全集中の呼吸で「最強」を目指すのは間違っているだろうか 作:V.IIIIIV³
・鬼滅の刃が連載終了する
・ダンまちの3期まで残り一ヶ月
・関係ないけどハイキューが終わった(悲しい)
・半年たってもまだコロナ続いてる
ぱっと思いついたのはこれだけだけど、これでええんかV.IIIIIV³?
鬼滅は終わっちゃったけど、最近1500人とか閲覧10万ってやべえ数字だよなって自覚したので、まったりでも続けていこうと思います。こんな俺を見放さないでくれる方々は、これからもよろしくです!!
「……起きないな、刃」
ヘスティアが用事があるので留守にすると言って出かけた夜から現在まで、ベルはダンジョンにも行かず刃に付きっきりでの看病をする生活を送っていた。
(無理やりご飯食べさせてるだけだから、取れてる栄養の量が少ない。まだ衰弱してるってほどではないけど、そろそろ起きてくれないと……)
ベルが昏睡状態の刃を背負って帰ってきた日から、既に四日。一向に目を覚ます兆しが見えない。
以前、二人がアイズと初めて出会った日、刃はダンジョンで今回とは比べ物にならないくらいの大怪我を負った時でさえ丸一日で目を覚ましたと言うのに。(その時のベルは、アイズと刃の剣戟の衝撃に一合目から耐えられなかったため、何が起こったのか全く記憶していない)
ヘスティアは、今の刃は"何者か"からの精神攻撃を受けている状態だと語った。そしてそれを聞いた上で、ベルもヘスティアも、刃がそれを乗り越えて帰ってくるに決まっていると信じて疑わなかった。勿論それは今でも変わっていないのだが、それよりも先に肉体の限界が来てはどうしようもない。
どうにかして刃の力になりたいと思うベルだが、刃が今蝕まれているのは物理的な攻撃でも対処方法が明確な毒攻撃でもない。いまのところ得体のしれない精神攻撃という括りである以上、その手の事象に有効なスキルどころか、魔力すら目覚めていないベルにはどうすることも…………。
というところで、ベルの思考が電撃のように駆け巡った。
「まさか、誰かからかけられた魔法!?」
ベルが新しい可能性として弾き出したのは、他の冒険者、またはモンスターからの魔法攻撃である。
通常なら真っ先に疑うであろう可能性ではあるが、刃が転生者であるという事と、それに伴う規格外の行動や彼に降りかかった──正確には自分から首を突っ込んで行った──災難の数々から、今回の出来事もそれと同列のものだろうと考えたヘスティアは、純粋な攻撃によるものである可能性を無意識に除外してしまったのである。
そして、自分自身に魔力が宿っていなかったゆえに、ベルもまた魔法攻撃の可能性は考えつかず、ヘスティアの考察を疑わなかった。
「そうだとしたら、まず犯人を見つけ出さないと!」
そう意気込んで情報収集に出ようとするが、現状で確定している情報が少ないため、有益な情報は得られないことに気付き足を止める。
「でも、刃が倒れてた階層にそんな魔法を使うモンスターはいないはずだし、そもそも僕、魔法のこと何も知らない……」
知識が足りないながらも思考を回し、刃を発見した時の状況などを思い出して少しでも手がかりをつかもうとする。
…………しかし残念というか、なんというか。実際のところは魔法どころか攻撃ですらなく、犯人は現実に存在しない
刃はベルがこんなにも悩んでくれていることはいざ知らず、その亡霊に嬉嬉としてしごかれている真っ最中なのだが、ベルがそれを知る日が来るのはまだまだ遠い先の事だろう。
「うーん、何かいい方法は…………。そうだ、エイナさんに聞いてみよう!」
冒険者歴三週間ちょっとの自分の知識なんかよりも、ギルド職員に聞いた方が何かが分かるだろう、という一縷の望みにかけて、ベルは手早く身支度を済ませ街へ駆け出した。
(待っててね刃。刃は必ずボクが助けるから!)
