○○しないと出れない部屋。
全年齢にする予定です…。
いつもの朝。
目が覚めて、顔を照らす朝日に目を眩ませながら────
「────────えっ?」
なんてことはなかった。
間抜けな声を出したのは、恋に恋する乙女()リヴェリア・リヨス・アールヴ。御歳ひゃk
とまぁ、朝起きたら真っ白な空間にいて、隣にはベルが寝っ転がっていた。今までの習慣として固い床に息子を寝かせるのがしのびない心が疼き、ベルの頭を抱え、自身の膝に乗せて、よしよしと頭を撫でてやる。
「あっ、寝癖…ふふふ…」
ぽわぽわとした気持ちが、心地よくて、普段は見せないような微笑みまで出てしまう。
しばらくそうして癒されていると、ベルの瞼がぱっちりと開いた。
「おはよう、ベル。」
「…………おはよう、母さん…で、どういう状況?」
「さっぱりだ。」
いっそ清々しい程の物言いに、ベルはだろうなぁ、と零す。
「んー…見たことない部屋。
「あぁ、こんな真っ白な部屋…しかも、窓すらない部屋、覚えはないな…」
「とりあえず…壁壊してみる?」
『まぁ待ちたまえ、ベル君。』
ベルが拳を握ると、軽い声が部屋に響いた。それも、この声はよく聞き慣れている。
「…またヘルメス様ですか。」
「神ヘルメスか…いかにも、だな…」
『ちょっとー?2人ともー?呆れるの早くないかなぁ?』
陽気でおちゃらけたような軽い声。ベルをことある毎に歓楽街に連れていこうとして、何度殴ったかわからない。ロキと並ぶ変神。
伝令の神、ヘルメス。
コイツは、いつもベルに問題を持ってくるため、リヴェリアは心底嫌っていた。
「あー、もうそういうのいいんで。用がなきゃこの部屋壊しますね。」
『だから待ってー!?話を聞いて!?君そんなキャラだったっけ!?』
確かに、いつもは優しげな微笑みを浮かべているベルが、明らかにイライラしている。なんでだろうか?
「ベル、どうした?何をそんなに怒っている?」
「だって…母さんが巻き込まれてるから…」
『君本当にリヴェリア嬢が絡むと容赦ないな!?…あの、興味本位で聞くんだけど、当時11歳のLv5で『静寂』をぶっ飛ばしたって伝説本当?』
「また、随分昔の話を…」
「あー、アルフィアか…また懐かしい話を…」
「あの時は色々と僕も荒れたからなぁ…倒れた母さん見た時なんて…」
「それを言うなら、怒り狂ってあの女の喉仏食い千切ったのは怖かったぞ。教育を間違えたのかと思った。」
「魔法使いって喉潰したら勝ちって言ったの母さんじゃん…それで勝ったんだから。」
「だからって、目も当てられないくらいボコボコにするやつがあるか…いや、敵だったからいいけども…」
『あっ、ホントなんだぁ。』
どこか引いたような声の後、ヘルメスは咳払いをひとつ。
『さて、本題に入ろう!』
「めんどくさい気がするから帰っていいですか?」
『だから待って!?き、君たち親子は、オラリオでも有名なおしどりカップr──もとい、仲良し親子だ!』
「今なんと言おうとした?」
なんだか聴き逃してはならない言葉を聞いた気がして、リヴェリアが少し頬を染めながら、天を睨む。しかしこの女、ちょっと嬉しいのだ。
『そこで!俺とロキは思った!君たちの絆の強さは如何程なのか!?』
「ロキも関わってるのか…帰ったら覚えておけよ…」
『おいコラヘルメスゥ!?何言ってくれとんねん!?』
「あっ、そこにいるんだ。」
『ハハハハハ!君だけ逃れようったってそうはいかないぜ!?死なば諸共!人類!いや、神を含めて
「お仕置される覚悟だけは殊勝なんですねヘルメス様。」
「もうなんでもいいから早くしてくれ。」
ガックリと疲れを表すリヴェリアを後目に、ヘルメスは吹っ切れたように解説を続けた。
『今から行われるのはカップル────もといカップルの絆の証明ゲーム!』
