サクッと読めるうえ、原作を知らなくても楽しめるよう書きました。暇があれば是非
うどみょんは俺の銃刀法違反
こちらは東方二次創作です。
独自解釈や独自設定で書かれています。
苦手な方はブラウザバック推奨です
五月の終わり。
ザーザーと降り続ける雨は、人々の傘という盾を掻い潜り、衣服を、そして肌を濡らそうとする。
梅雨の本来の時期は五月までとされ、六月からは鋭く差し掛かる日差しにうんざりする季節…………のハズなのだが、この有り様では水無月とは一体何だったのかと思わざるを得ない。
そんな雨も使用人の仕事にはつつがないのか、今日も人里には一人の少女が降りてきていた。
「ふふっ。大量大量です」
傘を差しながらも、抱える買い物袋の中身を見てニコニコと笑う少女。どうやら食材の調達に来ていたらしい。
この負の気候を少しも苦に感じさせない、無邪気な表情と言葉。語尾には『♪』なんて記号が付いてしまいそうだ。
そんな一言で例えると『純粋無垢』な彼女は、霊界の庭師こと魂魄妖夢その人。
綺麗な銀色の髪はショートボブに整えられており、黒いリボンを着けている。
整った顔立ちで、白く透き通るような肌が美しさを増すなか、それでも隠しきれない幼さが彼女を『美しい』というより『かわいい』と連想させる。
服装も見事なもので、白いシャツの上に青緑色のベスト、同じく青緑を基盤とした短めのスカートを纏っている。
スカートが短いのは別にファッションというわけではなく、単純にその方が動きやすいからだ。
そんな容姿·性格ともに完璧な彼女にはファンが数多く存在するが、その全員が澄んでいる川を汚さんとばかりに、『隠れファン』で止まっているとか。
買い物を終えた彼女は本日の収穫に満足し、鼻唄を歌いながら帰路を歩いていく。
やがて里を抜け、林に入る。
林のなかでは木々が屋根になると思いきや、あまりの大雨はその勢いで容易く葉を突き抜け、寧ろ大粒となって降り注いでいた。
「あ!」
そんな中、妖夢は何やら発見するとやや駆け足になって向かう。
「鈴仙さーん!」
右も左も木ばかりのその林に、ただ一つ設けられている木製の屋根。
ベンチと水道があるその場所は、妖夢のように帰り道に林を通る人や旅人に、時たま利用される休憩所だ。
「あれ、妖夢ちゃん?」
『鈴仙』と呼ばれた女性はそのベンチに一人座っていた。
腰まで届きそうな紫色のロングヘアーと、ピョコっと頭から生えているウサミミが特徴の女性。
基本的な学生服に身を包み、長身と成熟した身体に恵まれ、大人びた雰囲気と緋色の瞳が妖艶な魅力を醸し出す彼女は、前述でいうところの『美しい』の方だろう。
彼女もまた、妖夢とは別の場所で使用人という立場で働いている。
ひょんなことから知り合って以来、妖夢は鈴仙を姉のように慕い、反対に鈴仙は妖夢を妹のように可愛がっている。
「こんなところでどうしたんですか? あ、それ……」
「あはは……傘が壊れちゃってね、雨宿りしてたの」
苦笑いで恥ずかしそうに壊れた傘を見せる鈴仙。
妖夢はそれを見て、ニカッと笑うと、
「一緒に帰りませんかっ! 私、鈴仙さんを送ります!」
ふふん、と平たい胸を張る妖夢。
鈴仙からすれば、そんな仕草の一つ一つが愛らしくてたまらず、ついつい悶えてしまう。
砂糖を吐きそうになるのを必死に深呼吸して抑え、ニコッと笑って応えた。
「うん、そしたらお願いしようかな?」
そんな言葉に妖夢はますます笑顔になり、
「はい!」
と元気よく返事をした。
一つの傘で歩く二人の距離は、いつもよりほんの少し縮まっているようだった。
辺りにはまだ大雨が降り続ける。
そんな日も、大切な人と同じ場所にいるだけでささやかな幸せに変わってくれる。
────雨は光を遮るも、時に誰かの涙を洗い、やがてまた晴れを見せる
少し洒落が効きすぎたかもしれない、ある日の昼下がり────
お疲れ様です。
読み終わったあなたは今、『え、どこが!?』と思っている