秩序を破壊した鴉は自由を持て余す   作:ACS

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無ければ書く。書いたら言える、誰か初代ACでISのクロス書いて(白目


鴉とM

––––俺の一番古い記憶は、酒乱の父が酒瓶で殴り付けて来る瞬間の恐怖、怯えていた子供の頃の惨めな姿。

 

母はそんな父を恐れて子供を置いて逃げ出し、その当て付けに暴力を振るわれ続けた俺は借金苦と酒代欲しさに二足三文の値段でどこぞの研究機関に売り飛ばされた。––––歳は九才だったと思う。

 

当時の俺は売り飛ばされた悲しみよりも父からの暴力に怯えなくて済むと言う安堵の方が強かったが、研究機関で俺を待ち受けていた物は過剰なまでの戦闘訓練だった。

 

半世紀前に起きた大破壊と呼ばれる最後の国家間戦争によって、人類は地上からその姿を消し、地下世界へと移り住んで以降は、国家の代わりに企業が自由競争によって地下の人類を繁栄させて来た。

 

そして彼らは自分達権力に組しない唯一の存在––––レイヴンへと仕立て上げて俺を使う気だったらしい。

 

十年にも及ぶ訓練とアーキテクトとしての刷り込み教育、企業の手先として仕上げられた俺はそのままレイヴン試験を合格し、ネストへと登録された。

 

 

––––彼らに誤算があったとすれば、長期間に及ぶ過酷な生活に耐える為に俺が自由を渇望し続けていたと言う事と、それによって俺が反旗を翻して敵対企業からの襲撃依頼を受けて壊滅させられたと言うことだろう。

 

 

晴れて企業と言う鎖を断ち切ってレイヴンとなった俺はクロームとムラクモ・ミレニアムとの小競り合いを利用して金を稼いでいたが、クロームが滅びた辺りで雲行きがおかしくなった。––––思えばこの時、既に俺はイレギュラーと判断されていたのかも知れない。

 

仕事を選ばず任務を遂行し、数々の敵を葬って来た俺は最終的にレイヴンズ・ネストから狙われた。俺は数々の刺客と二機のナインボールを撃破し、ネスト本体を破壊した。

 

 

崩壊するネストはマシンボイスで語る『これで満足か? 秩序を……世界を破壊する……それがお前の望みなのか?』と。

 

––––俺はただ自由が欲しかった。利益や秩序に縛られたくなかった、ただそれだけだった。

 

『我々は必要だった……だからこそ我々は生まれた……秩序無くして人は生きていけん……例えそれが偽りであってもだ』

 

––––もう縛られるのは嫌なんだ。産まれた時から俺は不自由だった。自立したのなら、それを求めてもいいじゃないか。

 

『生き抜くが良いレイヴン……我らとお前……どちらが果たして正しかったのか……お前には知る権利と義務がある』

 

––––無論、自由を得る事の方が正しい。そう、この時は思っていた。

 

 

だが秩序を破壊し、世界を破壊した俺が得た物は単純な強さと生きる理由が見当たらない苦悩、自由を手にした代償はあまりにも重く、手にした自由は俺には持て余す物だった。

 

レイヴンと言う事に誇りはない、それ以外に生き方を知らないからそう生きているだけで、二足三文の端金でも俺の命を狙う罠であっても等しく受け続けた結果、俺は一つの答えに辿り着く。

 

 

––––自由など、憧れであれば良かったのだと。

 

 

だから俺は火星へと向かい、抗争と言う名の秩序の中へと首輪と鎖を求めたが、俺と俺の機体プロビデンスの前に敵う者は無く、目を掛けていた新人すらその例外では無かった。

 

––––秩序を破壊した物が秩序を求めるなど、笑い話にもならない。

 

愛機のコクピットの中でそう自嘲した俺の目の前には護身用のハンドガンがあり気が付けばこめかみへその銃口を押し付けて––––。

 

 

「––––? ––––!! 聞いているのかと言ってるんだ!! アレス!!」

 

「……聞いてるさ、マドカ」

 

 

求人雑誌を顔に当てながら拠点にしているボロ小屋で昼寝をしていた俺は昔の夢を見ていたせいか非常にブルーだった。

 

自害した筈の俺が何故生きているのかと言う理由は分からない、しかし国家と言う物が残っているこの世界の古い話に胡蝶の夢と言う話があるからそれと似たようなものだと勝手に解釈し、正しかろうと間違っていようと納得している。

 

そしてこの世界に来ても俺はレイヴンとしての生き方以外が出来ず、金次第で何でもやる傭兵として生活していた訳だが……その最中に誘拐したこのマドカという少女からストーカー被害を受けていて些か困っていた。

 

出会いに関しては何処ぞの権力者から凍結されたさる実験の個体回収を依頼された事がきっかけで、金に困っていた俺は高額の前金報酬と共に指定された場所からこの娘を攫い、依頼主に引き渡したのだがその際に口封じとして命を狙われた俺はその場で襲って来た人間を全て返り討ちにし、依頼主諸共全員を射殺。

 

引き渡しの際に拘束していたマドカを解放し、その場を後にした筈なんだが……何故か執拗に跡をつけられ、なし崩し的にオペレーター兼同伴者となって今に至る。

 

