ダンジョンにサーヴァント7騎のマスターがいるのは間違っている 作:ルーニー
「しっかし、すっげぇなぁこの世界の魔法ってのは」
氷漬けになったモンスターを砕いたリッカはやっと終わったといわんばかりに深く息を吐いた。砕けた氷の細かな破片が宙を舞っている様子をみて、先ほどの魔法と呼ばれている力を思い出す。
「初めて見たけど、なるほど。威力だけを見ればキャスタークラスぐらいはあるのか」
それはリッカにとっては最大限の賛辞だった。サーヴァントの中では最弱と言われているキャスタークラスとはいえ、いや魔術という点においてはサーヴァントの中でもずば抜けているキャスタークラスとほぼ同じぐらいではないかと言えるほどに強力ではあった。
もしあんなものを食らってしまえば、もしかすればサーヴァントであってもダメージを与えることはできるかもしれない。もっとも、詠唱から発動までの時間を見れば前衛がいなければ撃つことすらできないだろうが、時間という戦闘において重要なものを長々と消費している分と比べてもその威力はおつりが返ってくると言えるほどではあるだろう。
「まぁ、こうなってしまえばさすがに大丈夫だろうな」
周りが安堵の歓声を挙げている中、久々の全力で体に何か異常がないか確認するように軽く自身に解析の魔術をかける。リッカからすればサーヴァントたちとの修行以来の全力だった。相性と状況があまり良くなかったとは言え、全力で強化した状況であの程度しかできなかったことに反省しながら自身に異常がなかったことを確認したリッカは魔術を解く。
「ライダー、帰ろう。サーヴァントのみんなと相談したいこともあるし、時間を見てみんなを呼ぶ準備をしよう」
「承知いたしました」
これ以上ここにいてもやることはない。せいぜいがギルドでここで倒した魔石の換金程度だった。まだ氷が舞っている中、歓声の挙がる中を去ろうとすると、後ろから制止の声がかかった。
「ちょっとまちぃな、坊主」
そこには細めの女性と先ほどまでともに戦っていた冒険者、そしてギルドの受付嬢であるエイナがいた。先ほどのモンスターを打倒したとは思えないほどに全員が神妙な表情を浮かべていることに気づいたリッカは、面倒ごとが来たと言わんばかりに嫌そうな表情を浮かべた。
「なぁ坊主、お前さんいったい何者なんや?」
リッカの表情を無視して細めの女性、女神ロキは警戒を隠そうともせず、リッカはその警戒されていると理解しているがゆえに質問の意図をつかみつつ、しかしそれを隠して逆に聞き返す。
「何者って言われてもなぁ。なぜか聞いても?」
「豊穣の女主人でうちのベートを軽々と相手しておいた挙句、今回やってうちのティオナたちが苦労して足止めしていたあのモンスターを飄々として相手しとったみたいやないか。それに、そっちの嬢ちゃんはうちの子たちですら勝てるかどうかわからんと言っとった」
ベート、という名前に一瞬誰か思い出せなかったリッカだったが、豊穣の女主人という酒場の名前であの狼の青年のことだと思い出し、同時に目の前にいる女性がその時にいた女神であることに気づく。面倒だと思いながらリッカは後ろに控えているライダーを見るが、ライダーは刀に手を添えてはいるが特に何か反応する様子はない。
「いったい何者や、あんた。
リッカは酒場でレベル5をダウンさせていたが、ロキ達の無礼もあって酒も入っていたこともあり事はそれほど大きくはならなかった。しかし、今回は見逃せるようなレベルではない。
「何者もなにも、そこいらにいる十把一絡げと同じただのレベル1だよ。少々特殊ではあるとは自覚しているけどな」
何でもないように手を振りながら答えるリッカ。その言葉に嘘はない。かつてこの世界に特典付きで転生し、この世界でも特殊ともいえる英霊たちに十何年も鍛えられるという特殊なことはあったが、それ以外では特に何があったわけでもない。
「……これだけのことをしておいてレベル1?んなわけがあるかいな」
