ダンジョンにサーヴァント7騎のマスターがいるのは間違っている 作:ルーニー
御者に出会い、数日が経った。途中でトラブルに出会う、何てことはなく特に何事もなく目的地へとたどり着くことができた。
「ほ~ん。ここがかの高名なるオラリオねぇ」
山にこもって修行に明け暮れていたせいで全くと言っていいほど知らないが、世話になった御者が言うには世界最高峰の冒険者の街だということらしい。まぁ、確かにここを行き来する人の数や中の人の往来の多さ、出店の多さを数えてみると確かに栄えている街ということは間違いない。
「フジマルさん、冒険者になるにはギルドにいく必要があるみたいなんですけど、ギルドはこっちにあるようです。よかったら一緒に行きませんか?」
「ん、そだな。行かない理由もないし、一緒に向かうか」
旅は道連れ、何て言うほどではないが、まぁここまできたら乗り掛かった船だ。ベルくんと共に行くことにする。
道中色んな出店が並んでおり、並んでる品々を見ていると中世ヨーロッパ並と思えるような技術の物やそれ以降で見られそうな物など時代がチグハグしてそうな品々があって面白味があった。冷やかしていてもよかったのだが、目的はあくまで冒険者。ベルくんと共に道々で確認しながらギルドへ歩いていく。
「しっかし、道中剣だの鎧だの着込んでる連中が多いことで」
キャスターに作ってもらった杖を持っている俺が言えるようなことではない気がするが、冒険者の街と呼ばれているだけのことはあるようでそれっぽい人がよく目につく。
全身鎧の重装備というような人は滅多に見かけることはなく、多くはそれなりの軽鎧にローブ、腰や背中に剣、斧、そして杖だけの人が多い。鎧が高いせいでの少なさなのか、それともダンジョンに潜るために敢えて着込んでいないのか。まぁここらへんは武具屋にいけばわかることか。
「あ、あれみたいですよ」
街の様子を観察しながら歩いていると、ようやく目的地に着いたのかベルくんが声をかけてくれる。ようやくかと思いその方に視線を送ると、それの大きさに思わず目を見開いた。
「……デカいな」
思った以上にデカかった。外観はちょっとした城のようで、中は推して測れるぐらいにはでかいんだろう。
まぁ、確かに冒険者の街と呼ばれているのだから冒険者を取りまとめている施設となればその規模はそれなり以上であることは明白なのだが、まさかこれほどまでとは思いもよらなかった。
「凄い、大きいですね」
「あぁ。予想以上だわ」
ベルくんと共にその規模の大きさに驚嘆しつつ、冒険者になるために改めて気を取り直して中へと入る。
入ってみると、エントランスは広々としており冒険者のための受付であろうカウンターが少し歩く必要があるぐらいの距離がある。ただ、それは多くの冒険者が行き来するために開けられたスペースであるのは人がごった返している現状を見ればわかる。
冒険者らしき人々が賑わっている中、ベルくんと俺は受付嬢らしき人のところへ向かう。
「あ、あの!冒険者になりたいんですが!」
「それでしたら、ファミリアに属してもらうことになります」
「ファミリア?」
話を聞いていると、どうも冒険者になるには神からもらえる『恩恵』なるものが必要らしい。これがないとダンジョンには入れない規定のようで、大雑把に言えば『恩恵』をもらう神の傘下になることをファミリアに入る、ということになるらしい。
その『恩恵』というのは、刻まれればステイタスと呼ばれる強さを目に見えるような形にすることができ、レベルという階級で強さが変わっていく。文字通りレベルが違えばそれだけ実力に差が出てくるらしい。それは『恩恵』のあるなしでも十分に違うらしく、ダンジョンに『恩恵』なしが入ってしまえば何もできることなくそのまま死ぬことが当たり前だというのがここの常識らしい。まるでゲームみたいだな。
