好きな子の為ならば、俺はもしかしたら勇者を超えられるかもしれない。 作:うちのこ
神達に拾われた男アニメ化して、しかもスタッフ陣がうちの娘。とほとんど同じとはなぁ……
みんな見よう!!!!!!
ラティナとローゼが話している中、ヴィントから知らせを受けたデイルは急いで虎猫亭へと帰ってきた。
慌てて帰ってきた疲れとローゼがクロイツに居ることへの驚きにより彼の表情は色々と騒がしいことになっている。
そんな状況の中、ルディは遠くの席で出されているジュースを飲んで、他人のように装いつつもその状況を観察している。
ちなみに今のルディならば別にお酒も飲めなくはないのだが、流石にどこぞの酔っぱらいのように昼間っからお酒を飲むほど飲兵衛でもバカでもない。
(相変わらずデイルさんは驚くと声大きいよなぁ……ってか、拐かされたってなにがあったんだ…?)
ローゼの口からは色々と物騒な言葉が飛び出し、デイルは大慌て、ラティナもラティナで驚きすぎて声が出ていない。
(だ、大丈夫なのか……これ……)
もちろんルディもルディで目を見開くほど驚いている。
そして話が進むにつれて……
「あら。私、あまり持ち合わせがありませんので、安価な宿の方が助かります。この街に来るまでも、そのような宿に泊まって参りましたし…」
「ろ、ローゼ……」
「ふえっ……」
その言葉で驚くあまり、ラティナのその「素」が出ていた。
ラティナは自分の一人称が「ラティナ」から「私」にすでに変わっていたものの、他の同年代に比べればまだ幼いような口調である。
背伸びをしたがることは少なくなったが、それでもラティナは少し自分の口調を気にしている。
だからか素を出せるルディなどにはともかく、「姫」であるローゼの前では普通の口調を心がけていた
もちろん、ルディはそのままで良いと思っているのは言うまでもないが。
そして色々と「魔王」から逃げ出した後の道中のことやらがローゼからペラペラと喋られているうちに、なんやかんやで虎猫亭に泊まらせることになったようだ。
なおデイルは顔が引きつったままだったのは言うまでもない。
(はぁ……あいつに早急に連絡しねえとな…)
―――――――――――
その後、虎猫亭の一室にしばらく暮らすことになったローゼ。
自分の立場を弁えていることもあり、殆ど部屋からは出ず、出たとしても栗色のカツラをつけている。
しかし、流石のローゼも引きこもり生活はやはり退屈であった。
数日後、そんな退屈そうなローゼを見てか否かラティナはローゼに魔法について教えを乞うようになったのだ。
最初は片手間にやるような感じであったが、次第に熱が入るようになり、いわば「スパルタ」のような教えになりつつあった。
もちろん今までラティナが経験した学習環境と比べればの話ではあるが。
ローゼは一歩間違えば危険なものとなる「魔法」を扱う者として、自分そして他人にも、その責任を持つものとしての律した姿勢でいるのだ。
「……やはりラティナさんは、基本理論は問題ないようですね」
前の日にローゼから課題として出されたレポートをラティナが提出し、ローゼがそれを講評している。
ラティナは背筋を伸ばしてそれを聞いている。
「魔人族とはいえ、ラティナさんは幼い頃に故郷を離れたのでしょう?それにしては難しい語句もよく理解していられますが…」
「うーん…そうなのかな?周りの大人のひとたちが…言葉に厳しいひともいたから……かな?」
そしてラティナはすっかりローゼに対して慣れたようで、言葉遣いも砕けたものとなった。
そして2人の性格もあり、友人というよりはいわば姉妹のような形となっていた。
キング・オブ・親バカたるデイルとローゼで違うところは言うまでもなくローゼは厳しいところはしっかり厳しくするというところか。
「それに比べて…あまり攻撃魔法の術式はご存知ないようですね」
「うん。デイルがね、危ないから覚えなくて良いって」
「なるほど…ですが、私たちのような、純粋な力では他者に及ばぬ者にとって、魔術は自衛の大きな手段です。使い方を誤れば危険な力とはなりますが、だからこそ深く良く理解し、使いこなす事が重要になります」
ちなみにローゼがラティナの丁度いい教師となれたのは扱う属性が同じ「天」と「冥」属性であるためである。そのため使用できる魔法も殆どが同じであった。
「ラティナさんは魔力の制御も得意でいらっしゃいますから、状況に応じた呪文の選択肢を増やすことが良いことかと。危険性を軽減させるために」
「はいっ!」
表情を引き締めて良い返事をする。
ラティナはこのことに相当色々と熱を上げているようだ。
なおそんな中でラティナがローゼに頼み込んで教えてもらった魔法は「浄化魔法」つまり「天属性」の対アンデッド魔法であった。
彼女は過去にあったある一件もありアンデッドモンスターが苦手でトラウマになっている。
遭遇した一回目はデイルに救われ、二回目はルディがなんとかやり過ごすことに成功したわけであるが、自分で対処する手段はあまりなく、とても不十分であった。
それ故に、一番最初にもとめてきたのである。
(ルディも冒険者の仕事頑張ってたから……私も頑張らないと……!)
トラウマ克服のために、物凄く集中して(下手すると虎猫亭での業務以上に)呪文の鍛錬に勤しむのであった。
―――――――――――
「…なぁ、ラティナ」
「ん?どうしたの、デイル」
そんな姿をここ数日見ているデイルはある日の夕食の席で疑問を口にした。
「そんなに魔法を一生懸命覚えて……将来冒険者になるとか言わねえよな?」
「?」
「ほら、ラティナの同級生のあいつみたいにさ」
デイルとしては不安だ。
彼女は魔法使いとしての能力はプロ…とまでは言えないが、すでに平均以上の力は持っているとデイルは見ている。
冒険者のような仕事をしたいと言えば、できることは一応可能なレベルだ。
そして彼からしてみれば同級生が一応ラティナが見える範囲で仕事しているのである。
その同級生に影響されて冒険者という不安定で危険な仕事にはついてほしくない。それはデイルなりの「親心」であった。
「え?うーんとね……私はね、この「虎猫亭」みたいなご飯屋さんがやれたら良いなぁとかって思うの。でもね、また旅とかも行ってみたいなって…知らない街とかに行ってみたり、おばあちゃんやマーヤちゃんに会いに行ったり…」
デイルはその回答にほっとする。
どうやら自分の考えは外れたようだからだ。
確かに彼女が言っていることは本当である。
「冒険者」にはならない。でも旅にはまた行ってみたいという。
しかし公言はしなかった…もとい、デイルには公言出来なかったのだが、彼女のその奥底には「彼」への想いがあった。
ルディは数年前よりはずっと強くなったが、それでもラティナをたまにヒヤヒヤさせる怪我をして帰ってくることが少なからずある。
下手すると骨折までやらかしたことがあった。
ラティナとしては極力彼に傷ついてほしくはない。
だからそのために彼を守れる力がほしいと思うのだ。
(守られるだけじゃなくて……私がルディのことを守れるようにしないと……ルディが傷つくのは嫌だからっ…)
だからローゼからは色々な防御魔法や攻撃魔法についてもラティナは教わっているのである。
いつか、一緒に旅へ行くためにも……。
(しかし食べてるところもかわいいなぁ…)
そんなことも微塵に知らないデイルは、言うまでもなく親バカを全開にしていたのは言うまでもない。