みんなが過保護過ぎるんですが、誰か助けてくれません? 作:因幡の黒兎。
と言う訳で、みんなで祝おう! ことりちゃん、誕生日おめでとう!
…なお、あとがきに書いてある方が本編です(笑)
※2019、10/14 内容変更。最近更新出来てなかった理由はあとがきで。
南ことり:ベージュな少女は、眠る彼の夢を見る。
白い圧迫感のある広い廊下を通って、何時もの病室の前。今日は来れなかった穂乃果ちゃん達が預けてくれたお饅頭の入った袋を持ち直して、扉を開く。
お兄ちゃんの為に設けられた特別な病室。大きな機材や大量の輸血、点滴のパック。もう少しで二年にもなるのに、未だに慣れない…慣れたくもないヨードホルムの臭いがする一室のベット。
そこで、今日もお兄ちゃんは眠っている。
「お兄ちゃん、今日も来たよ」
大量の機械と管に繋がれて、微かに胸を上下させるお兄ちゃん。…今日も、きっと起きてくれないよね…。
「穂乃果ちゃんと海未ちゃんがお饅頭とお花を買ってきてくれたんだよ? 綺麗でしょ? ふふっ…」
この部屋の花瓶に全部入るかなぁ? 二人とも、お兄ちゃんのお見舞いにって事で凄く張り切ってたもんね。お兄ちゃんにも見せてあげたかったな〜…。
「今日も学校をズル休みしちゃったんだ〜。ことり、悪い子になっちゃったよ? お兄ちゃんがちゃんと見守ってくれて無いからなんだから…」
本当なら今も学校がある時間なんだけど、あんな所に行く必要なんて無いもん。それに、お兄ちゃんも「学校なんて時間を無駄にするだけで、行く必要なんて無いと思うよ」って言ってたよね。あの時は授業はちゃんと受けないとダメってお兄ちゃんに言ってたけど、今ならその気持ちがわかるよ。
「ねぇお兄ちゃん、ことりね? 明日で14歳になるんだよ〜。お祝いはしてくれないの…?」
こんな事を聞いちゃってごめんね…? お兄ちゃんだって好きで眠ってる訳じゃ無いのに…意地悪だよね。
「…ねぇ、お兄ちゃん。」
様々な機械と心電図の冷たい音が静かに響く中で、私は小さく呟いた。
「お願いだから…死んじゃ、やだよぉ…」
▽▼ ▽▼ ▽▼
最後にお祝いしてくれたのって、もう2年も前の話。その頃は当然だけどお兄ちゃんは眠り続けていなくて、いつも私や穂乃果ちゃん、海未ちゃんと遊んでくれていて…朝になったらお兄ちゃんの寝顔を誰よりも早く見るのが楽しみだったんだ〜♪
「ん…? あれ、ことりちゃん?」
「うんっ! おにぃちゃん、おはよう!」
「おはよ、ことりちゃん。…それよりも、今日も忍び込んで来たの?」
「おにぃちゃんと寝たかったんだもん…。いやだった…?」
「むしろ嬉しいよ〜♪」
「ほんと!? なら、毎日おにぃちゃんと寝る〜♪」
そう言ったらお兄ちゃんは困ったように笑って、私の髪をわしゃわしきゃと撫でてくれて…それだけで幸せだったんだよ? それに、後からお兄ちゃんが髪を梳いてくれたんだよね。懐かしいなぁ〜…。
「さて、そろそろ遊んで無いで起きた方が良さそうだね」
「えぇ〜? なんで〜?」
「だって、もう12時だよ? …って、もしかしてことりちゃん、主役なのに忘れてるの?」
主役? …あっ、そう言えば今日って…。
「ほらっ、早くリビングに行こ? もう二人とも来てるみたいだしね〜♪」
「おにぃちゃん、ちょっと待ってよぉ〜!」
手を引かれてリビングに降りると、そこには…
「ほのかちゃん!? うみちゃん!」
「おっはよ〜! ことりちゃん、ひばりくん!」
「二人とも、おはようございます。と言っても、もうすぐお昼ですけど…」
「ちゅんちゅん♪」
「はぁ…また夜更かしして本を読んでいたんですね…」
「一度読んだ本って、理解出来るようになるまで読みたくなっちゃうでしょ?」
「ひばりくんって難しいお話ばっかり読んでて詰まらな〜い!」
「そうかな? 科学とかの本は面白いよ? 自分で実験出来る様な物も結構あるし」
「なにそれ楽しそう!」
「でっしょ〜? 前にやった『過酸化水素分解反応』は凄かったよ♪」
「か、さん…すいそ…? やっぱり難しいじゃん!」
みんな何時もと同じ。穂乃果ちゃんは元気で、海未ちゃんは落ち着いて、お兄ちゃんはマイペースで…。
「まぁそれよりも、ことりちゃん! 誕生日おめd「だめぇ!」むぐっ!?」
「だめだよひばりくん! お誕生日のお祝いはみんなで言おうって約束したでしょ!」
「ほのか!? それを言ったら意味がないじゃないですか!」
