好きな子の為ならば、俺はもしかしたら勇者を超えられるかもしれない。   作:うちのこ

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というわけで投稿再開です。
ギリ一ヶ月経ってない……はず。




赤毛の少年、旅に驚く

雪の季節はあっという間に過ぎ、季節は春の足音を感じさせるようになった。

 

クロイツは相変わらず平和である中、その虎猫亭でデイルは装備を更新するため行く旅のことをラティナに話し始める。

 

「本当はラティナが学舎を出るのを待とうかと思ってたんだけどな……コートも直さないといけないし子供が生まれた後だと子育てやらでケニス達がもっと大変になるだろうし……少し長い旅になるけど一緒に行くか?それとも留守番しているか?」

 

この旅は本来は学舎に出た後の予定だったが、冬の時に判明したリタの妊娠により予定が繰り上がったということらしい。

仮に学舎卒業後に旅に出ることになるとその不在時にリタが出産し、子育てと酒場経営などで猫の手も借りたいほどになりかねない。

ラティナも労働力である以上、これは避けたいとデイルは思ったのだ。

 

「………ラティナ、一緒に行っていいの?」

 

「ラティナが嫌なら無理強いはしねぇ……どうする?」

 

「……」

 

ラティナは少し顔を暗くして、悩むような表情となる。

その表情にやはり気になったデイルは続けてこう話す。

 

「どうしたラティナ?やっぱり嫌か?」

 

「ううん。ラティナ、デイルと一緒の旅に行きたいけど……」

 

「行きたいけど?」

 

「……クロエ達に相談していい?ラティナ、よくわかんない…」

 

「おういいぞ、ラティナの好きなようにな」

 

(……うっかりしてたがラティナには俺が聞く限りでも友達は結構いるからな……その子達から離れるとなるとやっぱり寂しいよな……うんうん……ただ悩んでるラティナもかわいいなぁ)

 

ラティナのことを察しながらも親バカを炸裂させているデイルであった。

 

――――――――

 

次の日の学舎にて

 

「へー、ラティナ旅に行くんだ」

 

「旅かぁ……いいなぁ……」

 

「行っていいのかな……少し離れちゃうけど…」

 

ラティナの暗い表情に対し、クロエとシルビアはこう答える。

 

「うん、行ってきなよ、ラティナ」

 

「そうよ、旅なんてそう簡単に行けるものじゃないわ!」

 

「そう……そうだよね、うん。ラティナ、行くよ」

 

ここでやっと旅に行くことを決意したラティナである。

そんな時、教室にルディが入ってきた。

 

「ふああああっ……眠い……」

 

どうやら寝不足らしく、大きなアクビをしていた。

その様子を見ていたクロエはラティナをコンコンと軽くつつく。

 

「どうしたのクロエ?」

 

「ラティナ、あいつにも伝えたほうが良いんじゃない?」

 

「うん、そうだね」

 

そしてラティナはルディに近づいた。

 

「ん?な、なんだよ……」

 

ルディはラティナが急に近づいてきたので少し驚いて、顔を赤くしながらもなんとか平然と対応しようとする。

 

「あのね。ラティナ、旅に出るの」

 

「ふー………へ?」

 

ラティナのその言葉に一瞬スルーしかけたが、瞬時に気づき、思わず彼女の肩を握った。

 

「旅って…ラティナどっか行っちゃうのか!?なんでだよ!なんでこんな急に!」

 

「ふぇっ!?ど、どうしたの……」

 

「だって、だって!」

 

そのルディの早とちりの反応にラティナは思わず驚き、慌てている。

そしてその様子の二人にやれやれと思ったクロエは近づき、ルディの頭を軽く叩いた。

 

「ってぇ!」

 

「全く……ラティナ、きちんと話してあげて」

 

「あ、うん……ルディ。ラティナ、デイルと一緒にデイルの故郷行ってくるの。ちょっと遠いけど夏が終わる前には……帰ってくるんだよ?」

 

「……な、なんだよ…戻ってくるのかよ……」

 

「う、うん……もどってくるよ……?だから、大丈夫だよ…?」

 

「そ、そうかよ……って!」

 

今自分がしている行動(ラティナの肩を掴む)に気づき、思わずラティナからさっと離れた。

 

「い、いや…そうならいい……行ってこいよ……うん…」

 

そしてルディは顔を机に埋めて黙ってしまった。

どうやらその顔は恥ずかしくて沸騰寸前であったようだ。

 

「全く、ルディは話を聞かないんだから……」

 

「う、うん……」

 

クロエがルディに呆れている中、ラティナは先程肩を掴まれたことで「ドキドキ」しているのに気づいた。

 

