「また拾ってきたんですか、涼さん」
「またとはなんだ、またとは。しかも今回は拾ったんじゃない保護しただけだ」
ソファの上で意識を失っているのは教会の悪魔祓いの紫藤 イリナという少女。
腕や脚には包帯が巻かれ、着ていた黒い全身タイツみたいな防御力ゼロな装備は破れていて着ていても意味はなさそうだったので、セレナのシャツを代わりに着せている。
事の発端は堕天使の幹部コカビエル、教会の所持するエクスカリバーを盗み出したことから始まった。教会は二人の聖剣使いを派遣し、この地を領地とか言っちゃってる悪魔のリアス・グレモリーと接触して正式に聖剣を取り返す話を付けた……らしい。
日本神話にこの話は事件当初から耳に入っていたが、一度たりとも天使陣営からも、堕天使陣営からも、悪魔陣営からも、謝罪もなければ連絡すら入ってこなかった。
アイツらはアホなのか、人の土地に入って領地とか言っちゃってるくせに、何も言ってこないからって問題が起こっても自分たちで解決すれば丸く収まるとか思ってんのか。
「最悪、堕天使と悪魔を綺麗に一掃して片付けるのもありか」
こっちで長いこと戦って分かったことだけど、どうもこの世界は俺のいた世界よりも根本的に強さというレベルが低い、カンピオーネ一人で世界を一人で滅ぼせるくらいに。
俺があんまり暴れると世界が壊れちまう。
「主。天照様から連絡から入ったよ。天使からは謝罪と保護した悪魔祓いの一時的な保護を、堕天使からは、今回の一件は堕天使の総意ではなくコカビエルの独断であり、最悪殺害してもいいってさ。悪魔に関しては言い訳を並べて話が進まないので無視で頼む、だってさ」
隣の部屋からリビングに入ってきた巫女姿の少女―――倉橋
天照との会談で話した陰陽師を送るという話で彼女が送られてきた。術、結界を得意とし後衛に優れている。いまだ、はぐれ悪魔認定が解けていない黒歌を仕事に連れて行く事が簡単に出来ない以上ありがたい。それにどうも彼女は家とは上手くいってなかったみたいだしな。
「そっか、ならコカビエルだけ潰し、その後に悪魔の大元を引っ張り出すのが手っ取り早い」
三大勢力で一番悪魔が面倒だな。プライドは高い癖に他の種族を転生させないと生存できないポンコツ種族め。
「黒歌は留守番な、妹は助けるから心配するなよ」
「にゃ~、悪いけど任せるにゃ」
魔王の妹のリアスの眷属に黒歌の妹の白音はいる。きっとリアスは黒歌の顔を知っているから知られるのは良くない。
「セレナ、灯巳、準備できたか?」
「はい、出来てます」
「こっちも出来てるよ、主」
セレナは義手の調子を確かめ、灯巳は結界を使うのに使い呪符の入ったケースがついたベルトと数珠を腕につけて身に着けていた。
@ @ @
駒王町には悪魔が立てた学園があり、そこには多くの悪魔が通っている。
正直、その話を聞いた時はお前らどうやって学校なんて建てた、と独り言を言ってしまった。
そんな学園に今夜は一般人に視認できない術で結界が張られ、中ではコカビエルとリアスと眷属、教会から派遣された聖剣使いのゼノヴィアが戦っている。
家から学園まで家屋の屋根を足場にして飛び越えていく。
「あ~、ソーナ・シトリーで合ってるか」
「……誰ですか、貴方たちは」
眷属たちと協力して学園全体を覆う大きな結界を張っているソーナ・シトリー。
「その状態じゃ話も出来ないか。灯巳、結界を肩代わりしてやれ」
「りょ~かい!ほいっと」
灯巳がベルトにつけたケースを開けて呪符を飛ばすと呪符は空中に静止して、結界を構成していく。
ソーナ・シトリーと眷属たちは自分たちでなんとか確立していた結界を一人で苦も無くやってのける灯巳に驚きながら俺の目の前に降りてきた。