「あぁ!? しまったぁ〜…!」
「ふぉーはひゃん、いいはへんふるひぃほう…(穂乃果ちゃん、いい加減苦しいよぅ…)」
「あははっ、擽ったい!」
「ぅらはふにて…(なら放して…)」
「ふふっ…♪」
本当に、何時もと同じ。…いや、お兄ちゃんだけは違ったんだよね…。
「ぷはぁー! やっと解放されたぁ…」
「息が出来なかったなら言ってよ〜」
「伝えようとしてたけど、言わせてくれなかったじゃん! と言うか口を塞がれてたのにどうやって話せと!?」
「二人とも! いい加減にことりのお祝いを始めますよ!」
「「はっ! 忘れてた!?」」
「もぅ! 二人はいつもいつも…!」
「やっば、海未ちゃんのお説教が始まっちゃう!」
「海未ちゃんのお説教は長いからね〜。放っておいて、パーティー始めちゃう?」
「二人とも!!!」
「「ごめんなさ〜い♪」」
…お兄ちゃんの
これは、夢なんだよね? なら、今だけは…
「じゃっ、お巫山戯はこれくらいにして…っと。穂乃果隊員、例のブツを…」
「了解であります! ひばり隊長!」
「何の真似ですか…」
穂乃果ちゃんが運んで来たのは、蝋燭が10本刺された大きなチーズケーキ。色とりどりな蝋燭にさっと火を付けたお兄ちゃんは、ことりの座る席の隣に腰を下ろして、楽しそうに笑みを浮かべた。
「えっと…Happy Birthday to You。ことりちゃん♪」
軽くお祝いの歌を四人で口ずさんで、私はお兄ちゃんの合図に合わせて蝋燭の火を消した。やったぁ! 一回で全部の火を消せたよ!
「「「誕生日、おめでとう!」」」
「ふえぇ…!」
毎年祝って貰ってるのに、毎回泣いちゃう所はことりの悪い所だね…。でも、治そうとは思わないかな〜?
「もぅ…。ことりちゃんは毎回泣いちゃうね?」
「‥グスッ…えへへ〜♪」
こうやって、お兄ちゃんが頭を撫でてくれるんだもん♪ いつも頼んだら撫でてくれるけど、この時だけは少し撫で方が違って特別なんだ〜! だから毎年、この日が楽しみで仕方がないの!
でも、今年は無かったね…。
【あーぁ、そう言えば…今年はことりちゃんの誕生日をお祝い出来ないね〜。プレゼント、買って置いたんだけどなぁ…】
【引き出しの中のリボン、ことりちゃんへのプレゼントなんだよ〜? 誕生日の時に見てくれると嬉しいな♪】
【迷惑かけてばっかりの駄目なお兄ちゃんでごめんね。 …さーて、続きを始めよっか。】
▽▼ ▽▼ ▽▼
「んっ…」
あぁ、私…あのまま寝ちゃったんだ…。
家に戻ってきた私は着替えるのも忘れてベットに倒れ込んで、そのまま眠ってしまっていた。
「いつも、お兄ちゃんの寝顔が見れてたのになぁ〜…」
小さな頃からずっと一緒に寝ていたベット。そんなベットに残るお兄ちゃんの匂いも、もう薄れてことりの匂いに変わってる。
「お兄ちゃんの、奪っちゃった…」
謝りたいのに、ごめんなさいって言って抱き締めたいのに、それはもう遅くて…
「もう一度寝たら…また、お兄ちゃんに撫でて貰えるかな…」
そんな時だった。
「ことり!」
中々聞かないお母さんの大きな声に、うたた寝に落ちていたことりはゆっくりと身体を起こす。
まだ、夢を見ていたいのに…
「どうしたの…お母さん…」
「っ…はぁ…ッ! ひばりが…──
──ひばりが、目を覚ましたの…!」
「……ぇっ…?」
いま…えっ? なんて…?
「行くわよ!」
「ぁ…ぅん…?」
力強く腕を引っ張られ、そのまま車に乗せられた私は、未だに頭が追い付いて来ていなかった。
気が付くと病室の前に居て、中から穂乃果ちゃんと海未ちゃんの泣き声が聞こえて来ている。
ぼーっとしたままの私を引っ張りながら、もう片方の手で壊れちゃうんじゃってくらいの勢いでお母さんが扉を開いた。
「ぁ…」
「…」
冷たくて、来るたびに胸の内を刺される様な感覚に襲われていた病室。だけど今は、なんだか暖かく感じてる。
「ぇ…ぁ…」
大泣きしながら抱き締める穂乃果ちゃんと海未ちゃんに困った様な表情をしながら、優しく撫でる姿は昔と変わらなくて…
「…」
ことりに気が付いたのか、まだ少し虚ろな金色の瞳でこちらを見つめる。
もう、我慢しなくても良いんだよね…?
「──っ!」
「おにぃちゃん!」
勢いよく抱き締めちゃったせいで、穂乃果ちゃんと海未ちゃんを巻き込んでベットに倒れちゃった…。でも、仕方ないよね?
「…」
小さく笑みを浮かべて、ずっと好きだった人が目を覚ましてくれたんだもん!
