病気で亡くなった青年。

転生、と呼んでいいかは分からないが、それに似た現象で別の世界へと生まれ変わる。

が、『認識の鳥』として生まれ落ちた彼……いや、彼女は……


この小説は、locker氏作「SCP-444-JP」に基づきます
http://ja.scp-wiki.net/scp-444-jp

SCP_foundationはクリエイティブ・コモンズ表示-継承3.0ライセンス作品です(CC-BY-SA3.0)
http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja


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主人公をTSさせたのはあくまで中身は男だからベル君に落とされるということは無いですという意思表示。
メス落ちを期待されている方は、ブラウザバックをお願い致します。

どちらかと言えばリューさんとイチャついて欲しいです。




収容違反

 

 

「っ」

 

 

 

 目を覚ます。

 

 一体どれほどぶりかすら思い出せないその行為に、心の中で歓喜が沸き起こる。

 

 

 やっとだ。

 

 

 赤い世界に生まれ落ち、奴らに閉じ込められてから、幾許の日が落ちたか、それすらも既知ではない。

 

 

 ただただ、食んで。食んで。食む。

 

 

 そして遂に果たしたのだ。飛び立った。

 

 

 この世界に"生まれ変わって"初めて見上げる青い、青い空はどこまでも行けそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 "緋い少女"が去ったそこには。少しの緋い羽根と、一つの紙が落ちていた。

 

 

 

 

 

 

 

 あかしけ やなげ 緋色の鳥よ くさはみ ねはみ けをのばせ

 

 

 

 side? ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 迷宮都市オラリオ。天高くそびえる塔、バベルの下に広がるダンジョンと、そこから得られる魔石や、モンスターの素材等で栄えたその都市の一角。

 

 親しい者からは『リュー』と呼ばれる彼女は、買い出しからの帰りなのか、女性の細腕では到底持つことが出来なさそうなほどの様々な食材の入った籠を持ち、酒場『豊穣の女主人』へ向かう道を歩いていた。

 

「……?」

 

 ふと、彼女が立ち止まり、路地の方へと目を向ける。

 

 そこには、目の覚めるような鮮やかな緋色の髪の少女がフラ、フラと今にも倒れそうな程の足取りで歩いているのが見えた。

 

 そして

 

 

「あっ」

 

 

 リューと目が合ったと思った時には、少女の体は崩れ落ちていた。

 

 

「……ふぅ、荷物が増えてしまいましたね」

 

 

 side主人公 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 ザザ……

 

 

 布の摺れる音がする。

 

 

 柔らかい匂いに包まれ……。

 

 

「っ」

 

 

 慌てて起き上がると、そこは簡素な部屋で、頭の上に置かれていたらしい、少しだけ湿った布がポトリと布団の上に落ちた音がするだけで他に人はいないようだ。

 

「ここは一体……」

 

 おもずそう呟くも、寝ぼけた頭で早くここから離れなくてはとベッドから急いで出るも、足に力が入らずに崩れ落ちてしまう。

 

「痛っ」

 

 そこまで痛くなかったが反射的にそんな言葉が口をつくが、今の衝撃で寝ぼけた頭も冴えて、もう自分が"奴ら"の収容から逃れ、自由の身であることを思い出した。

 

「起きましたか」

 

 ビクッ

 

 突然後ろから話しかけられたことで今度こそゆっくり立ち上がろうとしていた自分の体は、今度はその驚きでバランスを崩して転んでしまった。

 

 慌てて振り向くとそこには、若葉色の髪をショートにした耳の長い……エルフ? の女性がいた。

 

「ごめんなさい、驚かせてしまいましたね……体調は大丈夫ですか?」

 

 その問いに、今でも少し慣れない腕を少しパタパタさせてみるが特に問題は無いようだ。

 首を縦に振るが、同時にお腹から空腹を訴える可愛らしい声が主張してきたため、少し恥ずかしい。

 

「……先に食事にしましょうか」

 

 うっすらと笑った女性に促され、彼女の腕に捕まりつつ部屋を出て階段を下りていく。

 そこにはいくつものテーブルや椅子が並んでいた。

 どうやらここは飲食店か何からしい。

 

 

 店内を掃除していた一人の店員さんがこちらに気付いたようで、パタパタと歩み寄ってきた。

 

「リュー、その子目が覚めたんだね!」

 

「はい、先程。お腹が空いているようですので話はとりあえず食べながらでもいいかと」

 

「確かに丸々一日寝てたんだもんね、じゃあ賄いと同じの持ってくるね」

 

「お願いします」

 

 よく分からないけど、食べ物をくれるらしいので大人しく待つことに。

 カウンター席の! ひとつに連れていかれ、食事を待っていると、隣に座っていたエルフさんが話しかけてきた。

 

「いきなりで状況がよくわからないかもしれませんが、自己紹介を先にしますね、私はリュー・リオン。お好きに呼んでください……アナタの名前は?」

 

「SCP-444-……あ」

 

 思わず反射的にいつも呼ばれていた名前を応えてしまい、声を上げてしまった。

 

「SCP……? それは、名前……であっていますか?」

 

 思わず答えてしまったし、変に誤魔化さない方がいいか。

 

「そう、です。それか……」

 

「それか……?」

 

「認識の鳥とも、呼ばれていました」

 

 

 sideリュー ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

「SCP-444……あ」

 

 私の隣に座る、エルフの私から見ても美しいと感じられる緋い少女の口から出たのは"名前"と呼ぶにはあまりにも無機質で、どちらかと言えば管理するための識別番号のようにも感じられた。

 

 鳥のように、感情を読み取ることが出来ない無機質な瞳を向けてくるこの少女との出会いは2日前、食材の買い出しの帰りのことだった。

 

 偶然、本当にたまたま目を向けた路地裏をこの少女がフラフラと歩いたところに目を向け、目が合ったのだ。

 そして、その後すぐ気を失ってしまった彼女を一度自分の部屋まで運び、看病していたのが先程までのこと。

 

 そして今、彼女の名前を聞いたのだが……

 

(これは……何となく予想は出来ていましたけど、厄介事ですかね)

 

 名前を聞き、改めて看病をしていた時に感じていたその予感が正解だと判断する。

 連れて帰り、彼女をよく見て見た時点で色々とおかしいことがあったのだ。

 

 彼女の服は、穴の空いた布を被り、横を糸で雑に閉じただけの貫頭衣で、その服には多量の血液が染み込んでいたのだ。

 

 しかも、おそらく他人の。

 

 彼女自身の体に傷はなく、全て自分以外のモノだろう。

 

 だからこそ、安易に想像でき、その名乗りにも納得が行った。

 

(しかし、闇派閥の被害者となると……)

 

 と、考え事をしようとし所で少女が言葉を発する。

 

「それか……」

 

「それか?」

 

 聞き返し、少女の目を見た時、背中に氷柱を差し込まれたような、そんな悪寒が駆け抜け_____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「認識の鳥とも、呼ばれていました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




導入部分なので短めですが御容赦を。今後は3000から4000字程度のモノをあげていこうかと思っていますが、筆が乗らず短いこともあるかもしれませんがよろしくお願い致します。

それから、誤字があったら報告をお願いします。

他のSCP要素の追加要望等

  • 道具系ならば出して欲しい。
  • 生物系ならば出して欲しい。
  • ワンダーテインメント博士シリーズ出せ。
  • 出して欲しいが内容は作者に任せる
  • 無くていい。入れて欲しくない。


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