好きな子の為ならば、俺はもしかしたら勇者を超えられるかもしれない。   作:うちのこ

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赤毛の少年と幼き少女、繋がりし想い

「ラティナ……!ルディのこと……好きなの!!」

 

 

 

 

「……え?」

 

ルディは少しの間、頭の中がフリーズし、思考が止まり、言葉を失う。

 

だが次の瞬間──

 

「な、な、なっ……!?」

 

一気に顔を沸騰させた。

 

人間、本当に驚くとワンテンポ遅くなるらしい。

 

(え、あ、え!?こ、これって……こくは……く!?)

 

そしてルディの脳内は混乱する。

 

目の前の想いの人から突然告白されたのだ。無理もない。

 

「だから……ルディのこと……避けてたの……!」

 

「な……」

 

(だ、だから……え……え…!?)

 

彼女が自分を避けていた理由はわかったが、告白でそんなことはどうでも良くなってしまった。

彼の頭の中は色々とオーバーヒートしかけている。

 

そして暫く黙っている(ように見える)ルディを見て、ラティナはこう話す。

 

「………変……だよね……やっぱり……ラティナ、「魔人族」だし……」

 

ラティナの表情は暗くなる、それを見てルディはやっと

 

(違う……それは……!)

 

「変じゃない……!」

 

「……ふぇ?」

 

今まで我慢してきたそれを解き放つかのように彼は噛み締めて話す。

 

「魔人族とかそういうのはいいんだよ……!……俺だって……ラティナのこと……すき……だからっ!!」

 

「え?……ふぇっ!?」

 

その言葉を聞いた瞬間、ラティナは顔を真っ赤に染める。

結局、最終的には二人の顔はリンゴのように赤くなっていた。

 

そして、既に日が落ちつつあり、空も二人の顔と同じく赤色に染まっていた。

 

――――――――――――

 

「………」

 

「………」

 

というわけで一旦落ち着く為、途中の小さな広場のベンチに座る二人。

両者ともぎこちなく端に座っているため、二人の間にはかなりの距離があった。

その距離はまるで今の二人の心の距離を示しているようでもある。

 

((き、気まずい……))

 

そして暫く黙っていた二人だが、これは不味いと思ったルディがこう口を開く。

 

「な、なあラティナ……」

 

「る、ルディ?」

 

「………俺達って……その……両思いってことだよな……」

 

「う、うん……そう……だよね……」

 

「………こ、恋人になるのかな……俺達……」

 

「……う、…うん…?た、たぶん……」

 

双方告白されて、その行き着く先はまだ子供である故に婚約……ではなく恋人ということなのだが、いまいち実感がわかない二人であった。

 

「……こ、恋人って……な、何をするんだろう……?」

 

「俺も……よく……わかんねえ……けど……」

 

そう言ってルディは頭をポリポリとかきながら、ゆっくりとラティナとの距離を縮める。

 

「こ、こんな感じで過ごしてたのを見たことがある……し」

 

「う、うん……ラティナも……みたこと……ある……」

 

((ち、ちかい……))

 

ただ距離が近くなっただけでもこの感じであり、初々しさが全開である。

二人の心臓も当然ながら心拍数がかなりのものになっていた。

 

そして今度はラティナが彼にこんなことを問う。

 

「る、ルディ……」

 

「ど、どうした?」

 

「あ、あのね………ラティナの……どんなところが…すき……なの?」

 

彼女は赤面しながらもなんとか言葉を振り絞った。

 

「そ、それは……あのな……」

 

「う、うん……」

 

(えっと………なんだっけ……)

 

言葉を思わずド忘れしかけたが、彼は赤面して、しどろもどろになりながらもこう答える。

 

「と、とにかくっ……!いつもの笑顔とか……いいしっ……か、かわいい……しっ!」

 

「……!?」

 

「かわいい」という言葉は彼女にとって聞き慣れた言葉であった。

何故なら常連やデイルなどからは耳がタコになるほど言われているからである。

 

しかし、この「かわいい」はそれとは違った。

 

想いの人から言われた言葉であり、彼が今まで恥ずかしがって言わなかったセリフである。

 

「ふ……ふぇっ……!?」

 

プシューッと噴火するくらい顔が紅潮するラティナ。

 

自分でも何故ここまで紅潮しているかはわからない。だが奥からなにかこみ上げてきたのは明白であった。

 

ともかく「嬉しかった」のだ。

 

そして暫くの間、再び沈黙が二人の間で起きるが、ルディがなんとか話す。

 

(と、とにかく……こう…か?)

 

「………よ、よろしくな。ら、ラティナ……?」

 

「………う、うん………よ、よろしく……?」

 

はてなを浮かべながらも、二人は一応の挨拶をする。

 

こうして、二人はとりあえず「恋人」になったようだ。

 

なお双方の紅潮は止まることがなかったのは言うまでもない。

 

――――――――――――

 

そして一方の虎猫亭ではまだ日があるにも関わらず、どんちゃん騒ぎの様相を呈していた。

 

それもそのはず、虎猫亭の看板娘と虎猫亭のピンチヒッターが結ばれたという情報が入ってきたのだ。

 

どうやら依頼の帰りの通りすがりで二人を目撃した冒険者が居たらしい。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおいっ!」

 

「ひゃっはあああああああああああああああっ!」

 

「よかった……よかった……」

 

中には号泣する客までもいる始末。

そんな客達にリタは呆れて色々と物も言えないようだ。

ケニスは苦笑もしている。

 

「このおっさんどもは……まあ喜ばしいことなのはわかるけど……はぁっ……」

 

「はははっ……まあ、そういうもんだよな、ここは」

 

「全く……大の大人が……」

 

そんな中、ラティナが帰ってきた。

 

常連達は空気を読んで急に静かになる。

 

「た、ただいま!」

 

「お帰りなさい。今日は少し遅かったわね?」

 

「う、うん!と、友達と話してたの!」

 

「そう……もうそろそろで学舎から出るからね……じゃあ手伝いお願いね」

 

「う、うん!」

 

ラティナはバレバレの嘘を付きつつ、着替えに走っていった。

常連達はもちろん察して、再び騒ぎが起きそうになった

 

「はぁ……初々しいってやつかこれ?」

 

「だろうな……俺ももっとなぁ……そうしたらラティナ嬢ちゃんみたいに…」

 

「ラティナがどうかしたか?」

 

「!?」

 

ある言葉が聞こえてきた方向を向くとその先には保護者のデイルの姿があった。

どうやら依頼を終えてきたらしい。

 

(き、来ちまった!?)

