王の命とあらば、友も家族も、あらゆる全てを斬り捨てよう。

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オッス、我コズミック・変質者。

作中の言葉遣いが変だったとしても気にしないで欲しいな。


ただ王に仕える剣であれ

迷宮都市オラリオには最大とされる三つの派閥(ファミリア)が存在する。

 

一つは悪戯の神を主神とする『ロキ・ファミリア』。『勇者』を筆頭とした高レベルの冒険者を多数保有し、近大で最も英雄に近く、都市外にまでその名を轟かせる探索系ファミリア。

 

一つは美の神を主神とする『フレイヤ・ファミリア』。ロキ・ファミリアをも凌駕するオラリオ最大レベル7の『猛者』を筆頭とした女神の美に囚われた者達。実質的はオラリオの頂点ともいえるファミリア。

 

一つは聖槍の神を主神とする『ロンゴミニアド・ファミリア』。フレイヤ・ファミリアと同じくレベル7の冒険者を在籍させながらも、その団員の数はたったの一人(・・)。たった一人だけで、オラリオ最大とまで言わしめるファミリア。

 

誰かが言った。最強は高レベルの多いロキ・ファミリアだと。

誰かが言った。最強は『猛者』のいるフレイヤ・ファミリアだと。

誰かが言った。最強は一人だけのロンゴミニアド・ファミリアだと。

 

ロキ・ファミリアは自分達だと答えるだろう。たとえ相手が最高位のレベルだとしても、勝つのは自分達だと声高らかに叫ぶだろう。

フレイヤ・ファミリアは我らだと答えるだろう。女神の寵愛を受けし自分達に敗北はないと、声高らか叫ぶだろう。

ロンゴミニアド・ファミリアは何も答えないだろう。たった一人の団員は冒険者、己であることさえ否定するのだから。

 

 

 

 

 

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ロキ・ファミリアの遠征中、ソレ等は群れを成して現れた。気味の悪い極彩色の体色に、体液としてその身を流れ、時には吐き出される不壊属性(デュランダル)以外の全て、肉体すらも溶かす溶解液。たった一体でさえ武器一つを犠牲にしなげればならない相手が、数えるのが馬鹿らしくなる程やってきた。

 

だが彼らはロキ・ファミリア。オラリオ最大の家族(ファミリア)である。恐怖に震える彼らを『勇者』が激励し、『剣姫』を先頭に幹部達が雄々しく立ち向かうその姿に感化され、最後は『九魔姫』の魔法によりその全てを撃滅した。

 

未確認の溶解液を吐き出すモンスターに武器もアイテムも消耗し、撤退を余儀なくされていた。だがその直後に現れたのは巨大な人型だった。4M程の巨体であり、先程の芋虫のようなモンスターと同じく極彩色の体色。明らかに身体の中を流動しているだろう溶解液は、芋虫型達の比ではないないほどの量があるだろう。

 

斬ればそこから溢れ出てくる溶解液。接近戦は致命傷になり、魔法による攻撃には詠唱の時間がかかる。逃げるわけにもいかない。これらは下からやってきた。ならば自分達が人型を見逃して逃げれば、また上に上ってくるかもしれない。

 

高レベルを多く含む遠征組だってこのザマだ。中層レベルの冒険者達が戦えば、確実に死ぬ。オラリオ最大派閥(ロキ・ファミリア)として、それは防がねばならない。

 

だが大抵の武器は溶かされているしマトモに戦うことは出来ない。ならば殿として残すのは不壊属性(デュランダル)を持ち、風の魔法で身に降りかかる溶解液を跳ね除けられる彼女が一番相応しい。

 

「アイズ、君がここに残———」

 

『剣姫』に向き合い、殿として人型を倒すことを命じようとしたその時、誰かがこの場に侵入してきた。ソレは人型だった。たった一歩、この場に足を踏み入れただけで熱気を感じさせるほど、強烈な存在感を放っている。その存在感はまるで太陽の如し。

 

「ほう、これは面白い。我が王の予見通りですね」

 

それはロキ・ファミリアならば誰もが聞いたことのある声だった。声の方向に視線を向ければ、そこには重厚な白銀の鎧を身に付け、その上から金色の装飾が施された紺色のマントを羽織っている騎士がいた。

 

「ガウェイン・・・」

 

「お久しぶりです、フィン・ディムナ。この場は私が持ち受けましょう。撤退するならばお早く。この距離だと余波で巻き込みかねませんので」

 

ガウェインと呼ばれた騎士はそう言って、携えていた巨大な、太陽を圧縮して剣の形に納めたのではないかと思うほどの大剣を構える。

 

「テメェクソ金髪!突然出てきて出しゃばってんじゃねぇぞ!あんなデカブツ、オレ一人で十分だ!」

 

「ベート、撤退だ」

 

「ふざけんなフィン!誰がこんな奴の手なんか借りるか!」

 

「僕は撤退だと言ったんだ」

 

ガウェインに噛み付く銀狼の冒険者の腹を殴り、フィンは無理矢理納得させる。募る話は山程ある。聞かなければ、問わなければならないことは確かにある。でも今は撤退しなければならないのだ。

