三歳年下の同棲中の彼女が突然帰ってこなくなった。そして、数日たったある日、郵便受けに何も書かれていないDVDが入っていた。

1 / 1
全力でギャグに走りました。
後悔はしていません。


彼女から送られてきたビデオレター

僕には三歳年下の彼女がいる。名前は島村 絵梨(しまむら えり)、笑顔がよく似合う女性だ。そんな彼女との出会いは恐らく世間一般では到底起こりうることがない様な事がきっかけだった。何故なら絵梨が歩道橋から身投げをする所に居合わせたのが僕と彼女の出会いだから。辛いことが立て続けにあった彼女は衝動のまま自殺をしようと歩道橋に向かったらしい。正直、何故歩道橋なのか未だに分からない。

 

取り合えず、自殺現場に居合わせ完全に混乱した僕はどうやったかは覚えていないが彼女を何故か自分の家に連れ込み、説得。我ながら、もう一度同じことをやってと言われても無理な上にどうやったか分からないこの行動は法律に違反していないかが不安でしかない。

 

取り合えず、紆余曲折あって不思議な事に僕と絵梨は付き合うことになった。それと、付き合ってから知ったのだけれど、絵梨はかなり独占欲と言うかなんというか…まぁ、愛が重いって言ってしまえばいいのだろうか。とにかく僕に事あるごとに引っ付いてくるんだ。まぁ、僕も役得だと思っていたし世間一般で愛が重いと言われていてもそこまで重いと感じた事も無かった。

 

同棲もして、付き合い始めてから暫くはそうやって何から何まで付きまといた絵梨だが、ある時を境に急に束縛と言っても良い行為がパタリとやんだ。別にもっとやってくれ!と言う訳でも無いし、特殊性癖を持っている訳でも無い僕としては少し不思議に思う程度だった。そこから、段々と絵梨の態度が変化していった。家を空けることも多くなり、夜遅くや朝帰りも珍しくなくなった。何をやっているのか聞いてみても「秘密」の一言だけ。日に日に二人の時間も減り、僕自身社会人であり会社に勤める身でもある為、すれ違うことも増えてきた。

 

そんなある日。彼女は帰ってこなくなった。電話しても留守電になり、メールもLI〇Eも返事どころか既読すらつかない。彼女が行きそうな場所を探しても何処にも居ない。最初は小旅行にでも行ったのだろうと考えていたが、次第に不安になった。しかし、だからといって警察に捜索願を出すのは気が引けた。もし、これが僕の思い違いだった場合の僕の世間体を考えてしまったからだった。

 

結局、世間体を気にした僕は絵梨の捜索願は出さなかった。周囲からどう見られるか、そっちの方が僕にはどうしても怖かったんだ。情けないことにね。自己嫌悪に苛まれながら、陰鬱に毎日を過ごしていたある日、郵便受けにタイトルも何も書いていない無地のDVDが入ったプラスチックケースが入っていた。

 

不思議に思いながら、ソレをしげしげと眺めながら僕は同人でよくある展開を思い出した。消えた彼女から送られるビデオレター…。普段なら笑えるようなその考えも、今の自分の状況を考えるとどうしても笑えなかった。見ずにそのまま捨てよう。一瞬そう考えたが、実際それがそうだとは決まった訳じゃない。もしかしたら他の人のモノで入れ違いかもしれない。そんな楽観的な考えと、少しの好奇心で僕はそのDVDを見る事にした。

 

テレビに備え付けているDVDデッキにDVDを入れ、テレビの電源を入れる。もしも自分のじゃなかったらそのままゴミ箱に捨てるために近くにはゴミ箱とソレだった場合用にDVDを破壊する為の鋏を用意した。そんな筈ない。そう言い聞かせるが、嫌な予感は頭の中に糊で貼りつけられたかのように剥がれない。

いじいじと考えている間にテレビにDVDの内容が移り始めた。

 

「あー、えっと。これ、もう撮ってるんだよね?」

 

そこに映っていたのは僕の恋人の絵梨だった。肺の中の空気が抜け、ヒュッと口から声にもならない悲鳴が出る。そんな、まさか…。妄想だと考えた顛末が現実味を帯びだし、全身の血が抜け落ちる様な感覚を覚える。そんな僕を置いてビデオレターは続く。

