ダンジョンにサーヴァント7騎のマスターがいるのは間違っている 作:ルーニー
辺りも暗くなっており、街灯が微かに道を照らしてくれている中、俺は走って出て行ったベルくんを探すために走り回っていた。
「どこに行ったんだベルくんは……」
ベートとかいう阿呆のせいもあってか長くはなかったが、それなりの時間が店主からの説教で潰れてしまってベルくんの手掛かりがない中、ルーン魔術で足を速くしながら街中を走り回る。念のために本拠に戻ったのかを確認したがそこにもおらず、途中で出会った人からもベルくんを見ていないか聞きまわってもみたがどれも総スカン。中にはケンカすらも売ってくる連中もいたが、時間がかかったこと以外は特に問題なかった。
こういう時にサーヴァントがいればと思ってしまう。こういうことになるとはさすがに思いもしなかったが、仮にサーヴァントの誰かががあの場にいたら容易に発見できたのにとは思ってしまう。
「……これ以上走って探すのは無駄骨か」
近くにあった石を拾い、ルーンを刻んで魔力を回す。刻み込んだルーン文字はベルカナ。クーフーリンも使ったことのある探索をするのに適したルーン文字だ。最初っから使えばよかった気もするが、手ごろな石も近くにはなく、ベルくんがどこまで走っているのかもわからない状態で探索のルーンを使っても逆に混乱するだけになる。ある程度時間も経って移動も終え始めているであろう今だからこそ探索のルーンの効力を発揮できる。
「……こっちか」
ルーンを刻んだ石が勝手に一方向へと動く。動き出した石をつかんで引っ張られる方向へ走る。魔術を使って身体を強化しているせいで何度か行き過ぎて方向を間違えたが、まぁ問題ではない。問題なのは石の導きに従って着いた場所だった。
「……ダンジョンに潜ったのか?」
ダンジョンに蓋をするように建てられた塔バベル。最終的に破壊されそうな名前に内心大丈夫かと思っていたのだが、まぁ現状は大丈夫だろう。モンスターが噴き出すほどに現れて破壊されそうだと思うのは俺だけなんだろうか。
それはともかく。このバベルには様々な施設があるが、あの状況でベルくんがどこかの施設に入るとは到底思えない。ということは他にベルくんが行きそうな場所と言えば、ダンジョンしかない。
「……まぁ、素手でも問題はないか」
今手元には杖がないが、杖無しでもダンジョンに潜ってモンスターを倒してきている。その際に手が汚れるからあまりしたくはないと思っていたのだが、今は状況が状況だ。そうも言ってられない。チョロチョロと出てくる冒険者を横目にダンジョンへと入り、ルーンと魔術で身体を強化して人間が出せるはずもない速度で走り、モンスターを無視してダンジョン内を探し回る。
1階層、2階層、3階層と頭の中のダンジョンマップを頼りに走り回り、しかし5階層まで探し回ってもどこにもいなかった。すれ違っている可能性もあるが、しかし虱潰しに探しているのだからこれ以上探したところで意味もないし、時間がかかりすぎる。ともすればいる可能性があるのは6階層よりも下ということになる。しかし、6階層となるとまだ完全にマップを覚えきれていない今探しに行くのも難しいと思ったが、しかし5階層まででどこにもいないとなればいるとすれば6階層かそれよりも下としか考えられない。
下に行くしかない。6階層ならばまだ覚えている部分もあるだけマシだからすぐにでも探そうと6階層へ突入する。探しているうちに俺まで迷って時間がかかる可能性を考慮して覚えている道を走る。
しばらく探すために走っていると前から足音が聞こえた。しかしベルくんのような軽い者の足音ではないと感じた俺はモンスターの可能性も考えて走っていると、ふと見覚えのある青い頭がチラリと見えた。
「お。ようマスター、お前さんもこんな時間にダンジョンか?」
そこには白い何かを担いでいるキャスターがいた。まるで散歩にでも出ていたかのような軽快なあいさつに、知り合いだったことに警戒していた緊張が解けて思わずため息が出た。
「キャスター。どうしてここに?というか、その肩に乗ってるのは……」
「あぁ、お前さんの団長だ」
近くまで来て担いでいるそれが誰なのかをようやく見ることができた。気を失っているのか微かに腹部が上下しているのが見えるが、確かに肩に乗っていたのは探していたベルくんだった。
「ありがとう、ちょうど探してたんだ。眠ってるみたいだけど、どこにいたんだ?」
「ついそこで戦闘をしていた。精魂尽きるまで戦っていたな」
キャスターに話を聞いてみると、暇つぶしにその辺をぶらついているところにちょうどベルくんが走っていくのを見かけたようだ。別にそのままにしてもよかったのだけど、どうも切羽詰まったような表情だったらしく、気になって後をつけた。そしてそのまま後をつけていくと碌な装備もせずダンジョンに入っていき、無我夢中でモンスターを狩っていた。段々と下へと潜って行き、気が付けば周り中モンスターだらけで、最後の1体を倒したところで倒れたんだとか。そのままにしておくこともできず、気絶してるのを確認して担いでここまで来てくれて、今に至ると。
