へルンを抱えて、俺は姉上の元へ向かう
へルンはなんとか命は取り留めているため、命に問題はない。俺が回復魔術でなんとか治してある。しかし今は眠りに付いている。胸を刺して初めは死にかけていたため、息が消耗するほど、気を失いかけていたからなのか
もしくは魔法を使ってマインドダウンをしたのかもしれない。禁忌の魔法だ。そうなってもおかしくはないが、今はへルンに意識はなく、ただ俺に抱えらたまま。彼女は目覚めることはなかった
そんな中で、俺はただホーム内の廊下を走る
すると
「ジーク・・・・」
「っ!オッタル」
「へルンを渡せ、悪いようにはしない。彼女を生かすようにフレイヤ様に命令されている。へルンをこちらに引き渡して貰う」
「そうか姉上も知り渡ったか、わかった。彼女は任せる。治療は俺がやった。完治はしているが意識はない。彼女を休ませてやってくれ」
「わかった」
廊下先にて、オッタルが待ち構えていた
そしてへルンを渡せと要求される、無論彼女に悪いことはしない。単純に勝手なことをした眷属とはいえ、死なせるつもりはなく、へルンを引き取って治療に当たるとのこと。しかし治療は俺が済ましてあるため、休ませるだけでいいと、オッタルが彼女に危害を加えないのなら問題ないと、すんなりと要求に従い、へルンをオッタルに引き渡す
姉上も、裏切られたとはいえ、へルンを死なせるつもりはなく、自分でしっかりと叱りたいのか、彼女を生かしてくれるようだ
「では頼む。姉上は?」
「フレイヤ様はこの先だ。お前を待っている」
「わかった。俺は姉上の元へ行く・・・・その前にオッタル。あんたに言いたいことがある」
「なんだ?」
「前にあんたは俺に言った。いつか挑ませて欲しいと、俺は姉上と結婚する気はない。けど姉上は俺を手にするために戦争を起こすだろう。俺も姉に喧嘩をする。へルンのために、その時はあんたの望みは叶う」
「っ!俺と戦ってくれるのか?」
「その時は一騎打ちだ。誰にも邪魔をさせない。俺とあんただけでやり合える戦いにしよう。伝えることはそれだけだ。姉上のこの後の指示を待て」
姉上は俺が婚姻を今でも拒否続けたら、俺を手にするために今度こそ、強引な方法で俺を取るだろう
そうなったら俺もその強引な方法で姉上に挑む。
もうここまで来たら、手に入れたいものがあるなら、強引でも手にするしかないだろう。その強引がなんなのか
この先に居る姉上に聞けばわかる
「姉上。ここに居たんだな」
「よく来たわね。ジーク」
姉上は自室にて、俺を待っていた
へルンが魔法を使ったことで、先ほどの俺とへルンの会話は全ては姉上に心を通して聞いている。それをした上で、会話の続きをすることになる
その続きをさせて貰う
「姉上。会話はもうへルンの心から聞いていると思うが、直接あんたにも言う、あんたの婚約は受けない。俺が欲しいのはへルンだ。俺にとってのシルはあんたじゃない」
「私ではなく、へルンを選ぶと言うのね。いつどこで、あなたはへルンに惹かれたのよ」
「二年前さ、初めてミアの酒場に来た時だな、その時はヘルンがあんたの人間姿で働いていた。その時に一目惚れしたさ。中身はもちろん姉上ではなく、へルンであることを知った上でな」
「貴方!?その時から私とへルンの正体を知っていたの!?」
「半神だから?とはわからないが、少なくともへルンが誰かに化けていることだけはわかった。変身魔法は俺も見破る方法を故郷で学んでいると言うのもあるからな」
