「貴方の記憶を漁りました。神様転生を知っていますね」
貴方の一日の四分の一はなろうかハーメルンで小説を読んでいるのでしょう?
ふよふよと空白の隙間に浮かぶ魂に向けて女は語り始める。ここは転生の場、始めて死んだ者はここに辿り着き転生の儀を行うのだ。
「そう、貴方は今から転生をしてもらいます。……そう理解が早くて結構。
貴方の視点から見れば二次創作と言っていいかしらね。
転生する際にランダムで特典を授け、人の手で作られた仮想世界にランダムで降り立って貰います。
特典は無作為に選ばれ、前世の徳で特典数を選べることが出来るのだけど……貴方は二つね」
それは他の人と比べて多いのか少ないのか魂は質問をすると、平均値は三つよという言葉が返ってきた。皆より徳を積まずに死んでしまったことを彼は後悔した。
「まあ……仮に特典を授かる数が一つだとしても強力な力を受け取ることは出来るし、特典を二桁貰える聖人でもヘボ特典しか当たらないってこともあるわ。
貴方はどうかしらね。
……心構えが出来たのなら、左の箱から二つ、四つ折りされた紙を選びなさい。
それが終われば紙を開封せずに右の箱から四つ折りを一つ取りなさい。
左の箱が特典で、右の箱は貴方の降り立つ世界が書かれた紙が入っているわ」
魂は躊躇することなく左の箱から紙を二つ取り、それを開封せずに右の箱から紙を一つ受け取った。
「あら……人にしては珍しい躊躇いのなさ。 あぁ……考えても結果の良し悪しが傾かないならって、貴方無駄を嫌うタイプね。
じゃあいっせーのせで開封しましょうか。
今の貴方に腕はないのだけど、意思の力で同時に開封することが出来るわ」
特典レア度(☆1〜☆10)
・ONE PIECEのキャロットに憑依 ☆9
・DRAGON BALLのベジータ技 パワーボールを習得 ☆6
・『僕のヒーローアカデミア』の世界に転生
「あら? 吃驚するほどいい組み合わせ……。 じゃあ行ってらっしゃい。 頑張ってね」
というなろうやハーメルンでは先ず読み飛ばす神様転生がさっき行われたのだが、俺はすでに忘れかけてる。ああいう存在は大体プロローグにしか出しゃばってこない忘れていい存在だ。
それにしても転生、神様特典付き。
いいねぇ悪くないねぇ寧ろ最高だねぇ。この世界が少年漫画にしてはダークな部分がエゲツないヒロアカの世界ってこと以外最高だねぇ。
めちゃくちゃ特典もいいし。
キャロット。
ONE PIECEのキャロット。
俺が一番好きなキャロット。
強くてカッコよくて可愛いキャロット。
なのに二次創作が全然ないキャロット。
ああ尾田栄◯郎先生。貴方は何でそんなに天才なの? キャラデザ神すぎん? スーパーサイヤ人3に似てるって言うのは無しで、絶対あれリスペクトなんで。最高なんで。
おっとと皆を置いてけぼりにしてしまったかな? キャロットって知ってる?
割と最近出てきたキャラ(数年前)なんだが、簡単に言ってしまえば兎の獣人の女の子で、人気漫画ONE PIECEに登場するキャラクターだ。
彼女は凄い。可愛いのにカッコイイんだ。スーパーサイヤ人みたいに変身することが出来るんだ。
キャロットの種族は満月を見ると『月の獅子』って奴に変身することが出来て、ボブの金髪の髪が白髪になってボボッ!! って増えてね、目が東京喰種の赫眼みたいに赤くなってね、雷を纏ってねバチバチィッ!! って、ヤバくない?????
最高だぜ、何で☆10じゃねーかわからねーくらい最高だぜ、俺が女の子になったことなんか些細過ぎるくらい最高。やべぇ、生まれてきてよかった。
しかももう一つの特典がDRAGON BALLのパワーボールなのがいいね。
DRAGON BALLのパワーボールってのは、ベジータっていうキャラが一度だけ使ってた技の名前だ。自身が大猿になる為にパワーボールを作り出し、それに星の酸素を混ぜ合わせることで人工的に満月を作り出す一種の気弾なのかな。
完璧過ぎる組み合わせじゃん?