「ったく。ソロでやる意味を分かってるのかねこの子は」
あくまでソロで活動していたのはルーン魔術を見せないためと、同時にお互いに帰ってくるまでの活動の限界を知るためにやっていたのに、ベルくんはそれすら忘れて全力でダンジョンに潜っていたようだ。
「いいじゃねぇか。根性あって俺は嫌いじゃねぇぞ」
「そういうことを言ってるんじゃないよ」
キャスターはカラカラと笑っているが、こっちとしてはまるで笑えない。運よくキャスターがいてくれたからよかったものの、ダンジョンで気を失ったままだったらどうするつもりだったのだろうか。
「ありがとうキャスター。また今度なにかおごるよ」
キャスターからベルくんを受け取って背負う。まだまだ成長途中の少年ということもあってか鎧や武器を考慮しても軽かった。
「別にいいんだけどよ。ま、礼がしたいってんなら酒でも頼むわ」
俺はこのまま遊んでいくわ、とヒラヒラと手を振ってダンジョンの奥へと消えていくキャスター。長く青い髪が見えなくなるのを見届け、ベルくんの位置を歩きやすくなるように背負いなおして
途中でモンスターに襲われては魔術で撃退をしての繰り返しで、結構な時間もかかったがようやくダンジョンの外へ出ることができた。あれから一体何時間かかったんだと
「お帰りリッカくん。今日は遅かったんだ……ベルくん!?」
中へと入るとやや不機嫌そうな表情で神ヘスティアが迎えてくれたが、俺が背負っているベルくんを見てから隣まで飛んできた。
「大丈夫。ベルくんは寝てるだけだ」
「そ、そうなのかい……」
息をしているのを確認できたからか深く息を吐く神ヘスティア。普段ベッド代わりに使っているソファまで連れて行き、ゆっくりと下すがまだ目が覚める様子はない。明るい場所に着いたことだし、改めてベルくんの様子を確認する。鎧を着たまま眠っているせいか寝づらそうにしているが、それ以外で目に見える範囲で大きな傷は見当たらず、あっても頭から血を流してるがそれも浅い切り傷から流れているものだけであとは軽い切り傷や打撲痕ぐらいで命に別状はなさそうだ。
「まったく。心配をかけるんじゃないぞベルくんめ」
面白くなさそうに神ヘスティアは頬を膨らませてベルくんの血を拭う。起きないようにしているのかされるがままのベルくんに苦笑しながら外着を脱いで自分の使っているソファへ放り投げる。
「ありがとうリッカくん、ベルくんを見つけてくれたのは君なんだろう?」
山で修行をしてきた身としては、魔術も使ったおかげで走り続けていただけでは大して疲れもないのだが、さすがにそれなりの時間を探し続けていたとなると精神的な疲れも感じる。軽く息を吐いてソファに座り込むと神ヘスティアがベルくんの様子に安心したのか安堵の表情を浮かべていた。
「いや、俺も探してたけど、見つけたのは俺の知り合い。ダンジョンに潜っていたところを見つけてくれたんだ」
「そうなんだ。その人にはぜひともお礼をしなくちゃね」
ニヘラと笑みを浮かべる神ヘスティア。そのまま水の入った洗面器とタオルを持ち出して濡れたタオルで土と血で汚れたベルくんの顔や体、衣服を拭き始める。何かをするでもなく俺はその様子をボウっと見ていた。
ふと、神ヘスティアがキャスターと会う思ったところで思い出したけど、確かキャスターって半神半人だったよな。それで神と出会ったらそうであるとわかるのだろうかと一瞬不安にもなったが、まぁ出会ったら出会った時だと不安を振り切る。
「ぅう……」
うめき声が部屋の中に響く。それに反応した神ヘスティアはバッタのように跳ねてベルくんのそばまで寄り、俺もゆっくりとではあるがベルくんの様子を見るために近づいた。
「……神様?フジマルさん?」
ゆっくりと目が開き、やや半目ながら開いた眼と視線が合う。知った顔が見えたからか少しの間ボウっとした表情でいたが、次にはゆっくりと視線を部屋の中へと這わせた。
「ここは……」
「
「……そう、なんですか……」
ダンジョンではないことに気が抜けたのか、ゆっくりと深く息を吐くベルくん。強張っていた体の力が抜け、まだ汚れが取れ切っていない服のままソファへと体を鎮める。
「……神様、フジマルさん」
神ヘスティアが血で汚れたタオルを洗面器で洗っていると、ベルくんはポツリとやや悔しさをにじませた声を出す。
「僕、強くなりたいです……!」
泣きそうな表情で、けど決意を固めた表情で手を握り締める。その様子に神ヘスティアは聞きたいことも聞けず、大丈夫、強くなれる、と言って静かに抱きしめる。
決意を新たにしたベルくんに、俺は特に何かを言うでもなくその様子を静かに見守っていた。
そろそろいろんなサーヴァント出せるように文章力鍛えたいなぁ
オリ主の魔術は
-
サーヴァントから教えられそうなもののみ
-
拡大解釈してもええんとちゃう?
-
好きに魔術を使えてもいいじゃん!