「NPCに毎日愛してるって言うと強くなるらしい」   作:桃色パイソン

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続きましたがこれで『性悪人狼』は終わりです


『性悪人狼』END

「愛してるっすよ!」

 

「あ、それ、俺のセリフだ。覚えてるなんてすごいな」

 

「当たり前っすよ!もうどこにも行かないで欲しいっす!」

 

「続けてプレイしろってこと?」

 

「プレイ!?このまま続けて!?いえ、あの、そういうことも後々望んでおられるならばしてあげたいっすけど……あ!私がしてもらう方っすか……そうではなくて!とりあえず最初がこんな衆人環境は恥ずかしいというか……その……色々とまずいっす!」

 

 ここで後輩違和感に気付く。

 抱き着いてきたルプスレギナの体の感触がダイレクトに伝わってきているのである。それにユグドラシルでは感じなかった嗅覚もある。それによく考えれば自分達へのサプライズにここまで作りこんだものを用意するだろうか?

 

 後輩が自分達を祝福してくれているNPC達に目をやる。全員表情や声があるのだ、もちろんいま自分に抱き着いてるルプスレギナを含めて。

 抱き着いていたルプスレギナからそっと離れる。

 

「……あ」

 

 少し残念そうな顔をするルプスレギナ。

 落ち着け。落ち着くんだ。よく考えればこんなのイベントじゃないことくらいすぐ分かりそうなものなのにまったく気がつかなかった。モモンガ先輩が余計なことを言ったからなのもあるが、迂闊だったのは確かだ。

 

 というかいつまで浮ついてるんだモモンガさん!出来もしない口笛まで吹こうとして!ここはまず状況把握だろと後輩は考える。

 

「ルプスレギナ、ちょっとモモンガ先輩に相談があるから行ってくるわ」

 

「……プレイの相談すか」

 

「プレイ?いや、何かいつもと違う感じがしない?ってNPCに言っても分かんないか。イベントは嬉しいけど何か怖くなってきたし、ユグドラシルの公式サイトも確認したいからそろそろ戻ろうかなって」

 

 後輩の戻るという言葉に反応するルプスレギナ。戻るというのは至高の御方がいる別の世界「現実」に帰るということ、それはNPCの間では共通認識である。そしてそこにお隠れになることも。

 

 ルプスレギナの行動は素早かった。後輩を逃がさないために背中と腰にへばりつく。絶対に逃がすものかという強い執念を後輩は感じた。

 

「な!そんなのだめっす!」

 

「ちょっと!何してるんだよルプスレギナ!離れて!」

 

「絶対に嫌っす!たとえ不敬であろうとも、もう離れ離れになるなんて嫌だから!だから絶対に離すわけには……い、いかないっす!」

 

 背中から聞こえるルプスレギナの声は震えていた。きっと泣いているのであろう。それまで歓喜していたNPC達もルプスレギナの叫びを聞いたからなのか何も言えないでいる。

 モモンガさんも異変に気付いたのかGMコールなどを使用しようとしているみたいだった。

 

 NPCが動けないでいる中プレアデスの長女であるユリだけは妹であるルプスレギナの行為を咎めようとする。

 

「そこまでよルプスレギナ!それ以上は――」

 

「何といわれようとも絶対に!絶対に隠れさせるにはいかないっす!」

 

「わかった……戻らないから。だからルプスレギナももう泣くな。ユリも俺なら大丈夫だから、怒ってもいないし。ほら一旦、降りろ」

 

 そう言うと後輩はゆっくりとしゃがみルプスレギナを下ろす。へたり込むように地面に座って泣いているルプスレギナの頭を、子供をあやす時のように撫でる。モモンガは玉座に座っている状態で《メッセージ/伝言》を使用し、後輩に話しかけてきた。

 

「《メッセージ/伝言》を使用してみました。聞こえますか?」

 

「はい、それでモモンガ先輩何か分かりましたか?」

 

「……正直何も分からないですね。GMコールも使えませんし。とりあえず近場にいたセバスに外の様子を確認させに行かせました。たぶん信じられないことではあるんですけど……ゲームが現実になったか、現実にゲームの方が入り込んでしまったか……はたまたは別のパターンか……正直全く予想は出来ないです」

 

「……どのパターンにせよ俺、結婚してしまったんですけど。しかも愛してるって言った事バレてるようなんですけど。死にたいぐらい恥ずかしいんですけど」

 

「いいじゃないですか……俺なんて骨と玉だけになってしまいましたよ」

 

「あ、それは……何と言うかご愁傷さまですね」

 

「それじゃあ、取り合えず敵に回すと大変な階層守護者達から話を聞いて情報を集めましょうか。たぶん味方だとは思いますけど確認しないことには安心できないですからね」

 

「そうですね。そう言えばパンド――」

 

「はい!それじゃあ早速聞いていきましょう!」

 