 

「えーっと。いきなり居なくなってごめんなさい。出来れば書置きでもして置いた方が良かったね」

 

そう言って笑う彼女に、僕は何とも言えない感情を覚えた。コレがもしそう(・・)だとしたら、書置きなんてただの致死性のトラップだし、そもそもそんなもの書かれた時には怒り狂いそうだ。

 

「私が貴方の前から居なくなったのには理由があります」

 

理由…?僕は頭をフル回転させて彼女の言う理由について考える。料理も家事も苦手な彼女に変わって大体の事は僕がやってきた。特に不自由はさせていない筈だ。お金に関しては、彼氏彼女の関係なのにそれでは援助交際と変わらないではないか、という事になり行っていない。だからこそ、僕の中ではなにかしら賭け事でもして大損して、借金でも作ってしまったのだろうか。と考えてしまう。

 

「私、この前実家に帰ったんです。貴方との関係を報告する為に。一緒に行った方が良かったのは分かるんですけど、先に言っておいた方が後で楽になるかもしれないって思ったので」

 

何それ聞いてない。突然告げられたことに唖然とする僕を待たず、ビデオは続く。

 

「そしたら、お母さんに怒られたんです。『お相手に何でもかんでもやらせるなんて!社会人なら時間も無いでしょうし、少しは自分でやりなさいっ』って。それで、ちょっと前からお料理教室とかいろんな教室行ったり、友達の家に泊まり込んで練習したりしてました」

 

そうだったのか。そこまで聞いて少し安心した。別にそういった訳じゃなかったんだ、と。

 

「でも、それだけだったらなんでその場に居ないんだろう?って思いますよね。これにはマリアナ海溝より深い事情があります。…簡単に言うと料理教室でちょっと失敗して爆発させちゃって、それを聞きつけたお母さんに実家に連れて帰らされました。今も実家の一室でコレを撮っています」

 

ここまで来てようやくオチが見えてきた。家事能力が壊滅的な彼女は料理教室で克服しようとしたが、突然不思議な事が起こって爆発オチにでもなったのだろう。そういえば会社近くの料理教室でボヤ騒ぎがあったと耳にしたのを思い出す。

 

「人様に迷惑を掛けるなって怒られちゃって…。でも、大丈夫です!これを撮った後、お母さん監督の元料理を作るんです。それで合格だったら、帰っても良いって…。私、頑張りますね!」

 

そこまで言うと、ビデオは終わった。止まったところで、画面の左下に書いてある日付を確認する。日付は四日前、あまり小まめに確認していないのでいつ来たか分からない。

 

恐らく最近ではあるのだろうが、彼は一週間程郵便受けを見ないこともざらにある人種だ。いつ届いたかなんて考えても答えが出る筈がない。

そんな、思考の袋小路にはまり掛けた時、チャイムが鳴った。時間を見れば午後11:00、こんな時間に自分の家に来る人物に見当もつかない彼は適当に宅配だろうと決めつける。…宅配でもこの時間には来ないだろう。

 

「はーい、ハンコでい…い…?」

 

部屋着のラフな服装で扉を開け、ハンコ片手に相手を見て彼は固まった。目の前に居たのは赤い服装に気の抜けそうな頭に点滅するライトを付けた猿のお面をした片手に松明を持っていたのだ。ついでにバンダナのようなものがたなびいている。

 

「待たせたな」

「誰だよ」

 

女性特有の高い声で言われたお決まりの言葉*1を言われたので、彼は真顔でそう返してしまった。その後、実家で花嫁修業をしてきた絵梨だと判明したが、何処の世に花嫁修業に出たらスネークになって帰って来る彼女が居るのだろうか。

 

ビデオレターを送られた後、豹変して帰って来る。確かに劇的な変化だ。豹変と言っても良い。だが、何故スネークなのだろうか。その後、彼は事あるごとに無線(電話)でよく分からない野草やキノコを採った報告をされ、「食えるのか?」と聞かれたりするのだが、それはもう少し先の話。

*1:
MGSシリーズでスネークが言ったりする言葉である「待たせたな」のこと




正直、良く分からないテンションで仕上げているので、誤字脱字とか文章構成とかすごいことになってそうですね。まぁ、いいか()

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。