へルンを知ったのは二年前
初めてミアの酒場に一人で入った時、その時にとても優しい店員に出会った。シルの姿で化けるヘルンに、魔法で変身している姿を見破る方法を故郷で学習していたため、へルンが誰かに魔法で化けているのはわかった。なんでそんなことをしているのかを問い出すのが普通だが
それでも、へルンの会話が楽しくて、そんなことをすることも忘れた
その時はまだカオス・ヘルツがレベルを上げるために感情を消されてない時、本当に彼女にゾッコンしていた。ロキ・ファミリア所属時代は休みができたら、ミアの酒場に行く、彼女に会いたいがためによく寄っていた。でもたまに姉上がやっていてどう言うことか聞きたかったが、それでも事情があると思って、迷惑にならないように何も言わなかった
でも、それくらい今でもへルンに想いがある。こればかりはもうカオス・ヘルツでも抑えさせない
「彼女が欲しい理由は、彼女は自分の命をも顧みないで俺を救おうとする。そんな彼女がいつも一緒に居て嬉しかった。いつだって俺は彼女に救われてきた。でなければここまで俺は生き残れていない。ずっと救ってくれた彼女が欲しいと思っていた。彼女は俺の希望だ!俺が欲したいのはヘルンだ!あんたではない!」
「私だってそれくらいできるわ!私ではダメなの?私は貴方のためならなんでもできるわ!命だって貴方のために捧げるわ」
「違うんだ姉上。へルンとあんたは違う。ヘルンはいつも俺のことを考えていた。それこそいつも俺が欲しい答えや望みをさせてくれるように、悪い方法で俺を取ろうとしていない。それだど俺の心に傷をつくから、いつも俺の心まで考えてくれた。けど、あんたは考えないだろう?いつも自分が望む通りに周りのことも気にしないで皆を振り回す、でなければ俺が望んでいない。この魅了されたオラリオにするはずないだろう。いつも自分のことしか考えていない。他者の言葉も聞かないで、大人なのに子供みたいなことをするな」
「っ!!」
へルンはいつも俺のことを考えてくれていた
今だって自分の嫉妬に駆られずに、俺がへルンを振ったくせに、俺を殺そうとしなかった。だって俺をそれでも愛していてくれた。一度は俺に振られても俺を愛していたんだ。へルンを振ってしまった俺だって殺されるために近づいたのに、それでもへルンは俺を殺すことはなかった。フラれても俺を愛する彼女は、俺が欲しい程美しかった
でも、姉上は違う
周りを気にしないでやりたい放題やる。自分の望むものを手にするためなら手段も厭わない。眷属を使って外道や強引な方法で手にしようとする。そのためにオラリオに居る人々を魅了して、人の記憶を改善して自分の都合の良い環境にする。周りの人のことなど考えない。自分のため以外のことなど気にしない。眷属が本当は俺と姉の結婚を認めていない。みんな自分を選んで欲しいと願っているのに、自身の眷属の気持ちすら考えずに、ただ自分の気持ちをぶつける姉上は
「あんたはただの片思いだ。俺は受け取れない。例え俺がオーズだとしても」
「っ!私にこのペンダントを買ってくれたのはどうしてなの!?私のために買ってくれたんじゃないの!?」
「そうだ。けど姉のために弟が買ってあげただけ、姉弟としてのプレゼントだ。だから!」
「あ!」
「二つに分けることのできるペンダントを選んだ。もう騎士のペンダントは俺が貰う。精霊の方はあんたにだ」
「これ姉弟の証として買ったってこと!?」
