「蛍ちゃん。足踏み外さないように気をつけて」先を行く少女が気を遣う。今のところはちゃんと降りることが出来るが途中からはどうなってるのかは不明だった。
「……うん」もう一人の少女はおぼつかない足で一段ずつ確かめながら降りていった。視界が悪く足元を見ながらなのでペースは遅かった。
「なんか結構奥までありそうだね。地下室があるのかな?」燐はペンライトを下に照らしながら片手だけでテンポよく梯子を下ってゆく。「そ、そうなんじゃない?」蛍は一歩ずつ降りることに集中していて返事を返す余裕がなかった。
「でも何でこんなとこに入り口作ったんだろう?しかもわざわざ隠してあったし…あ。ここが終点だね」よっと、燐は残りの梯子の段を飛ばして飛び降りた。コンクリートの固い感触がとトレッキングシューズ越しに足へと伝ってくる。
燐はピンク色の機能的なトレッキングシューズ、蛍は上品で可愛らしいローファーを履いていた。
燐と蛍は一度下駄箱まで戻り外履きを持ってきてトイレで履き替えていた。この先何かあるかもしれない、燐はそう直観していて一度昇降口まで戻る提案を蛍にしていた。このまま帰っても問題ない気はしたのだが……二人とも何かに惹かれるように帰ることなく戻ってきた。
地下は地上とはかなりの温度差があり、インナーを着ている燐でも少し寒気を感じるほどだった。ペンライトで辺りを照らしてみると壁と床はコンクリートに覆われており1枚のドアがあるだけだった。
「蛍ちゃん。もう少しだから頑張って!」まだ梯子にしがみ付いている蛍に下から声を掛ける。「う、うん。燐、ライトで照らしていてね」崖下を確認しながら慎重に降りるのは怖いが明かりで照らしてもらえば幾分楽になる。燐はライトで蛍の足元を照らして道案内をするがあ!っと声を思わずあげてしまっていた。
「ど、どうしたの燐?」その声に思わず動揺して動けなくなってしまう蛍。「あ。ごめん。なんでもないよ~」燐は誤魔化す様に照れた笑いを返す。
燐のペンライトは偶然にも蛍のスカートの中を照らしてしまっていた。スポットライトで照らしたように黒いストッキング越しの純白のパンツが浮かび
燐は悶々としながらもライトを照らし続け、ようやく蛍も梯子を降りきることが出来た。その顔はほんのり上気していた。もしかして見られている事に気づいていたのだろうか?
「このドアしかないね。燐、開けてみた?」蛍は地下にある唯一の扉を手で触ってみる。地下の冷気のせいかひんやりとした鉄の感触が手に伝わった。金属製の扉で汚れが目立って錆びついているように見えるが比較的しっかりとしたドアに見える。
「ううん、まだ。蛍ちゃんが来てから開けようって思ってた」「じゃあ開けてみる?」やっぱり決断早いなーと燐は関心して。ドアノブを二人で握る。やはり鍵は掛かっておらず。扉を開くと長い間使っていないのかカビの様な臭いが鼻をくすぐった。
地下室の扉を開け放つと、燐は素早く扉の裏に隠れて身構える。蛍も慌てて燐の後ろに隠れて様子を伺った。
……暫く待ってみたが何も出てきたりしなかったので燐は少し恥ずかしかった。気を取り直して部屋の中を見回して見た後、慎重に足を踏み入れてみる。
すると靴の裏が柔らかい感触を伝えてきた。
「あ、やば!」反射的に足を離して入り口まで戻る燐。床にライトを当ててみるとそれは畳だった。良くみると大分傷んでいるものらしくカビも所々に生えてボロボロに朽ちている。それはここでの年数が経っていることを表していた。
ホッと胸を撫で下ろし改めて中に入っていく。燐に手を引かれ蛍も中に入った。ぐにゃっとしたなんとも嫌な感触が靴越しに広がって少し憂鬱な気分になった。
地下室と思しき空間は薄暗くカビの生えた臭いがしていた。燐はペンライトの光を周りに当ててみるがこれといって何もない空間で照明のスイッチも何故か見当たらなかった。
だが何故か室内は真っ暗というわけでなく、少し薄暗い程度で目を凝らせはある程度は認識できるほどだった。
「ここって何の為にあるのかなぁ?まあ地下室ってだけで怪しいけど、さ」部屋を見渡して何かないか物色してみる燐。「うーん。物置ってわけじゃ、なさそうだね」家にある物置小屋もこんな感じだったと蛍は思っていた。
