ツツジを嫁にするまで   作:呉蘭も良い

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二話連続投稿。
この話から気づいた人は前の話を読んで下さい。



十三話

初めてのジム戦に勝って浮かれた俺達は翌週末、直ぐにトウカジムへと挑戦する事にした。

 

まぁ多少は浮かれても良いじゃないか。

ただのジム戦じゃなくて、本気のジムリーダーとの戦いに勝ったんだから。

 

ただ1つトウキは確かに本気だったが、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

トウキはツツジから俺へと連戦した様に、あのレベルの強さのポケモンをキチンと複数所持している。

つまり、ポケモンリーグ公認の6対6のバトルなら俺達は絶対に勝てないのだ。

 

そこの所は勘違いしない様に、俺もツツジもなるべく自身を諌めている。

 

……けどまぁ、次のジムには行っても良いよね?

 

ってな訳で俺達はトウカシティーのトウカジムに来た訳だけど___

 

「申し訳ありません。 只今ジムリーダーは所用でジョウト地方に出ておりまして、1ヶ月は戻らない予定なのです。」

 

「……そう、ですの。 わかりましたわ。 でしたらまた1月後に訪問させて頂きます。」

 

「大変申し訳ありません。 1月後にお待ちしております。」

 

残念、居なかった。

 

まぁそうだよな。

ジムリーダーだって人間だもの。

プライベートな時間だってそりゃあるよな。

 

行きなり訪問して即ジム戦、ってな方が普通はおかしいのか。

これからは先に手紙でも出して、いついつに訪問します的な事を約束した方が良いな。

 

それにしても、センリの前のトウカジムのジムリーダーってどんな人なんだろ?

ノーマル使いの婆さんとは聞いた事あるけど、それ以外の情報は知らないんだよな。

 

まぁいずれにしろ、今日の所は帰るしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでカナズミシティーへと帰って来たが、予定がぽっかり空いて、昼前だと言うのにやる事がなくなった。

 

今からキンセツジムに行く訳にも行かんし、ってかキンセツシティーは自転車で移動しても1日は掛かるから行けないし。

 

特にやる事もない俺とツツジはカナズミの広場のベンチでぽけーっとただ座っている。

 

「……あ、そろそろメレシーにご飯をあげる時間ですわ。」

 

広場にある公共用の時計を見て、ツツジがメレシーに餌を与える為にバッグをごそごそし始める。

 

「? あら? 残りこれだけでしたの?」

 

俺もエルフーンに餌をあげなきゃと思い、自分のバッグからポケモンフーズを取り出していたら、彼女がそう呟いた。

 

俺が視線を向けると、彼女の手には指先程度の大きさをした青紫色のダイヤが3粒だけ乗っていた。

 

……人工ダイヤとは言え、一体あれだけでいくらになるんだろう?

なんて俺が邪な想像をしていると、彼女はボールからメレシーを出してダイヤを1粒与える。

 

俺が提案したとは言え、何度見ても贅沢な奴だと思ってしまう。

いやまぁ、一食で指先程度の大きさの物を1粒だと思えば、燃費は良いのかもしれんが。

 

俺がエルフーンにポケモンフーズを与えながら、ちょっと複雑な心境でメレシーを見ていると、ツツジが今日これからについての提案を出した。

 

「ソースケ、私はこれからデボンコーポレーションに行って、メレシーの為にダイヤを受け取りに行こうと思いますが、貴方も一緒に行きませんか?」

 

「あ~、まぁ、暇だし行こうかな。」

 

ぶっちゃけ親父の職場だし、息子の俺はあまり顔を出さない方が良いんだろうけど、……マジで暇だし付いて行こう。

 

そうしてポケモンに食事をあげ終えた俺達は、この街で一番大きいビルのデボンコーポレーション本社に出向いた。

 

そしてビルの扉を潜り、一番最初に迎えられる受付にてツツジが慣れた口調で要件を話す。

受付の人もツツジとは顔見知りで、いつもの要件ね、と言わんばかりにさっさと手続きをして、俺達は2階の研究施設へと通される。

 

「後は研究資料としてメレシーの写真を取って、ちょっとした検査をしたら食事用のダイヤを貰って、終わりですわ。」

 

2階への移動中、ツツジは俺にそう説明した。

 

「ふーん、結構楽なんだな。」

 

「私は楽ですが、メレシーは少々気疲れしてしまうみたいですわね。」

 

そりゃそうか。

当事者はそれなりに大変か。

 

2階の研究施設に着き、ツツジが研究員にメレシーを預ける。

 

30分程の検査時間を再びぼけーっと待っていると、奥からざわざわと興奮した話し声が聞こえて来る。

 

……何かあったのか?

