傘が悲しんでしまうわよ!? 

 とはいえ咲夜の想いを伝えるのを邪魔してしまうのも耐えられない! 

 優柔不断な私は吸血鬼の恥さらしだわ!! 

 

「実は……」

 

 や、や、やめて!! お願いだからやめてください、十六夜咲夜さん〜〜!!

 

「私たち、付き合うことになったんです」

「ごめんなさい!! 二股でもゆる……はっ?」

 

 二人とも赤面してお互いの顔を見つめてる。

 咲夜も小傘もあら、幸せそう。

 私すら見たことないわよ、その笑顔。

 

「きっかけはレミリアさんなんです。レミリアさん経由で咲夜さんを知って……完璧で真面目な姿に惹かれて、勇気を出して告白したんです! そしたら!」

「完璧を目指して常に努力する姿は私にそっくりでした。でも、私以上に彼女は努力していた。そして、そんな努力ができるのは周りのおかげだと常に感謝も忘れていなかったのです。そんな健気な姿に惹かれました」

 

 二人は呼吸を合わせて言う。

 

「「だからお願いします! 二人の付き合いを認めてください!」」

 

 そしてレミリアが苦手な、純粋な眼差しを二人ともしてくる。

 

「二人が出会えたのはレミリアさんのおかげですから」

「お嬢様には感謝しても、しきれません」

 

 そしてトドメの一言。

 もうレミリアの心は限界だった……! 

 事実上、二人に同時に振られたも同然である。

 レミリアの恋はあっけなく散った。

 

「はは……えっと……二人とも付き合ってるんだね?」

「「はい!」」

「そ、そう。なら良かった、もちろん認めるわよ? 私の大好きな咲夜と小傘、二人とも幸せになるなら私にとっても、これ以上ない幸せだもの……」

「お嬢様……! ありがとうございます!!」

「レミリアさん、本当に私嬉しいです。ありがとうございます!」

「ふふ……喜んでくれたなら幸いだわ。でもなんか疲れちゃったから……今日はもう寝るわね……おやすみなさい……」

 

 レミリアは自室にこもる。

 そして声が漏れぬようそっと枕に顔を埋め、涙を流した。

 

 翌日、やけくそになってパチュリーから盗んだ魔道具で窓ガラスを壊して回ろうとしたレミリアだったが、結果紅魔館が爆発したとさ。

 

 めでたし。めでたし。




ちなみに、作者もどっちか選べと言われたら選べません。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。