ダンジョンにサーヴァント7騎のマスターがいるのは間違っている 作:ルーニー
「ふぅ。こんなもんでいいか」
ダンジョン内に魔石の落ちる硬質な音が響いた。それを拾い魔石で膨れている袋に入れて一息つく。
「こんだけ狩っても色々と差っ引けば大した金額は残らないんだから、ホント冒険者ってのはつくづく金が足りないと思うわ」
魔石同士がぶつかり合う小気味いい音を聞きながら帰路につき、今後使えるお金について考えると思わずため息が出る。ファミリアに入れるお金に消耗した道具、武具の整備費もしくは購入費、日常の生活費。パッと思いつくだけでこんだけ使うのに、自分で使うお金なんてほとんどないだろう。まぁ自分の場合は武具の準備も整備もほとんど必要ないからそれなりにお金はたまるのだが、しかしポーションといった消費期限のある道具でかなりお金がとられるため結局はそれなりにしかたまらないのだ。
「……にしても、祭だからか、今日は冒険者の数が少ないな」
バベルの入り口まで歩いていたが、普段よりもダンジョンに行き来している人が少ない。それも見た感じ実力が高くない人が多いように見えるのは、高レベルは祭を楽しんでいて低レベルは楽しむほどのお金がないということなのだろうか。言っててなんだがブーメランになるのかこれ。
「主殿!」
ダンジョンを出てギルドへの道を歩いていると、後ろから聞きなれた声が聞こえた。後ろを振り向くと、そこにはライダーが巾着袋を片手に走ってきているのが見えた。
「こちら私が獲ってきた首です!どうぞお納めください!」
俺のすぐそばまで来ると手にしていた巾着袋をこちらに差し出してくる。いつものことなんだけど、どうしてこうも魔石を渡してくれるのか。そういう
「ありがとうライダー」
首、とは言ったもののモンスターは首を取ればそのまま塵へと変わってしまう。だから代わりに魔石を届けてくれるのだが、まぁ、質と量が高いし多い。これどこまで潜ってきたのと言いたいほどのものだったが、せっかくの好意を無碍にするというのも悪いし、返したところでライダーにはどうしようもない。だからといって使う気にもなれず、今は本拠にある俺専用の棚の奥にこっそりと積まれ続けているのだが、いつになれば使ってもいいと思える時期が来るのやら。
ライダーから渡された巾着袋から魔石を取り出してライダーが持ってきてくれた用の袋へと入れ、そのままギルドへと行こうとしたとき、ふと今日が祭だったことに気付く。このまま分かれるのもいいけど、どうせ祭があるのだからライダーを誘って回ってみるのもいいかもしれない。
「ライダー、もしよかったらこれから祭を回らないか?用事があるのならいいんだけど……」
「なんと!祭でありますか!私でよろしければご一緒させていただきます!」
目を輝かせてついていくとタヌキのようなしっぽをブンブンと振り回すライダー。FGOから頼朝とマスター一筋という感じであったライダーだが、こういうイベントに一緒に参加することも興味があるらしい。
ライダーと合流して自分の分とライダーの分の魔石をギルドで換金し、祭の中心であるメインストリートへと向かう。メインストリートに近づくにつれて徐々に賑わいが大きくなっていく。
「すごい賑わいですね主殿!」
「やっぱ、祭というだけあって賑やかだな」
普段は見ないであろう露店や大道芸人が道に沿ってずらりと並んでいる。多くの人でごった返しているメインストリートや街の外で取れたらしい珍しい食材を取り扱っている露店、広場でナイフでジャグリングしているジャグラー、呼び掛けや歓声、雑談などで賑わっているメインストリートは、まさにお祭りの真っただ中だということを実感させてくれる。
「そういやライダーの時代の祭って屋台とかあったのか?」
「あったと思いますよ?私の場合庶民の祭に参加することはなかったので何があったのかはよくわからないですけど」
ライダーにかつての時代の祭を聞きながら屋台を冷やかし、おいしそうなものがあれば買ってライダーと食べる。路上パフォーマンスを見てはおひねりを投げ、露店で面白そうなものがあればファミリアのお土産としていくつか買う。
しばらくの間ライダーと祭を楽しんでいるときに、ふと遠くから悲鳴のような声が聞こえたような気がした。
「悲鳴?」
ライダーも聞こえたのか声が聞こえた方を見てポツリと呟く。俺の耳に聞こえたのは悲鳴で間違いないようだ。何事かと思いライダーとともに悲鳴が聞こえた方に駆け付けると、そこには半分意識がないようにふらふらと人を追いかけているモンスターがいた。
「モンスター?なんでこんなところに、いや、今はそういうことを言っている場合じゃねぇか」
頭を戦闘用へと切り替える。全身に強化の魔術をかけて杖を構え、ライダーとともにモンスターへと駆ける。
「ライダー、住人の安全を最優先だ。他の場所を回ってくれ」
「了解しました」
それだけ言うとライダーは軽い身のこなしで建物の壁を蹴り簡単に屋根へと登る。そのまま一瞬にして走り去っていき、視界の端にはもうライダーの姿はなかった。
ライダーがいなくなったのを視界の端で確認した俺はすぐに意識をモンスターへと切り替え、追いかけることに集中しているモンスターを後ろから杖を叩きつける。
「ここの住民に手ぇ出してんじゃねぇよ!」
杖と頭にぶつけ、そのまま地面へと叩きつける。ベキリと首の骨が折れる音と手ごたえが杖越しに感じ、そのままモンスターは死んで灰へと変わった。
「まるで歯ごたえがねぇ。まぁ、この場だとそれが幸いか」
