あの頃の冒険を思い出したいお前ら及び私の為の物語(仮)   作:長良 マムシ

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どうしても書きたくなって書いてしまった。
後悔はしていない。
10年越しのポケットモンスタープラチナをどうぞ。


旅立ちがフタバタウンからだとは限らんのだ
01 私はあいつの嫁の妹


「ただいまー」

「おかえりお姉ちゃん!」

「ええ、スミア。ただいま。そして誕生日おめでとう。いい子にしてたスミアに、ちょっとしたプレゼントがあるのよ。はい、これ」

「これ……タマゴ……? もしかして、ポケモン!?」

「大切に育ててあげて。きっと、あなたの大事な友達になってくれるわ」

「ありがとう、お姉ちゃん!!」

「ふふ、どういたしまして」

 

 〜

 

「じゃあ、もう行っちまうのかい?」

「ええ、ナナカマド博士から連絡があって。明日にはまたマサゴタウンに着かないと……」

「そうかい……寂しくなるねぇ」

「お姉ちゃん、また行っちゃうの……?」

「ごめんね、スミア。でも、私また帰ってくるわ。そうしたら、生まれてきたポケモンと会わせて。約束。いい?」

「……うん。私、大切に育てるね!」

「偉いわね。あなたになら、きっと立派に育てられるわ。私の妹だもの。……それじゃあね、スミア」

 

 〜

 

「ねえおばあちゃん、お姉ちゃんは次、いつ帰ってくるの?」

「さぁねえ。あの子は忙しいからねぇ。なかなか帰って来れないだろうねぇ。でもね、スミア。あの子が帰ってきたら、笑顔で迎えてあげるんだよ。あの子には、それが何よりの宝なんだからね」

「うん!」

 

 

 ○

 

 

 優秀な姉を持った妹というのは大抵ひねくれた性格になるものだ、というのは私の持論なのだが、世の中はどうも上手く出来ているようで、今まで見てきた兄弟姉妹はどいつもこいつも仲良しであった。

 表面上は仲悪げであっても私から言わせれば随分と仲睦まじい様子だったし、きょうだいに対してどんなコンプレックスを抱いていようが、皆一様になんだかんだで上手くやっていた。

 かく言う私も姉に対するコンプレックスの塊のような女なのだけれど、お姉ちゃんのことは好きだし、尊敬もしている。お姉ちゃんのような立派なポケモントレーナーになりたいと思っているし、あのような、芯のある立派な女性になりたい。

 

 とはいえ、だ。私の姉はとにかくスーパーウーマンで、それはピュアだった私をひねくれた性格にするには十分な要素だった。

 考えてもみてほしいのだが、実の姉が超美人で学会でも名の知れた考古学者でシンオウ地方一のポケモントレーナーであるだなんて、普通の姉妹関係でいられるはずがあるまい。

 

 まず第一お姉ちゃんはほとんどカンナギタウンの家に帰ってこない。私達姉妹は10ちょっと年が離れているから、私が物心着いた頃にはお姉ちゃんは立派にポケモントレーナーとして旅をしていて、なんだか偉い博士の手伝いやら何やらでシンオウ地方各地を(比喩ではなくトゲキッスに乗って)飛び回っていたし、帰ってきても二、三日家でゴロゴロしてたかと思えばふらっと出ていってまた帰ってこない日々が続いた。

 結果として、構ってくれる相手のいない私はおばあちゃんっ子になった。

 

 第二に、お姉ちゃんが各方面各分野でどんどん名を上げていったせいで、私は「お姉ちゃんの妹」として以外の存在価値を失ってしまった気がした。

 お姉ちゃんが考古学的大発見をした時なんかはテレビコトブキがわざわざこんなド田舎のカンナギタウンまで団体様でやって来て、私の家を撮り回った。

 

「あのシロナさんの妹さんなのですか! それでは、さぞかし秀才なのでしょうね〜! 羨ましいですよ〜」

 

 だのなんだの言われた。

 お姉ちゃんがチャンピオンになった時も似たような感じで報道陣がやって来て、似たような美辞麗句を捲し立てて帰っていった。

 

 私は私。そうは言っても私がシロナという超人の妹であることは事実で、変えようが無い。

 地元では姉の七光りだなどとはやし立てられ、まあ確かにそうなので反論の余地もなく、結局の所私という存在そのものは如何にも重要なようで重要でない、シロナというカイオーガについたトサキントのフンのようなただのおまけに過ぎないのだ、という事に気付くまでにそう時間は必要なかった。

 

 ……まあ、そんな感じで適当に理由を並べようが、私のこのどこか卑屈な、ひねくれた性格はたぶん生来のもので、後天的な要素はそれこそトサキントのフンのようなおまけに過ぎないだろう。どんな環境で育とうが、たぶん同じことなのだ、きっと。