「これで話が出来るな。俺は日本神話の使いでやってきた、堕天使のコカビエルを潰すのを頼まれてな」
「何故、いまになって……」
「理由は簡単、天使も、堕天使も、悪魔も人の土地で問題が起こっても連絡を入れてこないからこっちは後手に回るしかないんだよ。数十分前に抗議の連絡いれたらやっと事情を説明したってわけさ」
彼女も頭に手を当てて頭痛が痛いみたいなリアクションを取る。
「それじゃ、俺らも介入させてもらうからな」
「おい、後からやってきてデカい顔すんなよ!」
ソーナ・シトリーに匙と呼ばれる男は俺に突っかかってくると周りに止められる前にその首に光の剣が突きつけられた。
「涼さんに近づかないでください、悪魔風情が」
「セレナ、下ろせ」
すっ、と不満ながら光剣を下ろすセレナ。
「悪かったね悪魔くん。あんまり話してると中が大変になりそうだからお喋りはその後ってことで。灯巳!俺とセレナが結界を通れるようにしてくれ」
結界を作って暇になっている灯巳に声を掛けると、もう出来てるよ!と頭の上で〇を作って大丈夫のアクションを返してくる。
「すまないけどソーナ・シトリー、魔王が来たら事情の説明を頼むよ」
結界を通り抜けて中に入ると校庭の上空にはコカビエル。隅っこの方ではバルパーが教会から盗み出したエクスカリバーを使った何か術式を組んでいた。
「ほう、新しい奴が来たか」
「セレナ、お前はあっちの聖剣使いと悪魔の眷属を助けてやれ」
はい、とセレナはすたすたと歩いていった。
「……どなたかしら」
「え!部長も知らないんですか」
「初めまして、今回は日本神話の使いとしてやってきた。本業は賞金稼ぎだ」
コカビエルが眉に皺を寄せて厄介なのが来たという表情をしている。
「それはご苦労なことだ、っな!」
生み出した光の槍を躊躇なく俺に向かって投げてくるコカビエル。
今代の赤龍帝の兵藤一誠があぶねえ!と叫んで俺を助けようとするがそんなものは必要ない。
「全く躊躇なく投げたな」
飛んできた光の槍を左手を『混沌獣』で変化して掴み取る。
「マジかよ、掴み取った」
「人間にしては随分と変わった能力だな、神器か」
「お前らみたいなのと戦うんだから、これくらいあっても文句言われないだろ」
掴んでいた光の槍を握りつぶし。『混沌獣』による四肢の獣化をして、戦うための状態に移る。
「貴方とあっちの子は今は味方と思っていいのかしら」
「構わないよ、敵の敵は味方ってやつだ。とはいえ、コレが終わったらアンタには日本で領地云々を言っていることで日本神話から抗議の話があるから大変だろうけどな」
なんですって!?と騒ぐリアス・グレモリーに標的に飛んできた光の槍を叩き落す。
こいつ等……戦闘中に敵から気をそらし過ぎだろ。
「戦闘中に敵から目を離すな、あと赤龍帝!」
「え、あ、はい!」
「お前は全力を出すのに時間が掛かるんだから、会話の最中でも隙を見つけたら力を貯めるようにしろ」
つってもコカビエルの方もこっちより、向こうの方が気になっているみたいだけどな。
リアス・グレモリーと眷属たちが
セレナと同じ聖剣計画の生き残りの木場が持つ『
「やっぱりイザイヤはすごいですね」
「何故、君がその名を……もしかしてイシルスなのかい…」
「お久しぶりです。今は涼さんにセレナの名前を頂きました」
「貴様もそいつと同じ聖剣計画の生き残りか」
バルパーは目を細めてセレナを舐めるように観察する。
「積もる話は後程。いまはあの模造聖剣を壊すことからです」
右手に光剣を生み出し握る。
「……どういうことだ、模造聖剣とは!」
セレナが声の聞こえる方に顔を向けると青髪に一部緑のメッシュが入った特徴的な髪色の全身タイツ姿の悪魔祓いゼノヴィアが肩に