追いかけまわされていた人の無事を確認し、ひとまずは大丈夫そうだと一息つくとまた悲鳴が聞こえた。まだいたのかと舌打ちをして新たに悲鳴が聞こえた方へと走る。
悲鳴があった場所はさほど離れていなかったからすぐにモンスターを見つけることができた。図体のでかい毛むくじゃらのモンスターは大きく腕を振り上げており、その先には腰に剣をつけた冒険者らしき男がへたり込んでいた。
「ひぃっ!?」
ピクリと動いた腕に振り下ろされると思ったのか、手を前にして目をつむって顔をそむける。そのまま振り下ろされる腕を、強化した身体で瞬時に肉薄して振り下ろされる腕を目掛けて杖を振り抜く。振り抜いた杖の方が強かったおかげか、振り下ろされた腕は振り子のように反対へと飛んでいきゴキリという音とともに悲鳴のような奇声が響いた。
「何してんだ!その腰にぶら下がってんのが飾りじゃないならとっとと抜いて立ち向かえ!」
ブラブラと力なくぶら下がっている腕を抑えて暴れているモンスターを尻目に冒険者をかばうように立つ。へたり込んでいる冒険者は膝を震わせて涙目になりながら俺を見ていた。
「け、けど、あのモンスターは俺じゃ……!」
「何もしねぇでグダグダ言ってんならとっとと失せろ!邪魔だ!」
ヒィ、と短い悲鳴とともにへっぴり腰のままこけそうになりながら走り去っていく。本当に冒険者かとあきれながら暴れまわることをやめたモンスターは逃げて行った冒険者の方を見ていた。そしてそのまま追いかけようとして姿勢を低くしたのを確認した俺はすぐにモンスターのそばへと直行した。
「オラァッ!」
空気を切る音とともに杖が直撃して吹き飛ばされていくモンスター。脊髄を折るつもりで叩きつけたのだが、体に叩きつけられると判断して自分から飛んだのか大した手ごたえがない。それを証明するかのようにモンスターはフラフラになりながらも立ち上がってこっちを睨みつけてきた。
「ッチ。運がいいなあのモンスター」
どうも杖が当たる瞬間に杖と同じ方向へ飛んでいたらしく、それで衝突の衝撃が和らいでしまったようだ。一発で決められなかったことに舌打ちをする。普段なら杖だけで徹底的にボコってもよかったのだが、今そんなことをしていれば住民に被害が出てしまう可能性がある。ライダーがいるから大丈夫だとは思うが、複数いるとなると探す時間が必要になる。こんな雑魚を相手にする時間が惜しい。
「
何もない空から出現したのは刃の薄い日本刀。アーチャーの宝具ではない投影品の中でも切れ味に特化した品だ。切れ味に特化したせいで強度がいささか以上に低いが、その切れ味は本物だ。そもそも1分程度で消える投影品で一回振れば消えてもいいのだから、強度は強化で補えればそれで問題ない。
勝てないと判断したのか、それとも恐怖しているのか。おびえた様子を見せながら聞くに堪えない奇声を上げてその場から逃げようとするモンスターを、魔術で強化した身体でもってそれを逃すはずもなく逃げようとしたモンスターに瞬時に肉薄する。
「とっととくたばれ!」
モンスターの首に刀を振り抜く。バターを切るような感覚と一瞬堅い何かを切るような感覚とともに切り落とした首は、断面から流れている血を地面に叩きつけながら灰へと変わっていき、続いて首がなくなった胴体が倒れると同時に灰へと変わった。
「……これで、大丈夫か?」
辺り周辺から悲鳴が聞こえないことを確認した俺は投影した刀を消し、屋根へと飛び乗って辺りを見渡す。見える範囲ではモンスターらしき影は見当たらず、遠くでライダーが走っているのを発見した。
「ライダー!そっちはどうだ!」
大声でライダーを呼んでみるとこちらに気が付いたのか人では出せないような速度で向かってきてこれが天狗かと思うような身のこなしですぐに近くまで飛び上がった。
「私が確認した範囲ではモンスターは発見できませんでした。主殿はどうでしたか」
「2体は発見して処理した。ライダーが言うならここいらは問題ないようだな」
ひとまずは大丈夫そうだな、と思いながらも街中にモンスターが湧いた理由を考える。普通モンスターはダンジョンから湧いてくるのがここでは当たり前であり、街の中で出現することはないと聞いている。なのになぜ、と考えているときにふとアサシンから聞いていたこの祭のメインイベントを思い出す。
怪物祭。その名前の通り、モンスターとの戦闘の見世物をするのがメインの祭だ。ということは、少なくともこのモンスターたちはその見世物としてダンジョンから捕らえてきたモンスターが逃げ出したのだろう。何をやっているんだと思うべきか、それとも誰がこんなことをしでかしたのかと思うべきか。
倒したモンスターの魔石を責任者に持って行って文句を言えば何かしら請求できるだろうかと思いながらため息をつくと、ふと地面が揺れていることに気が付いた。
「……地震?」
モンスターが逃げ出してからの地震。なんだか嫌な予感がすると表情をゆがめると同時に、地面が割れる音とともに緑色の長いナニカが、少し遠くの場所からいくつも生えていくのが見えた。
一難去ってまた一難かよ。そう思いながらライダーを連れて謎の巨大物体の方へと走った。
オリ主の魔術は
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サーヴァントから教えられそうなもののみ
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拡大解釈してもええんとちゃう?
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好きに魔術を使えてもいいじゃん!