好きな子の為ならば、俺はもしかしたら勇者を超えられるかもしれない。   作:うちのこ

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本番じゃああああああああああああああああああ!!!!!!!


赤毛の少年と白金の乙女、赤の神の夜祭りへ。壱

「赤の神の夜祭り」という名前の通りその祭りのメインは夜に行われる。

だが祭り自体は昼からあり、当然ながらクロイツは慌ただしい空気に包まれる。

ラーバンド国第二の都市の最大級の祭りであるがゆえに当然のことであった。

 

「じゃあ、行って来ます!」

 

「気をつけてね、ラティナ」

 

「うん!」

 

そして出かけるラティナを見送るのはリタだ。

なお物凄く心配していたデイルは留守である。何故ならローゼがグレゴールとととに王都へと戻ることになったため、二人の護衛として着いて行っているからだ。

 

もちろん遠い王都まで行くわけではない。

デイルの仕事は、クロイツから少し離れた場所にある、飛竜の到着予定地点までローゼ達を連れていくことである

そこで飛竜が来るのを待ち、王都へ飛竜で向かうローゼとグレゴールを見送るまでが、今日のデイルの仕事だ。

 

なおラティナは詳しいことは知らず。いつもの仕事と同じように受け取っていた。

というより楽しみゆえに気にしなかったというべきか。

 

ラティナにしてみれば、久しぶりの友人たちとの『お出かけ』でもあり、そして初めての想いの人との『デート』でもあった。

 

「きゅう……」

 

なお反面ヴィントはやけにぐったりしていた。

ヴィントはついていく気満々だったが、『デート』に集中したいラティナはそれに猛反対。

最終的にブラッシングしないといういわば脅迫な言葉でヴィントが無理やり折れたのだ。

 

(まあ仕方ないわよね……ごめんね、ヴィント)

 

(やれやれ)

 

なおこれに関しては仕方ないと思うリタとケニス。

二人の仲を応援しているがゆえに、こうなっているのだ。

 

不安であるのは言うまでもないが、親バカの極みとは違い、いつまでも保護者同伴にするつもりはなかった。

そしてルディのことを信用しているのもある。

 

「ん?そういえば、今日はいつものやつらがあまりいなくないか?」

 

ケニスは酒場を見回すと客入りこそそれなりにあるが、いつものメンツの姿があまりいないのだ。

 

「あーあいつらなら、なんか警備に志願するとか言ってたわよ?」

 

「志願?」

 

「憲兵の人手が足りないからとかなんとかで」

 

この夜祭りの警備は当然ながら街の憲兵が担うのだが、他の街や地域から来る人々もとても多く、人員自体は毎年強化しつつあるものの、とてもじゃないが捌ききれないものであった。

そのため冒険者への依頼として憲兵の警備の補助があるのだ。

 

ただこの依頼はいわばお役所が出すものとなるため、報酬としての相場はあまり良いとは言えない。そのため例年なら受ける冒険者もそう居ない。

いわばボランティアのようなものだ。

 

だが今回は『赤き勇者』と『白金の乙女』の2人がデートをする……ということで「見守る会」の本領を発揮するために常連達は自ら志願したのだ。

人が多い分、治安も悪くなることが多い。

そのため2人を邪魔するものを極力排除するというのが主目的だ。

 

恐らく、この夜は悪人もとてもじゃないが悪さできない環境になるであろう。

 

(良いような悪いような………まあ、2人にとっては良いんだろうけど)

 

「んー?」

 

リタはテオドールをなでつつ、ため息を付いていたそうな。

 

――――――

 

そして表に出たラティナは通りを歩きながら、いつもと違う様子に心を踊らせていた。

 

(ヴァスィリオでは、赤の神のお祭り見たことなかった……)

 

いつしか、クロイツでの生活に慣れ、故郷である「ヴァスィリオ」でのことを思い出すのも難しくなっていた。

そして思い出すそのものも悪いことばかりではなく良いことも思い出すようになっていた。

 

追放されたその当初よりはかなり良くなっていたのであろう。

 

(そういえば……あの時は()()と一緒に、お祭り行ったんだよね……あれは何の神様のお祭りだったんだろう……?)