「貴様と言う奴は!! あれほど仕事を探して来いと言って置いたのにうたた寝とは良い度胸だな!!」

 

「……仕事なら探してるさ、この通り」

 

「何処のッ!! 世界にッ!! 求人雑誌を購読する傭兵が居るんだッ!!」

 

「……フン。表の仕事の方が二足三文の襲撃や破壊任務よりは稼げるだろうさ」

 

「それは貴様が弾薬費と差し引きすれば雀涙ほどしか残らない様な戦い方をしているからだろうが!!」

 

 

バンバンと年季の入った机を叩きながら買ってきた日用品を乱暴に置くマドカを見ながら、俺は始まった説教を聞き流しつつ新聞を広げた。

 

––––この世界は前の世界とは違い最強の兵器であるACが無い。しかしそれに準ずるISと呼ばれる機動兵器が存在する。

 

元々は高性能な宇宙服として作られたらしいが、白騎士事件と呼ばれる一件以来兵器としての側面が強くなり、今では超兵器として扱われているらしい。

 

と言っても本格的な軍事利用は禁止されている他、一応はスポーツと言う体裁で使用されている為、かつての地下世界の様には今のところはならないだろう。

 

 

「……イレギュラー、か」

 

「うん? 何か言ったか? アレス」

 

「……いや、何も」

 

 

白騎士は秩序と世界を破壊し今の情勢を作り上げたが、その行動はかつての俺と同じ––––即ちイレギュラー。

まさか自分がイレギュラーを嫌う側になるとは思わなかったと思わず笑っていると、料理をしていたマドカが二人分の食事を持って来た。

 

 

「さあお前が好きなカレーライスが出来たぞ、アレス」

 

「……好物と言うよりも、お前の料理でまともに食べられるのがカレーライスぐらいしか無いというのが正しいんだがな」

 

「う、うるさい。とにかく食え!! そして仕事の話に移るぞ!!」

 

 

俺の指摘によって若干顔を赤くしたマドカは掻き込む様にカレーを頬張って行く。

 

俺は諸々を誤魔化す為なのか非常にスパイスが効いたカレーを口にしながら、マドカの持って来た報酬前払い且つ細かなミッションプランの無い仕事の内容を頭に入れて行くのだった。

 

 





主人公……初代AC主人公兼AC2のトップランカーアレス。彼はMoAの主人公説がありますがこの作品だと無印主人公、過去に関しては特定の思想や正義を持たず自由だけを求めたレイヴンとしてありそうな過去にした感じです。

幼少期から一切愛情と自由を知らず、戦いの中で生きる為の教育と環境で生きてきた所為で、ネスト破壊後も渇望していた自由な生活の中で生きる目標やその意味を見い出せず、社会の歯車として秩序の中に収まっていた時の方が幸せだったと言う結論に至る。

最終的にはAC2主人公でアリーナと戦うも彼が自分に負けてしまった事で誰も自分を超えられないと考え、ネストの最期の言葉を思い出しながら自害しIS世界へ。

夢でも現実でもやる事は変わらないからと転生or転移については深く考えず、それ以外に生きる方法を知らないから傭兵『レイヴン』として生きている最中にマドカを回収し、世話焼きストーカーオペ子化したマドカと共に行動中。


マドカ……本作ヒロイン。亡国機業に回収される筈だったが、依頼を出した人間がレイヴン相手に一番やってはいけない契約違反を犯した為、その場に居た全員が射殺された結果亡国機業に合流する前に解放される。

その際にアレスは完全にマドカへ対する興味は失っており、この時は彼を見失ってしまったものの、圧倒的な強さと自分に自由を与えてくれた存在としてラウラが千冬を慕う並みに盲信→人類最強のスペックを持ったストーカーが誕生し、アレスが撒いても撒いても超人的なストーキング能力で追跡、結局彼が諦めた事でなし崩し的にオペ子兼身の回りの世話をする様になった(家事が出来るとは言ってない)

本作では初代ACから2までの期間はそれ程開いてない設定なのでアレスはギリ二十代後半。割と年の差が開いてるのでちょこちょこマドカからアプローチされても全スルー、そもそもアレスもアレスで人間としては破綻してるのでそんな感情は芽生えない。


依頼の傾向は以下の通り。

アレス→基本なんでも、二足三文だろうが罠だろうが仕事は仕事。ボスを暗殺した組織から報復依頼を受けたりとレイヴンらしいレイヴン。

一応生身でISと戦っても経験とイレギュラーとしての実力の高さから閉所に誘い込んだり、トリモチ弾の様な嫌がらせ装備等を使いながら相手を追い詰められるレベルの強さ。完全にドミナントな非強化人間。

マドカ→アレスが派手にやる所為で依頼料が全くと言って入って来ない所為で前金全額支払いの様な超怪しい依頼でも、生活苦からほいほい釣られてしまう騙して悪いが系が多い上に護衛系のような仕事があまり好きではない為、持ってくるのが基本的に破壊or襲撃系でセレンさんに近い。戦闘能力は劣化版千冬。


転移直後の頃にJK時代の山田先生に助けられて優しくされた影響で、他人からの好意と言う物を肌で知ったアレスがアナトリアの傭兵みたくなるルート悩んだのは内緒。


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