前倒した結果、
皆さんの評価がガラッと変わるんじゃないかと心配な回
―――――――――――1週間後―――――――――――
「完成、じゃな」
「これが俺の霊能力」
しみじみとつぶやく。
「不服か?」
ニヤリと笑う老師に笑い返す。
わかってるだろうに。
「いえ、まぁ、そりゃちょっとは思うところもありますけど、霊力量が少ない俺にとってはむしろ最高かもしれないですね」
「そうじゃな、まさか霊力をメインで使わない霊能力があるとは思わなかったが、お主も横島と同じで特別変な奴ということが改めて証明されたな」
「え、そんなこと考えてたんですか」
「それにしても……うーむ、霊能力にも驚きじゃが、まさか気も使えるとは……。そう考えるとやはり最初から霊力ではなく気に特化して修行をつけるべきだったか」
「スルーされた……。気の話がまさかそのまま霊能力に絡むとは思ってませんでした」
試しに気を使って横島のサイキックソーサーを真似ようとしてみる。
手元に気が集まるが、上手く形を作れずぼやけて消えた。
「あぁ、横島の真似はあきらめた方が良いぞ。元々あやつは霊力のコントロールが絶妙に上手いからな。雪之丞も出来ていたが、あやつも霊力のコントロールはかなり上手い方じゃ」
まぁ、そうだろうなぁ。
「もちろん練習すれば出来るじゃろうが、全く同じレベルで出来ると勘違いしないようにな」
あ、出来るは出来るんだ。
もう一度やってみたが結果は同じだった。ちくせう。
「ところで、霊力よりは量もあるんですよね?」
「まぁ、お主の霊力より少ないものといったらカニベースの超人強度くらいなもんじゃろ」
「俺の霊力に関して言っちゃいけない言葉が無いわけじゃないですからね?」
俺のツッコミは無視して続ける老師。
「まだ目覚めたばかりじゃが、伸びしろが霊力より遥かに高い。
当然現時点で霊力よりは遥かに多いし、基本的に使いこなせる者がほぼいないことを考えればトップクラスで気の扱いには長けており、使える量も多いだろう」
おぉ!
「ただし!先に話した通り使う量を間違えると……死ぬぞ」
おぉぅ……。
まぁ何度も説明されたしな。
「ま、とはいえ今の霊能力を考えると、そこまで心配はしておらんがな」
ニヤリと笑って老師が言う。
なにはともあれ、これからに向けて相当有益な能力を得られたのは間違いなさそうだ。
「一応改めて説明しておくかの。お主の今の霊能力は二つ。一つは先程からずっと話しておる気を使う能力」
それだけ聞くとすげぇ周り見て気を遣ってる人みたい。
当然そんな能力なワケがなく、気を霊力みたいに使えるってことだ。
単純に修行して気を1から使うという意味じゃなくて、気を使う、という霊能力だ。
しかも老師の話では、通常に使うよりかなり省エネで使える能力らしい。
が、発動に霊力を使うらしいから霊力枯渇状態では使えないらしい。ややこしくない?俺の能力。
「もう一つはその気を使って空を飛ぶことが出来る」
これがまた強い。
つまりは最初に霊力を使って気を使える能力を発動したらそこからは気を使って戦えるうえに、その気を使って空も飛べるということだ。
滅茶苦茶戦闘で無双できるじゃん……、と言いたいところだが何度も言われている通りそんな爆発的に使いまくったらすぐ死ぬ。
小出しにしながら身体能力を上げて基本は肉体ベースで戦うのが現実的だろうな。
「それでも今までに比べたら急成長も急成長、今事務所の中での単純戦闘能力はお主が一番になったじゃろうな」
【とはいえ、戦力という意味では違ってくるし、やはり文殊を使える様になれば横島がジョーカーであることは変わらんじゃろうが】
後半は遠くで聞いてるタマモと小竜姫に聞こえないように念話で伝えてくる。
やっとか……。
やっとこの肉体を有効活用することが出来るようになったのか。
「さて、気を使うにあたってじゃが、お主にこれをつける」
言いながら老師が金の指輪を俺の小指につけた。
え、デザインが緊箍児(きんこじ)なんだけど、締め付けてきたりしないよね。
「これは?」
「気の残量に合わせて色が変わる仙具じゃ」
「仙具?!そんな貴重なものを」
「いや、気を使える者がほぼおらんから有用に使えることを考えればお主が使うのが一番じゃから気にするな」
マジか。仙具貰っちゃった。
名前は気側輪(きそくりん)というらしい。まんまだな。
「これが灰色になったら気を使うのはやめよ。黒になったら死ぬと考えていた方が良いぞ。
まぁおぬしの気の量ならめったに灰色になることは無いだろうが、さっきも言った通り回復が遅いから毎回仕事で全力で使ってたらすぐ灰色になるから注意するんじゃな」
