好きな子の為ならば、俺はもしかしたら勇者を超えられるかもしれない。   作:うちのこ

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ばったり合う二人…。


赤毛の少年、幼き少女と休日を過ごす

クロイツは交通の要所にあり、商人を優遇する政策をとっているため、様々な商人がこの場に店を構えるなどをし、東区の市場はとても繁盛している。

 

休日のとある日、その市場でルディとラティナはばったりと会った。

 

「あ、ルディ」

 

「お、おう…もう風邪大丈夫なんだな!」

 

「うん、ラティナもうすっかり元気になったよ」

 

「よ、よかったな……」

 

あの時のラティナの面影はなく、いつもの調子を取り戻していた。いつも通りのかわいいラティナである。

格好もいつも通り、ピンクのリボンで髪を2つ結び、黄色基調のワンピースを着ていた。そしてバスケットを持っている。

 

そして、ルディはそのラティナにいつも通りに見惚れていた。

 

何もかもいつも通りである。

 

「うん!ルディも手伝ってくれてありがとね」

 

「こ、これくらいなんでもねえよ……ラティナはなにか買いに来たのか?」

 

「うん、リタからおつかいを頼まれたの。ルディは?」

 

「お、俺は……まあちょっと買い物があって……」

 

そしてルディは少し黙った後、再びチャンスが巡ってきたと解釈し、意を決して話し始める。

 

「お、俺もラティナと一緒に行っていいか!?」

 

「うん、いいよ」

 

――――――――

 

ラティナのおつかいにとりあえずついていくルディ。

行く先々でラティナはお店の人からは声をかけられは声をかけられ……

とにかく人気だなぁと横にいながら思う。

 

(……)

 

「おじさん、ありがとね」

 

「おうよ!これももってきな!」

 

そして色々とおまけもつけられていた。

そこは少しうらやましいなぁと思うルディである。

 

(ラティナって……やっぱモテるんだな……)

 

「おうそこの二人!もしかしてこいび」

 

「え?」

 

「ち、ちげえよ!!」

 

と声をかけられながらも、ラティナのお使いはドンドン進んでいく。

 

(ううっ、重い……)

 

そしておまけやら色々と想定以上に持たされたためか、バスケットの中はラティナにとっては重くなっていた。

 

「……ラティナ」

 

「ん?」

 

「お、重いなら俺が持つよ……ついてくだけってのもアレだし…」

 

「いいの?結構重いよ?」

 

「いつも鍛冶の手伝いで重いもの持たされてるからこれくらい……」

 

「……うん、じゃあ……」

 

そしてその荷物を持つルディ

ラティナにとっては重かったが、ルディにとってはそう重くはなかったようだ。

 

「よし、じゃあ次はどこ行くんだ?」

 

「えっと次は……」

 

――――――――

 

「……」

 

そうやって歩いていると

 

グーッ

 

「!?」

 

「?」

 

ルディのお腹より音が聞こえていた。

どうやらお腹が空いてしまったようだ

 

「ルディ、おなかすいたの?」

 

「し、仕方ねえだろ……」

 

そう、日差しはちょうど真ん中であり、昼間の時間だったのだ。

お腹も空いてしまうのも当然であった。

 

「うーん……お昼はどこがいいのかな?ルディ、知ってる?」

 

「……なら「あいつ」のところが近いな」

 

「あいつ?」

 

そして、ルディはラティナをつれて()()()の店へと向かった。

 

――――――――

 

「うわぁ!ルディとラティナ、来てくれたんだね!」

 

「おう!来たぞ」

 

「マルセルのパン屋ってこうなってるんだね」

 

ルディがラティナを連れてきたのは、マルセルの実家のパン屋だった。

 

店番していたマルセルは思わぬ来客に声を弾ませる。

なお奥ではパンを焼いているようで、店内では良い匂いが漂っていた。

 

そしてマルセルは二人が一緒にいることについて色々と察しながらも何を頼むかを聞き始めた。

 

「で、二人はどんなパンを買いに来たの?」

 

「……ちょっとお腹が空いちまったからな……なんかおすすめってのあるか?」

 

「うん、マルセルのおすすめはどういうの?」

 

「うーん……おすすめか……じゃあ、ルディにはボリュームたっぷりのお腹ふくれるやつで、ラティナはこういうのどうかな――」

 

――――――――

 

というわけでマルセルの家のパン屋で勧められたパンを買い、近くのベンチで座わって食べる二人。

マルセルの友だちが来ていると知ったマルセルのお母さんは飲み物までサービスしてくれた。

 

そして二人が買ったパンはルディは肉を中心に挟んであったもの、ラティナは野菜を中心に挟まれたものであった。

 

「「いただきます!」」

 

そして準備ができた二人はそのパンをパクっと食べ始めた

 

「うめえ……流石マルセルのところだな」

 

「うん、おいしいね」

 

そしてそのままパンをたべているのだが……

 

「………」

 

(う、なんか静かになっちまった……!)