その言葉は、この場にいる全員が思っていることだった。しかし、ロキは本心で言いつつも半分は懐疑的な言葉だった。十把一絡げのレベル1。言葉では本心ではいってないと感じるのに、神としての力は嘘はついていないと判断している。あれほどの実力があったのに、レベル1であることは嘘ではないというのだ。
「おいおい、神が嘘じゃないことを嘘だなんて言うなよ。信じるやつも出てくるじゃねぇか」
「確かに、あんたは嘘をついてない。けど、あんなものを見せられてはいそうですかと言えるわけがないやろ」
テイマーとしてモンスターを操ってそう見せていた。そう言われたほうがこの場にいる全員が納得できるほどに、レベルを超えた力というのはあり得ないものだった。手助けしていたのはそう見せるためのものだった。蔓をはじいて見せたのは周りに被害を及ぼすためだった。そういう可能性がロキの頭の中で浮かんでくるほどに、リッカという存在は怪しいものだった。
「詳しいこと話してもらおうやないか。それとも、何か?話すこともできないぐらいに後ろめたいことがあるんか?」
わからない。未知と言ってもいい存在が、目の前にいる。それがこの街にとって良いものなのか悪いものなのか、それを見極めるのも上位ファミリアとしての使命であると自覚している。
「おいおい。他のファミリアの眷族のこと勝手に見ようとしてもいいのかよ。そういうのはご法度って聞いてるぞ?」
「今回は例外や。こんなことが起きた時に何もわからへん怪しいやつを見つけたら問い詰めるぐらいはしやなあかんやろ」
ロキは普段の軽口をなくし、罪人へ問い詰めているかのような様相だった。リッカの表情も険しいものへと変化していき、一発触発の状況になりつつあった中、エイナが震える口を開いた。
「ロ、ロキ様。彼の実力に疑問視するのはわかりますが、彼女は存じ上げませんが少なくとも彼は怪しい人ではありません。」
ギルド職員としてこれ以上こじれることを恐れたのか、それとも知り合いが疑われていることに目を瞑れないのか、先ほどまで黙っていたエイナがリッカを助けるようにロキに話しかける。
「怪しくないゆーても、あれだけのことができるやつが怪しくないなんて……っ」
ロキは尋常ではない寒気とともに身動きすらとることができずに息を呑む。かろうじて視線だけ寒気の現況に向けると、そこにはさっきまで静かだったはずのライダーがいる。
「……黙って聞いていれば、さきほどから主殿に無礼な真似を」
気が付けば、ライダーがとてつもない威圧感を以て刀を抜いていた。第一線で戦っているティオナたちですら身動きできないほどの威圧にエイナは息をすることすらできなかったが、しかしリッカは何事もないかのように声をかける。
「ライダー、俺は気にしていない。有名な神だからあんまり手を出さないようにしてくれ」
「……わかりました」
しぶしぶ、と言ったように刀を収める。同時に発していた威圧感もなくなり、ティオネたちは重圧から解放されたかのように、エイナは膝から崩れ落ちて息を荒げていた。
「別に、やましいことは何もしてないし、そっちからちょっかいをかけなければ何もする気はない。そっとしておいてくれ」
めんどくさそうな表情を浮かべているリッカはライダーを連れてはき捨てるように去っていく。
その後ろを追いかけるようなことも、声をかけるようなこともできなかったロキ達だったが、ただ1人だけ、アイズの目だけは好奇心のような、希望のような、無表情の中でそんな目をリッカたちに向けていた。
無理やり感があるのは自覚してるし、正直ロキ様に気に入られる方が現実味あるんだけど、個人の趣味でこうします。異論は認める。
オリ主の魔術は
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サーヴァントから教えられそうなもののみ
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拡大解釈してもええんとちゃう?
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好きに魔術を使えてもいいじゃん!