「そこの博士も知らなかったみたいですね。そもそもエクスカリバーとは星、つまり地球の地脈、別名龍脈から力を吸い上げて剣という形にした物。使い手こそ人間ですが、持ち主は星か、星から生まれる疑似生命体の精霊です。仮に折れたところで元の地脈に戻せば元通りになる。なにより正式なエクスカリバーはアーサー王の命令で円卓の騎士のベディヴィエールが湖の精霊に返還し、その後、エクスカリバーが地上で確認された経歴は存在しません。私たちが直接、聞きに行ったところエクスカリバーは精霊が所持していました」
「待て、ならばこれは……このエクスカリバーはなんだというんだ!」
バルパーはさっき自分の口でエクスカリバーと言っていたそれを掴み、剣に目を落とす。
「だから模造聖剣だと言っているでしょ、神ヤハウェが神器を作ったように聖剣エクスカリバーを真似て作った偽物です」
この場で俺とセレナしか知らない真実を彼女は躊躇なく赤裸々に語った。
にしても、珍しいなアイツが怒るなんて。やっぱり友の仇であるバルパーを目の前にして我慢できなくなったかな。まあ、いいさ、少しくらい自分の我儘を通すくらいが俺に忠義すぎるアイツには丁度良い。
「イザ、じゃなかった、木場、ゼノヴィア。こっちも待ってあげる時間はありません。あれを壊すなら一気に行きますよ」
「昔の引っ込み思案の君とは随分と違うね」
「そうか、偽物なのか……だが、どっちにしろ私はあれを回収しなくてはいけないのでね」
「クソ、フリード!これを使って奴らを細切れにしてしまえ」
「はいはい、聖剣だろうが、模造聖剣だろうが俺っちに関係ありしぇ~ん。敵を切り刻めればそれでいいんだよ!」
ゼノヴィアの口にする詠唱と共に空間に出来た魔法陣から露出してのはエクカリバーにも並ぶ聖剣の一つデュランダル。
光の剣、聖魔剣、聖剣と相対するのは神が作った模造聖剣の折れた破片から作られた未完成の模造聖剣。
これは話にならん戦いだな。てか、セレナのクラウ・ソラスをフルで使えば次元と一緒に対象を切り裂ける、戦いにすらならん。
「所詮は折れた聖剣。このデュランダルの相手ではない!」
ゼノヴィアがデュランダルを振り下ろすとフリードは模造聖剣の力で高速移動することで攻撃を避け、刀身を透明にして鞭にように伸ばし振るった。
能力としては結構ありだよな。高速移動は攻撃と回避、透明にするってことは間合いを図らせないように、加えて、形状も自由なら剣以外にも、槍や盾にだって出来る。武器は優れていても使い手が二流じゃダメだな。
ありゃ、決着ついちゃった。
木場の一撃で模造聖剣は粉々に砕かれ、セレナの一閃がフリードの体を傷つけた。
「何故、模造とはいえ聖剣だぞ……こうも易々と。そうか!聖と魔のバランスが崩れていれば聖魔剣という特異な現象も起こる。戦争で魔王だけではなく、っか!」
一人で何かの答えに至ったバルパーを貫く光の槍。
誰も予想しなかった展開、仲間であるコカビルがまさかバルパーにとどめを刺すとは。
「バルパー。お前は優秀だった。そこに思考が至ったのも優れていたからだろう」
コカビエルの浮かべる笑みは酷く歪んでいる。
「しかし、仕えるべき主を亡くしてまで貴様らはよく戦うものだ」
「……どういうこと」
リアスは怪訝そうな口調でコカビエルに聞くと、まるで秘密を話す子供のように高笑いしながら口にした。
「フハハ、フハハハハハハ!そのままの意味さ。三つ巴の戦争で四大魔王だけでなく神も死んだのさ!」
高笑いしながら天使陣営が是が非で守ってきた秘密を暴露した。
それを聞いた俺とセレナを除いて全員が唖然としている。特に教会の使いであるゼノヴィアと元シスターのアーシアは特にショックが大きいようだ。
「あんまり時間を掛けるわけにもいかないか、リアス・グレモリー 悪いけどコカビエルはこっちで片付ける」