キャロットが『月の獅子』に変身する為には満月が必要で、そして俺は人工的な満月を作り出すことが出来る。
常時『月の獅子』使い放題じゃん!!
弾けて混ざれ! が決め台詞かよ、最高じゃねーか。
1700万ゼノあって『月の獅子』になれないことはないだろうしな(ゼノって何なんだろう)。
二足歩行出来るくらいまで成長して、よっしゃそろそろええやろってパワーボール作ったはいいんですけど、予想以上にこれキツいってか……これにどうやって星の酸素混ぜるん? やり方わかんないんですけど。
しかも満月を見たら直ぐに狂っちゃうしさぁ、結構訓練必要な奴?
まあええやろええやろ。 ここヒロアカの世界だし力身につけて不幸になることはあらへんやろ。
別に死んだって魂があるのは分かっちゃったし、死に対してもうそこまで怖くはないわな。
……というか転生って、老後の余生を過ごしてる感じがやっぱするなぁ。 何というか……本当の人生は終わっていて、ただ遊んでるだけっていうのか。キャロットになった人生にまだ向き合えていない気がする。
向き合えって言う方が難しいよな笑、こんな漫画の世界で笑笑。
「あぁ、そうですか」
……やっぱこの世界って残酷だわ。はぁ──。バッドニュース。
あんまり自分の両親って感覚はなかったんだけど、幼稚園から帰ると父親と母親が意識不明の重体で倒れていた。病院に運ぶと二度と起きる見込みはないらしい。
なんか個性の力で、強制的に眠らされてるって……後から来た刑事さんの説明は頭に入ってこなくてよくわからなかった。
ヴィランがやったらしい、目的は不明。
…………。
やっぱ俺の本当の両親は前世の二人って感覚が邪魔してな、この世界の両親には他人行儀で接することが多かった気がする。
この世界の両親は優しい人たちでな、だからこそ向き合えてない俺が二人のことを「パパ、ママ」って言うのを拒否を示して名前で呼びあってたんだよ。
兎のキャロットの耳はいいからな、二人が「パパ、ママ」って呼んでほしいってリビングで言ってたのをよく知ってるんだよ。
欲しい物はある? って聞かれてな、要りませんって答えるんだよ。 一緒にゴハン食べに行こう? って聞かれてもな、要りませんって俺は言ったんだよ。
そんな両親を無視して、俺はこの世界で個性とされている特典能力ばっか貪ってたんだよ。愛想のねー餓鬼だよな、本当に……。
なぁ、なぁ、なぁ、なぁ、神様よ。
何であの二人がこんな目にあってるんだ? 俺でよかったじゃねーか、二度目の人生を歩む俺で、死後の世界を認識してる俺で、屑でカスな俺で、この世界の人物を創作上のキャラクターだと見下す俺で。
俺は本当に……産まれてきてよかったのか?
其れを決めるのは、貴方ですよ
声が。聞こえた。
「何だよ……プロローグで役目御免じゃ、ねーの……かよ」
ずっと、見てたのかよ神様は……こんな面白みのねー生活を過ごしてきた餓鬼を、産んでくれた親に感謝の気持ちを伝えられない俺を。
……ありがとう神様。
俺、やっと目標って奴が出来たのかもしれない。 人生を本気で懸ける道しるべが見つかった気がする。
「おれ……二人に……! 起きた二人に「パパ! ママ!」って言いたい!! 謝りたいんだ!!」
ならば進みなさい。何をすればいいのかは、わかっているはず。
貴女は子どもではないのですから。
そうして私は、この世界と向き合うことにした。
……私のパパとママは、日本政府が雇っている個性『固定』を持つ人が二人の体を固定してくれた。彼は一刻を争う重病患者や、今現在不治の病とされている人たちを固定し未来に送るのが仕事だそうだ。
私は御礼と同時にその人に家族事情を話したら二人の固定の解除方法を設定してくれた。
「治る見込みが立ったなら二人のおでこにキスをしなさい。そしたら二人に掛けた固定は解けるだろう。スキンシップは距離を縮める最も手早い方法で、確実的な手段だからね」