「カップルではない!?親子だ!?」
「…んー。」
『題して!○○しないと出れない部屋ァァァァァ!!!!』
異常なテンションで続けるヘルメスは、もはや誰にも止められない。後の恐怖をかなぐり捨てて、今の愉悦に浸りたい。果てしなく邪な感情が見え見えの暴走列車に早変わりだ。
『あっ、言い忘れてたけど、君たちのステータスはロキに言って止めてもらってるから。いつもの力は使えないぜ!』
「うわー、無駄に手が込んでる…スキルが発動しないわけだよ…」
「本当に無駄に手が込んでるな。」
脱出の手立てを奪ってまで、ヘルメスとロキは何がしたいのだろうか。2人の絆など、もはや周知のもののはずなのに。
『ルールは簡単!これから出されるお題に2人で協力してこなしてもらう!』
「僕達にメリット感じないんですが?」
『まぁ、聞けってベル君…この中のお題は…
「………はっ…!?」
「…ベル?」
そう、ベルは理解してしまった。
ロキは、自他共に認める(?)変態。そのロキが指定したお題が、真っ当なはずが無いのだ。
そう、つまりは、このもどかしい親子以上恋人未満な現状に終止符を打てるのではないか?
正直、リヴェリアを母と呼ぶ事に、若干の疑問を抱き始めたのだ。女として好いている人を、母と呼ぶのは酷く複雑な心境である。
ベルも、お年頃なのだ。
(ごめんなさい母さん…恋は、戦争なんだ!)
そうして、頭をフルで回転させたベルは覚悟を決める。
「…やります!」
「どうしたんだベル!?」
『流石はベル君だ!あっ、それと、この企画が進行してるうちは、お互いに名前で呼び合うことを強制しまーす。名前で呼ばなければゲームも始まりませーん。』
「頑張ろう、リヴェリア!」
「ひぇっ、眩しっ…うっ…と言うか適応早くないか!?だが、ううむ…仕方ない、のか…?…頑張ろう…べ、ベル…」
名前で呼ばれ、思わず頬を染める。それに、笑顔が眩しすぎる。顔面凶器とはこのことを言うのか。顔がひたすらにいい。
それに、名前を言うのが、どうにも恥ずかしい。なんというか、ムズムズする感覚をリヴェリアは感じていた。
『はぁー、顔赤くなっとるリヴェリアほんますこ。』
『いやぁ、まさか【九魔姫】のこんな顔が見れるなんてなぁ…ベル君がいるからこそ…かな?』
「おいそこ!冷静に分析するな!違うから!照れてないからぁ!!」
「どうどう、リヴェリア。そう怒らないで。」
「うぐぅ…だってあいつらがぁ…!」
「ここから出たら一緒にお仕置しようね。」
「うん…吊るす…」
『すっごい、甘い雰囲気やのに言っとることくっそ不穏なんやけど。』
腕の中で羞恥心が炸裂して幼児退行したリヴェリアを、これ幸いにとよしよし甘やかし、幸せそうに微笑むベル。
(もう、出れなくていいや。」
『ベルくーん、心の声漏れてるぞー?』
『ホンマになんでここ付き合ってないん?主神としても不思議なんやけど。』
この焦れったい関係に、終止符を打つ為に、少年は奮起する。
「うぅぅ…なんで私がこんな目にぃ…ベルだからいいもののぉ…うへへ…」
そんな覚悟を、母親代わりの女は、知る由もない。と言うか、現実逃避から未だ帰ってきていない。しかし、心地よい撫ぜる感覚にずっとこのままでもいいかもとか思っちゃってるあたり、やはりこの2人、似た者同士である。
『さぁ!早速最初のおだいに行こうかぁ!じゃあ、ロキ、くじ引いて。』
何が来るのかと恐れるリヴェリア。反対にニコニコしているべル。
そして、運命のくじは、リヴェリアに牙を剥く!
『ほいよー…っと…さて、お題は────【愛してるゲームで10回往復】や!』
「────は?」
最初っからクライマックスだった。
R-18はありません。あくまでKEN☆ZENです。
ネタが古いって感じるのは私だけ?