「ああ、恋人としてのプレゼントではない」
俺は女神祭でデートした時に、銀細工の店から、二つに分けることのできるペンダントを買った
それを取り出した姉上は、俺と恋人になる証として買ったと姉上は勘違いしているが、俺はそんなつもりで買ったわけじゃない。姉弟である良好の証として買っただけ
姉上の手に持っていたペンダントを一度俺が取り上げて、二つに分ける。模様が二つあり、騎士の模様と精霊の模様の二つ
俺はその騎士の模様の方を取り、精霊の模様を姉上に返した。恋人として買ってあげたつもりはない。姉弟としての良い繋がりを証明するペンダントとして買ってあげただけだ
女神祭でデートしたのは姉弟として一緒に行動しただけだ。その時から中身が姉上であることを知っていた。決して恋人の繋がりの意味で買ったわけじゃない
騎士のペンダントを頭に付けて、話を続ける
「姉上。何度言われても俺はあんたを選ばない。選ぶのはへルンだ。俺はへルンを妻にする。あんたを選ぶことはできない。例えあの告白が嘘ではなかったとしてもだ」
「ジーク。貴方はお兄様の弟でしょ。お兄様だって私と結婚するべきだと、天に逝ってしまったお兄様も、絶対に望むはずだわ」
「もしそうだったとしても、こればかりは俺が決めたこと。俺が決めたことなら兄上は反対しないさ。だって兄上はいつも俺の気持ちを尊重してくれるから。けど、あんたは違うな」
「そういう貴方は私の気持ちは尊重してくれないのね?」
「ああ、尊重しても、それは受け入れらない。俺だって恋を選んでいる。俺の恋の相手はへルン。彼女を手にしたいんだ」
兄上がもしここに居て、俺と姉上の婚姻の話をしていたら、兄上はどんなことを言うだろうか
姉の婚姻を進めるかもしれないが、弟の気持ちを考えて、別にさせてくれる
兄上はいつも俺のことを考えてくれていた。フレイ兄上は本当に優しい神だった。いつも俺のことを心配し、俺のしたいことを応援しさせてくれる兄上。例え姉上が兄上に俺と結婚するよう言われても。俺が別を選んでいるなら、俺の自由に選ばしてくれる
兄上の言葉を使っても、俺の気持ちは変わらない
「どうしても、私ではなく、へルンを選ぶと言うの?」
「そうだ、言っておくがもうヴェルフ達を人質にはできない。アレン達は今ここを襲撃しているリヴェリア達の相手で精一杯だ。他の対応していて、もう卑怯な手は使えない。俺はもう姉上に従わない」
何度言っても、俺の気持ちは変わらない
俺が選ぶのはへルンだ
もう俺は姉上の指示に従わない。ここから俺は姉上に逆らう。もうヴェルフ達を人質にして言うことを聞かせても不可能。今、ホーム内ではリヴェリア達とアフロディーテとアルテミスの派閥に攻撃を受けている。その対応に追われて、もう眷属を使って俺の仲間を人質にはできない
「だとしても。何ができるの?今はオラリオは私の魅了にかかっている。貴方は私の眷属として、みんな認識しているわ。それで何ができるの?」
「まあ、確かにそれは俺には何もできない。そう・・・・・・・『俺には』な?」
「ジークには?」
ここから姉上に逆らうと言っても、今オラリオでは姉上の魅了で俺は姉上の眷属であると認識しているため、ここから逆らうにしても、オラリオに居る人たちの正気を戻さないとならない
今の俺には、一人一人体に触れて解除するしかないが、いくらなんでもオラリオ中に居る人たちの正気を戻すことはできない
そう。俺はな。何もできない
ボオ!!!!!
