好きな子の為ならば、俺はもしかしたら勇者を超えられるかもしれない。   作:うちのこ

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幼き少女と親友たち

絶望寸前であったラティナを連れて喫茶店に入ったシルビアは適当な飲み物を頼み、そしてラティナにルディと何故居たのかを詳しく話し始めた。

身振り手振りで色々と喋って途中からシルビアは息切れし始めていたが、話すにつれてラティナの表情も徐々に明るくなっていった。

 

「ほ、ほんと……?」

 

「ええ……全部の神に誓ってもいいわ!」

 

ひと通り説明を終えるとシルビアははぁはぁ…と完全に息を切らしていた

 

「………そ、そうだよね……うん…」

 

誤解がやっと解け、ラティナの目には再び光が戻る。

その目をみてシルビアは安心するが、どっと疲れてしまった。

 

(色々と察してたけど……こうなっちゃうのね……気をつけないと……)

 

シルビアはラティナの意識が変わったことを薄々感づいていたが、ここまでとは思っていなかったらしい。

ジュースを飲みながらこれからは誤解されるようなことはなるべくしないことを誓うのであった。

 

「………シルビア。ラティナ、どうすればいいの…?」

 

「どうすれば……かぁ……」

 

ラティナの問いにシルビアは頭をひねる。

当然ながらそういう恋バナを聞くことがあり、興味はあるものの、経験はもちろんない。

 

そう考えていると窓の外にはシルビアもラティナも知る子が歩いていた。

もちろん親友のクロエであった。

 

(ちょっと、こっちこっち)

 

「ん?あれは……」

 

シルビアの合図に気づいたのか、クロエも喫茶店に入ってきた。

 

「どうしたの?二人共、こんなところで」

 

「クロエ……」

 

「どうしたのラティナ、やけに……」

 

「実は…」

 

カクカクシカジカとシルビアはこれまでの経緯をクロエに話す。

 

「なるほどね……道理で様子がおかしかったと思ったけど、そういうことね」

 

「うん、そういうことよ」

 

「あいつがそこまで考えるなんて……そしてラティナも……」

 

「……」

 

クロエはラティナをみている。

そして彼女の変わりようとルディの様子を重ねて、こうも例えた。

 

(似た者同士…ってやつよね……やれやれ)

 

「で、あいつにどうやってアタックするか?って言う話なの?」

 

「う、うん……そう…なる…」

 

「うーん……あいつにねぇ……やっぱ一押し二押ししないと無理よあれ」

 

「まあ、そうね……」

 

(……デイルのおばあちゃんと同じ……)

 

やはり自分から押すしか無いとラティナは思っている。

だがそう簡単に押せるはずもなく、やはり悩みっぱなしである。

そんなラティナにクロエはあることを問いかけた。

 

「……そういえばどうしてあいつのこと好きになったの?」

 

「ふぇ!?」

 

ラティナは驚き少し赤面する。

 

「う、うーん……どうして……うーん…わからないけど…」

 

「けど?」

 

「どこかの時でルディが握ってくれた手が引っかかって……それで段々色々なことが引っかかって……積もって……って言うのかな?ラティナ、よくわからない……」

 

「まあ恋ってそういうものよね。明確な理由はないけど心が引っかかったみたいな」

 

「……あいつもそんな感じだしね」

 

こうして話し合っているが、女の子同士の話であるがゆえ途中からやはり脱線したようで。

 

「そういえば猫集会ってのがこの西区にあるんだよ」

 

「猫集会!?」

 

「そうそう!猫はね。夜になるとみんなで集まったりしてるんだよ」

 

「猫!猫!いっぱいいるの?」

 

「いるいる、すっごくいるよ」

 

「猫、猫!」

 

「ラティナ、さっきから猫しか言ってないよ?」

 

「ラティナは猫好きだからねえ」

 

最終的には恋からかなり離れてしまったようだ。

 

そして、恋とは関係ない女の子同士のお話は「なんでこの西区で3人が集まったのか」という根本的な話にまで発展する。

 

それを最初に切り出したのはシルビアだった。

 

「そういえば、クロエはなんでここを通りかかったの?」

 

「あぁ、それはシルビア。あんたの家に行こうと思ったからよ」

 

「えっ?なんで?」

 

「私が前に貸した本、返してもらってないもの」

 

「あー、忘れてたわ。もう読み終わったから、今から取りに来る?」

 

「ええ、そうする。それでラティナはこれからどうする?」

 

「……あっ!」

 

クロエに話を振られ、ようやくそこでラティナは虎猫亭のおつかいで西区まで来ていた事を思い出した。

 

「ラティナ、おつかいの途中だったんだ……」

 

「「あ……」」

 

 

その頃、虎猫亭では──

 

「遅いぞ、ラティナァァァァ!!」

 

という、デイルの大声が響き渡っていた。

 

「うるさいわね。どうせ、おつかいの途中で友達にでも会って話しが長くなってるだけでしょ」

 

まさに今、リタの言う通りの状況なのだが、保護者(デイル)(ラティナ)の帰りが遅い事に対する心配が尽きなかった。

 

「ラティナ、また迷子になったんじゃ……いや、まさか人さらい?…………。今すぐ探しに行ったほうがいいんじゃないか?とりあえず、外で待つとして……。

大丈夫かあぁぁぁラティナァァァァ!!!!

 

(やれやれ……このバカ親は……)

 

そんないつも通りのデイルに呆れているリタであった。

 

 

――――――――――――――――

 

その日の夜

 

「………はぁっ………」

 

ルディはベッドに横たわりながら、これで何度目かになるため息をついていた。

そのため息の理由はもちろん想い人であるラティナの事だ。

彼女がここのところ自分のことを避けている気がする。

それに一度だけではなく何度もだ。

それが数週間に渡って続いているため、ルディの中には色々とモヤモヤが流れていた。

 

(あのラティナが………気のせいにしちゃ………)

 

どんな人にも基本的に愛想良く笑顔で接するラティナを今まで見てきた彼にとってこれは異常事態であった。

 

「…………」

 

(はぁ………寝ればなんか解決法でも思い付くだろ……)

 

そう思い、ルディはベッドに身を委ねて目を閉じる。

どこかでなんとかなるだろうという思いと、疲れていたこともあってすぐに眠ってしまった。

 

 

彼がまた彼女のことで夢の中でも苦しむことになるとは知らず──

 




なお少年はああですがデイルは平常運転です。


恋のきっかけというものは意外とわからないものである……。
焦れったい!!
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