「おーい白髪頭!ちょっと待つニャ!」
ギルドへ向かって全速力、とはいかずもそれなりの速さで走っていたところを、とある女性の声に引き止められた。
声の聞こえた方向を振り返ってみると、そこにあったのは先日世話になった居酒屋『豊穣の女主人』と、その店の制服である黄緑色を基調としたメイド服を身にまとった獣人の店員、アーニャであった。
二人は律儀に朝の挨拶を交わした後、ベルの手元に小さながま口財布が置かれた。
「にゃからー、おみゃーは、おっちょこちょいのシルにこの財布を届けるのニャ」
「……すみません、まだ状況が飲み込みきれてなくて……」
「アーニャ。それでは説明不足です。クラネルさんも困っています」
アーニャの独特なペースについていけなくなっていたベルの元に、洗濯カゴを抱えて出てきたリューの鶴の一声が降ってきた。
「リューはアホニャ。店番をすっぽかして
「という訳です。無論、シルは休暇を取って祭り見物に行っています。今頃財布がなくて困っているところでしょう。引き受けて頂けますか?」
なるほど、確かにシルであればやりかねない。と、ベルは軽く相槌を打つ。本来なら困っている女性を見逃すことなんてことはしないベルだが、いかんせん今はファミリアの治療の方が優先順位は高い。
「すみません。これから急いでギルドへ行って、やらなきゃいけない事があるんです」
「?何やら焦っているようですが、どうかされましたか?」
リューに焦りを見抜かれ、一瞬驚いて体が跳ねた。適当にお茶を濁して先を急ごうとも思ったが、そこはやはりお人好しのベル・クラネル。自身を心配してくれているリューの気遣いには逆らえず、事の顛末を事細かに二人に話した。
「なるほど。そのような事が……」
「ていうか、白髪頭のとこのファミリアって、おみゃー以外に団員いたんだニャ」
「つい一週間前くらいに新しく入ってきたんですよ。て言っても、僕が入ったのもその二週間前くらいなので、ほとんど同期みたいなものですけどね。それではそういうことなので、申し訳ありませんが失礼します!」
「それでしたらクラネルさん。貴方はやはり
ギルドへと向かって踏み出した足が、今度はリューの言葉によって引き止められる。
「どういう事ですか?」
「貴方の話を聞く限り、その症状は魔法と言うよりも
その魅力に釣られ、ただの住民や商人だけでなく、冒険者、神々まで立場を問わず様々な人物が訪れる祭典。それが《ガネーシャ・ファミリア》主催の
もしギルドに行ったとしても、せいぜいが
刃の体に何が起こっているか分からない分、長い時間が空くのは良い選択ではない。合理性を考えても後者の方が刃に良いのは明らかだ。
「でも、僕にそんな魔法使いにツテなんて……」
「大丈夫。コロシアムに着いたら、《ヘルメス・ファミリア》のアスフィを探してみて下さい。私の名を出せば力になってくれるかもしれません。他にもいくつかアテがあるので、メモにまとめて渡しておきます」
一瞬、そのような人物達に対するコネクションを持っているリューは一体何者なのかという疑問が生じたが、今はそれより、刃の問題に一縷の望みが見いだせたことへの歓喜が勝った。
リューからアスフィについての情報や、彼女がどこにいる可能性が高いかなどの情報を受け取り、最初に向かっていた方向からコロシアムのある方へ方向を変え、出発態勢を整える。
最後にリュー達にお礼を言い、財布は任せてください、と言い残して、ベルはコロシアムの方へ走り去っていった。
そして、間もなくしてコロシアムに到着。屋台のエリアからコロシアムの出入口まで多くの人でごった返していて、小さく会話を交わしているだけの声も相乗効果を伴い、大きな喧騒に変わって耳に届いてくる。
「ようやく着いた……。とにかく、アスフィさんを探さなきゃだけど……」
眼前いっぱいに広がる人混み。人が人の壁になり、道を挟んで片側の屋台は煙しか視認できないほどの混雑具合を改めて眺め、ベルは深くため息をついた。
この様子ではリューに身体的特徴を聞いただけのアスフィは愚か、顔見知りのシルですら見つけることは困難であろう。
しかしファミリアのため、今は泣き言を言っている暇はない。人混みへ足を踏み出す。