(うーん……やっぱり、ラティナ……へん……あ、そうだ)

 

自分の感情は一旦置いてラティナは一つとある事を思いついた。

ルディに再び近づき声をかける。

 

「ルディ。ラティナ、頼みたいことがあるの」

 

「……な、なんだよ」

 

顔を机に埋めながらも、ルディはラティナの話を聞きはじめる。

 

「あのね、ラティナね、旅の時に使えるナイフが欲しいの。だから…」

 

「……わかった。親父に頼めば良いんだろ……」

 

「うん」

 

「…………わかったから……ちょっと一人にしてくれ……」

 

「う、うん………わかった」

 

――――――――

 

学舎から帰って来たルディはラティナへ贈るナイフの話を父に話した。

 

父が殆どやってくれたのだが、仕上げはお前がやれと言われた為、ルディは今、作業台にいるのだが……

 

「………」

 

ナイフを研ごうとする前に何やらラティナのことを考え始めているようだ。

 

(……旅って……夏前には帰ってくるとか言ってたけど……大丈夫……そう長くはないし……夏までなんてあっという間だ)

 

自分を納得させようとしているものの、やはり彼の中では疑念が大きくなっているようで、作業に手を付かずずっと考えっぱなしだ。

 

(大丈夫……大丈夫だよな……?……もしラティナが他の男に……ってそれは保護者が許さねえか……でも……)

 

結果、父親に気付かれるまでこの思考が止まらなかったのは言うまでもない。

 

――――――

 

そして日が立つのも速いことで、いつの間にかラティナが旅立つ前日になってしまった。

あの時のリボンも渡せずにため息を付いているルディであるが、そんな時にクロエが皆を集めた。

そして皆に手渡されたものは、ラティナの角のネックレスであった。

 

「うん、綺麗だね!」

 

「へぇ……これが角の……」

 

マルセルとアントニーはその角のネックレスを興味深く見ているようだ。

 

「俺が削ったり色々とやったんだぞ?」

 

「これは世界でもこの6つしかないからね」

 

「ラティナも持って良いのかな…?」

 

「うん!ってか元々ラティナのだし」

 

と皆が改めて友情を感じているが、ルディだけは少し引っかかったようで、クロエに耳打ちをする。

 

「なあ、俺のやつだけ少し大きくねえか……?」

 

「え?わざとそうしたんじゃないの?」

 

「いやいや、たまたま切り方を誤っただけで別にこれはクロエのほうが……」

 

「でも良いじゃない、これはルディが1番頑張ったわけだし」

 

「あのな……!」

 

色々としっくり来ないルディだが、クロエに押され、仕方なくそれをかけることにした。

 

――――――

 

「……」

 

(で、また「お膳立て」かよ!?)

 

「?」

 

というわけでまたまた二人っきりで帰ることになったルディとラティナである。

最近はラティナに感付かれそうになった為、お膳立ての頻度を減らしていた。

久しぶりの「お膳立て」と言えよう。

 

「どうしたの?ルディ」

 

「いや……」

 

(くっ、なんか話すことは……!)

 

「あ!」

 

ルディはなんとか話せることを考えると、あることを思い出し、鞄の中からその物を取り出した。

 

「どうしたの?ルディ」

 

「いや、前に頼まれたナイフと……その……ついでにリボンだ!」

 

そして彼はナイフとプレゼントとして買ったリボンを彼女に差し出す。

 

「へー……どうしてリボンも?」

 

「あ、いや……小遣いが余ってたからたまたま……に、似合ってると思ったし……それで!!」

 

あまり上手い答えではないが、ラティナは納得してるようで

 

「ありがとう、ルディ!大事にするね!」

 

そしてそのナイフとリボンを鞄にしまった。

 

(……俺が悩んでたこの数ヶ月ってなんだったんだろうな)

 

渡すのは簡単なのに、暫くそれで悩んでいた彼にとっては

こうも特に何も思われずに受け取られると少しずっこけそうになった。

まあラティナらしいと彼は思ったのだが

 

「お、おう……」

 

そうこうしている内に虎猫亭の前まで来た二人

 

「じゃ、じゃあ……気をつけてな!」

 

「うん!行ってくる!」

 

「い、いってら………!」

 

そんなやり取りをしてルディは自分の家の方へ戻っていくのだが

 

(……これって……男女逆の……夫婦か!?)

 

このやり取りで余計にルディが混乱したのは言うまでもない。

 

 




暫く離れ離れな二人です。

ここから輪にかけて細かく細かく色々と変わっていきます。


暫くは2日に一回投稿でお送りします。
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