「来たか」
「っ!?私の上書きしたステイタスが元に戻った!?しかも燃えている!?」
「流石に姉上の眷属の監視の中で準備をするのは手間がかかったか、『ヘスティア』・・・」
「ヘスティア?・・・・・っ!?まさか!?」
突然、俺のステイタスが、姉上のステイタス・スニッチで姉上の恩恵に変わっていたが、突然恩恵が燃え出して、ヘスティアの恩恵に戻った
そんなことができるのは、ヘスティアのみ
ヘスティアがやっと皆を元に戻せる準備が整った。だからステイタス・スニッチで上書きした俺の恩恵も戻った
「ヘスティアは聖火の女神だ。彼女と権能をフルに使えば魅了を吹き飛ばす浄化の炎を顕現する。彼女の権能なら皆を元に戻せる。ずっと自分の竈作りを作るのに、ヘスティアでも苦労をしたんだろうな。だからここまで時間がかかった」
「まさか・・・・ヘスティアの祭壇を、『神殿の偽現再現』!?このオラリオで!?でもどうやって!?監視はいたはず。いつからそんなことを!?」
「姉上が俺とデートに誘われたあの日、俺もヘスティアも、もしも俺が姉上のものにするような強引なことをする可能性が高く。オラリオに住む人々全員を魅了して俺の物にしてしまうかもしれないと予測し、姉上が魅了でオラリオを変えた後で、ヘスティアが一人で秘密裏に彼女の祭壇を用意することをした。そして今起動をした」
「それでもそんなことを一人で祭壇は作れないはずよ。一体どうやって・・・」
「確かに、一人で祭壇を作ることはできないだろう。ヘスティアの祭壇を作るには、いろんな建物の中にある暖炉にある炎に彼女の『イコル』を入れる必要がある。この街一帯に、だがそんな怪しいことをすれば姉上の監視をしている眷属にバレる」
「なら、どうやって・・・・・っ!?まさかロキ!?」
「そう、俺がロキにこの事を話した。犬猿の中であるヘスティアと協力するのは癪だと思うが、姉上の変えたこのオラリオを壊すためには仕方がないと、協力をした。ヘスティアの祭壇を邪魔されないように、今襲撃をしている。アルテミスとアフロディーテと共に、もちろんウラノスもヘルメスも・・・・・」
「な!?なぜあの二人まで!?」
「俺を必要しているからだ。人間でありながら神の力、怪物の力、そしてレベル7のランク。こんな強力な存在。姉上の人形で収めたくないんだろう。ウラノスとヘルメスは英雄を求めている。俺は大英雄として頼りにしている。そんな大英雄である俺を、姉上のワガママに縛られる存在に置いておきたくない。だからあの二人も協力した」
「ウラノス・・・・裏切ったわね」
「最初からあんたの言う事なんて聞いてないさ。オラリオに居る人々全員を魅了して操り人形にしてしまえば。次の脅威であるダンジョンの対策ができなくなる。あんたの言うことばかり聞くだけの冒険者など不要だろう。相当姉上の茶番には飽きたって事だろう」
「ならヘルメスは!?」
「眷属を使って薪配りをした。薪はウラノスが用意した。だがその薪には『ヘスティアのイコル』が入っている。それをヘルメスは眷属には薪配りをするよう指示をして、ついでに建物の中にある暖炉に火を付けて炎を灯した。そうすればヘスティアの祭壇は完成する」
「っ!・・・・・・ヘスティア!!」
「甘くみたな姉上。我々の派閥は確かに弱い。だからと言って、そのまま姉上の力に屈する気はない。ヘスティアも俺を家族だと思い。取り戻すために仲間の力を借りてやり返す。弱い派閥を侮ったな。姉上よ」
ヘスティアは処女神。姉上は美の女神。二人は対抗存在である。姉上の魅了を、ヘスティアの護り火と処女神の権能を組み合わせた。浄化の炎で消すことできる
都市中に蔓延している魅了の権能を消すために。都市中にヘスティアの祭壇を展開すれば、魅了に駆られた者達を正気に戻せる
その準備を、ヘルメス、ウラノス、そしてロキが果たし。それを邪魔させないアフロディーテとアルテミス。皆、俺を取り戻すためにヘスティアに力を貸した
姉上の失敗は、ヘスティアだからと言って、彼女の派閥が弱いからと言って、簡単に放置したことが間違い
ヘスティアだって、俺を取り戻すために、俺の戦える女神様だ
