PVで分かる範囲以外のネタバレは(来年のメインキャラ一言以外は)ない!!!!
その壁は高かった
年を取らないのに年度は変わる世界に住むようになりそろそろ三年――コナン映画最新作のPVにハレルヤと声をあげた。警察学校組メインですかそうですか有難うございます。この企画を進めたのは警察学校組箱推しオタクに違いない有難うございます。
「待ってた甲斐はあった……!」
去年は赤井ファミリーしか勝たず、一昨年はCovid19で様々なものが延期やら取り止めになり、三年前は物理最強の男がシンガポールを舞台にド派手なアクションを繰り広げた。つまり――日本を舞台に日本の警察組織が活躍する作品の上映は四年ぶりなのだ。
PV公開の数分後、すずからのメッセージ通知がポコンポコンと音を立て始める。
『尊すぎ無理みがつよい』
『安室さんはヒロインだった?』
『公式はコ安なのか? 精神的コ安肉体的安コは私の好みだもっとやれ年下の包容力を見せてやれケツで抱け』
『生きててよかった苦悶式』
『(いちご味スタンプ)』
『首の爆弾がとてもえっちです有り難うこざいました』
『(太陽光◯崎の音声付きスタンプ)』
『安コに生まれしこの命華麗に捧げて見せましょう』
『神様有り難う運命のいたずらでも(安コに)巡り会えたことが幸福なの』
『(吸血鬼がとても死ぬスタンプ)』
いちご味と
なお、感染拡大やら何やらですずの旦那さんは拠点を日本に戻し、すずも日本に戻っている。つまり。
「公開されたら一緒に見に行かないかい、とな」
メッセージを送ったら即座に『もちこーす』と返事があって、前売券発売日の朝十時には『三周分そろえました』とムビチ◯カード六枚の写真が送られてきた。
そして私の手元にも四枚のム◯チケカード――つまり、最低でも五回は行ける。
そわそわと公開を待つなか気になったのはハニーフェイスゴリラ降谷零の身の安全。私のうっかりやミスで百万ドルの降谷零の首と胴が死に別れ(物理)になったらどうしよう、いくらゴリラでもゼロ距離の爆弾には勝てない。もしも私の悪影響で日本の擬人化降谷零が死んだら……腹を切って詫びてもまだ足りない。
不安と心配で胃痛がする。事件が終わるまで離れておくべきか――いや、待て、逆に考えるんだジョジョ……もしかしたら既に事件は終わった後かもしれない、と。
「零さん、物騒な首輪嵌められたことあります?」
「はい?」
素でこの反応なら事件発生前だろう。我らが愛すべき麗しの降谷零は何故か私に隠し事をしないから、間違いなく「
難しいこと考えて疲れた。さっさとお風呂入って寝よう、今日は早じまいして気楽な明日が待ってるぜ!
「誰にも迷惑をかけたくないし」
イキグ◯レ名曲多すぎ問題。歌詞にある通り、武器は格好いいけど使われる事態は来てほしくない。爆弾も見る分には良いけど首に嵌められたくはない。ラブ&ピース! おっぱっぴー!
「これがっドーピングコンソメスープだ!」
D・C・DCSDCS以下略!