「待ちなさい!ここは私の領地よ。私が、キャ!」
後ろで叫ぶ声が聞こえるがそんな事を気にする必要もない。
「《雷光こそ我が通る証、轟く雷鳴と共に我らが国を侵略せし敵を退けよ。輝く雷を持って打ち破れ》」
聖句を唱えトールの権能を発動し、『混沌獣』と『雷神の鎚撃』の掛け合わせによって短時間の神速を取得。神速によってコカビエルの背後に回り込む。
「悪いけど、時間を掛けるつもりはないんだ」
鱗のように変化させて右腕に『雷神の鎚撃』によって出現したミョルニルを腕に宿し拳を振り殺す。
ドゴン!という人を鈍器で殴った時とは違う音を立てて、コカビエルを地面へと叩き落す。地面はクレーターが出来たように窪み、砂煙が舞う。
「…はぁ、はぁ、くそ!人間風情が!?舐めるな!」
頭から血を流し、空中に居る俺を睨みつけるコカビエル。
「……しぶといな、なら雷を追加してやるよ」
『混沌獣』の力は動物や神獣を再現すること。
蛇や獅子、山羊、猪など多くの動物は象徴や現象をイメージされる。神獣はその中でも神話や伝説で語られる存在。
雷という現象ならば山羊やインディオ伝承に登場するサンダーバード。その鳴き声は雷になり、目の光は稲光になるとされたという。
その二匹の獣の力を束ねれば雷を掌握できる。
二匹の獣の力を使い雷を生み出し、ミョルニルを宿す右腕からバチバチと音を立てて蒼雷が迸る。ミョルニルは普通に、使えば鈍器。雷を与えてやれば雷鎚ミョルニルへと昇華する。
「落ちろ」
右腕をコカビエルに向けると巨大な落雷が落ちた。
それは神の裁き。
自然現象の中で人が恐れる現象の一つ。
それを目の当たりにすれば神話体系で雷に属する神が頂点に立っているのも理解出来るだろう。
「――――ッ!!!」
雷鳴に交じって誰にも届かないコカビエルの悲鳴は消えた。
閃光が晴れた校庭には、落雷によって生じた熱で地面からは湯気が上がり。地面には焦げているが虫の息のコカビエルが転がっていた。
「…なん、だよ…あれ…」
一誠は言葉を失った。
オカルト部の副部長 姫島朱乃も雷を得意とする。何度も目にし過去にはライザーとのゲームでは体育館を一撃で破壊することもあった、それを容易に超える威力を誇る雷の一撃を目の前にした。
『相棒、気を付けろ。奴からは神格を感じる、恐らく奴は神を殺している』
「はぁ!?神を殺してるってなんだよドライグ」
『そのままの意味だ、人間の身で神を殺したんだろうさ。まあ、俺もそんな人間を見たことはないがな』
「赤い龍が言う通りですよ」
ドライグと叫ぶように会話していた一誠に声を掛けたのはセレナだ。
「涼さんは正真正銘の神殺し。複数の神を倒しその力を簒奪した人間という種の頂点です。加えて、神器も無しですから正直人間なのか疑いますよ」
「…人が神を殺すなんて……それも
一誠たちには涼の姿は人間というより人の形をしたバケモノにしか見えなかった。
静まった空気を破ったのはガラスが割れたような音を立てて砕かれた結界の音。
空から降りてくる全身に白い鎧を纏った人物。
上空から校庭を見下ろし、地面に転がるコカビエルの近くに降りる。
「苦労して結界を破壊したのはいいが、もう終わっているようだな。これは……生きているのか」
「あ~、わりぃ半殺しにするつもりだったんだけど、予想してたより弱くてな」
やっぱり威力強すぎたか。あっちの世界だと天使やら堕天使もまつろわぬ神として出現すると他の神と変わらない強さだから大丈夫だと思ってたけど、どうもダメみたいだ。
「まあいい、どうも今日はアザゼルからコカビエルが生きていたら回収して来いと言われているだけだ。最初は生きていたらなんて疑問に思ったが、確かに死んでいておかしく、いや、寧ろ生かされているというべきか」