ちょっとキザなその人は、保護者を持たない私にある人を紹介してくれた。
今年、あの雄英高校を卒業したという兎山ルミさん(19)が設立する事務所の下働きをしないかという事だった。あっ、原作キャラだこの人。
この世界ではヴィランという犯罪者が後を絶たずに増えるため孤児がとても多く、ヒーローを志す孤児は時にヒーロー事務所が身柄を預かることもあるらしい。
個性『固定』という対象物の時を止める超強個性である政府の雇われである彼はヒーローらに面識が厚く、ちょうど兎山さんが設立する事務所の事務員が不足していたのを知っていたとのこと。
「人手が欲しいと言ったが! 子どもは欲しいと言っていない!!」
「孫の手も借りたいんだろう君は、私はこの子を強くお勧めするよ。
なんせ将来、No. 1ヒーローになるらしいからね」
「お前がか……?」
私はコクリと頷く。
私はNo. 1ヒーローになるのがどれだけ難しいか知っている。現No. 1ヒーローオールマイトが健在という状況で、これからどれだけ危険なヴィランが現れることも私は知っている。
それでも尚、私はヒーローにならなければならない。そしてヒーローになる気概を持つなら、目指すは頂点だ。それ以外の目標は全て妥協である、一考にも値しない。
兎山さんは私の眼を鋭く射抜き、
「何でヒーローを目指す」
「私のパパとママがヴィランに襲われた。 まだ亡くなってはいないけど、私は無力で、この人がいなかったらパパとママは死んでた。
そんな思い、もうしたくないから。
そんな思い、誰かにさせたくないから」
いつの日かポツリと刑事さんは小さな独り言を漏らしたのだ。キャロットである私であるからこそ聴き取れた私にとっての手繰り寄せたい糸。
「犯人が解除持ちならなぁ……」
私の両親が『個性によって眠っているのなら』ば、私の両親を固定してくれた彼と同様に『解除することが可能』であるという可能性。
それは私が見る都合のいい妄想だろうか、違う、それは確かに存在する小さな希望だ。
もしそうだとしたら犯人は私が捕まえる。
其処には確かな復讐心があり、別のヒーローが勝手に交戦し誤って殺されては困るという打算もある。
「…………はぁ、お前わかってるだろこういうの、私は苦手なんだ」
「そうだよ、知ってる。 だから君を紹介したんだ」
仕方ねぇなあと兎山さんは生えてる耳の付け根あたりをぽりぽりとかいた。
「お前、名前は?」
「キャロット」
「書類は……期待しちゃいけねぇか。 飯は作れるか?」
「簡単な物なら……。 後、書類仕事も出来なくはありません」
「見栄を張るな」
出来るのは本当なんだけど……。
「お前の両親を襲ったヴィランを憎んでいるか?」
「はい」
「殺してやりたいか?」
「……はい。
けどそれ以上に、起きた両親に会いたい」
「その為にヒーローになるか……」
悩む素振りをみせる兎山さん。それは決して間違いではない、彼女は事務所を設立したばかりの今が最も大事な時期なのだ
こんな血の繋がりも何もない、役にも経つかわからない小娘を引き取るにはリスクが高すぎる。
兎山さんは、原作ではNo.5ヒーローの位置にいる有数の実力者、私にとってこの事務所に入るのはメリットしか存在しない。
だからこそ私はヒーローという弱みに漬け込もうとする。
脚をたたみ、出来るだけゆっくりと、体の節々を意識して私は土下座した。
「……お願いです。 私をこの事務所に置いてください。 私に出来ることなら何でもします。出来ないことでも、直ぐに出来るようになってみせます。
強くなりたいんです。ヒーローになりたいんです。私の個性は……二つ持ちで、強個性だと思います。
私は、其れを育てられる環境が欲しい。だから、お願いします。
私をここに、置いてください」
綺麗に頭を下げた私が、兎山さんの顔を伺うことはできない。少しばかりの沈黙、その均衡を崩したのは兎山さんだった。
「顔を上げな。……キャロットっつったか、お前」