「───」
「…っ! えへへ…お兄ちゃん…
ありがとっ♪」
もう、ずっと離さないから…。
勝手にどこかへ行っちゃうのも許さないもん。ことりの事を、もう二度と一人にしちゃやだよ?
大好きだよ! お兄ちゃん♡
…あれ? なんか書きたいのと違う…? …と言う訳で、パパッと思い付いたの形にしますね!
〜ことりの誕生日。番外〜
「あっ、あのね…! お兄ちゃん!」
頬を桜色に染めて、モジモジと恥じらいながら、ことりちゃんが口を開いた。
「ほんとはずっと前から言いたかったの…。で、でも…お兄ちゃんは人気だから、いつも誰かが居て、恥ずかしくって…」
可愛いなぁ〜。出来るなら頭を撫でてあげたいけど…今じゃ出来ないね。
「だから二人っきりってすっごく緊張しちゃうの…! いつもは誤魔化してるけど、いっつもこうだったんだよ…?」
その割には僕の寝ているベットに入って来たり、一緒にお風呂に入ってもなんとも無さそうに見えてたけど…。まぁ、僕と同じ血が流れてるんだもん。欺くのは簡単かもね。
「あ、あのね! ずっと前から、大好きだったの…!」
うん、知ってるよ〜。…でも、
「お兄ちゃん…♪」
…流石に知らない部屋に閉じ込められちゃうと、お兄ちゃん困っちゃうかな〜。それに、僕を吊るしてる鎖が腕に食い込んでて、少し痛い…。
「すごいでしょ? 色んな時にお兄ちゃんの写真とか撮っててね! 前に撮った、『穂乃果ちゃんとキスをしている写真』はすっごくお気に入りなんだ〜!」
変な視線を感じると思ったら、ことりちゃんだったんだね。
「…お兄ちゃんは、ことりのでしょ?」
う〜ん、どうだと思う?
「なのに、なんで穂乃果ちゃんとキス、してたのかな〜♪」
ありゃりゃ。すっごく怒ってる見たいだね…。
「聞いた事に、答えて欲しいなぁ〜?」
「…ことりちゃん。これはことりちゃん達が決めた事だよ?」
「何がかなぁ?」
「僕は、
「ふぅ〜ん。そっか〜?」
やっぱり、いつかはこうなると思ってたけど…予想よりも早かったね。
みんな、僕への異常な愛情を持っている。
一つでも断ってしまったら、きっとみんなは傷付け合う。
だから僕は、みんなと付き合う事にした。…歪んでるでしょ? でも、これしか無かったんだよ。
「…でも、今日はことりの日だもん。だから、文句くらい言っても良いでしょ?」
「だ〜め。それを言われちゃったら、他のみんなからも言われちゃうよぅ」
「むぅ…」
あははっ、可愛いねぇ〜♪ 撫でてあげたいんだけど、僕って今、鎖で吊られてちゃってるからね…。と言うか痛いよぅ…。
白い少年の写真がびっしりと壁に貼られた薄暗い新しいことりちゃんの部屋。本来なら、この光景は異常なのだろうけど…
「でも、今日はことりの誕生日でもあるんだよ? 好きな事をさせて…?」
「えぇ〜? 困っちゃうなぁ〜…」
僕は…いや。僕たちは、おかしいくらいに狂ってるからさ。これが普通に感じちゃうんだよね。
「おにぃ〜ちゃん♡」
きっと…僕たちはもう、後戻りなんて出来ないだろうし…。もう、堕ちてくしかないよね?
『南ひばり誘拐事件から早くも二年。未だに誘拐の手口や証拠は見つかって居らず──
〜〜
…こう言うのが書きたかったのかも…? テンプレ的なヤンデレ…良いよね!
※変更後
急な内容の変更をすみません。内容を変える暇があるなら最新話を投稿しろと言いたい方もいらっしゃると思いますが、少し訳がありまして…
台風19号、凄い被害を出しましたよね。実は叔母が東京で一人暮らしをしているのですが、そこで怪我をしてしまい…急遽運ばれた病院に行かないといけなくなってしまったんです…。すごい大怪我とか、命に別状があるとか、そう言う訳では無いんですけどね。住んでる場所がちょっと遠くて準備等が忙しく、筆記活動が出来ませんでした…。
「ならこれは何だ?」って言われると思うんで簡潔に。本当はこっちを誕生日記念の時に投稿しようと思って完成させてたんですよ。違うかな?って思ってやめたんですけどね…。
ただでさえ投稿頻度が落ちてるのに、これじゃ退屈させちゃうかな…って思って、出来てる今作に少し修正を入れて投稿したって感じです。まぁ変更した事に気付いてない人、多そうだけど…。
長ったらしく言い訳を並べてきましたが、取り敢えずこれだけ。次回更新にはもう少し時間が掛かりそうです。楽しみにして下さっていた皆様(居たらいいなぁ…)、本当にすみません…。
ほんと、台風なんて消えちまえば良いのに…。
Aqours編、どうしよっか?
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同時進行で書いて!
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今のが終わってから書いて!
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どっちでも良いんだが…