 

 

 その言葉を最後にモモンガは玉座を立つ。玉座の前に集められたNPC達は全員膝をつき臣下の格好を取る。

 後輩はモモンガは何と言って忠誠を確かめるのか気になった。

 

「今日は後輩とルプスレギナのプロポーズ&結婚報告のために集まってもらい感謝する。ここで各階層から代表して階層守護者らから一言を頂きたいと思うのだが……どうだろうか?」

 

 どうだろうかじゃねえよモモンガ先輩。何勝手にプロポーズ&結婚報告、そして結婚式に持ち込もうとしてんだよ!もっとこう忠義を問うとかそういうのがあるだろ!後輩は心の中で吠える。

 しかし余計なことを言うとまたルプスレギナが泣くかもしれないのでぐっとこらえる。

 

 ちなみにヴィクティムとガルガンチュアは仕事により仕方なく欠席。

 

 

 

 一番手はシャルティア、だったのだがどうも様子がおかしかった。

 黙ったまま何かをこらえている様であった。そしてついに

 

「……ぺロロンチーノ様ぁあああ!どうして置いていったでありんすかぁあああ!」

 

「シャルティア……」

 

 後輩はそう言えばぺロロンチーノも出来るだけ実験に参加していたことを思い出す。シャルティア的には捨てられたと思っているのかもしれない。

 

「泣くなシャルティア……ぺロロンチーノはお前を捨てたりなどしていない……かならず見つけ出して連れてきてやる。な、後輩!」

 

「あ、はい。俺も何となくですけどぺロロン先輩はまた出てきそうな感じはします」

 

 シャルティアは涙で喋れないために無言で頷くと下がっていく。

 

 

 二番手のコキュートスが前に出る。

 

「後輩様、御結婚オメデトウゴザイマス。私ガ言ウノモ何デスガ幸セノ溢レル温カイ家庭ヲオ築キニナルヨウ心カラオ祈リイタシマス」

 

 自分の属性とかけたちょっと小粋なジョークを交えてきた。

 後輩とモモンガはコキュートスのキャラに少し驚いた。

 

 

 三番手のアウラとマーレが前に出る。

 

「「ご結婚おめでとうございます。おふたりで力を合わせて明るく幸せなご家庭を築いてください」」

 

 ここに来てやっと忠誠が分かるコメントを貰う。アウラとマーレが仲良く声を合わせて喋る姿は可愛らしかった。後輩は横でルプスレギナが「双子も良いっすね……」とつぶやいた気がした。

 

 

 四番手のデミウルゴスが前に出る。そして何故か既に泣いていた。

 

「デ、デミウルゴス大丈夫か?」

 

「あまりにおめでたいことに感極まってしまい……申し訳ございません。後輩様、ルプスレギナご結婚おめでとうございます。お二人のご子息を心よりお待ちしております」

 

 泣くほどのことかと思うが忠誠は感じ取れた。そして横でまたルプスレギナが「がんばるっす……」とか言ってる。おいおい、何を頑張るつもりだよと後輩は思う。

 

 

 五番手のアルベドが最後に締めに入る。

 

「御結婚おめでとうございます。後輩様とルプレギナの人生の門出を心からお喜び申し上げます。あとモモンガ様愛してます」

 

「……ん?よし!全員の思いは伝わった。本日の集いはこれで終わりとするが、私と後輩はナザリックに残るので心配しなくともよい!それでは持ち場に戻れ」

 

 

 後輩もやっと一息つく。後はセバスの情報を聞いた後に調べることにしよう。

 

 

 

 

 

 

 後輩とモモンガは再び円卓で二人きりになり、会議という名目の愚痴の言い合いをしていた。

 

「あれから何も進展なしですか」

 

 セバスの情報や様々な実験を試し分かったのは、ナザリックと自分達が転移してゲームが現実化したということだった。

 

「まあ、いいじゃないですか。後輩君は可愛いお嫁さんも貰えたんですから」

 

「急すぎるんですよ。俺としてはもっとこう時間をかけていきたかったんですけど。それにメコン川先輩に合わせる顔もないですし」

 

「もう会えない可能性もあるんですから、合わせる顔もなにもないじゃないですか」

 

「モモンガさんは元気そうで良いですね……あ!そういえばパンドラとはどうなりました?」

 

「親子だと言って押し通しましたよ。流石に結婚はしたくないので……。まあ、可愛いやつといえば可愛いやつなんですけどね」

 

「いま可愛いと仰いましたか?」

 

「言ったが……まさか!?」

 

 後輩の体が変化してパンドラズ・アクターになる。

 後輩の許可を得てモモンガの気持ちを探るために変身していたのだ。

 

「父上!私も愛しております!」

 

「はぁ……俺も愛してるぞー……」

 

 モモンガの根負けである。

 




次のキャラは全く考えてないです
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