静寂の地下室のせいか寒気を感じて蛍が手を取って寄り添ってきた。夏とはいえ地上とは温度差が大きいから無理もない。燐もなんとなく身震いをしていた。これ以上ここに居ても意味がないのかもしれない。そう思いかけたその時。
「ここにはまだ意味はあるのよ。今はもう使われてないけれど」燐と蛍以外の可憐な声が室内に反響した。
二人は咄嗟の事に慌てて。
「はうっ!」
「ひゃうぅっ!」と素っ頓狂な声を上げて抱き合ってしまった。初めて耳にする声なのだが何処かで聞いた様な声にも聞こえた。
燐は透かさず声の方角にライトの光を向けた。するとそこには…。
――幼い少女が立っていた。
まるで最初からそこに居たようにこちらを見つめて佇んでいる。
その少女は二人が良く知る人物、オオモト様に似ていた。まるで妹か小さいころの姿のように。丈は短いが似たような柄の着物を着ていて。顔だちは幼いがそのまま成長し髪を伸ばしたらそっくりに見えなくもない。それに同じ手毬も持っていたのだ。
「オオモト様!?」蛍は少女に尋ねてみる。「オオモト様って、さすがにそれはないんじゃない?」と燐はやや冷静にツッコミを入れた。
「……」少女はこの問いに答えなかった。意味が分からなかったわけではなさそうだが質問には無言だった。
「あ。オオモト様の妹さんじゃない?もしくはコスプレかも」暢気な答えを出す燐。蛍は思わず苦笑いをしてしまう。少女は……やはり何も答えず興味なさそうな顔をするだけだった。受けがよくなかったのか気まずい空気で暫く無言になってしまう3人の少女達。
だが不思議と嫌な気はしなかった。そもそも燐も蛍も突然現れた得体の知れない少女に恐怖も嫌悪感もなかった。異常な現象に慣れ過ぎているのかもしれないが……。
沈黙の空気に耐え切れず蛍が何かを喋り出そうとする前に…。
「ここはかつて防空壕だったの。昔、この場所は空襲が多かったから」少女は特に気にせずに淡々とした口調で沈黙を破った。少女の声色は幼いが口調そのものはオオモト様の授業のときと大差ないカンジで聞こえた。
だから今は使われていない、そういうことか、と蛍は納得していた。
「その後は別の事に使われるようになったの。ここでは色々な男女の行為があったわ。もちろん女子同士もあったようね」その少女は僅かに余計な事を付け足していたが、行為とは二人の乏しい知識でもある程度理解できるだろう。
「行為、ってまさか…」燐が耳まで赤くして呟いていた。蛍も顔を真っ赤にして目線を逸らして口を噤んでいた。
また沈黙が辺りを包むが蛍はすこし勢いをつけて尋ねることにした。
「その!……貴方が全部仕組んだことなんですか?七不思議とかすべての事…」蛍は少し強引に話を変えて問いかける。このまま”行為”についての話を膨らませても埒があきそうになかったし、何より事件の真相が知りたかったのだ。
「……違うわ。これはむしろあなた達自身の問題よ。わたしはその想いに手をかしただけ」突如ペンライトの明かりが何かに当たって反射する。
目の前が真っ白になり、たまらず燐と蛍は目を瞑ってしまっていた。その原因を探ろうと手をかざして瞬きをする燐。
光の先にはあの時と同じデザインの鏡が何時の間にか壁に掛かっていた。これが光を反射していたのだ。
そしてその鏡から人影が出てこようとしていた。まるで鏡の住人が現世に蘇ろうとするみたいに鏡の奥から這い出ようとしてくる。その様子を二人は膠着したように見守るしか出来ない。
鏡からペンライトの光線をずらして照らしてみるが、何故か足元と顔は良く見えなかった。だがやはり二人と同じ制服を着ていたのだ。これこそが求めていた元凶そのものだった。鏡から出てきた人物?はライトの明かりに照らされてそのシルエットを描き出す。
――ふたりは
「燐っ!?」と蛍が驚愕する。「蛍ちゃん!?」その姿を見て燐も思わず声をあげた。二人はほぼ同時に叫んでいたが。その内容の違いに、え?と思わず顔を見合わせてしまう。
「驚くことはないわ。そのどちらも正解なのだから」少女は鏡から出てきた影の隣で当然の様に話す。
「え?」燐が首を傾げる。