「どう?アスフィ君?」
「完了しました。アイシャから薪くばり完了の狼煙が上がりました。これで行けます!!」
ヘスティアはアスフィにオラリオ全域を見渡せるバベルの頂上に居た
ロキ、アルテミス、アフロディーテが姉上のホームを襲撃している間に、ヘスティアは全てbの準備を整えることができた。ヘルメスの眷属から都市全ての建物に薪に炎を灯したと配り終えたと報告される
これで、ヘスティアの祭壇は完成した
オリンピアで行った儀式をもう一度決行する。そうすればオリンピアの穢れた炎を浄化したように。都市に居る人たちが魅了に感染された人たちをなんとかできる。都市は数分だけヘスティアの祭壇が顕現し、その都市に居る人たちは聖火の炎に浄化され、元に戻る
「フレイヤ。君はジーク君と一緒にホームで過ごしたくて、バベルを離れたみたいだけど、それは失敗だよ。なぜならここが僕の祭壇の中心になるんだから」
夫婦生活をするために、バベルを離れてホームで過ごしていたと思うが、それが間違い。バベルをも警備していれば、ヘスティアが祭壇を顕現を阻止することはできただろう。だがバベルに監視も入れなかったから、ヘスティアは都市全域を見渡せることができる。
これで、彼女の擬似神殿を、顕現できる
「『この身は処女神。魅了の威力に平伏することなく、素を断固として拒む。邪とは情欲。聖とは貞潔。今地上にかけらた呪縛を解き放とう。すなわちは破邪。浄化よ再現』!!!」
ヘスティアが権能を発動させる。
建物の中でヘスティアのイコルが混じった炎が光出す。その光が都市中全域に発光する。その光がヘスティアの恩恵の形に変わる。
これで姉上のオラリオは終わり、魅了に落ちる都市など、未来はない。ここは冒険者の街、英雄が生まれる場所。姉上の虜の都市ではない
その都市を、この手で取り戻す
「見せよう、不滅の炎、『ディオス・アエデス・ウェスタ』!!!!!」
ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
ヘスティアがオラリオを擬似祭壇を展開したことで、オラリオに居る人たちの体が炎の光に浴びて燃え出す。実際に燃えているわけではない。ただ体が少し暑くなるだけ
しかし、これで魅了は消える。
皆、眼がピンク色に光っていたが、そのピンク色の光が消え、正気に戻る
「あれ?俺・・・どうしていたんだ?」
「そういえば・・・あの神フレイヤに・・」
「そうだ・・・俺たちは!?」
「くそ!あの神フレイヤ!?俺たちを魅了をしやがったな!?」
「変な記憶をさせやがって!」
「今からフレイヤ・ファミリアに乗り込むぞ!!」
道端に居る冒険者たちが、勝手に記憶を改善したことを怒って、相手は都市最強の派閥として知ったとしても、こんな横暴は許されず、自分達が弱かろうが関係なく、皆、姉上のホームに報復するために攻め込む
もちろん戻ったのは、彼らだけではなく
「ジーク様!?」
「そうだ!俺たちの団長はジークだ!」
「ジーク殿が神フレイヤに!?」
「いつの間にか、私たちはジーク様の存在を、別の派閥だと認識していた!?」
俺たちヘスティア・ファミリアである、俺の仲間であるヴェルフたちも正気に戻る
姉上に魅了をされてから、ヘスティア・ファミリアのメンバーは俺は居ないことになり、団長はベル。副団長はフィルヴィスと、完全に俺の存在は無くなり、俺のことなど別人扱いしていた
「くそ!あのお色気女神に俺たちの英雄を取りやがって!」
「今すぐ取り返しに行きましょう!」
「ジーク殿をお助けします!」
「私たちの英雄を取り戻しましょう!」
ヴェルフたちは俺が取られたことを思い出して、今すぐ俺を取り戻しに行こうと、ヴェルフたちも急いで、姉上の派閥に乗り込む
もちろんそれだけでなく
「千草!神フレイヤの所に乗り込むぞ!」
「うん!こんなの許せない!」
「カサンドラ!私たちも行くよ!」
「う、うん!私はしっかり予知夢を見ていたのに!何もできなかった!」
「あのクソ共が!アタシらも行くよ!」
「うん!」
「私らバーベラにこんなことをしてタダで済ませるか!!」