「……はい」
「お前は今、打算で俺に土下座をしただろ?」
「っ!」
思わず顔が強張る。私は顔を見上げると、兎山さんは真剣な表情で私を見つめていた。
怒っているのか、どうかわからない。
「俺は……そういうのは嫌いだ」
「すみません……」
「が、お前が本気でヒーローになりたいのはわかった。
ヒーローになりたいんなら簡単にプライドは捨てるな。簡単に捨てる奴は……直ぐに擦れた奴になっちまう。
捨てる時があるとしたら、それは誰かを守る時。
其れをここで約束しろ。そしたらお前は…………俺が貰ってやる。俺が一端のヒーローに育ててやる!」
「はい!!! プライドは簡単に捨てません!!! よろしくお願いします!!!」
「返事いいなお前」
わしわしと豪快に兎山さんは私の頭を撫でた。それは両親が眠ってから始めて感じる、人肌の温かみだった。
「ひゅう〜、やっぱ兎山はイケメンだなぁ」
「ぶち殺すぞテメェ!」
お後はよろしくなかったようだけど。
そして時は過ぎる。
まず目指すは日本ヒーロー科の頂点、雄英高校ヒーロー科。
私は受験しに二次試験の演習場に来ていた。
私はこの日の朝、雄英高校の校門近くで原作キャラの爆轟と緑谷を見た。昨年トップニュースになったヘドロ事件から薄々予感はしていたが、どうやら原作組と同じ年齢らしい。
そうか、この原作組とならば私はもっと強くなれる。
都合よく現れる強大な敵、強化フラグ、私は全てを最大活用して上に行く。
ハイ、スタートー!
突如聞こえたアナウンス、先ほど説明を行っていたプレゼント・マイクの声。
慌てふためく受験生たち。駆け出す彼ら。
私は一つ深呼吸して、体内にある気を体外に放出しパワーボールを完成させる。
パワーボールと星の酸素の混ぜ方は四年掛けて習得した。闘いの天才ベジータがこの擬似満月を創り出すのに手間取っていた事を考えると、割と早く済んだ方だった。
「弾けて、混ざれ」
擬似満月とかしたパワーボールを空へと放り投げる。青空には新たに一つの球体が現れた。
圧倒的な光量に他の受験生らはおもわず顔を顰め、またはロボットの攻撃かと警戒した。
『月の獅子』
呼び起こされる古代の本能。月光は狂気を孕む力を持つが、私はそれに囚われない。
深く深く、意識は沈み私以外の存在が希薄に感じる。けれどきっと戻れるだろう。今の私には帰る場所があるのだから。
グオオオオオオ!!!!
バチバチと青白い雷が私を包む。私の髪は脚先まで届く長い白髪へと変化し、身長も二十数センチは伸びただろう。問題ない、私はこの力を制御できている。
私はこの状態を十三分ほどしか扱えないが、この試験では充分だ。
私はこの日の為に出来うる限り神様特典の力を最大限に伸ばした。キャロットとは別に『月の獅子』を使えるだけのキャラクターじゃない。戦士として優秀なミンク族であり、ミンク族特有の『エレクトロ』という技が使え、身体がONE PIECE世界観だからなのか覇気も扱えた。
パワーボールは常時『月の獅子』になる為の力でそれ以外の役目を果たさないが、もうちょっと使い方を変えれば敵の目潰しにもなる。
見聞色の覇気で演習場にいる全ての敵を索敵し、最大効率のルートを頭の中で計算する。
人間とは隔絶した身体能力を持つミンク族の力を更に伸ばした『月の獅子』でロボットを狩る。
最期に出てくるお邪魔ギミックの0ptも救助ポイントとして有効活用すればいい。
さあ、蹂躙の始まりだ。
先ずはここで一位を取る。 そこからが私のヒーローアカデミアだ。
しゅん。
直後、彼女は消えた。
カメラは途中まで彼女を捉えていた。スタート合図がなり、他受験生らが駆け出した後も異形形の女の子は立ち尽くしてるかに見えた。
彼女は近くに受験生らがいないことを確認すると、光球を作り出し上空に撃ち放った。燦々と降り注ぐ光量はまるで新たな太陽が出現したようで。
そして未だ動かぬ彼女に変化が現れる。彼女の体毛全てが白くなり、身体が大きくなった。