「助かります」
本当に大助かりですありがとうございます。
「あ、そうじゃ、前にワシがやった気の放出はまだやめておけよ、慣れてないと一気に気を消費するからの」
流石に生命力って言われていろいろ独自で試してみようって気はない。
「シュウさん!」
遠くで話を聞いていた小竜姫様が鼻息荒く近寄ってくる。
嫌な予感しかしない。
「手合わせを!」
「言うと思いました、修行続きで身体が限界なので休みますよ」
「えー」
えーじゃないでしょうに、めっちゃ可愛いと思ってしまったけども。
「でも明日帰ってしまうじゃないですか」
「はい、なので手合わせはまた今度で」
「むー」
えー、めっちゃ可愛いこの神様どうしよ「いたいいたいいたいいたい!なにすんだよ!」
いつの間にか隣に来ていたタマモが耳を引っ張る。
「はいはい、いちゃついてないでさっさと休みなさいよ。フラフラじゃない、お姉ちゃん心配」
「心配するなら耳引っ張るのやめてくれませんかね!つかお前は姉じゃない!」
「またそんなこと言って。というかあんた本格的に化け物になったわね。元々とんでもない強さだと思ってたけど、そのうち妖力とか魔力とかも使い始めるんじゃないでしょうね」
「おそらくは向いてなさそうじゃな。そもそも気を使いこなすことを優先した方が良いじゃろう。使いこなせさえすればそのうちワシともやりあえるようになるかもしれんのう」
流石にそう簡単に負けることはないがの、と豪快に笑う老師。
まぁ神様とか魔族と互角に、とは思ってないけど、人間界で力を抑えられてる状態ならメドーサでもこれ多少戦えるんじゃないかな。
それこそ終盤の横島より戦える気がしてる。
【油断は禁物だが、それはともかく間に合ったな】
心眼が嬉しそうに頭の中の声で言ってくれる。
(まぁこれからこの力を安定させたり伸ばしたりしないとだけどな)
【とはいえ、この一歩は今までと違って大きすぎるぞ】
(アシュタロスが本格的に動くより前に間に合ったのもだけど、正直文殊より前だったのが意外に嬉しいわ)
【思った以上に横島に良いライバル感情はもってたんだな】
(そらそうよ、最初は憧れみたいな感情だったけど、仲良くなりすぎてからは負けてたまるかってのが強くなってくのを感じてたからねぇ)
【ふっ】
心眼の笑いは嬉しそうにも感じた。
出来れば三姉妹が下りてきたときにある程度相手できるのが理想だけど、
流石に空母の電力身体に入れて戦った隊長ですら仕留めきれなかったんだから、これくらいじゃ厳しいかもな。
【だがあの姉妹が作った使い魔くらいなら倒せるんじゃないか】
(だといいけど、やってみないとわからないな)
とにかく、今日は休もう。
疲れた。
結局ですか。
「まぁまだ使い慣れてないでしょうから、試運転がてらですよ」
声がウッキウキじゃないですか小竜姫様。
次の日、調整もかねて気の使い方を試そうとしているところで、
いつの間にか後ろにいた小竜姫様が「では手合わせすれば一石二鳥ですね」とか言い出した結果、こうなった。
「さて、とりあえず気を使ってみてください」
言われて気をまとう。おそらくこの状態で殴るだけで今までと違って打撃のみじゃない結果を出せるだろう。
「ふむ、見た目が特に変化するわけじゃないですが、ちょっとした魔装術みたいな感じに見えますね。いつも通りに身体は動きますか?」
「そうですね、問題はなさそうです」
言われて身体を動かすが特に変な感じはしない。
軽く小竜姫様から距離を取……る。
「なんと……。前も異常でしたが、更に早いですね、感覚はついていけそうですか?」
「そ、そうですね、感覚も結構鋭くなってるみたいで、普通に戦うくらいなら出来そうです」
遠くから老師が「気の量もそこまで減っておらん、普通に戦っても支障はなさそうじゃな」と声をかけてくれる。
今のところ自分じゃ気の残量はよくわからないので助かる。
「では、ちょっと動いてみましょうか。今回は私も霊力や気を使わせてもらいますよ」
「え、小竜姫様も使えるんですか」
「えぇ、というかメドーサと戦う時とかも使ってますよ。メドーサも魔力と気を使ってます。まぁ私もそれくらいしか使ってる者は知りませんが」
マジか。
全然そんな話知らなかった、というか漫画のほうでは多分そんな設定なかったはずだ。
「そもそも心眼に注いだのは霊力ではなく、竜気です。あれも一応気です」
あ、そういう意味だと漫画でもそんな感じだったかも?いや、あれ?え、霊力だったっけ?覚えてないな流石に。
「いきます!」
余計なことを考えているところに小竜姫様が掛け声を入れてくれ、って早い……!