はっぴーうれぴーよろぴくねーと明日の私を元気付けてお風呂を上がり、寝て起きてを繰り返し――迎えたる4月15日。魔法のムビ◯ケカードで座席を予約した映画館に向かう道はあいにくの雨天。傘を差して駅まで歩く道は少し寒く、新宿で合流したすずも少し冬に戻ったような厚着だ。寒いねーと話ながら階段を登り、エレベーターに乗って、扉が開けばもうここは映画館。
「九時からの回よね?」
「そうそう。観終わったら十一時だから……ランチは楽しみにしてて良いんだろう?」
「ええ。十二時半に渋谷のお店を予約してあるから、観終わってからグッズ買う時間は十分あるわね」
「流石
ランチは舌が肥えたすずに任せ、映画の席は私が取った。全身で映像を受け止めるために座席は最後尾を選んだけど、残念ながら最後尾のど真ん中は取れなかった。少し左よりに空きがあったからその席だ――最後尾ど真ん中は次の機会に狙おう。
まだ上映まで時間があるからまっすぐ向かったのはグッズコーナー、パンフレットはとりあえず一人二冊買ってフード売場へ。
でもコールドドリンクを飲み過ぎてトイレが近くなったら困る。コラボドリンクはハロウィンの花◯ティーだけ――かさばるもの含め、残りは帰りに買う。
窓際のソファーでオマケのアクリルコースター開封式を行い、私には警察学校組、すずの元には松田。
素晴らしい警察映画だった……ビバブラボーハラショー警察官! ハラショーハラショーボルシチには黒胡椒、監督と脚本家は我々の要望を良く分かってる。そうだよ警察学校組だよ我々はこれに飢えていたんだ! 麻酔効かないお父さんも解釈一致です! ってか事故の時の哀ちゃん可愛すぎでは? こんなの命に代えても守ってしまうつまり哀ちゃんの存在>>>>高い壁>>>>>私の命。
ふええ降谷ありがとう降谷、こんなてぇてぇ降谷がこの世に存在していることに解釈不一致です。こんなに格好良くて雄々しくて強い男がいるなんてアンビリーバボーがこの世にあるわけがないじゃないですか! なんてったって奇跡体験なんだよ! 駄目だ思考回路がおかしくなってきた私は日本語が不自由です。あいきゃんすぴーくじゃぱにーずべりーうぇる。
感動の涙をこらえつつ実写のエンドロールを眺め、ふと横を見た。すずはどんな反応だろう――お昼食べた後にもう一回観たいって言ったらオッケーくれるかな。
だけど隣にすずがいない。足元の荷物だけ残してすずがいない。何が起きた。神隠し? 映画館誘拐事件? 待て慌てるなこれはプラーミャの罠だ。
周囲を見回せどすずの姿はなく、動くのはスクリーン上の実写映像とクレジットだけ。一体何が起きたって言うんですかオンドゥルルラギッタンディスカー!?……すずの席と館内を見比べてるうちにエンドロールが終わり、後日談と来年の映画紹介で会いたかったぜシェリー。アイエエエエシェリーって哀ちゃんじゃん!? 哀ちゃんナンデ!? いやもちろん次は黒の組織で哀ちゃんがメインの映画ってことですよね分かってますとも女キャラでは哀ちゃん激推しの私のための映画ってことですね知ってるこの世はハレルヤ。冒頭の赤ずきん哀ちゃんは控えめに言っても最&高、狼さんになって襲いたいレベルの哀らしさに間違えた愛らしさに全私がノックダウン有り難ういい薬です。
灰原哀ショック略してハイショックにより私の意識がスクリーンに奪われたその一瞬で、隣にすずが戻っていた。ちょっと待って理解できない何が起きたの? 館内に明かりが戻り、すずの顔もはっきり見える――めっちゃシリアスな顔してる。
「ねえ、かなちゃん」
「あ、はい」
「異世界トリップ……したことある?」
「常習してますね」
毎日が異世界トリップな私に隙はない。「見てくれこの純粋な瞳」と胸を叩いたけど、すずは背中を丸め「そうね」と呟きため息を吐く。
公開日とはいえ平日の午前中の回だからお客さんの数は少ない。何度か深呼吸を繰り返してるすずを待ってる間に、館内に残っているのは私たちだけになった。
「あのね、実は今、夢小説みたいなことが起きたの。聞いてくれるかしら」
「ほほう、詳しく聞こうじゃないか」
夢小説展開なら私も経験者だ。連れだって席を立ち、向かうは渋谷。この映画観たあとに渋谷に行きたくないって渋ってる奴はいる? 渋谷だけに!――いねぇよなぁ!