好きな子の為ならば、俺はもしかしたら勇者を超えられるかもしれない。   作:うちのこ

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赤毛の少年、ちいさな娘と一緒に帰る

「はぁ……」

 

「~♪」

 

帰らないわけにも行かず、とりあえず一緒に帰ることになった二人。

ラティナは機嫌よく鼻歌(あまり上手くないが)を歌っているが、ルディはそうでもなく、ため息を付きながらもなんとかラティナに歩調を合わせる。

 

「………」

 

ため息混じりに横を歩くラティナのほうを見ていると、やはり彼女の背が小さい……小柄であるとルディは改めて思う。

以前はそれでからかったりしていたが、「恋」を自覚して以降は別の意味で気になっていた。

小柄であるがゆえにその可愛さもあるということがわかり、まさに「妖精」とも「天使」とも言えよう。

 

もちろんラティナにとっては身長が低いことはやはり気にしていることなので、回りから指摘されると大体ぷくーっと膨れたりしているのだが……

 

 

(やっぱりラティナって………)

 

歩きながら横目でラティナを見ていると、ラティナがルディの視線に気づき、首を傾げながらこう聞いた。

 

「ん?どうしたのルディ」

 

「あ、いや……」

 

ルディはもちろん思ってることをそう簡単に言えず、目をそらし誤魔化す。

 

「……ルディ、どうしたの?さっきから変だよ?」

 

「!?」

 

挙動不審過ぎるルディの様子は、まだ人恋沙汰に疎いラティナにも目に見えて明らかだった。

 

ラティナは心配してルディにこう声を掛ける。

 

「ルディ、何かあったの?ちょうし、わるいの?」

 

「い、いや……なんでも……」

 

ラティナはルディに近づく。

かなりの距離であり、今のルディにとってはかなり刺激が強い。

 

「あ……あ……」

 

(……あ!?)

 

そしてルディはとっさに見えたものに指差す。

 

「あ、あれだ!」

 

「?」

 

そこには、綺麗な虹が掛かっていた。

7色の綺麗で大きなものである。

 

「め、珍しいよな!こんな大きな虹がかかってるなんて……どっかで降ってたみてえだな!」

 

「………う、うん」

 

なんとか誤魔化すことに成功はしたものの、今度はラティナの表情に少し陰りが見えていた。

 

(あ、あれ……俺また何かやらかしちまった…?)

 

「……ラグ……」

 

「へ?」

 

「あ、うん、なんでもないよ?」

 

ラティナはなにか名前のようなものを呟いて、暫く顔を下に少し向けていたが、すぐに顔を上に向き、いつも調子に戻った。

 

(今の……誰かの名前?……あの虹になんかあんのかな……)

 

ルディはその言葉に少し引っかかったが、あまり考えても仕方がないと思い、すぐに心の片隅に仕舞った。

 

「じゃあ、行くか」

 

「うん」

 

――――――――

 

結局うまく話せなかったものの、特に滞りもなく歩き、二人は無事ラティナの家である虎猫亭へとたどり着いた。

 

「送ってくれてありがとね、ルディ」

 

「こ、これくらい……男なら当然だからな!うん!」

 

「ルディってやさしいんだね」

 

「なっ…!?」

 

ラティナの何気ない一言で、ルディは再び顔が赤くなりそうだったが、既の所で踏みとどまり、少し顔をそらした。

 

「じゃ、じゃあな!」

 

「うん、じゃあまた明日だね」

 

「お、おう!また明日な!」

 

ラティナはルディに別れを告げた後、虎猫亭のドアを開け、中にすぐに入っていった。

 

「……はあっ……」

 

そして気が張っていたルディはやっと気が抜け、大きなため息をついた。

時刻はまだ昼の時間帯だが、いつもよりかは少し遅くなっていた。

 

(結局うまく話せなかったなぁ……まあ仕方ねえのかな……)

 

良い収穫は出せなかったとルディは肩を落としながら、そのまま自分の家のほうへ戻っていくのであった。

 

――――――――

 

「ただいま、デイル!」

 

「おかえりラティナ!!」

 

デイルはラティナが帰ってきた瞬間、ぎゅーっと強く彼女を抱きしめる。

 

「で、デイル……ちょっとつよいよ…」

 

「おっとと、ついな……数時間もラティナと会えないのが寂しくて寂しくて…」

 

(それくらい我慢したほうが良いんじゃないの……)

 

(親バカ、ここに極まれり…か)

 

リタとケニスは心の中で少し呆れながらも、無言で酒場のいろいろな準備をしている。

 

「そういえば今日は誰かと帰ってきてたのか?いつものクロエとシルビアって子達か?」

 

「ううん、今日はその二人じゃないよ」

 

「!」

 

「!!」

 

そのラティナの発言を聞いた瞬間、身構えるリタとケニス

 

「ふーん、誰なんだ?」

 

「うん、る…」

「おおっと!しまった!!!」

 

ラティナの話を遮るかのようにケニスの大きな声が厨房から聞こえてくる。

 

「ん?どうしたんだケニス」

 

「い、いや…使おうと思ってた調味料を補充しとくのを忘れててな……デイル、すまんが市場まで買ってきてくれないか?」

 

「いちいち大きな声出すようなことなのかよそれ……まあ今日はあんま外出てないし良いけどな」

 

「?」

 

「ラティナ、ちょっと俺はおつかい頼まれちまったから話はまた後な」

 

「うん、わかったよ」

 

「じゃあ……で、切らしたのは──」

 

デイルはケニスからその切らした調味料を聞いた後、最低限の荷物だけを持ち、市場のほうへと出かけていった。

 

「はぁ……危なかったな…」

 

「ええ……ナイスフォローよ、ケニス……」

 

「?」

 

大人二人が気疲れしている中、ラティナはあまり状況を理解できておらず、頭の上にはてなを浮かべていた。

 

「ラティナ、ちょっといいかしら」

 

「ん?どうしたのリタ」

 

「あのね…デイルの前でルディ君のことを話すのはやめておいたほうがいいわ」

 

「どうして?」

 

「ええ…ああ………そういうの彼、弱いから」

 

ラティナに説明がしにくいためか、リタも言葉を濁すしかなかった。

 

「…うん、わかったよ。デイルの前でルディのこと話すのやめとくよ」

 

だがその説明でもすんなりとラティナは納得し、それを受け入れた。

 

「ごめんなさいね……あんまりこういうことは言いたくないんだけど…」

 

「ううん、大丈夫だよ。じゃあラティナは二階上がって準備してくるね」

 

そしてラティナはいつも通り二人を手伝うべく、二階へあがり、エプロンやらの準備をしてくるのであった。

 

「はぁ……これで良いのよね…」

 

「ああ……ラティナが何も思わなくても言った瞬間、デイルはルディをなんて思うか…」

 

再びデイルのことを懸念する二人。

 

(ルディ頑張れよ…)

 

(ルディ君、無理しないでね…)

 

ケニスとリタはルディの恋路を心の中で応援しながらも、再び酒場の開店作業を進めていくのであった。

 

 




デイルは1番動かしやすいかもしれない……。

1番よく考えて書いているのはもちろんルディとラティナ
原作、アニメ、コミカライズを見て日々研究中……
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