あの頃の冒険を思い出したいお前ら及び私の為の物語(仮)   作:長良 マムシ

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2000字とちょいと、1ヶ月何してやがったんだって感じのゴミみたいな内容ですが、忙しかったということで許してください。たぶんこれからは頑張リーリエします。


06 室 伏 ○ 治

 ヘラクロスが(私に向かって猛烈な勢いで)とぶ。

 

 

「キモイキモイキモイキモイキモイいいいい!!!! 虫っ!! 虫だけは無理なのっ!! 虫だけはダメなんだって!! い────ーや────────ー!!!!!」

 

 思えば昔からそうだった気がするが、虫ポケモンだけは本当にダメだ。何がって、これはもう魂レベルで。

 昔、木の実を取りに山へ入った時に数千のガーメイルの大群が群がって飛んでいるのを見て以来それがトラウマになっているかもしれない。というか、絶対それだ。

 

 ともかく、ヘラクロスはまだマシな方といえ無理なものは無理だ。黒黒と鈍く光る外骨格、超高速でブゥンブゥンいってる薄い(はね)。虫のキモい要素はちゃんと備えているのだから。

 

「お願いしますお願いしますお願いしますホントにホントに許してください一生のお願いなんで!! なんでもしますから!!」

「ロッス! ロッス!!」

 

(……ていうかこいつ! なんでこんな興奮してんのよ!!)

 

 考えられる原因は3つ。

 1つは、私が樹液を奪いに来たライバルに思えたから。ありそうっちゃありそう。

 2つ目は、私の蜜色の髪がまんま蜜に見えて、吸いたくなってしまったから。これは密かな自慢なのだけれど、私の髪はお姉ちゃん以上に艶やかな蜂蜜色だ。それこそ甘い蜜を塗りたくったような髪の毛なのだから、まあ、有り得なくはなさそう。

 3つ目は、盛りのついた発情期に超美少女()がやって来て理性が抑えられなくなっていること。虫畜生が人間様に興奮しているとかかなり引くし有り得ないとは思うが考えられなくもない。……これは違って欲しい。

 

「ロッス!!」

「うひゃい!?」

 

 よくよく後で冷静になって考えれば原因云々なんてどうでも良かったのだが、呑気にもそれを考えながら疾風の如く走っていた私。かけっこに関しては近所(というか、過疎地域で子供なんて殆どいないのだから、カンナギタウン全てと言っても良い)で一番だったので、リュックにシロちゃんを入れていようとも流石に易々とは捕まらない。そんな私に業を煮やしたのか、ヘラクロスはスピードアップしてメガホーンを突き刺そうと一直線。間一髪でかわしたはいいが、私の躱した先にあった、デモンストレーションの為にあるかのような都合のいい大岩くん(目測10mくらいある)は粉々に砕け散った。アレが私だったら? 考えるまでもなく肉のオブジェの完成である。オエッ、考えなきゃよかった。

 ……これはぁ、あかん。これは、あかんよ。

 

 考えろ考えろ考えろ! 

 キモさに惑わされるな冷静になれ! どうすればいい!? 

 

 ①カワイイスミアは起死回生の一手を思いつく

 ②取り敢えずシロちゃんに頼る

 ③覚悟を決めてヘラクロスと肉弾戦

 ④助からない。現実は非情である

 

 ①ッ! 思いつかないッ!! 頭が回らないッ!! 

 

「ロッス!!」

「ぬあああやめれ! やめれ!」

 

 ②ッ! ノーマルタイプのシロちゃんをかくとうタイプのヘラクロスにぶつけるなど愚策ッ! だがこれしかないか!? 

 

 私はバッグの中身を見やった。

 白いもふもふがモゾモゾと頭を出す。

 

「シロちゃ―」

「きゅ?」

 

 ―きゅるるんとした瞳を見た私に、②を取ることはもはや不可能であった。この子を犠牲にするわけにはいかん! 

 

 だが!! ③ッ! 勝てる気がせんッ! 第一気持ち悪いッ! 

 

 ……残るは? 

 

「④ッ!! あたしは助からないッ! ああああああ──っ!!!」

 

 走る、走る、走る。

 もうどれほど走ったかわからないが、いずれにせよ私の足はもう限界が近づいてきている。しかしヘラクロスの飛行は止まらない。疲れろよ。

 もう諦めようか。私は、ぶっちゃけそう思った。その時だ。

 

 

「ふきゅわぁぁ……」

 

 

 シロちゃんが、欠伸(あくび)をした。特大の。

 ……。

 

「ほんと呑気な子ね!? 随分余裕だこと!」

「きゅ?」

 

 かわいいから怒れないし、怒っても始まらないのだから仕方がない。

 だがまずいものはまずい。依然として死は身近である。私の両肩に冷たい手を置いて、こっちへ来いとあの世から催促している。

 

 ところで、人間をはじめあらゆる生物は、死というものに直面するととてつもない力を発揮することがままあるものだ。これを人は「火事場の馬鹿力」と呼ぶが、ポケモンも一部、こういった力を発揮する種族がある。【むしのしらせ】だとか、【もうか】だとか、そういった特性を持つ者たちである。

 つまり何が言いたいかと言うと、人間とポケモンには深い共通点があったりなかったりして、ポケモンが馬鹿力を発揮できるのなら人間は? 

 

「ロッス!」

 

 もちろん、人間だって不可能ではないはずである。というか、出来なきゃ私は死ぬ。

 

「まあた性懲りも無くメガホーン……!」

 

 ……! 今、一瞬動きが止まって……! 

 

「……こンのっ……ぬおらああああああああ!!!!」

 

 選ばれたのは、③でした。

 

「スミア は ばかぢから をおぼえた !! なんつってね!」

 

 ヘラクロスのツノを両手でキャッチして、ちょうど砲丸投げのように、円を描くようにして遠心力を味方につける。そして―

 

「砲丸チャンピョンに、あたしはなる!! うおおおおおおおお!!!!」

 

 ぶっ飛ばした。ずっと遠くの岩壁にめり込むくらいにはぶっ飛ばした。……ら、立派なツノがとれた。

 

「うおおおおおおおぉぉぁ…………ぁ。えぇ……??」

 

 いや、だって……こんなポッキリ……。

 

 夏場のアイスを思い浮かべて欲しい。誰しも食べたことがあるだろう。きっとどこの地方にも共通の、真ん中をポキッと折るタイプのアレである。

 

 キモイだのなんだの言ってられなかった。やるしかなかった。殺らなきゃ殺られていたのである。だからやるしかなかった。

 それが、彼の立派なツノ(アイデンティティ)を折ることになるとしても、背に腹はかえられぬ。

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

 さて。

 

「い、いけっ、モンスターボール!」

 

 1。

 2。

 3回揺れて。

 

 カチッ、と子気味の良い音が響いた。

 

「へ、ヘラクロス、ゲット……だぜ?」

 

 ツノないけど。




ポケモンとリアルファイト、割とできる説。

《どうでもいい話》
ポケマス、皆さんまだプレイされていますか?
作者はいつか改心する日が来ると信じてアンインストールしていません。
あと単発1回でランクルス出ました(隙自語)

シロちゃんの進化先は?(唯一王とリーフィアは除外)

  • ☆グレイシア☆
  • エーフィ
  • ブラッキー
  • シャワーズ
  • サンダース

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