「お、おい!?アイシャ!?乗り込む気か!?」
「ちょ!?本気!?」
「本気に決まっているだろ!あんたらも来い!!」
「主神殿?構わんな?」
「ええ、こればかりはフレイヤを許すわけにはいかないわ。大義はこちらにあるもの」
桜花たち、カサンドラ達、ヘルメス・ファミリアとバーベラ達も、更にはヘファイストス・ファミリアまで、姉上に魅了をされていたと気づき、彼らもフレイヤ派閥のホームに乗り込む。
流石に正気を奪われて、虜にさせられていたなど、許せるはずもなく、冒険者のほとんどは、フレイヤ・ファミリアに乗り込む
自分が弱かろうが関係なく、フレイヤの派閥を一斉に攻撃にかかる
そんな中でも、冒険者じゃないこの二人まで、フレイヤ・ファミリアのホームに向かって走っていた
「エイナさん!」
「ペルセフォネさん!」
「フレイヤ・ファミリアのホームに向かっているんですよね?私も行きます!」
「一緒に行きましょう!私も許せない!神フレイヤに騙されたことも!ジークを助けることもできなかったことも!」
「うん!私も絶対に許さない!あの女神だけは!!ジークは絶対に返して貰う!!」
冒険者ではない一般人のエイナとペルセフォネまで、戦えないのに、それでもフレイヤ・ファミリアのホームに向かって走る
自分を騙して俺を取られたことも、俺に会ったにも関わらず、俺を助けることもできなかったこと。姉上と自分を二人は許さない
そんなように、姉上に魅了された者たちは、姉上の勝手な記憶の改善と認識を奪ったことを、操り人形にされてきたことに、皆お怒りだ
姉上は別に恐れたりはしないが、もう誰も姉上の派閥を恐れたりはしない。それほど姉上の派閥は一線を超えた。それを超えた姉上の派閥を、オラリオの他の冒険者と派閥は許さない
だから、彼らも
「ロキ!リヴェリア達も無事か!」
「フィン!そうか・・・どチビが上手くやってくれたんやな・・・・」
「フィン!?正気に戻ったのか!?」
「ああ、今度は僕らも加勢する!アレン!覚悟しろ!!」
「クソ猫。テメエには俺が引導を渡してやる」
「小僧共。お主らには一発殴るだけじゃあすまない。痛みを送ってやるわい」
「クソパルゥム!?テメエら正気に戻りやがったのか!?」
「一体誰が、他の派閥の魅了を解いたんだ!?」
フィン達、リヴェリア達以外のロキ・ファミリアもリヴェリア達の所に辿り着き、共にアレン達を襲撃する。
フィンも、魅了が解除され、事の発端が姉上だと気づき。残りの眷属を率いて、フレイヤ・ファミリアのホーム内に侵入し、リヴェリア達の加勢に入る
ロキ・ファミリア全員が、フレイヤ・ファミリアの拠点を襲撃する
だから、あの彼女も
「シルフ!!」
「あ、アイズ!?」
「ごめん、やっと思い出した。ジークはヘスティア様の派閥。ジークを返して貰う!!!」
「あんたら!よくもやってくれたわね!」
「もう!あんた達のせいで!ジークと気まずいことをしたじゃん!」
「まずいぞ!?剣姫だ!?」
「クソが!ロキ・ファミリアが全員押し込んできやがって!」
「あなた達は、絶対に許さない!!」
アイズ、正気を取り戻して、シルフの前に立ち。アレンに立ち向かおうとする
もうロキ・ファミリアはフレイヤ・ファミリアと衝突することを選んだ。ここまで都市を自分勝手に振り回したんだ。当然派閥抗争を避けていたロキ・ファミリアでも、もう姉上の派閥を許したりはしない
今回ばかりは、派閥抗争起こしてでも、全派閥がフレイヤ・ファミリアに襲撃をかける
「残念だったな、姉上。ヘスティアが皆を元に戻した。外では一斉にここを攻めに来るぞ。姉上の目論見はこれで終わり、明日の結婚式はできそうにないな」
「神殿の擬似再現。ヘスティアの聖火の祭壇を作って、浄化の炎で私の魅了を解いた!?そんな方法があったなんて・・・」
残念ながら姉上の目論見は潰えた
ヘスティアが擬似ではあるが、浄化の炎を展開できる、アエデス・ウェスタなら魅了に侵される皆を元に戻すことができる、俺とヘスティアの計画が時間がかかったか、上手く成功をした
これで明日の独断結婚式は開けない
パリン!!!
