好きな子の為ならば、俺はもしかしたら勇者を超えられるかもしれない。   作:うちのこ

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赤毛の少年、幼き少女への贈り物と友の証を

もうそろそろで秋から冬に変わるこの時期。

東区の市場は相変わらず賑わっており、人混みもそれなりにある。

 

「うーん……」

 

そんな中ルディは市場の人混みから逸れた所で腕を組んで悩んでいた。

前にラティナと出会って中断した「ラティナへのプレゼント探し」を再開したのだが、いまいちそのプレゼントについて良い物が思いつかなかったのだ。

それもそのはず、彼にとって女性の使うものは程遠いものであり、「彼女にとって良いもの」「彼女がもらってうれしいもの」がいまいちわからなかったからだ。

 

(何が良いのか……うーん)

 

そんな時、後ろから不意に声を掛けられた。

 

「何悩んでるのよ?ルディ」

 

「まあ……ってお前ら!?」

 

ルディが後ろを振り向くと、そこにいたのはルディの友達でもあり、ラティナとも親しい二人のクロエとシルビアだった。

 

クロエはルディと同じ東区の職人街、シルビアは西区の高級住宅街というなんとも正反対な環境で育ったこともあり、学舎で出会った当初のクロエとシルビアはあまり良くない雰囲気であったが、「事件」でのシルビアの行動と彼女の性格の良さで二人はトントン拍子で仲良くなったそうな。

 

そんな二人にルディはこう尋ねた。

 

「何してんだよ?お前ら」

 

「私たちはいつもの買い物よ。ホントは今日もラティナを誘おうと思ったんだけど、お店の準備で行けないらしくてさ」

 

「ふ、ふーん……」

 

(いて欲しかったような……いなくてよかったような……)

 

ラティナがいて欲しかったが、ラティナへの贈り物を考えてる今いなくてよかったとも思う複雑な心境のルディ。

 

そんな彼の心境を察してか、シルビアとクロエはルディの顔を見て顔をニヤつかせていた。

 

(あの顔はラティナのこと考えてる顔ね)

 

(ホント、ルディって昔から単純)

 

それに気付いたルディはすぐさま2人にツッコミを入れる。

 

「……って、何笑ってんだよ!」

 

「別に~」

 

「ね~」

 

「お前ら……」

 

心の中を覗かれたように感じたルディは少し恥ずかしそうにしながら2人を睨みつつ、先日の出来事を思い出す。

 

(そういえば、学舎の帰りに良く2人で買い物行くって言ってたな)

 

以前、ラティナから学舎下校時の「お膳立て」を勘繰られた際、シルビアが咄嗟に言い放った「大体はお洋服とかアクセサリーとかのお買い物を良くしてるかな」という言葉はどうやら嘘偽りない話だったらしい。

 

「それで、何悩んでたのよ?どうせラティナのことなんでしょうけど」

 

「うっ…」

 

クロエが再びルディの心を読む。

 

「市場にいるってことはラティナにプレゼントでも渡そうと思ってるけど、何渡したらいいかわからないって感じかしら」

 

そしてシルビアはルディのその悩みをピンポイントに言い当てた。

 

「し、仕方ねえだろ……よくわかんねえし……」

 

その様子を見たクロエはやれやれと思いながらも、相談に乗ろうと彼に問いかける。

 

「全く…どういうのをプレゼントしたいわけ?」

 

「……なんかラティナが使えるやつ……置物とかだと邪魔だと思われるかもしれないし……」

 

「なるほどね……じゃあ私達とひと通り見てみる?」

 

「そうね、ルディがどれがいいのかもまだピンときてないんでしょ?」

 

「まあそうだけど……」

 

(確かにあいつらと一緒に見れば色々とわかるかもしれねえ…)

 

そう思ったルディは渋々ながらも三人でこの市場を回ることにした。

 

――――――――

 

途中二人から色々と提案されたものの、値段が高かったり、実用使いできるとは言い難いものがあったため、なかなか決まらなかったが、ある店の前で三人の足取りは止まる。

そこは女性向けの小物などを扱う雑貨屋であり、髪飾りなども扱っているようであった。

 

「ねえ、ここ良いんじゃない?」

 

「確かに良いかも…」

 

「おう……」

 

シルビアが提案し、クロエとルディも同意し、店の中に入っていく。

店の中は静かな雰囲気であり、やはり様々な小物が置かれている。

 

そしてルディが目をつけたのは髪飾りやリボンのところであった。

 

「……」

 

(ラティナならリボンとかでいつも髪まとめてるし……使うよな……)

 

と思い、色々な色のリボンを手に取る。

 

黄色、赤、緑など正統派もあれば、灰色、黒色などの暗めの色もあった。

 

(ラティナには……黒とかもありか……いやでも白も捨てがたいし……変化球で紫…?)

