好きな子の為ならば、俺はもしかしたら勇者を超えられるかもしれない。   作:うちのこ

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引き続き……。


赤毛の少年と白金の乙女、赤の神の夜祭りへ。肆

「ねぇ、ルディ!これ、どうかな?」

 

「お、おう。可愛いと思うぞ」

 

ルディとラティナはクロエ達と別れ、二人で出店を見て回っていた。

今は小物店でリボンを見ているところだ。

アントニーの父の計らいで見物できる場所は確保できたが、クロエ達の後押しもあり、二人っきりで行動することにしたらしい。

 

「次、あのお店行こ!ルディ!」

 

「あんま走るなよ……人通り多いんだし」

 

ラティナは嬉しいからかいつもよりかなりアクティブになっている。

デイルを気にせずにルディといられるからか、いつもは出歩けない時間ということもあってか。

 

ただ当然ながら──

 

「うわっ!?」

 

それでこけてしまった。

 

(……!?)

 

ちょうどラティナの後ろを歩いていたルディはスカートの中身が見えてしまったのだが、すぐにその雑念を振り払い、ラティナに駆け寄った。

 

「お、おい大丈夫か?」

 

「あ、うん……大丈夫……」

 

ルディがラティナをよく見ると膝に擦り傷ができているのがわかった。

道の端によって、ルディは自分の下げていたカバンから傷薬やらを出し、ラティナに手当をする。

冒険者であるため、傷薬などはいつも持っているのである。

 

「……こんな感じでいい?」

 

「うん、ありがとう。ルディ。でもこのくらいの傷なら自分で治せるのに」

 

そう言いながらラティナはぱっぱっと服についた土汚れをはらいつつ、立ち上がる。

 

「昔は俺が怪我した時、ラティナの魔法で治してもらっただろ。そんときのお返しだよ。それと……」

 

そして、ルディは手を差し出す。

 

「ほ、ほら……」

 

「え?」

 

「いや、離れると不味いから……手握ってたほうがいいと思うし…」

 

「あ、うん……」

 

2人は手を繋いだ。

流石に前よりかはあまり恥ずかしくはならないものの、慣れていないようである。

 

――――――――

 

 

その後、祭りの本番である行進と花火が始まるまでの間、出店やらを楽しんでいく2人。

それもそれで楽しいものだが、2人は悩んでいるようで……

 

(うーん……縮めるには……縮めるには……)

 

(あとは何をすりゃいいんだろ……?)

 

似た者同士なのは言うまでもないが、もどかしいものではある。

滅多に無いこの機会に普段とは違う何かをしたいと思ってはいるのだが、その何かがお互いに浮かんでいなかった。

 

「ん?」

 

そう考えていたルディが別の方を向くと、憲兵の姿が見えた。

当然ながら目を光らせている。

 

「……」

 

「どうしたの?ルディ」

 

「いや、憲兵の数が多いから……悪いことなんもしてねえんだけど、なんか息苦しくなるよな」

 

「そう?」

 

天然なラティナはそうは思わないが、ルディにとってすれば憲兵は前にすると緊張してしまう相手だ。

憲兵の話題が出て、ルディはふとあることを思い出す。

 

「なあラティナ」

 

「んー?」

 

「今俺は冒険者なんだけどさ、一時期憲兵になるか悩んでたんだよな…」

 

「あ、そういえばシルビアに相談してたって聞いたよ?見学まで行って」

 

「ああ……俺はぶっちゃけ何してもいい感じだったからな……だからこそ悩んだというのか」

 

ルディはかなりギリギリまで悩んでいた。ラティナを守れるようになりたいというその想い故に……

 

そして最終的にはラティナとなるべく離れないようにと冒険者の仕事を選んだ。

 

まあその選んだ直後にラティナから告白されるのは予想外であったが。

 

(今はこうしてるからいいけど、もし急がば廻れって通りに憲兵の方選んでたらどうなってたんだろ……ま、そんなのもう関係ないけどさ)

 

とルディがやけに考えていたからか

 

「うわっ!」

 

「あっ!」

 

行進がもうすぐ始まるという事もあり、人通りが多くなってきたため、手がいつの間にか離れ、はぐれてしまった。

 

(し、しまった!?)