「ジーク君!」
「来たか、ヘスティア」
姉上の自室の窓から、割って乱入するアスフィとヘスティア、アスフィがタラリアで空を飛び、ヘスティアを運んでここまで飛んできた
「なんとか無事ですか?」
「問題なくな」
「ジーク君!無事!?フレイヤと結婚してないよね!?」
「ああ、明日やる予定だったが、ヘスティアが皆を元に戻してくれたおかげで、結婚せずに済んだ」
「良かった。フレイヤ!よくも僕の英雄を取ったな!この落とし前は絶対に付けて貰うからな!」
「ヘスティア・・貴方・・・・余計なことを・・」
姉上は相当お怒りだ。このまま上手くいけると思ったのに、ヘスティアに全部を壊された
逆にこんな愚劣で卑怯なことをしておいてそのまま上手くいけるはずがない。そんな自分勝手が皆に許されるはずがない。しかも私利私欲で皆を巻き込むなら尚更である
だが
これで終わりになんてならないだろう。最終的な決着がある。それを姉上はそれを要求するはず
けど、俺も望んでいる
「姉上。もうあんた達はオラリオの敵となった。このような横暴はもう誰も許さないだろう。しかし、ギルドはこれを望まないだろう。冒険者同士の戦いなど認められることはないからな。だが、冒険者達はあんたがしたことの怒りは収まらない。だから、どうにか決着を付けるべきだ。そのために今から俺の望みを聞いて欲しい」
「何をする気?」
「言わなくてもわかるだろう?と言うより、あんたもここまで来ておいて引き下がる真似なんてしないだろう。俺の望みは今のあんたと同じ望みだ」
ここまでになると派閥抗争は避けらない形となった。しかし、ギルドはそれを許さないだろう。都市の秩序のためと、姉上の派閥の戦力は『これからの戦い』も必要。姉上達との抗争を止める指示をギルドが出すかもしれない。つまり今の騒動は数時間でギルドに止めらるはずだと、ギルドも姉上の派閥を有力な存在として取っておきたいはず
しかし、姉上のこのような横暴に、冒険者達、他派閥が許しはしないだろう。いくら姉上の派閥が強いとは言え、ここまでオラリオを狂わせるなど、誰も許すわけがない。そこは残念ながら受け入れるしかないだろう
だからこの後はどうするべきか、それは姉上も今考えているだろう。強引な方法
「姉上。姉弟喧嘩をしよう。そうでなければこの場は収まらない上に、決着もつかない。俺はをこれを提案する。『ウォーゲーム』だ」
「っ!」
「ジーク君!?本気!?」
「こうでもしないと姉上は引き下がらないさ。ここまでオラリオを振り回したら、あとは力で決着をつけるしかない。姉上の眷属は戦力としてはこのオラリオの上位だとしても。こればかりは力で決めるしかない」
俺が提案したのは、ウォーゲーム
ウォーゲームで決着をつけるしかない。このまま引き下がる気はないだろうし、ウォーゲームにて、勝敗を決めて手に入れたい物を要求して終わらせるしか、この騒動の終わりは見えない
姉上はこうなったら強引にウォーゲームをするつもりなはず、だが、それは俺も同じだ。理由はもちろん
「ウォーゲームは勝者には褒美が貰える。敗者には罰を。それが目的で俺は姉上の派閥にウォーゲームを要求する」
「なるほど、それで貴方が勝ったらヘルンをあなたの派閥に貰うって言うのね?」
「俺の目的はそれだ」
「ヘルンって・・・・まさか?」
「そうだ。ヘスティア。俺は彼女が欲しい。だから俺が勝ったら彼女を貰う。それだけでなく姉上にはファミリアを解散し、財産も俺達に引き渡し。そして姉上はミアの酒場でいつも通り働いて貰う」