 

色々なリボンをしている彼女のことを想像し、かなり悩んでいる。

そして色々と悩み抜いた結果、白色のシンプルなリボンに決めた。

 

他の小物を見ていた二人が再び彼に話しかける。

 

「どう、決まったの?」

 

「あ、ああ!まあな!」

 

「どんな色なの?変な色とかじゃないよね?」

 

「べ、別にいいだろ!色なんて…」

 

「ふーん…白色ね…」

 

「な!?」

 

そんなこんなでやっとプレゼントが決まったルディなのであった。

 

――――――――

 

「……はあっ…」

 

プレゼントを買いに行った次の日の学舎

そこでルディは机に顔を沈めて悩んでいた。

 

どうやらプレゼントを買ったはいいものの、自然な渡し方が全く思いつかないようだ。

 

そんな彼にクロエは声をかける。

 

「まったく、さっさと渡したら?」

 

「う、うるせえ……なんでもいいだろ……」

 

「……まあ良いけど、あんた次第だからね」

 

そして、クロエは少し考えた後こう続けた。

 

「それより、ちょっと相談に乗って欲しいことがあるんだけど…」

 

「相談?」

 

昨日のお礼も兼ねて、その相談に乗ることに決めたルディの前にクロエは黒い何かの塊を出した。

それはかつてラティナが自分で折る前についていた「角」そのものであった。

 

「これって……ラティナの…だよな?」

 

「うん、ラティナに貰ったやつ……あのまま捨てられるとかはあんまり良くないと思って頼んだら「良い」って」

 

ルディはその角をじっと見る。

当然ながら折れているところであるが、それ以外のところは殆どピカピカであった。

どうやらクロエが毎回磨いてたらしい。

 

「……で、こいつをどうするんだよ?」

 

「うん、最初は私だけのペンダントとして加工しようと思ったんだけど、思ったより固くて…」

 

「それで俺に頼もうって?」

 

「……と思ってたんだけど、よくよく考えてみれば私だけがつけるのもなんか独り占めしてるみたいで……だからこれを私達の分の6つに分けてペンダントにしてもらおうかな…って」

 

「6つに分けて?」

 

「うん!6人の友情の証……って言う感じの!」

 

「ふーん……まあ良いかもな…」

 

「でしょ!」

 

そんな時、シルビアも話に入ってきた。

 

「何話してるの?」

 

「あ、シルビア」

 

シルビアにもこの流れをひと通り話す。

そして少し考えた後、話し始める。

 

「いい案だけど……先にラティナの許可貰っておいたほうが良いんじゃない?」

 

「そうね、ラティナのものだったしね…」

 

「あ、ああ……」

 

ついうっかりしていたが、一応お願いして貰ったとは言え彼女の一部であった以上

許可を取らないと気分的にも少しよろしくない。

そこでラティナとついでにマルセルとアントニーも呼び寄せた。

 

そして──

 

「うん、良いよ?」

 

そのラティナはすぐにOKしてくれた。

 

そんな簡単にOKしていいのか?と一同は思うが、それもラティナらしいと思いあえて言わなかった。

 

「良いんじゃない?うん」

 

「世界で僕たちだけのペンダントだね!」

 

マルセルとアントニーも同意してくれたようだ。

 

「じゃあ俺が加工してくるから…良いよな?」

 

「うん、いいよ?」

 

ラティナが彼に笑顔で返事をした為か

ルディの顔は少し赤くなっており、ラティナはそのルディにはてなを浮かべ、回りの四人はやれやれと見ていたそうな。

 

――――――――

 

「さてと……」

 

家に帰り、親父に道具を借りると伝えた後、作業台の上にラティナの角を置く。

「さあ作業開始」という時なのだが、彼はすぐに作業を始めなかった。

 

(……やっぱり綺麗だよな、ラティナの角……)

 

かつて彼女につけられていた角はとても綺麗であり、ルディもその目でしっかり見たことがある。

だがある「事件」により彼女は絶望に突き落とされ、そして角を自分から折ってしまった。

 

なおその時はクロエとシルビアが率先的に行動し、彼自身は机を倒すなどの行動のみであった。

まあ彼にその時の行動を更に求めるのは酷であろう。

 

(別に俺は……って嫌なことを思い出しちまった……作業しよう…)

 

やっと作業を開始しようとするルディであるが、仮にも「ラティナ」の体の一部であったと改めて認識したためか、どこか意識してしまい

 

(えっと………これを……どう切るか……)

 

あまり悩まなくていいところを余計に悩んでしまい、結果

 

「……あ!」

 

少し切る大きさをミスってしまったのは言うまでもない。

 

――――――――

 

そして学舎が休みのまた別の日

 

鍛冶屋の工房には朝から作業台につくルディの姿があった。

 

「……さて、今日は形を整えねえと……」

 

形に誤差こそあってしまったが、なんとか六等分に出来たので今度は形をヤスリなどできれいに整えようとしていた。

 

そして集中している最中にある声が彼に掛かってくる。

 

「ルディ、何してるの?」

 

「ああ、いま形を……って!?」

 

ふとその声に気づいて振り向くと、そこにはなんとラティナがいたのだ。

当然ながらルディは驚いて思わずこう喋る。

 

「な、なんでラティナがここにいんだよ!」

 

「うん?ルディの作業見てみたいなって、ルディのお父さんに頼んだら通してくれたよ?」

 

(親父ィ!?)

 

その許可を出した張本人の親父はフッと少しだけ笑った後再び剣を磨いでいる。

確信犯であった。

 

「……」

 

「だめ…?」

 

「いや、だめじゃないけどっ……あんまり近づくなよ……その……集中できねえから…」

 

「うん!」

 

そしてラティナは後ろからじーっとその作業風景を見ているのだが、当の本人は見られていることに緊張しすぎて本来の数倍は時間をかけてしまったのは言うまでもない。

 

そしてその作業の休憩の時、姉や兄から色々と感付かれたのか、かなり茶化されたのも言うまでもない。

 

 




ペンダントのことは原作よりちっと変えました。


しかし彼も大分変わったなぁ……と再び認識する

次は土曜日投稿です。
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