遅くなりました。何せ物語もへったくれもないので1から考えなければならず、時間が異常にかかりました。
では、どうぞ!
いきなりではあるのだが、約18年…ベルを育てるのに、私はとにかく苦労…あれ?……してないな。叱ることも…なかったな。好き嫌いも…特に無いな。これと言って手がかかったこと…無いな。
まぁ、そんな感じでふわっと育てたベルなのだが。上に記したようにベルを育てるにあたって特に苦労することがなかった気がする。
いや、違うだろ。もっとこう…苦労するものなのだろう?アイナが滅茶苦茶大変だって言ってたのに…個人的な話なんだが、子供ってもっと手がかかるものじゃないのか?アイズなんて手がかかるなんてものじゃなかったぞ?今考えるとあの子おかしくないか?ベルがいくらか矯正したが…戦闘狂すぎないか?仮にも私が育てたんだぞ?いや、事情が事情なのはわかるが…ねぇ?七歳の少女がモンスターを轢き殺していくのなかなか衝撃的だったわ。
閑話休題
「…話がそれたが、ベルに我儘とか言われたこと無いんだが。」
「…もしかして、今までの話は僕に話しかけているのかい?」
そうして、目の前の金髪碧眼の見た目は子供、頭脳は大人を地で行く。ショタジジイことフィン・ディムナ。詳しい説明は省く。皆あれだろ?原作とか、二次創作みてよく知ってるだろう?
まぁ、とにかく。この場には二人しかいないわけで。既に耄碌していたのだろうかとリヴェリアは可哀想なものを見つめる様に視線を投げた。
「いや、この二人の空間で誰に話しかけていると言うんだ。私が気でもやってしまったと思っていないか?」
「…違うのかい?」
「……喧嘩なら買おう。言い値で。」
おー怖い怖いと両手を上げてヒラヒラさせたフィンは、おどけたように続ける。
「で、君は何が言いたいんだい?」
「ベルに我儘を言って欲しい。」
「もっとバカ親っぽく言ってくれ。」
「あー、息子の可愛い我儘聞きたいなー。」
「……」
「いま、面倒臭いとか思っただろう。」
「凄い…君は9つの魔法だけでなく読心術までできるのか…!」
「こいつ…!」
バカにしてくるフィンに、リヴェリアは殴りたい衝動を抑えながら、拳を震わせる。
「…お前も、前からベルは欲が無さすぎると言っていたじゃないか。」
「まぁ…それについては同意かな。彼が英雄譚以外の事に興味を持った所を見たことがない。」
ベルという少年は、幼い頃から英雄願望が強かった。
決まってリヴェリアが暇な時を見計らって、英雄譚の読み聞かせをせがみにきた。それが可愛くて字の読み書きの時期を平均よりも遥かに上回って教えたのは、ベルには内緒だ。
「…仕方ない。僕も彼を幼少から知る身…彼の我儘のひとつでも聞いてみたいとは思っていたからね。ちょっと彼と話してこよう。」
「流石我らが団長だ!じゃ、何言っていたか後で聞かせてくれ、頼むぞ。」
そう言って上機嫌に出ていったリヴェリアに、若干イラッとしながら、フィンはため息混じりに、我らが人類最強の元に向かった。
「ここに居たんだね、ベル。」
「あっ、フィン!僕を探してた?」
中庭を見下ろすテラスで読書に耽っていたベルに声をかける。長身であり、すらっとした見た目から『貴公子』とか言われるベルは、本を読んでいるだけで実に絵になる。
「あぁ、ちょっと聞きたいことがあってね。隣、いいかい?今なら淹れたてのコーヒー付きだ。」
「ふふっ、じゃあ僕からは、今日焼いたスコーンを付けるよ。」
「おっと、これはいい。君のスコーンは絶品だ。」
美味しいと信頼があるフィンのコーヒーと、ベルが焼き上げるスコーンは、振る舞われればその日1日が幸運である。と言われる程に美味い。と、リヴェリアが言っている。いや、親バカとかではなく、実際に美味い。
「うん、やっぱり君のスコーンは美味しいね。コーヒーとよく合う。」
「フィンのコーヒーも相変わらず美味しいよ。それで…なにが聞きたいの?」
「あぁ、実はね…君の我儘が聞いてみたくてね?ああ、これにも理由があって…君の母親と昔の話をしていたら、ついそんな話になってね。無欲な君の我儘を是非とも聞いてみたいな。とね?」
フィンがそう言うと、ベルはキョトンとした顔の後に、ぷふっ、と吹き出した。
「そんなにおかしいことを言ったかい?」
「いや、うーん…ワガママかぁ。」
「やっぱり、無いのかい?」