雷電を纏う彼女は、言ってしまうなら神秘的であった。
直後彼女は搔き消え、その場の地面には大きなクレーターがいつのまにか出来ていた。
優秀な人材しかいない雄英高校の先生らは気付く、あれは地面を蹴った後だ。
「急いで彼女を写せ! 早く!」
彼女は空を飛んでいた。
そしてその跳躍から彼女の足の裏が地面に着くことはない。
何もないはずの空中を蹴り縦横無尽に飛んでいるからだ。
カメラはその驚異的な速度に追いつけずまともな姿を捉えることが出来ない。それは一筋の白い流星。
仮想敵と交差してもそのスピードが衰える事は無く別の仮想敵へ突貫した。
そんな繰り返しを、まるで何処に敵がいるか知ってるかのような正確な判断で狩り尽くしていく。
人はこれを蹂躙と呼ぶ。
そのイカれた現場を見た受験生らは、呆けた顔をして一筋の白い流星を眺めた。
理解が及ばない強さを目の当たりにした時、人の身体や脳は動くのを先ず諦めるのだ。
然しそんな現場を機械が待ってくれるはずもなく登場した、圧倒的質量を持つ0pt仮想敵。
ほぼ全ての受験生にとって0pt仮想敵は恐怖が形を持った存在である。大きさはそれだけで驚異だ。
呆けた受験生らが突如出現した敵に対応出来るはずもなく、圧倒的な質量に潰される未来がみえた。
然し、極一部の強者であるならば0pt仮想敵も単なる獲物の一つでしかないのだ。彼女は余裕を持って救助ポイントを稼ぎに来た。0pt仮想敵の頭上に登り、
『エレクトロ』
このロボットも所詮は機械だ。機械なら電気を流せば故障する。だからキャロットは簡単にこの0pt仮想敵を止めることが出来た。それは呆けていた受験生らも同様で、恐怖の存在であった0pt仮想敵を簡単に兎の少女は動かなくしてしまった。
終・了〜!!!!
そして終了が告げられた二次試験。
あの演習場では彼女一人だけが笑みを浮かべ、他全員が諦めた表情で会場を後にした。
「ルミさん! 只今!!」
「キャロット! どうだった! 緊張しなかったか! 怪我しなかったか!」
キャロットはあるヒーロー事務所に住んでいる。ここはヒーロービルボートチャートでNo.3に位置するラビットヒーロー『ミルコ』の事務所だ。
事務員は僅か一人、キャロットだけである。
あの時キャロットに関するイザコザで、今まで在籍していた人も全て辞めてしまった。
結局そこから全ての事務作業をキャロットがしてしまい、二人三脚でここまで来てしまった。
「怪我なんてしませんよ、ラビットヒーロー『ミルコ』より強いこの私が!!」
「うわっはっは! 言いやがる!」
「もう、絶対に合格しました! 高校行くんでそろそろ事務員雇いましょうよ!」
「その心配はしなくていい!!」
「ええっ! 高校行きながら数人分の事務作業回すのは流石に無理ですよ!」
「違う違う! 俺、ヒーロー休業するんだ」
「………え?
……? ど、どうして……? わ、私が雄英行くから? え、え、じゃあ、私、行かな……いや、それは、でも、私、ヒーローになら、なきゃ」
「違う違う! お前最近よくネガティヴになるよな! こんな明るい俺と一緒に居るのに!」
「だって……」
「お前の合否の心配はしてないから先に言うが……俺、雄英の教師になるんだ」
「…………えっ?」
「一端のヒーローになるまで俺が育ててやる! って言ったろ昔。なのに高校生になったら雄英にポイって出来る訳ねぇよ。俺はお前を育てるために雄英に行く」
「ル、ルミさぁあああん!!!」
キャロットの両親に対しての罪悪感を、心の空白を埋めてくれたのは誰であろうか?
所構わずイケメンムーブする彼女にキャロットは心底惚れていた。
前世男だからね、女の子に恋しちゃうのは仕方ないね。
これは改造キャロットのヒーローアカデミア。
両親を眠りから覚ますためにヒーローを目指す彼女の物語。
元々、ベジータの「弾けて混ざれェ!」を他に生かしたいなと考えてたら百合が出来上がった。