その時、どこからか聞きなれた声が聞こえた気がして、はっと辺りを見渡した。流れる人から邪魔だという視線を向けられていることに気付きながらも、足を止めてぼんやりと浮かぶイメージを確定させようと頭を回す。確かに近付きながら繰り返される声が頭の中で反響する度イメージははっきりとした形を持ち、人混みから見え隠れする純白の手袋を見た瞬間、それは確信に変わった。
"それ"は人混みの中からベルに飛びついて、二人まとめて通路脇に倒れ込んだ。
「神様!!おかえりなさい!」
「やっぱりベル君だった!会いたかったよ!」
そう言って、ヘスティアはベルの胸にすりすりと頭を擦り付ける。道行く人にチラチラどころかガン見されているし、何より自身が死ぬほど恥ずかしいのでヘスティアをどかそうと手を浮かす。
だがしかし、あまりに幸せそうにしているヘスティアの姿を見ると、なんだか先程まで張っていた緊張の糸が緩んだ気がした。普段ならばありえないが、今日はもう少しこのままでいようという気持ちになり、そっと手を下ろし抵抗をやめた。
そしてベル成分を十分に充電しきったヘスティアは、冷静になって浮かんできた疑問をベルに問う。
「ベル君はこんなとこで何をしていたんだい?刃君が見当たらないようだけど、もしかして、まだ起きていないのかい!?」
先程の緩みきった表情から一転して緊迫した声を上げるヘスティア。ベルは現在の状況を細かく説明していき、協力を仰ぐ。ヘスティアは少し俯き顎を指で支え、なるほど、と息をつく。
「
なんでそんなことにも気づかなかったんだ……!と、ヘスティアは心の中で自問自答し、髪の毛を乱雑に掻き回す。
そんなヘスティアの荒れている姿を心配そうに見ていると、ヘスティアの目元に、深い
「(ちょっと考えればたどり着く可能性だった。刃君が転生者だからって、ここではたった一人の冒険者であることには変わりないって言うのに…………何を勝手に結論づけて安心していたんだ、ボクは!!)事情は分かった。ベル君、早急に魔導師をさがムグゥッ!?」
思考をまとめあげ、一刻も早く刃を助けるために動こうとベルの方向に振り向くと、口の中に何かを入れられた。いや、ヘスティアが顔を動かしたことで口の中に入り込んだというのが正しいか。
途端、甘い味が舌の上で溶けだした。そこでようやく、自分の口に入り込んだのがクレープであったと気付く。
ヘスティアは困惑し、向く方向を間違えて屋台を回っている途中の人が手に持って歩いていたクレープを食べてしまったのではないかと考えたが、クレープに添えられた手を辿ってみれば、そこに居たのは紛れもなくベルであり、ヘスティアが咥えているクレープを持つ手と同じように、もう片方の手にもクレープを抱えていた。
「神様。僕達のために、すっごく大切に思ってくれるのは、とっても嬉しいです。心配かけてしまって本当に申し訳ないとも思ってます。
でも、神様が僕達を思うのと同じくらいに、僕達も神様を大切に思ってます。だから、今日は羽を伸ばしてください」
「ベル君……。でもいいのかい?そんな悠長にしていたら刃君が……」
「大丈夫です。情報収集しながら、寄り道して屋台を回るだけですから。そのための時間くらい、刃は平気で耐えてくれます!」
そう言ってベルは、左手に持った自分用のクレープにかぶりつき、ニカッと笑って見せた。
その顔に、その声に、その言葉に。焦りや苛立ち、様々な負の感情に包まれていたヘスティアの心は払拭され、魅了された。
「……分かった。じゃあ思いっきりお祭りを楽しもうじゃないか、ベル君!」
満面の歓喜の笑みを浮かび上がらせながらそう言ったヘスティアは、今度は自分の意思で、勢いよくベルの手にあるクレープを頬張った。
────────ーベルの"左手"にあるクレープに。
「えぇっ!?!?ちょっ、神様!?何してるんですか!」
「いいじゃないか、その分ボクの方もあげるからさ!はい!」
…………魅了されていたのは、とっくの昔からであった。
そんなファミリアの微笑ましい光景を、覗くようにして見ていた神が
「いきなり呼び出しといて自分はよそ見しながらうわの空とか、何がしたいねんお前は」