 

「い、いや……ラティナ嬢ちゃんみたいにしっかりできるといいなぁ!なあ!」

 

「お、おう!俺も頑張らねえとな!」

 

「だな!ガハハハハハ!」

 

「ふーん……」

 

デイルは「いつもの酔っぱらいか」と思い、それについて特に考えなかった。

そして愛しの娘についてもちろん気にし始める。

 

「そういえばラティナは?」

 

「ラティナは今着替えてるところよ?友達と話してて遅くなったって」

 

「友達と?」

 

「ええ、もうそろそろでラティナも学舎から卒業するでしょ?だからその思い出話が積もったのよきっと」

 

「そっか……まあ、友達と会える機会が減るのは寂しいよな……俺も依頼とか色々とあるし……埋めれれば良いんだけどな」

 

「……」

 

常連達は「もう埋まってるよ!」と言いたくなったが、我慢し酒を飲み干している。

そうしているうちにラティナが下に降りてきた。

 

「ふぅ……」

 

「ラティナ、ただいま!」

 

「デイル…おかえりなさい!」

 

ラティナは「先程のことがなかったかのように」満面の笑顔をデイルに向けた。

当然ながらデイルは陥落し、彼女のことを強く抱きしめようとしたが……

 

「あらあら、相変わらずねぇ……」

 

「な!?」

 

デイルの後ろからヘルミネが現れた。

どうやら用事を済ませて戻ってきたらしい

 

「な、なんでもいいだろ!つかまだいるのかよ!」

 

「あら?居ては悪い?」

 

「あのな……で、任務はいつに決まったんだよ」

 

「明後日にここを出ることになったわ。子離れできないあなたには辛いことでしょうけど」

 

「だから……、…まあいい。ラティナ、暫く…1ヶ月か2ヶ月位離れるが……良いよな?」

 

デイルのその問いに、ラティナはこう答えた。

 

「うん、ラティナ大丈夫だよ?皆も居るから」

 

「そうか……ごめんなラティナ……いつも留守番ばかり……ああいうの全て駆逐してしまえばこんなことなくなるのになぁ……」

 

デイルがため息をつく中──

 

(子離れできない親ね……子のほうはもう親から離れつつあるけど)

 

ヘルミネは彼のことをこう例えながらも、ラティナの様子を見て、それを()()()いた。

それに対してクスクスと笑ってもいたそうな。

 

――――――――――――――――

 

そして夜となり、ラティナの酒場勤めも終わった後

デイルがイビキをかいて寝ている中、ラティナは日記を書いていた。

今日は彼女にとって重大なことであり、大切なことが起こったため、そのことを絶対に忘れないようにラティナは細かく書きたいようだが──

 

「えっ………ふぇっ……」

 

その「こと」を思い出す度に顔を真っ赤にしており、それをぶんぶんと首を振って振り払おうとするが、そう簡単に取れるものではないようだ。

 

(ううっ……)

 

結局まともに内容を書けなかったのは言うまでもなく、ベッドに戻っても布団を被ったままで彼の言ってくれた告白の言葉や「かわいい」がリフレインしてしまったようで…気分こそは良かったものの、暫くは寝れなかった。

 

(は、はずかしい………………)

 

 

 

そして、一方のルディもベッドに潜り込み、色々と考えているようだった。

 

(俺……ラティナと……)

 

まだ、自分と想いの人が両思いであったことを実感出来ていないようだ。

 

(夢……じゃないよな……)

 

もしかしたら夢かもしれないと疑い、自分の頬を思いっきりつねるルディ。

 

「痛っ…!」

 

(夢……じゃない……ホントに俺とラティナが……)

 

色々と頭の中で思考が絡まり、なかなか寝付けずにいるようだ。

 

ルディはふと思いつき、ラティナから旅のお土産でもらった貝殻のペンダントを取り出し、それを見つめる。

 

(……そういえば、このペンダント…なんか意味があって渡してくれたのか?)

 

なんで自分だけ売り物じゃない貝殻で作ったペンダントだったのか、その意味を考えるルディであったが、結局答えは出ず、気付いたら朝になっていた。

 

「……ん?……朝か。……ってヤバい!!学舎遅刻する!!」

 

(何バタバタしてんのよ、ルドルフのやつ……)

 

(……昨日帰り遅かったし、何かあったな)

 

「ルドルフ~!昨日何があったかは聞かないけど、早く準備しなさいよ~!」

 

「べっ……別になんもねぇよ!!」

 

朝からドタバタとする彼を見て、何か変わったと察する兄姉と両親であった。

 

そして、否定しながらもルディの顔は真っ赤に紅潮していた。

 




前話の最初の「アレ」は原作でのある出来事がベースです。
もし彼が踏み出せずに、そして変わることが出来なかったら……です

それゆえにこのIFでは結構恵まれてるなと思います。


そしてもちろんですが、物語はまだまだ続きます!!
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