「えっと、上手く言えないんだけど…僕は、さ…母さんと本当の家族じゃないでしょ?それなにこんなに愛してくれて、優しさを注いでくれて…充分満たされてるから、かな。」
頬を染める貴公子を見れば、フィンはやはりと目を瞑った。
こいつら、本気で恋してやがる。
しかしまぁ、血の繋がりも無いわけで。同じファミリアだし、相手は『
「リヴェリア様の伴侶なんてベルさん以外有り得ません!」
とか
「リヴェリア様の伴侶となられるからには、頭脳明晰で容姿も申し分なく優れた品性と度量を持ち男らしく家事もこなし記念日を消して忘れない殿方くらい………心当たりがベルですね。」
と、太鼓判を押されるくらいだ。
「君は、本当にリヴェリアが好きだね。」
「うん、好きだよ。愛してる。もちろん、女性として。」
揶揄いの意味で言った言葉が、まさか全肯定で帰ってくると思わなかったフィンは、呆気に取られる。
「あんなに強くて、優しくて…美しい
「────ハハハハハッ!君は、偶に思いがけない思い切りの良さがあるよね。」
「こうでもなくちゃ人類最強なんて名乗れないさ。」
おどけて見せた目の前の大英雄に、フィンは姿勢を正して投げかける。
「ベル。君が英雄を目指したその理由は…なんだい?」
フィンの質問に、ベルは澱みなく、少しの間もおかずに答える。
「誰も支えられない、強くあろうとした、たった1人のお姫様の英雄になりたかっただけさ。」
強い瞳のベルに、フィンは英雄の起源を見た。
「それだけ聞ければ、十分だ。」
「おっ!フィン、どうだった?何か言っていたか?」
「いいや?なんにもないとさ。」
「むぅ…フィンでも聞き出せないか…」
「案外、直接聞いてみれば言ってくれるかもしれないよ?」
「そう…だろうか。」
「自信を持ちなよ。君は、彼の母親だろう?」
「そう…だな…分かった!直接聞いてくる!ありがとう、フィン!」
「あぁ、彼によろしく。」
そうして、バタバタと出ていくリヴェリアの後ろ姿を見て、フィンはニヤリと笑った。
「ククッ…後でベルに結果でも聞いて、それを肴に酒でも飲もうかな…」
「すー、はー…私は母親怖くない…よし…ベル?今大丈夫か?」
コンコンっと、ベルとリヴェリアの共同部屋の扉をノックする。家族と言えど、礼儀は大切だ。
『はーい、どーぞー!』
元気な声が聞こえて、中に入る。そこには、ソファーに腰かけたベルが本をパタンと畳み、こちらに微笑みを向けていた。
(…息子ながら引くぐらい良い男に育ったな…いやー…まじやばい。)
どこか推しに会ったオタクのような反応を心の中で零すリヴェリアは、当たり前のようにベルの隣に腰掛ける。
「どうしたの?母さん。」
「い、いや…その、だな、あの…」
クルクルと指で髪の毛を巻き、普段よりも数段しおらしくなったリヴェリアは、羞恥のあまりどう言おうか焦り散らしていた。
(ヤバイヤバイヤバイ!?なにいえばいいんだっけ?あれ?私はなんでここに来たんだっけ!?)
隣を見遣れば、「ん?」と爽やかな微笑みと優しさ、そして愛情を孕んだ瞳に見つめられ、顔に熱がぐわっ!と集まる。
(あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!強過ぎる!顔面が強すぎる!?────あっ、やば…変な気分になってきた。)
「か、母さん?どうしたの?」
「もっ、もも問題ない!そ、そうっ!我儘だ!ベルの我儘が聞いてみたいんだ!」
もう、強行突破しかないと思ったリヴェリアは、文脈なんぞクソ喰らえ。と言わんばかりに、ベルにその言葉を投げかける。
「我儘…?うーん…」
すると、少し考え込む様に唸ったベルは、閃いたように手を叩く。
「…じゃあさ、今日は少しだけ…わがままでいてもいいかな?」
「あ、あぁ!勿論だとも!どんと来い!」
胸を張るリヴェリアがおかしかったようで、ベルはその様子にくすくすと笑う。その姿を見て、リヴェリアは微笑んで一瞬だけ目を瞑る。しかし、流石人類最強か。
その一瞬で、リヴェリアを押し倒した。
「────へ?」
「…母さん…ううん。リヴェリア…悪い子の僕を、許して欲しい。」
手は頭の上で優しく押さえつけられ、完全に動けない。しかし、本気で抵抗すればリヴェリアなら逃げられる。しかし、当の本人は────
(はへ?え?おし、倒されてる?え?ベルに?あ、顔近っ…いい匂いする…これ、く、喰われる?せ、性的に?)