前に手合わせた時よりちゃんと霊力を使ってるのか超加速ではないのに消えたと思ったくらいのスピードで小竜姫様の拳がせまる。
こちらも前とは違う、と小竜姫様の手を掌で止める。
「見切りますか」
言いながら逆の手を出してくるのでそれ求める。
「力も上がっているようですね、ちょっと力を込めます、よ!」
手加減をしてくれていたのかグッと小竜姫様の押す力が上がる。
やっぱ神様ってこんな強かったんだな。
わざと力を抜いて後ろに倒れながら小竜姫様を蹴り上げる。
「ぐっ!相変わらず器用ですね!」
「横島のほうがこういうのは得意なんですけどね」
言いながら地面を蹴って気で飛んでみる。
問題なく小竜姫様に向かっている。
「ねぇ、大丈夫あれ、シュウ人間やめてない?いやいつもの冗談って意味じゃなくて」
「いや、一応神格化とか妖怪化とか別のものに変異するような兆しはないな」
お猿おじいちゃんの言葉を聞いて安心する。
いや私もね?シュウがめっちゃ強いから、人間界での護る力になるか、程度に考えてたけど、
これは流石にやりすぎじゃない?竜神と戦える人間になるとまでは思ってなかった。
人外バトル繰り広げてるじゃない。
空中でやりあってるシュウと小竜姫をぼーっと眺めながら思う。
とんでもない拾い物したかもしれない、と。
これはあの子の見た目性格だけじゃなく、本格的に落としておかないと勿体ない、と。
可愛いし、弟にしてやろうくらいのつもりだったけど、こーれーはどうしてやろうかな、と。
「ライバルは多そうじゃな」
「あらおじいちゃん私は別に何も言ってないわよ」
「九尾の狐が考えることくらいわかるわい。まぁ今は打算70パーセントといったところか?」
「さぁ、どうかしらね」
フンと鼻を鳴らして引き続き二人を見る。
あ、シュウが小竜姫を蹴り落した。
「押してない?」
「とはいえ流石に小竜姫相手だと気を使うしかなかったんじゃな。そろそろ使いすぎじゃ、止めるぞ」
あら残念、もう少し見てたかったけども、利用させてもらう力を持った『シュウ』をね。
……本当に他意はないわよ。
『誰に対しての言い訳だ』
「……心眼、あんた頭の中覗くのは流石にマナー違反じゃない?」
言いながら頭につけていた心眼をはぎ取ってたたきつける。
『すまんな、シュウに悪意を持たないか心配でな』
「はっ、ならあまり口にしないことね」
不快さを隠しもせずににらみつける。
『半分は冗談だ、念のためな、人間の身であそこまでの力を持つといろんなところから狙われそうでな』
「それはそうね、元々異常だったのに今回のことが広まると面倒よ?」
『まぁあの事務所にいるメンバーは全員やばいんだがな』
「美神はわかるけど横島やおキヌちゃんも?」
『あぁ、そのうちわかる。恐らく横島なんぞはシュウと大差ないくらいに異常性を持つぞ』
心眼の言葉におじいちゃんが片目を開いて心眼を見るが特に何も言わない。
またこいつら何か隠しごとしてるのか。
「へぇ、面白い事務所ね」
『本当にな』
心眼の言葉は本当に疲れていることが伝わるようなものだった。
「そこまで」
お互い距離を取った後に、同時に距離を詰めた瞬間、
俺と小竜姫様の間に老師が表れて二人のおでこに手を置いて止めていた。
「……あ!シュウさんの気の量ですね、すみません、熱くなりすぎてました」
「あ、そうか、この感じが減った状態か」
言われて自分の中の気が減っていることをなんとなく実感する。
「これだけの大立ち回りをしたら、しばらくは気を使わないほうがちゃんと回復する、くらいに気は回復が遅いからの、覚えておけ」
「なるほど……これでも灰色にはなってないんですね」
小指を見るが気側輪はまだ灰色にはなっていない。
とはいえ元の金色よりは少し薄く感じる。
「ともかく、今日はもう休んで、帰るなら明日にした方がいいじゃろうな」
「はい。小竜姫様、ありがとうございました」
言いながら頭を下げる。
実際この手合わせはやっておいて正解だったと思う。
「いえ、こちらこそ、ちょっと舞い上がってまして「ちょっと?」老師。あ、いやすみません、ここまでやれるとは楽しくなってたのは否定できないのですが……」
「小竜姫様も楽しめたなら良かったです」
今度メドーサに会えたらあいつにも少しは礼を言わないとかもなぁ。
気のことを教えてくれたから霊能力の修行の時に無意識にそっち方面に意識がいってたのかもしれないし。
「なんだかムカムカすることを考えてそうですが、ともかく修行は完了かと。本当にお疲れさまでした」
「お二人とも、本当にありがとうございました!」
ということで本格的にシュウ超強化です。
横島くんがそろそろ文殊を手に入れそうなので流石に置いていかれるわけにはいかないという本人の意思ですね。
ちょっとこれまで以上に、インフレというか俺TUEEE感が強くなるかもですが、まぁそう簡単にいかないのがGS美神の世界かなと個人的には思っているのでどうなるかはまだまだわかりません。
ただ雑霊とか普通の依頼については何の問題もないくらいの強さではあります。
ということは……?この次は引き続きオリジナル部分が続きますが、なんとなく予想がつく方もいらっしゃるのではないかと思います。