ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外典 作:ミストラル0
今回は18層での休息のお話です
ベル達が転がり込んできた翌日。
八雲の提案でリヴィラの街へとやってきたベル達。
ここまで降りてくる際にいくつかの携行品をバックパックごと放棄せざるを得なかったベル達は勿論、ヘスティアは普段は来る事が出来ないダンジョンの中の街という事でリヴィラを回るのを楽しみにしていたのだが………
「何でヴァレン某達まで………」
その案内としてロキファミリアからアイズ達が同行を申し出た事でヘスティアの機嫌が悪くなった。
ちなみにレフィーヤは仕事があるので野営地でお留守番である。
「一応俺の身内ってボールスには伝えてあるが、足元見てくるような奴がいたら知らせてくれ」
「ありがとうございます、師匠」
買い物自体は八雲がボールスに話を通していたという事もあって必要な物は揃える事が出来た。
しかし、そんなベル一行を面白くないと思う者達もいた。
それは少し前にベル達のランクアップ祝いにチョッカイを掛けてきたモルド・ラトローだ。
彼からしたらランクアップしたばかりのベルがもう
そんなモルドを見てとある人物が笑みを浮かべていた事をベル達、そして八雲は知る由もなかった。
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買い物から野営地へと戻ったベル一行、その内女性陣は近くの水場へ水浴びをしに向かった。
ダンジョン中では基本的にこの18層のような安全地帯でもなければ安全な水浴びが可能な水場等滅多に無い。
最近はリヴィラにて八雲がボールスに入れ知恵して始めた銭湯*1があるが、使用料金は言わずもがな………個人的にならまだしも遠征中となれば利用は難しいのだ。
そんな神聖な場所*2へ忍び寄る2つの影があった。
「へ、ヘルメス様………本当にやるんですか?」
「ふっ………ある意味この世の楽園さ」
それはヘルメスとヘルメスに唆されたベルだった。
何故こんな事になっているかというと、八雲がまだリヴィラに残っており、ようやくベルと接触する事に成功したヘルメス。
そのヘルメスは女性陣が水浴びに向かったと聞くとベルを覗きへと誘ったのだ。
ベルも最初は遠慮したものの、ヘルメスの物言いが育ての親であった祖父の言動に似たものを感じ、断るに断れなくなってしまったのだ。
だが、ベルとヘルメスは気付いていなかった………水場へ忍び寄る自分達に迫る存在に。
「………人の弟子に何させようとしてんだ?パシリ神」
「し、師匠!?」
「や、八雲君?………君はまだリヴィラにいたんじゃ………」
そう八雲だった。
「用が済んだんで戻ってみればベルの姿がなかったんでな、嫌な予感がして来てみれば案の定ってとこだ………で?何か弁明はあるか?」
背後に大鎌を持つ三つ目の死神が幻視できそうな八雲である。
その冷たい視線はヘルメスに向けられたものだが、八雲のそれを体感する事が少なかったベルには近くにいただけでも恐怖を覚えるものだったようで、震えたアルミラージのようになってしまう。
「この先に楽園があると知って手を伸ばさない男がいるだろうか?否!いやしない!」
「で?」
「………だからその浪漫をベル君にも享受してもらおうと………」
「で?」
「………えっと、その………」
「で?」
「う、うわぁあああああ!?!?」
次第に圧の上がっていくそれにベルは耐えきれず、その場から逃げ出してしまう。
………“水場のある方”へと
「ベル!?そっちは!」
「流石はあの方の薫陶を受けし者だ」
「お前は黙ってろ」
「フンギャ!?」
とりあえずヘルメスを簀巻きにしてボコボコにした後、『私は純粋な少年を覗きに誘いました』と書いた紙を貼って水場からの帰り道に投げ捨てた八雲はベルなら女性陣から問答無用で攻撃はされないだろう、ととある目的の為にベルとは別方向へと森を進んでいく。
その目的は以前シャクティに聞いたユーリヤの両親の墓への墓参りである。
何故リヴィラ周辺ではなくこのような森の中にあるかと言えば、2人の事をよく思っていなかった者達に墓を荒らされる事を避ける為である。
故にその場所を知るのはガネーシャファミリアでも極一部の者か、八雲のようにその極一部の者から教えられた者だけなのだ。
八雲は自力でこの18階層へと到達出来るようになった際にシャクティからその場所を教えられており、ユーリヤの遺品でもある母親のペンダントはその墓標の傍に八雲が新たに作った墓標に掛けられている。
その墓標の近くにいくつかの武器が墓標代わりに突き立ててある場所があるのだが、シャクティからは闇派閥との戦いで壊滅したファミリアのものだと八雲は聞かされていた。
それ以降は立ち寄った際にそちらの周りもついでに手入れをしていく事にしていたりする。
そして、その場所の近くには“もう1つの水場”があるのは知っていたが、今回の騒動にその“壊滅したファミリアの関係者”がいる事を八雲は知らなかった。
故に八雲が日本にいた頃の習慣から桶と柄杓を持ってその水場に水を汲みに行った事でその事件は起きた。
「………へっ?」
「何者っ!?」
「あぶっ!?」
そう、他の女性陣とは別にその水場で水浴びをしていた彼女………“リュー・リオン”と遭遇してしまい、不審者か覗きと思われ石を投擲されてしまった。
石は咄嗟に取り出したバックラーで防ぎ、そのままバックラーで彼女を見ないようにした八雲だったが、一瞬だけ見たその姿はしっかり脳裏に焼き付いていた。
「貴方は………村上さん?」
「すまない!覗くつもりはなかったんだ!この先にある墓にと水を汲もうと立ち寄ったんだが、まさかリューさんがいるとは思いもしなくて!」
そう言って桶を見せると、リューは警戒を緩め問い返す。
「墓?それはもしやトーリバ夫妻の………」
「今はその娘も、だ………俺の昔のパーティーメンバーだった」
「そうでしたか………」
その後、八雲が水場を一旦離れてリューが衣服を整えてから改めて話をする事になった。
「なるほど………あの場所の手入れをしてくれていたのは村上さんでしたか。ありがとうございます」
「いえ、まさかリューさんの知り合いの墓だったとは………」
「ええ、私の大切な人達の………もっとも中身はなく、遺品の武器があるだけですが」
「………使い込まれた良い武器でしたから、きっとその人達の想いはそこにあるんでしょうね」
「結構ロマンチストなのですね、村上さんは」
「………受け売りですよ、兄貴の」
それからそれぞれの墓の手入れをしてから手を合わせ、他にもやる事があるとの事だったのでそこでリューとはそこで分かれて八雲は野営地へと戻った。
ベルがリューの方へ向かわなかったのは八雲にビビっていたせいで本能的に八雲がいる方角を避けたからです
こんな感じで少しずつ原作とは違う展開があります
この先は大きく相違点が出てくる事になります(特に劇場版の辺りから)
感想等がありますと執筆の励みになります