エルフは貞淑な種族である。特にリヴェリアはそれが顕著である。許した者でなければ肌を許さない種族なのだ。
しかし、誰かが言った。『落してしまえば、後は詰めよれば勝ちだ』と。
まさに、リヴェリアはエルフのお手本の様な堕ち方をした。
荒いベルの息、男らしく、然れどしなやかな筋肉が、服の隙間から覗く。
自分もベルも、興奮していることが分かる。
「べ、ベル…だめ…」
「嫌なら、逃げていいんだよ。」
「あ…そんなこと…私は、ベルの、母で…あっ…べる、やめ…」
「今は!…今だけは、リヴェリアでいて欲しい…」
今は、今だけは女リヴェリアでいて欲しいと。ベルは懇願する様にゆっくりと顔を近づける。
(ぁぁ…く、喰われてしまう…ベルに…あぁ…!)
数百年の間、誰にも許さず、心を奪われなかったリヴェリアの心は、既にベルにメロメロ。もうぞっこんと言うやつだ。つまりはまぁ、喰われるのも満更ではないという。
「リヴェリア…目を、瞑って。」
「…は…はひ…わかりましたぁ…」
そうして、目を瞑ると、ゆっくりとベルの顔が近づいてくるのが分かった────────
「────────はっ!?」
「あ、起きた?おはよう母さん。」
気がつけば、ベルの腕の中で眠っていた。いつもの様に、リヴェリアが抱き枕にしているのではなく、抱かれていたのだ。
「べっ、ベ、ベル?!こ、これは…その…どういう…」
「…昨日、母さんが我儘いえー!って言うから、一緒に寝ようって言ったはずなんだけど…だめ…だった?」
「ぐにゅ…!だめ、じゃないぞ!いつでもいいぞ!」
全てが夢だとわかって、安堵している自分と、落胆している自分がいることに、嫌悪感を覚える。
(ベルは純粋に母親としての私を求めてくれていたのに…!私はなんという夢を…っ!あああああ!煩悩滅却!まだまだ未熟だ私はァ!)
リヴェリアが悶絶していると、ベルのハグの力が少し強くなる。余計に感じるベルの熱と匂いに、リヴェリアは頭がクラクラするのを抑えられなかった。
「べ、ベル?」
「ねぇ、母さん。夢ってね、記憶の整理だったり、経験の追体験でもあってね────自分が将来起こって欲しい事を見せることもあるんだってさ。」
妖しく笑うベルの顔に、ゾクゾクと背筋が震える。
「ずっと、僕の名前呼んで…ダメとか、言ってたけど。どんな夢を見ていたの?」
「あっ、ひっ。ベル…?」
顔に、熱が上る。自分でもわかる。顔が今やばい事になってる。
それでも、ベルは攻めることを辞めない。耳元で、囁くように、逃げれないように、甘く、蕩けるように囁く。
「────ねぇ、リヴェリア…僕に教えて欲しいな…?どんな夢を、見ていたの?」
「〜〜〜〜〜〜っっっ!!??!」
名前を呼ばれて、ものすっごいエロいベルに、百何十年と恋愛をしてこなかった、恋愛クソザコナメクジのリヴェリアは、1発KOノックアウト。
「────きゅう…」
「…あれ?母さん?母さん!?」
どうすればいいかわからなくなったリヴェリアは、考えるのをやめた。
その後、部屋でロキと酒を飲むリヴェリアが、同じことをずっと呟いていたと、ロキからフィンにリークされた。
「む…息子の癖にぃ…私の心をこんなに掻き乱すなんて…生意気だぁ…!でもぉ…好きぃ…」
デレっ、とだらしなく蕩けた顔は、ロキの部屋の机に、写真として残されている。
その事にリヴェリアが気づくのは、また別の話。
「全部夢…なーんて…誰が言ったのかな…?ふふふっ…」
感想なんですが、嬉しいことに沢山書いていただけているので、正直返しきれないかもしれません。ごめんなさい。でもちゃんと見てます!本当だよ!
次回もよろしくお願いします、よろしければ、他の小説もどうぞ!
では、またの機会に。
ちょっと、私設定とか全部忘れたんか?自分で書いたこと忘れてたんで修正しました。読者様指摘ありがとうございますー!