テンゲンクエストV~天空の花嫁~
鎹烏とは、鬼殺隊の情報伝達及び隊士へのお目付け役として一人一人に支給される烏の事である。
知能が非常に優れていて、人語を話し、理解する特殊な訓練を積んだ烏達だが、それゆえに性格も千差万別。
好き嫌いが激しいものも多い。
まあ、なんというかその……、烏にだって主を選ぶ権利くらい有るわけで。
上半身裸で寄声をあげながら走る変態とかを相手にするのは、同じく変態な烏なんだろう。
「ワタシハ、カラス。オマエノ背筋ガ気ニイッタ」
首を少し傾け、澄ました顔の烏。いかにも出来る奴オーラが凄い。
「ワタシノ好キナ筋肉ハ細ク、シナリノアル筋肉。太イダケデハ品性ニ欠ケル。オマエハ子供ノワリニ見込ミガアル。ヨロコベ」
ツッコミ所満載すぎて最早付いていけねぇよ。そもそも自己紹介から可笑しいよ。何だよ『ワタシハ、カラス』って。
「お、雌じゃん。めずらし」
「女の子かよ」
筋肉フェチが鎹烏になった。
玉鋼を適当に選んで下山している途中、今まで一言も話さなかった烏がいきなり言葉の爆弾を投下してきた以外は特に問題もなく、俺と宇髄は治療を受けるために麓の藤の家に来ていた。
どうやらそこで宇髄は嫁達と合流する事になっていたらしい。
「天元さまぁぁ!!!!無事で良かったですぅぅ!!」
「ガフッ!」
女将さんに案内されて部屋に向かうと、いきなり天井板が飛んで人が降ってきた。さすが忍び。予想の斜め上を行くぜ。
ちなみに『ガフッ!』というのは天井板が俺の顔にクリティカルヒットしたときの効果音である。
「煩いよ須磨!宿屋で騒ぐんじゃない!」
穴が空いた天井からまた一人降ってくる。そのまま宇髄に飛び着き、宇髄の前に引っ付いていた女の子の頭を蹴飛ばしていた。
うるさい以前に屋根裏に潜むのってどうなん?
「おう!ただいま!須磨、まきを!」
宇髄はニッコニッコしながら二人の女の子を抱きしめた。
なるほど、未来の巨乳くの一は小さい時から巨乳なのか、これは良いことを知ったぞ。
「おかえりなさい。天元さま。ご無事で何よりです」
「雛鶴!ただいま!」
二人よりは大人びて見える少女が奥の部屋から出てきた。
この空間、俺以外の皆がイチャイチャしている。
宇髄と三人の嫁達。
須磨。ドジっ子後輩タイプ。
まきを。ツンデレ幼なじみタイプ。
雛鶴。優しい先輩タイプ。
王道ヒロインタイプが全て集まっているハーレムだと……?
家では道場でガチに剣術に打ち込み、打ち込みすぎて友達すら出来ず。唯一話していた女の子が妹達である俺との圧倒的格差よ。
狭霧山?野郎の巣窟だぜ。
「ところで宇髄さま。そこにいらっしゃる方は?」
やっと気付かれた俺。人生初!同年代女子との会話。第一印象は大事だ。
「俺は――」
「こいつは一門!俺のダチだ!最終選別で一緒に飯食ったり花火あげたり裸になったりしてた!」
うずいによる悪意なきはつげん!!
――流に100のダメージ!
「裸?」
まきをによる変態を見るめ!!
――流に500のダメージ!
「て、てて天元さま!?もしかしてそっちに目覚めちゃったんですかぁ!?!?わたし、変装は出来ても性別は……ムリですぅ!!」
すまによるぶっとび思考!!
――流に1000のダメージ!
「え……。最終選別、合格、おめでとう……ございます」
ひなづるはホイミをかけた!!
――しかし 流はアンデッドけいモンスターだったので たおれた!
大正コソコソ話
筋肉フェチ鴉は後で、流に『おつうちゃん』と呼ばれるようになります。筋肉通という意味です。
実はおつうちゃん、医療方面でかなり優秀です。
というのも筋肉の動きをよく見ているため、ケガをするとすぐに患部の場所を当て、体を痛める動かしかたをすると注意してくれます。
ただ、重度の筋肉フェチなので気に入った筋肉を持つ相手じゃないと見向きもしてくれません。
*ドラクエ本編では、ホイミがダメージになる事は基本ないです。(例外あり)