みんなが過保護過ぎるんですが、誰か助けてくれません? 作:因幡の黒兎。
「へぇ〜。親の転勤が多くて友達が出来ないんだ?」
「出来ても、すぐにお別れだから…」
そう呟きながら、寂しそうに俯く女の子。あっちゃー、ちょっとデリカシーが欠けてたかな?
「そっかそっか〜。それって寂しいねぇ〜」
「うん…」
さっきまで少しは濁りが取れてたのに、また戻りかけちゃってる…。取り敢えず違う事に意識を逸らして、そっから話を膨らまそっかな。
「なら、なんか一人でも出来るような退屈凌ぎとか覚えた方が良いかもじゃない?」
「1人でも出来る?」
「そうそう! 前にテレビで女優がやってたんだよね〜。えっと、確か…
──タロット、だっけ?」
「ひぃ…男坂、キツいよぉ…!」
「もう脚が動かなぃ…!」
『二人ともお疲れ〜』
そう言いながら地面に倒れ込んで、荒くなった息をゆっくり整えることりちゃんと穂乃果ちゃん。良いね〜、なんだか青春してるって感じがするよ。
「これから毎日、朝と晩。ここでダンスと歌の練習とは別に基礎体力を付ける練習をして貰います!」
「1日2回も!?」
「ぴぃ〜…」
『しっかりとしたライブをするには体力が大事だしね〜。昨日、穂乃果ちゃんも身に染みてわかったでしょ?』
「はぁ〜い…」
あっ、おはよっ! 南ひばりだよ! 今はとある神社の前にある男坂で基礎体力をつける練習をしてる!…二人を海未ちゃんと折り畳み椅子に座って眺めてるよ〜。なんか気付いたら椅子に座らされてて、膝に海未ちゃんを乗せてたんだけど…ほんと、いつの間に?
「…と言うか、なんで海未ちゃんは走らないの…!?」
「私は剣道部で充分に体力が付いてますので。なにか?」
「ズルイよ! 穂乃果達が必死に走ってる時に、海未ちゃんはひばりくんとイチャイチャして!」
「そうだよそうだよ! 折り畳み椅子は二つ持って来てるんだし、そっちに座れば良いじゃん!」
「えーっと…ほらっ! ひばりの事を抑えておかないと勝手に何処かへ行っちゃうじゃないですか! ですから抑えてるだけです!」
『いや、別に何処にも行かないよ?』
「とか言いながら前に迷子になったのは何処の誰でしたっけ?」
ぐふっ…! ぼ、僕ですね…。あの時はほんとすみませんでした…。で、でもさ! 三毛猫だよ!? 珍しいし、そもそも数年ぶりの外でボルテージ上がるのは仕方なく無い!?
『そ、それよりも、二人とももう大丈夫なの?』
「話の逸らし方が露骨過ぎやしません?」
「ことりはまだ休みたいかも…。穂乃果ちゃんは…?」
「穂乃果も…もうちょっと休憩…」
「全く…二人はまだ伸びてるのですか?」
『いきなりこの坂を駆け上がるのは辛いだろうし、まだ初日だからね。今日はもう少し休ませてあげよ?』
「と言うか海未ちゃんは走ってないじゃん!」
「私のことは良いんですよ!」
「理不尽じゃない!?」
僕は歩いて登ったけど、それでもちょっとキツいって感じたからね〜。大した運動をしてた訳じゃないのに走って登って来れただけでも2人の事は褒めるべきだと思うなぁ〜。
「それでは、もう少し休憩をしたら軽くステップの練習をしましょうか」
「「はぁ〜い!」」
「…」クスッ
やっぱり頑張ってる姿って、キラキラしてて素敵だなぁ〜。みんなもそう思わない?
「…?」
「ひばりくん? どうかしたの?」
『いや〜、そろそろかなぁ〜って思ってさ♪』
「そろそろ…?」
…あっ、やっぱり来たね〜♪
「君たち。」
『おっはよ〜! 希ちゃん!』
おぉ〜! 巫女服姿の希ちゃんも可愛いねぇ〜! 後でお願いして写真撮らせて貰おっかなぁ〜♪
「っ…気付いとったん?」
『さっき希ちゃんを見掛けたから、もうすぐこっちに気付いて来るかなぁ〜って思ってね♪』
「なんや、バレとったんやね〜…」
プクーってほっぺを膨らまして悔しそうにしてるけど、驚かせるつもりだったのかな? でも僕は気付いてたから驚かないよ〜♪
「わわっ!?」
「ふ、副会長!?」
「なんでここに…?」
まぁ気付いて無かった三人は驚いてるけどさ。でも穂乃果ちゃんと海未ちゃんは驚き過ぎじゃない? あっ、希ちゃんが嬉しそうにしてる…。悪戯が成功して良かったね♪
「
『へぇ〜、バイトしてるんだ? 偉いね!』
「神社は色んな気が集まる、スピリチュアルな場所やからね」
「…すぴりちゅある?」
『キリスト教用語で霊的である事、霊魂に関する様の事を指す言葉だね。宗教的、精神的な物事に関する事柄で、他には…』
「うぅー! 難しくってわかんないよぅ!」
『日常的に使う言葉じゃ無いからね〜。ちょーすげぇー事って覚えとけば充分だと思うよ?』
「一気にわかりやすくなった!」
「少し意味が違うけどなぁ?」
『まぁね〜』
でも、希ちゃんは良くちゃんとした意味を知ってたね〜? タロットとか占いが得意って聞いたし、それで知ってたのかな?
「それに…」
「?」
「ウチなりの罪滅ぼしなんよ。神社でお手伝いをしてるのって…」
罪滅ぼし…って、どう言う事だろ? 神社で何か悪い事でもしたのかなぁ? お正月に配ってる甘酒をいっぱい貰ったとか?
「…」
そんな事を考える僕のことを、希ちゃんはどこか寂しそうな目で眺めていたけど…その理由はわからないまま、初めての朝練は幕を降した。
…でも、なんでだろう…?
何時もの事ながら誤字報告ありがとうございます。ほんと助かりますm(._.)m
評価を下さった一般学生さん、コルネリアさん、冬休みさん! ありがとうございます! ことりちゃんが妹って良いですよね! リアルでもことりちゃん見たいな妹、または嫁が欲しい…。
それと、久々に日刊ランキングに載ってました! 報告ありがとうございました!
UA100000突破! まさかこんなに読んで頂けるなんて思ってなかったですからビックリです…。これからも頑張りますので、どうかお付き合い下さい!
それじゃ、次回更新で会えると嬉しいです! …それと、今回も雑になっちゃってごめんね…?
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