好きな子の為ならば、俺はもしかしたら勇者を超えられるかもしれない。   作:うちのこ

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珍しくルディ、マルセル、アントニー中心の物語です。

今回の執筆自体は添削協力のT ogaさんが担当しました。
だからいつもより出来が良い?気にするな!()

ちなみに今回は2話連続で、明日も投稿します。
(実は一部投稿ミスったなんて言えない……)


赤毛の少年、男友達との日常

とある日、学舎からの帰り道

 

今日はいつもの「お膳立て」はなく、ラティナとクロエ、シルビアの三人が前を歩き、その後ろからルディ、マルセル、アントニーが着いていっていた。

 

ラティナの保護者、デイルが帰ってきた為、彼に勘付かれないように「お膳立て」も減らしたのだ。

 

裏でそんな事が行われているとは、もちろん知りもしないラティナ。

彼女は帰り際、こう口を開いた。

 

「こうやって、みんなで帰るのひさしぶりだね。最近はルディと二人で帰るの多かったし」

 

「「「「「…………」」」」」

 

その言葉に全員、冷や汗を額に浮かべ──

それに気付かないラティナはこう続ける。

 

「みんな、早く帰った時何してるの?」

 

「え……えっと……」

 

「それは……」

 

クロエとマルセルがいい(よど)む中、アントニーがフォローを入れる。

 

「僕は黄の神(アスファル)の神殿で勉強してるんだ。学舎を卒業したら高等学舎に進もうと思ってるからさ。マルセルはパン屋の手伝いって言ってたっけ?」

 

「あ、う……うん!そう!僕も学舎を卒業したら実家のパン屋継がなきゃだからさ!!」

 

そしてシルビアもクロエの手を掴みながら、こう助け船を出す。

 

「私とクロエは大体はお洋服とかアクセサリーとかのお買い物を良くしてるかな、ラティナはお店の準備とかで忙しいと思ったから誘ってなかったの、ごめんね」

 

「あ……うん。そうなの、ごめんねラティナ」

 

「そうなんだ。お店の開店まで時間あるし、ラティナもお洋服とか見てみたいな」

 

「じゃ、じゃあ!今日この後行きましょうよ!デイルさんに「行っていい」って許可もらえたらだけど」

 

「うん!ラティナ、行く!」

 

クロエは後ろを歩いてたルディの方をチラッと見て、小声でこう言った。

 

「ルディ、ごめん。今日はラティナ貸してね」

 

「お、おう」

 

それにルディは小さく頷き、そしてクロエは走り出した。

 

「だったら、早めに行きましょうよ!!」

 

久しぶりに出来た親友との時間。ルディの事を応援するといっても、それで自分が親友と一緒に入られる時間が減って、なんだかんだ寂しさや悲しさを覚えていたのだろう。

クロエの顔はとても眩しい笑顔だった。

 

「なら、最近新しく出来たお洋服のお店があるの!ラティナも行きましょ」

 

それはシルビアも同様のようで、クロエはラティナの左手を、シルビアはラティナの右手をひき、駆け出していった。

 

 

そして、残された男三人。

 

まずアントニーが口を開いた。

 

「……どうする?」

 

「僕も今日はパン屋の手伝いないから暇あるけど」

 

「久しぶりに俺らも遊ぶか!」

 

ラティナを好きだと自覚してから、男だけで遊ぶ時間が減っていたルディ。

彼にもこういう何も考えずに遊べる時間は必要だろう。

 

そして、彼らはクロイツの中央広場の公園へと足を向けた。

 

――――――――

 

「「「は~じまりは石!赤の神(アフマル)のぉ~名の元に!!」」」

 

この七色の世界で何かを決める時に使われる手だけを使う遊戯(所謂、じゃんけん)の掛け声が公園に響き渡る。

 

ルディとアントニーは石(グー)を出し、マルセルは剣(チョキ)を出した。

マルセルの負けだ。

 

「んじゃー、マルセルが魔物な~」

 

「え~」

 

「俺とアントニーは冒険者な~!」

 

今日、やる遊びは冒険者ごっこ。

ルディは剣に見立てた木の枝を構え、張り切っていた。

 

「いや、僕は語り部やるよ」

 

そんな時、アントニーがふとそんな事を言った。

 

「は?」

 

「語り部?」

 

ルディとマルセルは予想外のアントニーの言葉に驚きを隠せない。

 

「いつもの冒険者ごっこじゃつまらないでしょ。ルディは勇者、マルセルは魔王にしよう。僕の話に合わせてみて」

 

「お、おう…」

 

(俺よりアントニーのが張り切ってないか?)