 

俺とツツジが怪訝な表情で奥を眺めていると、顔を紅潮させた研究員が小走りに俺達の所へとやって来た。

 

「ツツジさん! 凄いですよ、メレシーの宝石が確かに変化し始めています!」

 

その言葉に俺達は目を見開きポカンとしてしまう。

 

「……えっと、先週までの検査の時のように、僅かな違いで誤差の範囲、とかではなく?」

 

「その誤差の範囲を、確かに越えた数値が出たんです!」

 

研究員は興奮しながら○○のどの値がどう越えて、変化している等を早口で説明したが、……全く意味がわからない。

専門知識は勘弁してくれ。

 

「あぁ~、すいません! これを見た方が速いですね。 こっちは1ヶ月前の初めて検査した時の写真で、こっちが今日検査して撮った写真です。」

 

そう言われて、俺達は2つの写真を見比べる。

 

……成る程、若干だが、確かにメレシーの宝石が()()()()()()()()()()

 

「……全然、気づきませんでしたわ。」

 

「いや、この違いは見比べないと無理でしょ。」

 

間違い探しよりも難易度高いぞ?

言われて初めて、気づく奴だこれ。

 

俺達がそんな風にメレシーの変化に驚いていると、ダンダンダンダン、と誰かが___ダイゴさんが走ってここまで来た。

 

「ハァハァ! メ、メレシーが変化し始めてるって、ハァ、本当か!?」

 

慌て過ぎだろ御曹司。

報告を聞いて急いで来たな?

 

「本当ですダイゴ様! これを見て下さい!」

 

ダイゴさんは研究員から、俺達には良くわからない何か色々な数値が記載されている紙と、先程まで俺達が見ていた写真を奪い取るかの様に受け取り、穴があくんじゃないかと思う程に眉間に力を入れて紙を凝視する。

 

「……成る程……成る程。……うん、実際にメレシーを見せてくれ、検査が終わったならここに連れて来てくれ。」

 

研究員はダイゴさんの言葉にはいと答えて、奥に行ったと思ったら1分もしない内にメレシーを連れて戻って来た。

 

「あぁ、本当だ。 メレシーの額の宝石が確かに変化している!」

 

ダイゴさんはメレシーを見た瞬間にそう判断した。

 

……いや、やっぱ俺はわっかんねぇや。

 

「……うーん、言われて見れば、確かに最初の頃よりかは色が付いた様な?」

 

……実は君もわかってないだろツツジ。

 

「あぁ、間違いないさ! 僕の好きなバイオレットダイヤの色に近付いている!」

 

お前の趣味か!?

何で餌のダイヤが青紫色なんだろうって、ずっと疑問に思ってたけど、これお前の趣味で選んだな!?

 

いや綺麗なんだけど!

良いのかこれ!?

 

……いや、良いのか。

考えたらこの人スポンサーだったわ。

スポンサーの意向には従わないとな。

 

「素晴らしい成果だよツツジさん! そして良くぞ提案してくれたソースケ君!」

 

「「あ、はい。」」

 

俺とツツジはダイゴさんのテンションに軽く引きながら、声を揃えて返事をする。

 

「報酬を! そうだ、何か欲しい物はないかい? 君達に報酬を渡そう!」

 

「えっ!? い、いえ、ダイゴさんにはお世話になっておりますし、報酬なんて、そんな……。」

 

ツツジはそう言って、ダイゴさんからの報酬を固辞しようとするが、俺は1つ頼みたい事を思いついた。

 

「……ダイゴさん、何でも良いんですか?」

 

「あぁ! 到底無茶な物でもない限り、何でも構わない!」

 

そうか___

 

「……なら、【ツメのカセキ】と【ねっこのカセキ】なんて、貰えませんかね?」

 

こんな機会だ、貰えるものは貰っておこう。

 




って事で、手持ち2匹目はカセキポケモンだ。
お揃いのポケモンとか、使わない訳ないだろ?
予想された方も、オススメしてくれた方もありがとうございます。
主人公は先ずはリリーラをゲットするぜ。

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