結局、ファミリアに加入して神から『恩恵』なるものをもらわない限りダンジョンへ入るのは禁止する、というギルドの決定で萎えつつも、サーヴァントを授けてくれた神様に怒られないかなぁなんて思いつつベルくんとともにファミリアを探すことに。
しかし、ことはそう簡単にうまくいくこともなく、誰でもテストすると言われていた高名なファミリアも門前払いされ、他のファミリアからも怪しい、弱そうだのと言われ入れることはできないとと言われて早数か所。俺はまぁまぁ好感触な部分はあったが、ベルくんはその身なりのせいかどこも入れるような様子はなかった。
「すいません、ボクがダメなばっかりに……」
「いいっていいって。まぁ冒険者は危険なことをするから見た目で判断する部分があっても仕方ないっちゃ仕方ないけど、高圧的な断り方をするようなファミリアには俺も入りたくはないからな」
もっとも、ある程度自由が利いてダンジョンに潜ることのできるファミリアがあるなら弱小と呼ばれているところでも俺は構いやしない。が、そんなところが今のところないから困っているんだよなぁ。
まぁ、ロキだのなんだの名前的に大丈夫かと思うようなファミリアもあったから名前で切ったというのもあるんだけどな。
「どうしましょう。このままだと何も成果もなく日が暮れてしまいそうなんですけど……」
「どうもこうも、入れてくれそうなファミリアを探すしかないだろうに。ま、どうせ乗り掛かった舟だ。一緒に探そうや」
とは言ったものの、どうすれば緩そうなファミリアを見つけることができるのかねぇ。いっそのことそこらの弱小ファミリアでも探して条件を聞き出して入る、なんてことをした方が手っ取り早そうな気もしてきた。
「君たち!もしかしてファミリアを探しているのかな!?」
突然後ろから女の子の声が聞こえてくる。振り向いてみると、そこにいたのは黒い髪をツインテールにした、ちょっと危ない服装の少女がいた。
「そうですけど、あなたは……?」
「ボクはヘスティア!君たち、よかったらボクのファミリアにならないかい?」
ヘスティア。正直聞いたことのない神だ。すべての神話の神の名前を熟知しているわけじゃないからさっぱりなんだが。名前の漢字からしてインドとかの神ではないのは間違いないけど、まさかギリシャの神じゃないだろうなぁ。ギリシャの神にいい神様なんていないからなぁ。最高神の種まきゼウス然り嫉妬の女神ヘラ然り。
「えっ!?いいんですか!?」
「あぁ!いいとも!ボクのところは今絶賛募集中だ!なんなら今からでも『恩恵』を刻んであげてもいいんだよ!」
向こうから、しかもこうも興奮しながらってことは少なくともファミリアになれる人を探しているということだ。つまり今なら俺の意見も通せる可能性があるということ。
「……神ヘスティア。入るのはいいけど条件がある」
「な、なんだい?」
条件付きと言われるとは思わなかったのか身構える神ヘスティア。正直入りたいというのに条件を突きつけてくるというのは非常識ではあるとは思うが、まぁ本当に必要なことだから言っていく。
「そんな身構えなくてもいい。俺個人が稼いだお金の自由な使い道と、常識をちょっとだけはみ出しても問題ない程度のある程度の自由を認めてくれればそれでいい」
俺とサーヴァントはまぁ間違いなく異端だろう。特に過去、未来の英霊を従えているとなればそれ相応の厄介ごとが来ると見た方がいいかもしれない。そういう点で自由にさせてもらえることができればやりやすい部分だって出てくるはずだ。
「う~ん。まぁ、他の人の迷惑になるようなことをしなければそれでいいんだけど、ファミリアの迷惑にならないようにしてくれるかい?」
「……まぁ、そこまで迷惑をかけるようなことはしないようにはするつもりだが、念のためにな」
「……嘘はついていないみたいだね。うん。いいよ。その条件を呑もう」
「それじゃ、契約成立ってことで。俺は藤丸六花。ここでいうリッカ・フジマルってところだ」
よし。これで強くなれるためのファミリアを見つけることはできた。あとはここでどれぐらい強くなれるか、だな。楽しみだ。