 

 

そう考えているといつの間にやら東区の職人街に到着した。

ここは流石に静かであるが、いつもより作業音やらは大きかった。

 

そしていつもの親友の家の扉を叩いた。

 

「いらっしゃい、ラティナ!入って入って!」

 

「お邪魔しますっ」

 

クロエの先導で作業場を抜けて、クロエの私室へと向かう。

 

「もうシルビアは来てるよ」

 

「ごめん、遅れたかな?」

 

「ううん。シルビアは仕事が早く終わったって言って、入り浸ってたんだよ。家に帰るにも微妙な時間だったとかで」

 

クロエの言葉通り、彼女の私室ではシルビアが行儀悪く足を伸ばしていた。

そんなシルビアはラティナが来たことに気づいて、笑顔を向ける。

 

「シルビア、久しぶりっ」

 

「ラティナ! 本当久しぶりだね。あんまり……変わってない…みたいだね」

 

「……今、何処見たの?」

 

シルビアはラティナの「そういうところ」を見ていたが、ラティナはすぐにそれを気づいた。

そのオーラは「触れてはいけない」ということを指し示していた。

 

「いやまあ……でも本当に久しぶりだね!」

 

言うまでもなくシルビアは話を仕切り直した。

 

「シルビアはちょっと大人っぽくなった?」

 

「ふふふ……緑の神の神殿では、日々様々な最新情報が集まるからね。でもそれを追ってても二人共進展の情報全く聞こえないようだけど……」

 

「…ふえっ…」

 

にやりと悪そうに笑う友人のそんなところは、学舎時代からあまり変わらないようだった。

 

「こらこら、シルビア。ラティナをいじめない」

 

「でも4年も経ったんだからもっと進んでも良かったんじゃないの?」

 

「……ルディも忙しかったし、私もあんまり……」

 

シルビアの言うことはごもっともである。

実際2人の距離は進んではいたが、亀のごとく遅い。

絆の強さ自体はかなりのものだけど、一般的な恋人として見たらだいぶ遅い。

下手すると他の同年代よりも遅いであろう。

 

「まあその話は後ででいいんじゃない?それより支度よ支度。服はもう出来てるんだから」

 

パンパンと手を叩いてクロエは話を一旦区切らせる。

 

「うん!凄く楽しみにしてたのっ!」

 

とりあえず服の方に移行するラティナ

なおクロエとシルビアは何かジェスチャーをしていたようだが、ラティナは気づかなかった。

 

クロエが取り出した新しい服を、ラティナは受け取ると、直様着替え始めた。

女の子同士のため、当然ながら配慮などはない。

そしてクロエは職人として採寸通りになっているかどうかを確認するのだ。

 

「……確かに少し大きくなってるわね……ごめんね、ラティナ」

 

「そうだよ。ちゃんと成長してるもん」

 

クロエが謝っているとシルビアもそれを注意深く見たようで

 

「確かにそうね……でもあいついるんだから、もっとあっても良いんじゃないの?相乗効果?とでも言うのかしら」

 

「ルディ、大きくても小さくても良いって言ったから。だからいいの」

 

「まああいつが良いなら私も何も言うことはないんだけど……でもてっきり揉まれて…んぐっ!」

 

シルビアが何かをいいかけるとクロエが口をふさいで止める。

そして部屋の端に移動する。

なおラティナははてなマークをつけていた。

 

「ちょっとちょっと、ラティナの前でそれは刺激が強すぎるわよ」

 

「これくらい普通でしょ?ってか、まさか「その段階」にもいってないの?」

 

「当たり前じゃない。あの2人奥手だから……そういうこともなにもないわよ」

 

「嘘……本当…?」

 

「本当よ……あの2人、ホント初々しさが抜けなくて……」

 

クロエはため息を付き、シルビアも予想外故に顔が少し引きつっていた。

 

「やっぱ遠慮しやすいのよ。なんというか、気遣いすぎてるというのかしら。本当はもっと相手に関わりたいとかあるんだろうけど、意識的にも無意識にもリミッターかけちゃってる感じ」

 

「あー……」

 

「まあ、一応アドバイスはしてるけど……このままじゃジリ貧ね」

 

「なるほどね……」

 

「どうしたの?二人共」

 

流石に内緒話しすぎたため、ラティナは改めて2人に話しかける。

そして2人も改めてラティナのところに戻った。

 

「いや、ちょっとね。それよりクロエ、例のものある?」

 

「え、ええ。あるわよ。」

 

「?」

 

はてなを浮かべるラティナをよそに

2人は不敵な笑みを浮かべていたそうな。

 

 

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