「どういうことなんですか?」蛍も首を傾げてしまった。
「これはあなた達二人のいわば投影ね。だからそれぞれが違った人物に見えるわ。二人がもっとも強く想いを寄せる人物、その想いが形となった。その人はすぐ隣にいるのにね」少女は手毬をポンっと上に投げた。緩やかな軌道を描いて再び手の中に戻る。
「でも、それぞれの想いが形になったのなら、どうして悪戯っていうか怖がらせる様な事をするんですか?」蛍の言う通りだった。蛍と燐はどちらかというと品行方正で通っているので、自分たちの分身?の様なものが悪さをするのは理解出来なかった。
「承認欲求の様なものよ。SNSでも度々騒がせてるでしょう?つまりは構ってほしいのね。自分のことをもっと見て欲しい。本心を知ってほしい。誰だって好きな人にはそうありたいはずよ」再び手毬を放り投げる。毬の複雑な模様が心の動きを表しているかのように様々な色が空中に踊った。
「じゃあつまりわたしが蛍ちゃんに、蛍ちゃんがわたしに見えるってことは・・・」
燐は2階にあった鏡の事を思い出した。もしかしたらあの鏡の影響で出来たものなのではないだろうか?もしあの時鏡を割っておけば、こんな事にはならなかったのかもしれない。
「いいえ。鏡はただのきっかけに過ぎないわ。もし原因があるとするならばこの校舎、いえ、この地とあなた達二人の想いが強く影響したのかもしれない」心を読んだかのように少女は答えを出した。
「わたし達がこの不思議の元凶ってことですか?」蛍は憂鬱そうな顔をしてしまう。だって今まで遭遇してきた不可思議なことは自分たちが起こしてそれを自分たちで解決するという、無意味ともいえることだったから。
「あなた達はお互いを想うがあまり自分の事を蔑ろにしているわ。それで心に傷を付けてしまったのね。そのちぐはぐな想いを叶えようとした歪みがこの幻影に溜まっていったのね」少女はその幻影的な存在を見つめる。この少女には誰に見えているのだろう?
「じゃあ一体どうしたらいいんですか?」燐は結局オオモト様に尋ねるような口調になってしまっていた。この場で真実を知っているのはこの少女だけだったから。
「もう答えは出ているはず……後は、あなた達二人が受け入れられるだけ」少女は目を伏せて静かに毬を抱きしめる。
――答え。
恐らく燐と蛍の想いは多分一致している。
(後はわたしが受け入れられるかどうかってことか……)
燐の想い。蛍を好きな気持ちに変わりはない。だが、それは本人の倫理観に少しの不安を与えるものだった。受け入れたとしてその後は、次の日は、休日は、将来は。無駄に先の事を気にしてしまう。
多分恐れているだと思う。蛍を好きな気持ちをいつか失ってしまうこと、蛍に嫌われてしまうこと、そしてやがて別れることになる、それが怖いのだ。それにあの投影したとされている存在、蛍からは自分に見えたと言われたときショックだった。蛍を好きな気持ちが昂じてあのような事をしたというのならどれだけ寂しやがりやなんだろう。あの少女が言うように隣にずっと蛍ちゃんは居てくれてるのにわたしは……。燐は瞼を閉じて下を向いてしまった。視界がぼやけてしまう、それは悔しくて寂しくて恥ずかしかった。
「…燐」
不意に蛍が燐を抱きしめる。優しい抱擁。驚いた燐だったが大好きな蛍の香りに包まれる。
「わたしは燐に嫌な思いをさせたくない。もしわたしが燐の負担になってるなら、すべて忘れるよ。だから何時ものように笑ってほしいな」
「蛍ちゃん…」燐も蛍の背中に手を回してきつく抱きしめる。互いの顔が近くにあった。鼻がまつ毛が、吐息が、すべてが近くて当たりそう…。
「蛍ちゃん」「燐」二人は大好きな少女の名を呼んだ。
そしてどちらともなく少女たちは唇を重ね合わせていた。
瞳を閉じてお互いの存在を口だけで認識するように。それは二人にとって初めての行為となった。幸福と快楽、そして暖かさが唇越しに体に伝わってくる。
燐と蛍。二人だけのかけがえのない時間だった。
ゆっくりと二つの口が離れて見つめ合った。少女たちは互いの額をくっつけあって思い思いの告白をする。
「キスしちゃったね」「うん…」
