たとえどんなに愛し合っても、それが永遠にあるとは限らない…。

1 / 1
ノモンハンです。今回はひまりちゃんを主人公にしたちょっと切ない話を書きました。


大好きなあなたへ

 「あ、あの…!好きです…!」

 「俺もだよ!」

 夕焼け映える屋上。互いの思いを確かめた春のあの日。俺は片時も忘れたことはない。

 初めて行ったデート。遊園地だった。お化け屋敷で怖がって俺の腕にしがみついてきたひまり、可愛かったな。初めて握ったひまりの手、柔らかかったな。

初めてアフロのみんなに挨拶したあの日。

 「ひまりに何かあったら許さないから。」

 「ひまりをよろしくな!!」

 「ひーちゃん幸せそー」

 「ひまりちゃんをよろしくね。」

 「うう〜みんな〜」

 泣き出したひまり。俺は安心したよ。こんなにも思ってくれる友達がいるのだから。

 初めて行ったライブ。ベース弾いてるひまり、かっこよかったよ。疲れて俺の肩にもたれかかってきたよね。正直、めっちゃ可愛かった。

 夏になって海にも行ったよね。水着姿のひまり、可愛かったよ。まじで胸でかk…ゲフンゲフン。

 「ずっと一緒にいような。」

 「うん!約束だよ!」

 あの日のひまりの唇、忘れられない。

 そんなある日、俺は家で倒れた。病院に運ばれて、余命1ヶ月を宣告された。泣いた。もう、ひまりといられないなんて。ひまりとの約束を守れないなんて。

 その日から、ひまりの前では元気を装った。ひまりに心配をかけないために。悲しませないために。

 デートにも行った。デートじゃなくても、これまで以上に一緒にいるようにした。いつ最期になるか分からなかったから。

 俺は日に日に痩せていった。ひまりも心配してくれた。それでも、「大丈夫だよ。疲れてるだけだから。」こう返すだけだった。

 晴れたある日、俺はまた倒れた。今度は入院を余儀なくされた。余命はもう幾許もない、そう悟った。アフロのみんなにも、友達にももうすぐ死期が来ることを言っていた。でも、ひまりだけには言えなかった。悲しませないために。それくらいひまりのことが好きだった。

 お迎えが来たようだ。薄れゆく意識の中で、涙声でこんな声が聞こえた。

 「ねえなんでよ…!なんで…!ずっと一緒だよって約束したのに…!」

 ごめんねひまり。ほんとのこと言えなくて。悲しませたくなかったんだ。最期まで、ひまりの中で楽しい思い出だけが残るように。

 俺は愛するひまりに手を握られて旅立った。たった半年だけど、ほんとに楽しかったよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 わたしは心から愛していた人を亡くした。お医者さんの死亡宣告の後、泣き崩れた。優しくて、かっこよくて、憧れたあの人ともう会えないなんて。デートできないなんて。あの人の手の温もりももうないなんて。 

 その日からわたしは家に引きこもった。食べるのは大好きなはずなのに何も食べられなくて、幼馴染でずっと一緒なアフロのみんながきても、「帰ってよ!!誰もわたしの悲しみなんて分からないよ!」

 こんなのはわたしじゃない、わかってるのに。彼を失った悲しみと、こんなふうにしか振る舞えない自分への悲しみ。2つの悲しみがわたしをなんどもなんども襲った。

 彼が亡くなって1週間。手紙が届いた。送り主は彼だった。中を開くとこう書いてあった。

 「この手紙を読む時には俺はもういないでしょう。俺たちが初めて出会ったあの日、覚えてる?告白してくれたあの日、覚えてる?ずっとひまりが隣にいて、俺の毎日が輝いてた。ひまりのおかげだよ。ひまりは俺の彼女。優しくて、可愛くて、一生懸命。そんなひまりが大好き。最後に、お願いがある。ずっと俺を好きでいてなんて言わない。でも、俺の分まで生きてほしい。俺が体験できなかった景色がきっとある。よろしく頼むよ。

追伸 俺はずっと空からひまりを見てるよ。大丈夫、ひまりなら。」

 

 いつ立ち直れるか分からない。でも、少しづつでも立ち直っていこう。彼との思い出を財布に入れて。まずはアフロのみんなに謝ろう。わたしは、ドアノブに手をかけた。

 

 

 

 

 




愛する人といつ別れなければならなくなるか、そんなことは誰にもわかりません。だからこそ、今一緒にいる時間を大切にしてほしい、そんな願いも込めました。
 それでは次回の小説でお会いしましょう。ノモンハンでした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。