 

 そして、私はこんな私が嫌いなのだ。

 姉に嫉妬ばかりして、才能がないのを周りのせいにして、いつも本心にないことばかり言ってしまう。ただの嫌な子に過ぎないこんな私を、どうにかこうにかして変えたいのだ。

 

 おばあちゃんはこんな私を好きといってくれて、優しくしてくれる。時たま帰ってくるお姉ちゃんも同じだ。

 だからこそ私は、二人が好いてくれるに相応しい人間になりたい。

 

 そのためにも、まずは―

 

「こら待てーっ!! それあたしのパンツなの!! 勝負パンツなの!! あんた如き鳥公が持ってていいものじゃないのよ!!」

 

 あの忌々しいムックルを叩き落とさねばなるまい。

 今朝、部屋の窓際に干しておいたのを盗まれた大切なパンツを取り戻さねばなるまい。窓開けて寝たのがダメだったのね。

 ……ともかく乙女のおぱんつを盗むなど言語道断である。処す。

 

「シロちゃん! スピードスター!!」

「きゅうん!」

 

 シロちゃん……もとい相棒のイーブイのスピードスターがカンナギの空に炸裂する。

 鳥公(ムックル)はピクルピクルピッとやかましい断末魔をあげ、目をクルクル回して墜ちた。

 ざまあみろ私の勝負パンツ盗むからそうなるのだ。一生ヤチェのみでも食ってな。

 

「あんただいぶレベル上がったわね、シロ。なかなかの威力だったわよ。さすがあたしの相棒よね」

「きゅい♪」

 

 シロちゃんが私の勝負パンツを口にくわえて得意げに戻ってくる。見た目は可愛らしいしほのぼのした光景だが、くわえてるのパンツだからな。パンツじゃなけりゃな。美少女とイーブイの美しいワンシーン。絵画になってもいいくらいだ。

 

 ……ていうのはさておき、お主やりおるな。

 見たところレベル10くらいは行ってる。確実に。

 

 ならば、だ。

 

「これはもう、旅立つには十分なんじゃない? 帰ったらおばあちゃんに相談しよーよ」

「きゅ♪」

 

 

 ○

 

 

 自分のポケモンを持った少年少女が旅をするってのは、あまり珍しいことではない。見識を深め、人間としての成長を促し、ポケモンとの絆も育む。多少危険だが、かけがえのない経験になるものだ。旅はいいゾ〜。

 ……まあ、私は実際旅に出たことはないわけだが。

 この間ズイタウンから来た旅の人がそう言ってたんだし、きっとそうなんでしょうよ。

 と言いつつ、私にとっての旅ってのはそんなふわふわしたものではなく、もっと明確な理由がある。

 

 "シンオウ地方最強のトレーナー、即ちポケモンリーグチャンピオンとなる"。

 

 これだ。

 

 そのために私は旅に出るのだ。誰がなんと言おうが出てやる。これは意地なのだ。

 こんな何も無いド田舎に引っ込んでたくないというのもあるし、各地を見て回りたいというのもある。まだ見ぬポケモンにも出会いたいし、なによりもー

 

「お姉ちゃんを超えたいの! だからおばあちゃん、旅に行かせて!」

 

 パンツを握りしめて家の戸を開いて開口一番そう言った私なのだったが……

 

「……む。この子が」

「ああ、私の孫だよ。ほら、スミア。博士に挨拶しな」

「こ、こんにちは?」

「……うむ。シロナくんによく似ているな」

 

 誰ですかこの怖そうな仏頂面爺さんは。

 なんでうちの姉のことを知っておられるので? 

 

「お姉ちゃんを知ってるの?」

「まあ、そうだな。よく知っている。……ところでしかし……ん"ん"っ、その……あー、君の右手のモノの事だが……」

 

 ぎゃーっ!? ちょっときわどめのパンツ握りしめたまんまだった!!? 

 爺さん顔めっちゃ赤いし! すまん!!! シロちゃん、部屋まで持ってって!!! 

 

「……何やってんだいあんたは」

「いや、これはかくかくしかじかで」

「……まあいいよ。スミア、そこ座りな。ちょうど話そうと思ってたことがあってね。茶を淹れるからおとなしくしてるんだよ。博士もくつろいでくだされ」

「ご厚意感謝する、長老」

「え、え? 話って何よ?」

 

 困惑する私を放って、おばあちゃんは茶を淹れに別の部屋に。

 私は名も知らぬ仏頂面の老人と二人、客間に取り残されたのであった。

 

 

 




早め早めの更新を心がけます。
具体的にはサンダースくらいのスピードを目指して。

シロちゃんの進化先は?(唯一王とリーフィアは除外)

  • ☆グレイシア☆
  • エーフィ
  • ブラッキー
  • シャワーズ
  • サンダース
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