 

「この場を任せていいんだよね?」

 

「無論。そう言い出たのはこちらです。さぁお早く。あちら側は待ってくれないようです」

 

「分かった。ロキ・ファミリア団長として、この場を受け持ってくれた君に感謝を」

 

そう告げると、フィンは団員達に命令を出して撤退させていく。ベートをはじめとした幾人かの団員達は否定しようとするが、それを無理矢理抑え込む。ロキ・ファミリアが撤退を始め、ガウェインが迫る人型の相手を始めようとする中、『剣姫』がガウェインに近寄る。

 

「兄さん・・・私も・・・」

 

「早く行きなさい、剣姫よ。団長の命令には従う。それがファミリアというものです。貴方もファミリアの一員ならば分かるでしょう」

 

剣姫———アイズ・ヴァレンシュタインはガウェインを兄と呼んだ。それをガウェインは否定しない。つまりはそういうことだ。ガウェインとアイズは血の繋がった兄妹である。

だがガウェインはアイズを名前ではなく剣姫と呼んだ。親しみも、情すらも感じさせないその声音に、アイズは唇を噛み締めて背中を向けて仲間の元に走り出した。

 

「さて、お待たせしました。おや?どうやら仲間が増えているようですね。ふむ、この数と質なら、二撃で十分ですね」

 

アイズの背中を見届けることなく、ガウェインは人型に向き直った。人型の周りには幾多もの芋虫型が蔓延っている。どうやら話しているうちに下から這い出てきたらしい。

その数を前にしても、ガウェインは表情を崩さない。

 

「太陽の騎士ガウェイン。いざ、参る」

 

大薙に、大剣が振り払われる。瞬間、大剣から発せられるのは極熱の息吹。灼熱の剣閃。溜め(チャージ)すらなく撃ち放たれた灼熱は、蔓延っていた芋虫型を焼き尽くしていく。溶解液すら瞬時に蒸発させる灼熱は、人型の足を焼き払ってその巨体を地面に落とす。怒りでもしたのか、地に伏せながらその腕を羽のように広げ、爆発性の鱗粉を撒き散らすがもう遅い。ガウェインは既に、二撃目に入っていた。

 

「受けていただく!」

 

倒れ伏した人型の真上に、大剣を上段に構え振り下ろすガウェインがいた。人型が気付き、鱗粉を爆発させる時にはその胴体は縦一線に真っ二つにされていた。圧倒的と言える戦闘。いや、もはや戦闘ですらなく蹂躙であった。ロキ・ファミリアの精鋭達を苦しめた芋虫型を一瞬のうちに焼き払い、それよりも上位の人型を一刀のもとに寸断したのだ。

 

「ふむ、これですか」

 

構えを解いたガウェインは灰となった人型に近づき、その灰から魔石を拾う。その色は見たことも無い、人型や芋虫型と同じ極彩色をしている。見ているだけで不気味なその魔石を、ガウェインは持っていた麻袋に入れた。

 

 

 

ロンゴミニアド・ファミリア所属。唯一の団員にして団長。二つ名は『太陽の騎士』。レベルはオラリオ最高の7。主神である女神より『不夜』の恩恵(ギフト)を授かった騎士。

元ロキ・ファミリア所属であり『剣姫』アイズ・ヴァレンシュタインの実兄。

 

そして彼は、サー・ガウェインという枠に押し込められた凡人(憑依者)であった。

 

 

 

 

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「ただいま戻りました、我が王」

 

ロンゴミニアド・ファミリアの本拠(ホーム)ロード・キャメロットはバベル近郊にある白亜の城である。城といってもその大きさは実際の城ではなく、城を許容量まで縮小したものである。縮小した、と言ってもその大きさはロキ・ファミリアの黄昏の館以上の大きさ。たった一人だけのファミリアには些か大き過ぎる。

 

キャメロットの中枢、広い玉座の間には壁から幾多の金糸で縫われたファミリアの紋章が吊り下げられ、玉座の背後から入り込んでくる日光は玉座の主を煌々と照らしている。

 

そんな玉座の前に、跪くのはたった一人の団員であるガウェイン。唯一の武装である大剣は、玉座の右隣に数多の聖剣と共に飾られている。

 

「顔を上げろ、サー・ガウェイン」

 

「はっ」

 

ガウェインの視線の先の玉座に座するは一柱の女神。陽の光に晒されてもなお煌々と煌めく金の髪に、全てを見透かす鋭い碧眼。白い鎧にその身を包んだその姿は神、というよりも王という印象を強く受ける。

この女神は神である前に王なのだ。その印象を受けるのは当然のこと。

 

「卿が迷宮より持ってきた魔石。確かにコレは私が卿に命じたもので違いない。良くやった、太陽の騎士よ」

 

「ありがたきお言葉。ですが我が主の命を果たすのは騎士として、剣として当然のこと」

 

王と従者。その言葉が良く似合う光景だ。一般にファミリアとは家族、()子《眷属》として表されるし、彼らもそう自負しているが、ロンゴミニアド・ファミリアにおいては王と、王に仕える従者という関係が成されている。