 

流石に食べてる時に何も話題がないのはまずい。

学舎で昼に食べている時も皆が揃うときはラティナとルディはあまり言葉を交わせていない(それで焦れったいと周囲に思われているが)

そして少し考えた後、ふと思いついたことをラティナにぶつける。

 

「そ、その……ラティナが食べてるのも美味しそうだな!」

 

「うん、美味しいよ?」

 

「そ、そうだよな……」

 

なんとか切り出したものの、話は弾まず……万事休すかと思われた。

だが今度はラティナのほうから話を始めた。

 

「ルディ、じゃあラティナの……食べる?」

 

「……え?あ、うん……」

 

まさかのラティナからの提案に驚くルディ

だがここで断るのも不自然であると思ったルディは素直にそれを承諾するが──

 

「はい、あーん」

 

「あ……え?」

 

「?」

 

「い、いや……あーんって!?」

 

「え?だっていつものお客さん達がね、ルディにはこういう時はこうすると良いって…」

 

(な!?)

 

まさかの虎猫亭の常連の大人たちからの入れ知恵であった。

 

(い、いいのかよ……これ……)

 

ラティナの表情は特に動揺などもせず、むしろ不思議と思っている表情であった。

これで拒否するのもそれもそれで彼女に変だと思われること間違いなしであろう。

それゆえに彼は覚悟を決めた。

 

「わ、わかった……」

 

「じゃあ、あーん」

 

「あ、あーん……」

 

そのままなんとかあーんに応えたルディ

 

もちろん顔は紅潮しており、味なんてよくわからなかったのは言うまでもない。

 

(うっ…な、なんだよこれ……!)

 

「じゃあラティナもルディのを食べていいかな?」

 

「あ、お、おう……」

 

あーんにはあーんを返さないといけないのかなと思考停止しそうなルディがなんとか考えながら、ルディは自分のパンをラティナのほうに差し出す。

 

「じゃあ……あ、ん……」

 

「あーん…」

 

パクっとラティナは小さなお口で食べている。

そしてとても笑顔な表情になっている。

 

「うん、美味しいね」

 

「お、おう……」

 

その表情を見て更に顔が赤くなってしまったルディであった。

 

――――――――

 

「ふーっ……くたびれたな……」

 

「だ、大丈夫?」

 

バスケットの中身はパンパンになり、それをルディは抱えていた。

 

「いや、これくらい平気だっての……」

 

「……そういえばルディの買い物はいいの?」

 

「あ、うん……特になかったし……」

 

「ふーん…」

 

実は彼が市場に出向いていたのは暇つぶしというわけではない。

前に虎猫亭を手伝った時、その御礼というわけで少々の小遣いを貰った。(ルディは遠慮したものの、断りきれずに受け取った)

そしてそのお小遣いを元にラティナに贈り物をしようと考えていたのだ。

そんな時にラティナと出会ってしまったため、その目的は吹っ飛んでしまった。

 

(ま、いっか……またどっかでいけばいいし……)

 

そう彼は思いながら、彼女の家へこの荷物を置きに行くのであった。

 

――――――――

 

時は少し流れ、夕方の虎猫亭では、いつも通りラティナが配膳や掃除などを行う中

客の活気はそれなりだが一部なんとも言えない雰囲気も流れていた。

そんな様子にリタは思わず呆れながらも声をかける。

 

「……で、あんた達はなんでここに来てまで辛気臭いことになってるのよ……失敗でもしたの?」

 

そしてその集団の一人が口を開き始める。

 

「依頼自体は別に良いんだ……だがよ…」

 

「ああ、依頼主に完了の報告してくる帰り道によ……見ちまったんだ」

 

「見た?」

 

「ああ……嬢ちゃんとあいつがよ……」

 

「ラティナと…ルディ君が?」

 

「食べさせあいっこしてたんだよ!!」

 

その発言にリタはため息を付いて呆れていた。

大の大人がそれにいちいちショックを受けるのかと……

 

「別に良いじゃない……そもそも彼のことは認めたのよね…」

 

「ま、まあな…だがな……単純に羨ましいというのか…」

 

「おう……良いよな……」

 

「焦れったいというのか……」

 

「……はぁ……全く」

 

(二人の存在がこの人達にとって段々と強くなってるわね……)

 

リタは再びため息を付いた後、皿を片付けていったのであった。

 

 




尊み最大でお送りしています。
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