好きな子の為ならば、俺はもしかしたら勇者を超えられるかもしれない。   作:うちのこ

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今回は猫のお話です。



赤毛の少年と幼き少女と一匹の野良猫

休日、東区の小さな広場でルディはラティナを猫に会わせていた。

前に言っていた約束を果たすためだ。

その猫は当然ながら首輪をしていない野良猫でルディが探した猫である。

猫の色は茶色であり、目もくりっとしててとても可愛らしい猫だ。

猫の隣にはルディが、そしてその猫に対面するようにラティナがいる。

 

「ねこ!ねこ!!」

 

(ホント、猫好きなんだなぁ……ラティナ…)

 

暫く猫を見て「ねこ!ねこ!」としか言っていないラティナにルディは頭をかきつつ、こうも話す。

 

「撫でてみろよ、猫」

 

「い、良いの?」

 

「お、おう……こいつは比較的人に懐きやすいし……万が一の時は俺がいるし……」

 

「じゃ、じゃあ……っ」

 

ラティナは恐る恐る猫のほうを触ろうとするが、猫はそれをすっ、と避ける。

 

ちなみにラティナが何故猫に避けられるのかと言われるとやはり「触りたい」「撫でたい」という気持ちがかなりあり、それを隠しきれずに不自然になってしまっているところがあるため、警戒心が強い猫に距離を取られ、結果逃げられてしまうのだ。

前に猫屋敷に行ったときも、一匹の猫を除いてあまり触れなかったのである。

 

それに気づいたルディはラティナにこう声をかける。

 

「ラティナ、猫に触る時は普通に、自然に触ればいい。それじゃ猫にはすぐに逃げられることになるって」

 

「う、うん……」

 

(普通に……自然に……)

 

ラティナがそう念じて、ある意味「無」に近くなる。

なるべく気持ちを表に出さないように……

 

(普通に……よし…!)

 

「じゃあっ……」

 

ラティナは手を出し、猫を触ろうとする。

 

そして──

 

「にゃーん♪」

 

猫はいい声を出しつつ、ラティナに触られることになった。

逃げ出す様子はみられない。

 

「ねこ……もふもふ……すごい……」

 

そしてラティナからは案の定、語彙力が失われかけていた。

猫と今まであまり関わることがなかったからか、そのもふもふに魅了されてしまったからか、こうなってしまっていた。

 

「………」

 

(猫を触ってるラティナ……いい…な……)

 

ルディもその様子のラティナに「かわいい」と感じていた。顔も少し赤くなっている。

もちろん猫に夢中なラティナにそれが気付かれることはない。

 

「もふもふ……もふ……」

 

「にゃー?」

 

「ねこ………」

 

暫く猫をもふもふしているラティナであった…が

ラティナが少し手を離した瞬間、猫が飛び上がった。

 

「ふえっ!?」

 

そしてラティナの肩を経由してちょうどラティナの後ろのほうに着地した。

 

「あ、待てよ!」

 

ルディも咄嗟にその猫を追おうとするが、咄嗟すぎたためか、足を崩してしまい──

 

「あ!」

 

「ふえっ!?」

 

ルディはラティナのほうに倒れてしまった。

 

――――――――――――

 

「ってて……」

 

ルディは目を瞑り、手は地面につけている。

なんとか反射神経が働き、彼女を完全に下敷きにしてしまうことはなかったようだ。

 

「だ、大丈夫…か?」

 

「あ…う……」

 

(…ん?)

 

あまり返事しないラティナに不思議に思ったルディは目をあけて状況を確認する。

そして目の前に……そのラティナが居た。

 

(……なっ!?)

 

「……うっ……」

 

そう、ルディの目と鼻のすぐ先にラティナが居た。

まるで押し倒したような形になってしまったのだ。

 

「あ、いや……」

 

「う…うぅん……」

 

双方とももちろん顔が紅潮している。

ただでさえ距離が近いため、このままルディが下にいけば「キス」もできなくない距離なのである。

だがこのように唐突に起こったゆえにそのような勇気は双方には無く……。

 

「ご、ごめん……だ、大丈夫…か…?」

 

「あ、うん……ラティナは…だいじょうぶ………だよ……」

 

すぐにルディが横にズレて起き上がり、ラティナもそれに乗じて起き上がったのであった。

双方とも心臓がバクバクしており、下手すれば破裂してしまいそうであった。

 

そして一方の猫は暫く佇んでいたが、ある老人が近づくとその老人に懐いた。

 

「おや、お前……「カイ」じゃないか…!」

 

「にゃーん♪」

 

「ん?この声……」

 

ラティナがその猫と老人が居る方向を見るとあることに気づいた。

 

「あ、シヘスさん!」

 

「シヘス?」

 

「おや、あの時のお嬢ちゃん」

 

西区の猫屋敷の主、ゴジョ・シヘスであった。

猫にあこがれたラティナがジルヴェスターの紹介でデイルとともに行ったことがある。

 

「隣の少年は……そうか、君がルドルフか」

 

「は、はい……ってどうして俺の名前を…」

 

「隣のジルヴェスターからたまに話は聞いている。弟子入りしたそうだしな」

 

「そ、そうですか……で、その猫って……」

 

「ああ、もともとは屋敷にいたんだが、いつの間にか脱走してしまってな……結構探したんだが見つからなくてな……まさか東区に居るとは」

 

シヘスは引き続きその猫「カイ」のことを撫でており、とても慣れた手付きで首のところなども触っている。

 

(状態は……それなりにいいな……まあ後で獣医には見せなければいけないが…だが…)

 

そしてシヘスは思うところがあったのか、ルディにこう質問する。

 

「もしかして君がこいつの世話を?」

 

「いや世話ってわけじゃ……最初見かけた時、とてもお腹空かせてたから食べ物あげて……それでたまにあげてた程度だし……別に……」

 

「……なるほど、だが君がこいつを生かしてくれていたようなものだ。礼を言わせてもらおう」

 

「い、いや俺は……」

 

それでも謙遜するルディである。

まあたまたまやってたことが偶然こうなっただけであるため、当然であるが

 

「そう謙遜しなさるな。今度うちの近くに来たら是非寄ってくれ、何か御礼の品を持たせてやろう」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

「嬢ちゃんもいつでも来てくれ。こいつや猫に会いたい時はいつでもいいぞ?………ではまたな」

 

シヘスは猫の「カイ」と共にこの場を去った。

そしてもちろんだがラティナとルディのみがこの広場に居た。

 

(……気まずい)

 

それ故に静かになってしまったので、ルディはなんとか彼女に話しかける。

 

「……ラティナ、これからどうする?」

 

「う、うん……ちょっと買い物したいから……いい?」

 

「あ、うん…いいぞ……?」

 

そして二人は広場より出て、市場のほうに歩いていくのであった。

 

……先程の事故のことを思い出しながらも。

 

(はあっ……)

 

(ふぇ………)

 

((はずかしい………))

 

 




ねこねことなるラティナかわいい。
ルディにオリジナル設定付与で猫の扱いに慣れてることにしたのはこのためです(白状)

当然ながら続きます
次回は6日投稿予定です
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