 

周りを探してもそこにはラティナはいない。

 

(日も落ちてきてる……早く探さねえと……!)

 

夕焼け色に空が染まる中、ルディは一目散に駆け出した。

 

 

――――――――

 

 

そして、神官兵達の行進が始まったのだが──

 

「ううっ……ルディ、どこだろう……?」

 

ルディとはぐれたラティナはトボトボと一人で歩いていた。

 

知らない人だらけでラティナは寂しいが

 

(ルディ大丈夫かな……?)

 

と自分よりルディの心配をしていた。

 

 

 

「……ん?」

 

そんな様子を見ていたのはジルヴェスターだった。

本人はとっくの昔に冒険者を引退しているため普通にお祭りを楽しんでいるらしい。

もちろん、ラティナに声をかける。

 

「どうしたんだい?嬢ちゃん」

 

「あ、ジルさん……」

 

ラティナはやはりそわそわした様子だ。

隣に「彼」がいないこともジルヴェスターは察する。

 

「兄ちゃんとはぐれちまったのか?」

 

「う、うん……」

 

「行進も始まって人通りも増えてきたからな……嬢ちゃんだけで探すのは危ないだろう。俺たちが兄ちゃんを探しておいてやる」

 

「ほ、ホント?」

 

「ああ、嬢ちゃんは……そうだな。この先の角を右に入った通りの道の端を左に曲がれば、大きな木がある。そこで待っていてくれ」

 

「う、うん。わかった」

 

ラティナがそう歩きだすとジルヴェスターはポンポンと手を叩く。

それと同時に何処からかいつもの虎猫亭の常連の冒険者が2人ほど忍者のごとく飛び出してきた。

 

「ジルヴェスター、どうした?」

 

「すぐに兄ちゃんを探して「あそこ」に誘導しろ。プランB3だ」

 

「了解!」

 

 

――――――――

 

 

一方探し回っているルディ。

 

あちらこちらを走り回り、足が棒になりかけているが、当然見つからず……。

 

(くっそぉ……人が多すぎる……!それに日も沈んじまったし……)

 

日も暮れてしまい、途方に暮れていたのだが、ルディはとある男に声を掛けられた。

 

「やっと見つけたぞ、兄ちゃん!あっちこっち走り回りやがって、探してるこっちの身にもなれってんだ

 

フルフェイスの兜を被った、いかにも怪しい風貌であるが、その男の声はルディの見知った声であった。

 

「あ、あの……おじさんって……」

 

「俺はただの見回りの人だ。それ以上でもそれ以下でもない」

 

「いや、虎猫亭の常連の……」

 

「そんな事はどうでもいい!それより、兄ちゃん!今すぐここの場所に来い!」

 

「え?」

 

その男は何かの場所を示した簡単な地図が書かれた紙をルディにわたす。

 

「嬢ちゃんはそこにいる。異論は認めん!」

 

「はあ……」

 

「では」

 

そしてその男は足早にその場から消えた。

 

(嬢ちゃんはそこにいるって……ラティナの事だよな。とりあえずそこにいくしかねえのか…?)

 

――――――――

 

そんなこんなでルディは示された道筋通りに歩いていくと、大きな木がある広場にたどり着いた。

当然ながらここは祭りの本場よりは少し遠いところである。

 

「ルディ……!」

 

「うわっ!?」

 

ラティナはルディを見つけた瞬間、なんと抱きついてきた。

よほど寂しかったらしい。

 

「ううっ……ルディ……」

 

「ラティナ、んな大袈裟な……」

 

「でも……寂しかったから……っ!」

 

14歳となったラティナであるが、やはり夜に一人になるということは寂しいことだ。少し泣き出してしまっている。

 

「な、泣くなよ……」

 

(また俺は……)

 

そうなっているときにドーンとした音が聞こえてくる。

 

「ん?」

 

「なんだぁ?」

 

二人がその音に驚き、顔を上げると、そこには大きな花火が夜空を覆い尽くしていた。

 

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