ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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番外編Episode2

久々に駒王学園に訪れている俺、イッセー・D・スカーレットは理事長室に足を運んだ。

辿りつけばノックをし、中から入室の許可を得るとドアノブを捻って扉を開け放って中に入る。

 

「やあ、久し振りだねイッセーくん」

 

「久し振り」

 

理事長、サーゼクス・グレモリーと対面を果たす。俺をここに呼んだ張本人である。

 

「俺に頼みたいことって?」

 

「本題に入る前にこれを見てほしい」

 

資料を挟んだ用箋挟を受け取った。その紙にグラフみたいなものが・・・・・。

 

「これってなんだ?」

 

「過去から体育を行ってきた回数のグラフだよ」

 

・・・・・グラフね。見れば線が右下へと進んでいる。

 

「その資料を見て分かっただろう?近年の生徒たちは体育に意欲的じゃない。

理由は様々で棄権するクラスが多い。

このままでは駒王学園の存在意義が怪しくなってしまう。この学校は四種交流の象徴、

実力主義の学び舎だからね。そこで、私は考えを改めざることになった」

 

「それで、考えついたのか?」

 

ちょいっと催促して見るとサーゼクスは笑みを浮かべた。

 

「まだだ」

 

「・・・・・だろうと思ったよ」

 

「いや、厳密に言うと考案はできているんだ。点数で競うゲームをね」

 

「点数?」

 

肉体的な戦いじゃないんだ?なんだか興味深い・・・・・。

 

「学力で生徒が教師によって採点された点数で戦うゲームだ。

この学校に学びに来ている生徒たちは皆、優秀な学力を残して卒業している。

だから、肉体的なゲームより頭脳的なゲームに変えようかと思っている」

 

「どうやって点数で勝負するんだ?頭脳的な勝負をするなら物理的攻撃はダメだろ?」

 

「ゲームだからね。ゲーム的な感覚ができるようになればいいと思っている。

既にアジュカやアザゼルにも私の考えを伝えている。

それで私の考えをキミはどう思うか答えてほしいんだ」

 

感想を言うために呼び出されたのか。

内心、溜息を吐いていると二つの魔方陣がこの場に出現し、

 

「サーゼクス。おや、イッセーくんじゃないか、久し振りだね」

 

「ある意味、役者は揃ったって感じだな」

 

アジュカ・アスタロト、アザゼルが現れる。サーゼクスは口角を上げて口を開く。

 

「ここに来たという事は完成したのかな?」

 

「ああ、あとは蓄積データが必要だ」

 

「それさえありゃ、問題ないぜ」

 

準備ができた・・・・・って風な感じだな。二人の報告にサーゼクスは椅子から腰を上げた。

 

「では、イッセーくん。一緒に来てもらえるかな?」

 

「どこにだ?」

 

「冥界と天界、悪魔と堕天使、天使の混合施設の研究所だ」

 

 

 

 

 

 

サーゼクスにそう言われ、三人と一緒に転移式魔方陣でその施設に転移した。

場所は人間界のどこかだと思うが・・・・・。巨大な施設だな。

門を警備している天使と堕天使に通してもらい、中に入る。

施設の玄関を潜って歩を運び続けてついてくと、アジュカがとある扉を開けて中に入った。

一体なにがあるのだろうか?そう思う俺の心情を部屋は―――がらんとしていた。

上下左右、真っ白な壁と天井床しかなかった。

 

「さて、展開しようかな」

 

アジュカが徐に懐から取り出した携帯を操作し始めた時だった。

俺たちを囲む四方の立体的な空間がどこからともなく広がって展開した。

 

「これは?」

 

「サーゼクスの考えた提案を元に、アザゼルと考えた結果がこれだよ」

 

「んじゃ、イッセー。試験召喚獣召喚・試獣召喚(サモン)って言ってみな」

 

「言うだけ?」

 

「言うだけだ」とアザゼルは頷いた。まあ、それぐらいなら・・・・・。

 

「―――試験召喚獣召喚・試獣召喚(サモン)!」

 

と強く発したら―――俺をでフォメルトしたちっちゃいドラゴンが出現した。

しかも武装しているし、背中に封龍剣を背負っているよ!?