「じゃあ私が勝ったら、今度こそ私と結婚するってことでいいのね?」
「ああ、それでいい。ヘスティア。許可を貰えないか?」
「でも、フレイヤのやったことはオラリオで重罪で・・・・」
「それでも彼女に罰は入らないさ、ギルドは絶対にこんなことをされても見逃す。理由は姉上の派閥はダンジョン攻略として一番有力な存在として必要だからだ」
「っ!じゃあフレイヤがこんなことをしても、ギルドは何も罪を問わないってこと?」
「残念だがな、姉上の眷属は皆強い。それこそ俺たちヘスティア・ファミリアだけじゃあ倒せない。それだけ姉上の派閥は強い」
「フレイヤの罰はウォーゲームで決めるしかないってこと?力で決めるしかないっことか」
「ああ。こうするしかない。幸い姉上以外の派閥は姉上の敵になっている。ヘスティア・ファミリアだけでなく、派閥連合で姉上に挑むこともできる。これで対等だ。姉上の派閥にな」
三大クエストは俺が終わらせた。下界で残りの問題は謎の多いダンジョンである。フィン達ロキ・ファミリアがこれから更に深層を目指すとは思うが、その攻略のためには姉上の派閥も必要。下界の冒険者の総力が無ければ勝てない。そこには姉上の眷族も必要
これからのダンジョンの脅威に対して、下界の危機を恐るギルドからすれば、例え姉上の横暴なことをされたとしても、罪を償わせるような罰を与えることなどしないだろう。姉上の派閥も必要な存在。ギルドが姉上達に罰を与えたりしたら、ダンジョンの脅威の対策に参加してくれない可能性もある。姉上の眷属は基本姉上の指示がなければボランティアみたいなことなんてこともしない連中だ
つまりは姉上の派閥は卑怯ながら、何をしても許される立場を持っている。強い眷族の力を持つだけで、ここまでギルドの待遇が良いなど、力を持つ者の特権だ。
そんな者たちに罰を与える方法はたった一つ
ウォーゲームのみ
ウォーゲームなら姉上の派閥を罰することはできる。姉上たちも冒険者の派閥だ。ウォーゲームで決めることができる。しかも姉上は俺が欲しい。ウォーゲームで敗者の対価を要求すれば俺が無条件で手に入る。姉上はこの挑戦状を受けないはずがない。
そして俺も姉上の娘であるヘルンが欲しい。俺も姉上も欲しい者がある。それを手にするには戦う以外の選択肢はない
姉上の派閥を罰するにはこれしかない
しかも姉上の傲慢な行いで、皆怒り奮闘で姉上以外の派閥は全員姉上の敵。姉上の派閥を倒すために俺たちに協力してくれる
こればかりは戦いで決めるしない、これが俺と姉上の姉弟喧嘩だ
「はあ・・・・・分かった。ウォーゲームで決めよう。僕たちは派閥連合を組んで、フレイヤの派閥に挑む?それでどうだい?」
「ええ、私たちは全力で迎え撃つ。どんな派閥が来ても蹴散らすのみ。そしてジークを私の夫にする」
「絶対に君の思惑は通させない。僕らの英雄は絶対にフレイヤだけのものになんてさせない」
「何度でも言うといいわ。ジーク。弟の分際で姉であるこの私に反旗を翻したことを後悔させてあげるわ」
「つまり姉の自覚はあるんだな?じゃあやっぱり姉上と結婚するべきではないな。今俺を弟扱いするなら・・・・・俺たちは所詮姉弟だ」
「っ!・・・・・・・・」
これで決まった。ウォーゲームで全てを決めると
俺たち派閥連合と姉上の派閥の闘争で全てを決める。いつか分かっていたんだ。いつか姉上の派閥と争うと、もはやこの前のクノッソス大戦よりも激戦のある戦争となる
姉上の派閥が上か、それとも俺たちが上か
全ては俺たちの戦いに委ねられた