好きな子の為ならば、俺はもしかしたら勇者を超えられるかもしれない。   作:うちのこ

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ついに……です


幼き少女、自覚する

ラティナとデイルが旅に出て数日が経った。

 

港町クヴァレを出た二人はデイルの親戚であるヨーゼフがいる獣人族の村へと立ち寄って、

その獣人族の村でラティナはヨーゼフの娘であるマーヤちゃんと会って仲良くなり、最後別れる時は少し騒動になったが、特に難はなく通過した。

 

その後、デイルの故郷であるティスロウに近づくや否や、デイルの家族が仕掛けた凄まじい罠が待ち受けていた。

もちろんそれを突破して、デイルとラティナは村へ入った。

 

そしてデイルの弟であるヨルクの結婚式などのイベントもありつつ、暫くデイルとともにティスロウに滞在するラティナであるが──

 

「………」

 

デイルが狩りの手伝いで森の方に出払っている中、ラティナは少し雲がかかっている空を見ていた。

その目はどこか淋しげな印象を受ける。

 

ラティナにとっては珍しいものだらけなティスロウへ来たことにより一旦はルディへのモヤモヤは軽減されたものの。それに慣れ、なにもない日が続くとモヤモヤがどんどん大きくなっていたのだ。

 

「はぁ………ルディ……」

 

(どうしてだろう………なんでだろう……?)

 

「はぁ……」

 

そしてラティナが二度目のため息をつくと、ある声が聞こえた。

 

「ラティナちゃん、ため息をつくと幸せが逃げるぞぉ?」

 

「ふぇっ!?」

 

ラティナがそう振り返ると居たのは、デイルの祖母であるヴェン婆ことヴェンデルガルトである。

まあこの本名で呼ぶ人はこのティスロウにはほとんどいないのだが……

 

「どうしたんだい?ラティナちゃん、またあのバカ孫がヘマでもやらかしたのか?」

 

「ううん、そうじゃないよ。ラティナは……」

 

「……そうだが、何か悩みがあるようだねぇ……」

 

「……」

 

やはり老人の勘は鋭く、ラティナを狙い撃つ。

 

「その様子だとあのバカ孫にも言えないことか?ラティナちゃんがよければ俺が相談に乗ってやる。もちろんあのバカ孫には秘密だ」

 

「…………」

 

確かにデイルには全く言えないことであり、そしてこれから先ずっとこれを我慢し続けるのは彼女にとっては苦しい。

 

ラティナは意を決して、その事について話し始めた。

 

「あのね、ラティナね……」

 

――――――

 

ラティナはそのモヤモヤに関係ある事柄全てをヴェン婆に話した。

とにかくとにかく喋り、全てを吐き出した後、ラティナはそわそわしながらも黙った。

そしてヴェン婆は少し考える仕草をした後、少し驚いた表情でこう話し始める。

 

「ふっ……ラティナちゃん、甘酸っぱいなぁ……」

 

「甘酸っぱい……?」

 

「おや、最近の子供は知らんのか、「初恋とキスはレモンの味」って」

 

「???」

 

ラティナの頭にはもちろんはてなが浮かんでいた。

甘酸っぱいと言われてもラティナにはいまいちわからなかったようだ。

 

「まあともかくだ……そのラティナちゃんのモヤモヤは間違いなく恋というやつだ」

 

「………こ……い?」

 

ラティナはその発言に対して、最初は反応が薄かった。

だが次第にその知識が掘り起こされると、段々とラティナの顔が赤くなり──

 

「こ、こ、恋!?」

 

一気に沸騰してしまった。

 

ラティナ自身は鈍感であるが、決して恋について知らないわけではない。

多少の例外はあるが基本は男女間での特別な感情のことであるのは言うまでもない。

ただ彼を友達としてしか思っていなかったはずなのに……ということで驚いているのも結構あった。

 

「ラティナが……ルディに……?」

 

「そうだ、間違いねえ。俺も昔は情熱的な恋をしたもんさ。しかし、最近の童子は進んどる」

 

「…………」

 

そのヴェン婆の言い当てには不思議と反論はでなかった。

むしろ心のモヤモヤが急激に開かれたようで、少しすっきりした。

 

(だからあの時の……手……好きってことだったんだ……)

 

引っかかっていた出来事を思い出し、気持ちに整理が段々とつけられてきたが、当然ながらルディのことも思い出すためか──

 

「………!」

 

色々と彼への思いが吹き出してきたためか、更に顔が真っ赤になってしまったのは言うまでもない。

 

「お、おばあちゃん!」

 

「ん?」

 

「あの……どうすれば……いいの…?」

 

「そうだなぁ……とにかくアタックしていくのが1番良いだろ。男連中は大体が鈍感だからなぁ」

 

「あ、あたっく……」

 

つまり一押し二押しということらしい。

 

「俺がじいさんを落とすのにもかなり手こずったもんでなぁ……どれだけ手間がかかったか……」

 

「………」

 

その後暫く続いたヴェン婆の指南のようななにかだが、ラティナはそれをあまり理解できなかった。ただし、覚えはしたようだ。

 

(しかし……このラティナちゃんを落とすほどの男の子か………少なくともうちのバカ孫よりは進んどる…あのバカ孫も身を固めて欲しいもんだが……)

 

ヴェン婆は一通り話した後、キセルに火をつけながらも、ラティナ経由で間接的に知ったその「彼」と「バカ孫」について考えているのであった。

 

――――――

 

「へーくしょん!!」

 

一方のクロイツでは大きなくしゃみをするルディの姿があった。

どうやらアントニーとマルセルとともに学舎より一緒に帰っているようだ。

 

「くそ…風邪引いたか……?」

 

「急にくしゃみをする時って噂されてる時ってよく言うよね」

 

「アントニー、たしかによく言うけど…」

 

「もしかしてラティナが噂してるとか?」

 

マルセルのその言葉にルディは少しだけ顔を赤くする。

 

「ん、んなわけねえだろ……今頃旅の所でなんか楽しんでんだろ……」

 

「そうだね、手紙でも元気そうだったし」

 

「…………」

 

ラティナは文の様子を見る限りでは元気なようで、ルディ的には安心だが、自分の寂しさが埋まるわけでもなく、微妙な気持ちになっていた。

そんな様子のルディにアントニーは声をかける。

 

「やっぱりラティナが気になるんだね、ルディ」

 

「べ、別に……」

 

「ふーん……もしかしたら旅の間にすっごくキレイになって帰ってくるかもしれないね」

 

「元々綺麗でかわいいっての……!」

 

「ほら」

 

「……!」

 

これまたアントニーに一本取られたようで、ルディの顔は真っ赤になってしまった。

 

「ほ、ほっとけ!」

 

「はいはい」

 

「ははは……」

 

こんなやり取りがありながらも、いつもの3人は家の方へ帰っていくのであった。

 

 




ヴェン婆のセリフは難しかった………

段々と二人がなんか似てきている感じがする

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