 

「ん?獣じゃねぇな。まあ、これはこれで問題ないようだな」

 

「これがサーゼクスが考えた結果か?」

 

「文武両道、ピッタリなゲームだと思わないかい?どれ、動かしてごらん?」

 

「んじゃ、テストだな」

 

アザゼルも携帯を取り出して操作した。

俺の召喚獣の前に藁人形がいくつも魔方陣と共に現る。

 

「そいつを斬ってみろ」

 

「初心者にそれってハードなことを言うな。操作の仕方は?」

 

「思考で動かすんだ。右腕を動かしたいと思えば、召喚獣は呼応して右腕を動かすよ」

 

シンプルな方法だ。・・・・・・よし、ぶっつけ本番。

 

「いけ!」

 

召喚獣は背負っている大剣を手にして藁人形に向かって駆けだす。

俺の思った行動を召喚獣に送る―――!

 

―――ザザザザザ、ザンッ!

 

あっという間に召喚獣は全ての藁人形を斬り捨てた。

が、召喚者である俺は精神を使うようだ。

 

「お見事、初めてなのに拘わらず惚れ惚れする動作ですね」

 

「はははっ!こいつは面白いもんを開発したようだな!」

 

「だけど、精神的に疲労がくるぞ。操作に集中しないと召喚獣が動かせない」

 

「現段階でそれは課題となるか。だが、それ以外の問題はあるかね?」

 

首を横に振ってないと意思表示する。

 

「おいサーゼクス。こいつに学力の点数をつけて競わせれば面白くなるぜ。

RG(レーティングゲーム)を応用した異空間で思う存分に召喚獣で暴れさせたらいいはずだ」

 

「これは世界中が話題となるに違いない。

今回の武装は主にイッセーくんが使っている武器で準備したが、

これからは学力に相応する武装と防具と設定、構築しよう。

ふふっ、面白くなりそうだ。彼、ジェイルくんにも協力してもらおうかな?」

 

いつの間にジェイルのことを知ったんだアジュカさんよ。

 

「イッセーくん」

 

サーゼクスに呼ばれた。

 

「これからも度々キミにお願いしたいがいいかな?」

 

それはこのシステムの実験に付き合ってくれってという意味だろうな。

 

「断わる理由もない。というか、これなら戦いに意欲がない奴らだって

積極的に戦ってくれそうだ」

 

「決まりだね」

 

嬉しそうに笑む理事長。これからの駒王学園はまた賑やかになりそうだ。

俺・・・・・学校に行けないけどな。

ちょっと寂しい気分でいるとアザゼルから黒い腕輪みたいな物を渡された。

 

「この腕輪はこの空間を作りだすものだ。起動キーは『起動(アウェイクン)』だ。

暇な時でいいからこいつを使って召喚獣を動かしてくれ。

その動作データーが自動的にこの施設に送られるから大助かりってわけだ」

 

「武器も変えることができる?」

 

「ああ、勿論だ。武器の扱いのデーターも欲しいからな。

その腕環に思った武器を思い浮かべて既に持っている武具と

入れ替えることをできるようにしてある」

 

おお、器用貧乏ができそうだ。家に帰ったら早速やってみよう。

 

 

 

 

 

 

「と言うわけで、サーゼクスから頼まれていたのがこれだ」

 

召喚専用のフィールドを展開しながら皆に説明した。

既に召喚獣を召喚していて、興味深いと俺の召喚獣を見つめていた。

 

「へぇ、可愛いね」

 

「お兄さまも苦労していたのね」

 

「確かに私たちが通っている間はあまり体育の授業は殆ど実習になっています」

 

「強い相手と戦いたくないのが本音でしょうけどね」

 

「特にサイラオーグと戦うことになる後輩たちは一目散に辞退してしまうほど」

 

流石にあいつに勝てる気がしないだろう。並みの奴じゃあ・・・・・。

 

「学力の点数が付いた召喚獣同士で戦うんですよね?」

 

「今さらながら、これならばクラス全員でクラス対抗戦ができるな。

今までの体育の授業とは違い、点数で物を言う戦争になる」

 

「うん!これだったら皆にだって勝ち目があるよ!」

 

清楚が満面の笑みを浮かべる。FだろうがSだろうが学力の点数、防具、

武装した召喚獣が戦うので人体的に被害はない。

 

「なあ、これって私たちも召喚獣を召喚できるのか?」

 

「え?うーん、それは分からないな。そう言う話しは聞いていない」

 

「じゃあ、試しに言ってみる?」

 

和樹の提案に皆は頷いて詠唱の言葉を言ったその直後。

皆の姿をデフォルメとした召喚獣が現れた。

 

「わっ、でてきた!」

 

「あら、イッセーのように尻尾は生えていないわ。悪魔の翼が生えているけど」

 

「・・・・・でも、飛べません」

 

「あらあらうふふ、見かけのようですわ」

 

武器を持っている召喚獣たち。和樹は杖で、カリンは軍杖、龍牙は大剣に清楚は方天画戟。

でも悪魔のリアス・グレモリーたちは武器を持っていないけど・・・・・どういうことだ?