神は眷属を子供として見るが、女神ロンゴミニアドは眷属を騎士、剣として見る。まるで剣を、道具を見るその視線に、剣であるガウェインは十分に満足している。王の剣であることに誇りを持っているその姿は、一般的なファミリアの関係からは外れている。

 

「これよりオラリオは、この世界は騒がしくなるだろう。民達が迷宮に隠されている真実を知る日も近い。その時、きっと困惑が覆うだろう。ならばそれを払拭しなければなるまい。故に太陽の騎士よ、卿に命じる」

 

「何なりと。この太陽の騎士ガウェイン、王の剣として、王命を命にかえても全う致しましょう」

 

「時が来た時、邪悪な存在である迷宮より生み出されしモンスターを討ち滅ぼせ。たとえ意思があろうとなかろうと(・・・・・・・・・・・・)、障害を全て撃ち破り、異形の存在を絶滅させろ」

 

「はっ。このガウェイン、王命、確かに受け取りました」

 

それは最悪、迷宮都市の冒険者達を管理するギルドに、大神ウラノスにさえも牙を向くという意思表明。ウラノスが隠すとある真実を知るロンゴミニアド・ファミリアからすれば、ウラノスが行っている行為は愚行でしかない。

だが彼らにそれを弾劾するつもりはない。それを必要とすらしていない。邪魔をするなら正面から斬り伏せる。主の命を違える剣はない。

 

「厄災の迷宮を沈める日は近い。その時は、私も聖槍を抜錨しよう」

 

聖槍の女神、ロンゴミニアド。

 

それは、かつてとある時空にて騎士王だった英雄が、聖槍を持ち続けたため女神に変性した存在であり、敗北によってこの時空に流れ着いた女神でもあった。故に、彼女を讃える神話は存在せず、彼女を縛る軛もない。

 

そんな女神に付き従うはたった一人の騎士。剣として己を定め、王に仕えることを無二の喜びとする異世界からのはぐれ者(憑依者)

 

双方共にこの世から来たものでは無いが故に、彼らは世界の在るべき姿を知り、それを目指す。

 

魔のない世界を、神のない世界を。純粋な、人だけの世界を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガウェイン・ヴァレンシュタイン

二つ名『太陽の騎士』

Lv7

力:SS 1065

耐久:A 893

器用:D 517

敏捷:B 753

魔力:S 926

幸運:S

対魔力:B

《魔法》

———

《スキル》

【聖者の数字】

・太陽の出ている間、あらゆるステータスが3倍にまで上昇する。

・一度でも傷付けられた相手には使用不能。

【不夜のギフト】

・自らの周囲が常に陽の光によって照らされる。

精霊(女神)の加護】

・幸運の上昇

・あらゆる聖剣を扱うことが出来る。

 

聖も魔も神もない人の世界で生きてきた凡人が、創作物型月世界の円卓の騎士サー・ガウェインの姿と力を得て生まれた存在。ガウェインという存在となった義務感から、史実や型月のガウェインと同じように王の剣であり、高潔な騎士になろうとしているが、魂が現代の悪意に塗れているので、所々高潔さが失われる。しかし(主神)に対する忠義は本物であり、王命であればあらゆる全てを敵に回す。

女神ロンゴミニアドと出会った時のレベルは5で、王に仕える騎士となり、太陽の聖剣を与えられたその時にレベル6となった。

 

原作より五年前、元ロキ・ファミリア所属でファミリア内からも大切な仲間(家族)とされてきたが、彼にはそれでは足りなかった。

彼はガウェインとしての己を自覚したその時から、自らの義務を王に仕える剣になる事だと考えていた。故に、眷属を子供として見るロキ・ファミリアにはいられなくなり、ファミリアを抜けてオラリオの外に旅に出た。

旅の果てに出会ったのが、その日彼と同じく異界より流れ着いた女神ロンゴミニアド(獅子王アーサー)。彼は女神を一目した瞬間、彼女に騎士の礼をとり己の知るこの世の全てと、自らの真実を伝えた。

その魂は違い、かの騎士よりも高潔さは劣れども、女神は彼をこの世界で唯一にしてはじめての剣に選び、己が何故か持っていた聖剣の一振と、『不夜』のギフトを与えた。

 

 

 

女神ロンゴミニアド(獅子王アーサー)

 

カルデア(天文台)に敗北し、異世界に流れ着いた聖槍の女神。聖剣の王が聖槍を持ち続けた結果、女神となったIFの存在。流れ着いたその日に、かつての己の騎士と瓜二つの騎士に困惑するも、彼の説明を受けて納得し、彼を唯一の騎士に任命して聖剣の一振を与える。

聖槍と自分の神性はオラリオのルール上封印しているが、来るべき時が来れば聖槍の開放とともに神性を解き放つことが可能。

ウラノスが隠している異端児のことを認識しており、その上でモンスターを滅ぼすべきだと思っている。

彼女の目的は完全な人の世を創るか、再び第六特異点と同じく神聖円卓領域キャメロットを作ることであり、そうなった場合最終的には女神ロンゴミニアド以外のモンスターも神もこの世界からいなくなる。


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