 

「あ……うん」

 

(アントニー、最近遊ぶの減って寂しかったのかな?)

 

この三人の中で一番、遊べなくなって悲しさを覚えていたのは実はアントニーであったようだ。

 

――――――――

 

そして、アントニーの語り部で冒険者ごっこ改め、勇者ごっこは始まる。

 

『その日が来たのは、突然だった。勇者ルディが守ると誓ったラティナ姫が突如、魔王によって連れさられたのだ』

 

「は?」

 

「え…!?」

 

アントニー、早くもノリノリである。

 

『勇者ルディはついにラティナ姫の居場所を突き止めた。塔の頂上、そこで勇者ルディは魔王マルセルと対峙した』

 

「えっと……」

 

「どうすればいいの?」

 

『勇者ルディは魔王マルセルに剣を向ける。ラティナ姫を返せ、と叫ぶ』

 

「え、あ……ま、魔王!ラ……ラティ…………姫を返せ!!」

 

『魔王マルセルはもちろん返すはずもない。返してほしくば、我を倒してみよと言う』

 

「か、返してほしくば…われをたおして、みよ?」

 

『勇者ルディと魔王マルセルの激しい剣戟が始まった』

 

「よくわかんねぇけど、戦っていいんだな?」

 

「う、うん。そうみたい」

 

『ここからはいつもの冒険者ごっこと同じだ。勇者と魔王は激しくぶつかり合った』

 

「よっしゃ、行くぞーマルセル!」

 

「あ、ホントに殴らないでよ。その木の枝たまに体に引っ掛かると痛いからさ」

 

「わかってるっての!!」

 

――――――――

 

そして、彼らはいつも通りの冒険者ごっこで遊び、気が付くと日も暮れはじめて来ていた。

 

「そろそろ時間か~」

 

「だから、殴らないでよって言ったのに~!ちょっとすり傷ついちゃったじゃん」

 

「俺もさっき転んで怪我したっつーの!」

 

口喧嘩になるルディとマルセルをアントニーが(なだ)める。

 

「まあまあ二人とも、明日ラティナの回復魔法で治してもらえばいいでしょ」

 

「まあ、そうだけどよ……」

 

ラティナの名前を出され、大人しくなったルディにマルセルがこう茶化す。

 

「そういえば、最近ラティナとはどうなの?」

 

「ど、どうってなんだよ!?」

 

急にラティナの話を振られ、慌てふためくルディにアントニーも追撃をかける。

 

「告白とかキスとかはまだだろうけど、手くらいは繋いだんだろうね?」

 

「……」

 

(手…か、結構前だけど雪の日に冒険者から逃げる時、手を引っ張った事はあったけど……)

 

逡巡するルディの様子からマルセルとアントニーは察する。

 

(まだ…みたいだね)

 

(これは……当分かかるな)

 

 

そんな時、顔を紅潮させながらルディは小さな声でこう呟いた。

 

「で、でも……あ、あーん……はした…ぞ……」

 

「え?」

 

「ホントに?」

 

「う、嘘じゃねぇよ!!」

 

――――――――

 

そして、帰り道。アントニーがルディにこう提案をする。

 

「そういえばルディはさ、ラティナにプレゼントとか渡したことある?」

 

「あ~前、虎猫亭手伝った時に貰ったお金で何か買って贈り物しようとは思ったんだけど、何買っていいかわかんなくてよ……」

 

「僕は食べ物がいいな~」

 

「食べ物でもいいかもしれないけど、折角なら形に残るモノのがいいかもね。…って言っても僕もあんまりいい贈り物思い付かないけどさ……」

 

ルディは少し考えて、こう決断を出した。

 

「また今度、クロエとかシルビアに相談してみるよ」

 

「それがいいかもね」

 

「そうだね。それじゃ僕ここで」

 

「僕もここで別れるよ」

 

「おう!また明日な~マルセル、アントニー」

 

そして、ルディも帰路へと着いた。

 

その帰り道の間、彼がずっとラティナのことを考えていたのは言うまでもない。

 




伏線に……なるかもしれない

次回も同じくらいの時間でどうぞー!


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