いや、木場と椿姫は剣と長刀が持っていたか。

 

「悪魔の私たちは武器を持っていないですね」

 

「もしかしたら魔力で放つタイプかもしれません」

 

「所謂魔法使いってやつなのかしら?」

 

疑問を浮かべた面々は俺に視線を向けてくる。

 

『どうやって操作すればいい?』

 

―――数分後。

 

「覚悟、龍牙!」

 

「負けませんよ!」

 

「リアス、覚悟してください!」

 

「負けないわよソーナ!」

 

「和樹!いい加減に私の名前の語尾にちゃん付けをやめろ!」

 

「じゃあ、僕に勝ったら考えてあげるよ。―――一秒だけ」

 

ある程度の操作を教えると、フィールド内で皆は一対一で戦うことになった。

同じ大剣使い同士の龍牙と戦うことになった俺は横薙ぎで振るえば、

龍牙はステップでかわし、振るった瞬間を狙ってくる。大剣の切っ先を連続で突きつけられ

大剣の腹で何とかガードする。

 

龍牙の剣は下がった瞬間に後方へ下がり体勢を整えて再び飛び掛かる。

それを事前に分かっていたのか後方に飛び下がって、飛び掛かった俺は身体を捻らせて

駒のように前へ進みこむ。そんな俺に龍牙は横へかわして逃れた瞬間、

大剣を龍牙に投げ放った。

 

「なっ!?」

 

武器を投げ捨てるなんて有り得ないと、思いもしなかっただろう。

投げ放った武器を弾いた龍牙へ既に駈け出していた俺は拳を突き伸ばした。

 

「んのぉっ!」

 

上段からの斬撃、その刃を両手を合わせて龍牙の一撃を薄皮一枚ギリギリで止めた。

 

「龍牙、一つ忘れているぞ」

 

「なにがですか?」

 

「俺の身体は何も四肢だけじゃないってことだ」

 

尾を動かす。尾は龍牙の足を絡めとり―――。

 

「あっ!?」

 

引っ張って体勢を崩して、龍牙の首に尾を突きつけた。

 

「チェックメイト」

 

「・・・・・負けました」

 

勝利!

 

「まさか、尻尾も動かせれるとは思いませんでしたよ」

 

「尾も身体の一部だ。もしかしたらできるんじゃないかって思ったけど案の定できた」

 

「しかも、召喚獣を動かす集中力・・・・・精神力が結構使いますね。

思考が混乱してしまうと操作に支障があります」

 

「やっぱりそうか。初めて操作した俺もそうだったからな」

 

龍牙と共に一息。和樹たちも少しして模擬戦を終えた。

 

「このゲームは楽しいけれど、操作するのにちょっと苦労するわね」

 

「これは慣れないとスムーズに動かせません」

 

「カ、カリンちゃんに負けた・・・・・」

 

「正義は勝つ!当然だろう?というかちゃん付けするな!」

 

いや、このゲームに正義が拘わらないと思うんだが?

 

「しかし、残念だわ」

 

リアス・グレモリー?

 

「このシステムが実施された頃には私たちが卒業している時かもしれないじゃない」

 

「あー、そう言うことか・・・・・ニヤリ」

 

「そのあからさまに口の端を吊り上げるのを止めてくれないかしら?

一瞬、ほんの一瞬だけ滅びの力をぶつけたくなっちゃったから」

 

「全て無効化してやるよ。俺に一撃を与えたら一つだけ何でも聞いてやるよ」

 

そう言って召喚獣を構えさせると、リアス・グレモリーの召喚獣が動き出す。

 

「その言葉、忘れないでよね!」

 

「ふははは!すまん、一秒で忘れそうだ!」

 

「こんのぉっ!」

 

その後、愉快に召喚獣同士で激しい戦闘を繰り広げたのであった。


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