背後にアイズ・ヴァレンシュタインをたたずませて、《ロキ・ファミリア》主神ロキは、テーブルを挟んで向かい側に座る
「……あらごめんなさい。外でとってもいい色が見えたから、つい見とれてしまって」
そう言って、美の化身フレイヤは頬を赤らめる。
「あいっかわらずお前の色トークはよぅわからんわ。まさか、そいつが今回目ェ付けた子どもかいな?」
「えぇ。そんなところね。と言っても、片方しか見られなかったのは残念でしたけど」
「なんや、今度は二人もおるんかいな?全く、ホンマにとんだ浮気もんやで。で?今回のはどないなもんなんか吐いてもらおか。わざわざウチのファミリアといざこざになんかなりとうないやろ?」
あくどい笑みを浮かべ、声と併せてフレイヤを睨め着けるように問いかけるロキ。先程からロキの目線がチラチラとアイズの方向へ向けられているのも、先刻の発言の本気さを底上げする。
そんなロキからの
「初めて見たのはほんの数日前。両方まだ強くはなくて、一人は本当に少しつつけば壊れてしまいそうな程だったわ。でも、それはとても綺麗に透き通っていた。色という表現が適しているのか分からないほどに透明。今まで見たことの無い色に、見とれてしまったものよ」
「ほぉ、やっぱ色トークは分からんが、なんやヤバいことは分かったわ。そんでもう一人の方はどないなんや?」
フレイヤの独特な感性による色トークを、自分から聞いておきながらも半ば聞き流しながら聞いていたロキが、飲み物片手に相槌を打つ。
「…………そうね。何も見えなかったわ」
「はぁ?」
「今までにも強い光を放つ色は沢山見てきたわ。でも、あの日見たのはそんなものじゃない……。全てを照らす天の輝きにすら等しいと感じたわ。そんなもの、直視なんてしたらこっちの光が奪われちゃうわよ」
今度は左手で自分目を覆い隠しながら、そう言った。それを一通り聴き終わったロキはグラスの中身を飲み干し、タァン!と音を立てながら卓に置く。
「それはなんや。その子どもはワイら神と同列のもんやとでも言いたいんか?」
開眼したロキの目が、ギラリとフレイヤを睨みつける。
「そこまでは言わないわ。でも、そうね……。あの水晶のような光に、あの輝きを通したら…………。考えただけでときめいてしまうわ」
思い返しているだけなのに、完全に心を奪われたような表情で語るフレイヤ。先程まで威圧感を全面に押し出していたはずのロキもゾッとして、ドン引くついでに血の気も引いていった。
ロキの反応には目もくれず、我に返った様子のフレイヤが急に立ち上がった。
「……ごめんなさい。急用を思い出したから失礼するわね」
「はぁ!?なんやねん急に!?って、勘定こっちかいな!」
背後から聞こえるロキの声を無視して──正確には最初から最後までほとんど聞いていなかったが──颯爽と歩き去るフレイヤ。
店を出てしばらく歩き、フレイヤはコロシアムのある場所へと続く薄暗い通路を歩いていた。
(そういえば、話し忘れちゃったわね。
コロシアムの檻に鎮座する
(でも、あれじゃどの道話せなかったわね。それに、確かに見た事ない色ではあったけど…………)
フレイヤの『美』に魅入られた怪物達は、自身を取り囲む窮屈な檻を突き破り、植え付けられた本能の赴くまま、標的の匂いを追い求めて走り出す。
(あんなに汚く歪に汚された色なんて、なんの興味もないわ)
これから巻き起こる大騒動の首謀者であるこの神は、暗闇の中で小さく笑みを浮かべていた。
「さぁ、私が魅了された色たちは、どんな風に魅せてくれるのかしら?」
「ウゴゥルアアアアアアアァァァアアァア!!!!!!!」
だだっ広い広場に怪物の雄叫びが響き、祭りを始める
「シルバーバック!?」
「ベル君、アイツ……ボクを見ていないか?」
〜〜今回の話を投稿するまでに起こったこと〜〜
ベル君たちがモンスターフィリアにいくための口実が見つからなくて執筆止まる。
→何とか捻り出してコロシアムに到着する所まで執筆。
→前の話を読み返すと、口実がその話とめちゃくちゃ矛盾してることが発覚。
→一回書いたやつを修正するのはなかなか難しく、手こずって時間がかかる。
→何とか矛盾をなくしてから続きを書く。
→ようやく完成。
やっぱ間開けすぎるのはダメだって思い出したよね。