そう言うと地面に転がっているコカビエルを抱えて飛び上がる。
『無視か、白いの』
誰もが声の元に視線を向けるとそれは一誠に左手の甲だった。
あれが赤龍帝ドライグの声ってことか。意識はあるんだな。
『なんだ起きていたのか赤いの』
『まぁな、宿主がまだ弱いからな』
『それにお互い様だ。俺もお前も今は戦い以外の興味があるようだしな』
それ聞くと俺に視線を向けてくる白い鎧、いや白龍皇というべきか。
『まあいいさ、俺たちは戦う運命だ』
「フッ……宿敵くんはまだまだだが、君はどうも違うようだ。戦える時を楽しみにしているぞ!」
白龍皇は結界に開けた穴から飛び去って行った。
なんかドニみたいや奴だったな。
ゆっくりと地面に降りると、セレナがこっちに走ってきた。
「終わりましたね」
「そうだな。にしても、コカビエルがあのレベルじゃ神と戦っても権能とかは期待できそうにないな」
「……ちょっといいかしら」
あ~、そういえば一番面倒なのが残っていたんだっけ。
「今回の助けには感謝するわ」
なんでなんもやってないのに上から目線なんだか。
「いいよ、別に俺はアンタらが失敗して町が消えると困るし、日本神話からの要請で戦っただけだ。その辺はまた追々話そうや」
「…そうね」
適当に話を区切って帰ろうとしていると灯巳と外で待機していたソーナ・シトリーと眷属もやってきた。
「あ~るじ!」
走ってくると俺の首に抱き着いてくる灯巳。
「巫女服のカワイ子ちゃん!」
巫女服姿の灯巳に鼻の舌を伸ばす、一誠を見て。
「悪いけど私は主に全てを捧げてるので変態はお断りです!」
ブッブー!と腕で×が作って拒否する灯巳。
「それよりも聞いてよ!白龍皇が私の結界を破ったんだよ!何あれ触るだけでパワーが半分になるとかどんなチート!」
一人騒ぐ灯巳。
よっぽど結界を壊されたのが気に入らなかったんだろうな。
「積もる話もあるでしょうが片付けが先です」
騒ぐ灯巳の声もソーナ・シトリーの鶴の一声で収まった。
周りを見れば、消滅した一部の校舎、ぽっかりと空いたクレーターが多数、最後に融解した地面。
「急ぎでやれば登校時間までには何とかなるでしょう」
「なら、私たちも手伝うわ」
「いえ、学校の管理が生徒会の仕事です。なにより途中から結界は灯巳さんが肩代わりしてくれてましたからこれくらいはしないと」
ソーナが灯巳に目を向けるとブイ!とピースをソーナに送っている。
俺が居ない間に随分と仲良くなったもんだ。
「悪いけど俺は帰らせてもらうよ、日本神話の方に事の顛末を話さないといけないし。ああ、あと教会から派遣された聖剣使いの片方を保護してるから模造聖剣の破片を持たせて教会に返しておくぞ。あっちも報告やら必要だろ。そんじゃ、またそのうちな」
セレナと灯巳を抱え、翼を広げて空に舞い上がる。
「てっきり、あの場で悪魔を殺すかと思ったよ」
灯巳が俺の顔を見ながらそう口にする。
「リアス・グレモリーの方はまあ、上から目線だったけど。ソーナ・シトリーの方は真面目って感じだしな。まずは日本神話の話を片付けて、転生悪魔の件を魔王に何とかさせる。それでも動かないっていうなら戦争でもするさ。俺は身内を守るだけだ」
「その身内がドンドン増えているのは涼さんのせいでは」
セレナの言う通り。
はぐれ悪魔と戦ったり、堕天使と戦ったりしているうちに、神器もって生まれてしまった人間や黒歌と同じように無理やり転生悪魔、種族を理由に教会から狙われていた奴を保護しているうちに俺の元には一個勢力が誕生してしまった。
まるであっちの世界で俺がヴォバン侯爵の被害者を保護したことで秘密結社が誕生したみたいにだ。やっぱり癖っていうか性格は変わらないってことかね。
書いてたら長くなりました。