「後悔してない?」「全然。むしろもっと早くこうしてればよかった、かな?」
「わたしもだよ。簡単なことなのにね」「そうだよね。こんなに簡単に気持ちって伝えあえるんだね」
見つめ合う二人の顔が鏡写しのように写り込んだ。燐の瞳は燐を、蛍の瞳は蛍を見ていた。なんだそういうことだったんだ。ようやく理解することが出来た。要するに自分を好きになればいいんだ。だから燐は、蛍は、自分を愛するために口づけをした。
――瞬間鏡が割れたような音が響く。
二人の唇は再び重なりあっていた。今度は深く強く互いの唇を求めあった。
「んっ……」少し音が漏れた。恥ずかしさを打ち消す様に少し舌を絡めて吸い合う。
後悔も唾液も想いもすべてを口の中で舌で混ぜ合わせて分け合った。ずっとこのままで居たかった、二人一緒でこの幸せな時間を共有していたい。
再びお互いの唇が離れる。少し、いや大分恥ずかしさがあったがそれ以上に幸せだった。好きな人と愛を確かめ合うことが出来て胸の内が熱く高鳴った。
(良かった…)
それはあの少女が発した最後の言葉。誰に向けて言ったのかは分からなかったが、幸せそうで儚い想いが詰まっているように聞こえた。
ふと気が付くと二人を模したモノもあのオオモト様似の少女も居なくなっていた。すべてが夢であったかの様に一切の痕跡を残すことすら残っていない。鏡のような物も、少女が持っていた手毬も残っていなかった。全てが忘却の彼方に行ってしまったかのように静まり返っている地下室。
結局あの少女は誰だったのだろう?もっと話をすればよかった。そして最後に届いた言葉。あれはどういう意味があったのだろうか?
二人はその場所を名残惜しいように暫く見つめていたが、やがて無言で手を取り合い地上に戻ることにした。帰り際ドアを閉める際、二人は暗闇の中に頭を下げた。特に意味などなかったがこれですべてを
かん…。かん…。
登りの梯子は下りに比べて更に体力を使うものだった。帰りも燐が先行して登って行くが、背後からの視線を感じて振り返ってしまう。
「……蛍ちゃん、何処見てるのかなぁ?」なんとなく嫌な予感がしていたが聞いてみる、
「何処って、燐のお尻だよ。パンツ可愛いよね縞々で」蛍はまだ梯子に手を掛けておらずペンライトで下から燐を照らしているだけだった。燐はカチューシャとお揃いのストライプ柄のパンツを身に着けていた。
「いやー!恥ずかしいから見ないでよぅ。ってなんで触ってるのー!?」蛍は何故か燐のお尻を撫でてしまっていた。
「さっきわたしのパンツ見てたからおあいこ。それに燐のお尻って引き締まっててつい触ってみたくなるんだよね」縞々で可愛いし、さっきと同じことを言う蛍。
「でも、わたし見るだけで触ってまではいないよー」燐はつい余計な事を言ってしまっていた。
「やっぱり見てたんだ。燐って意外とエッチだよね」「…蛍ちゃんのほうがエッチだよぉ……」撫でられ続けて恥ずかしさに真っ赤になる燐。
「ふふっ、そうかもね。でもわたしも燐に見られるの結構恥ずかしかったんだよ?今度は見せ合いっこしようか?」それには燐も首を振って拒否を示した。
燐はやれやれ、とため息をついてから、気を取り直して梯子を登ることに集中した。それでも蛍の視線がやはり気になってあまり力が入らない。すこし息が上がってしまうがそれは疲労からくるものなのか、それとも視線を感じてしまっているのか。
(あんなことしちゃったから意識してるのかな?蛍ちゃんが見てるだけで何か熱くなってきちゃうよ……)
蛍の方も意識してしまっていたが、燐の後に続いて懸命に梯子を登る。だが普段では考えることのない情欲で切なくなっていた。
(わたし燐と……キス、しちゃったんだよね?でも、もっと色々燐としてみたい……何かまだ足りないよ、燐……)熱に絆されたように視線を燐の縞々パンツに向けてしまう。梯子を登るたびに揺れるヒップに蛍は誘われるように釘付けになっていた。
(やっぱり蛍ちゃん見てるよね。これ以上何かされたら危ないもん色々と……。だから…)
と燐が覗きこんで蛍に声を掛けようとした時。
ぐらっとした感覚が鉄の梯子越しに伝わってきた。
ガタガタガタッ!学校全体が揺れ出した。
「なに?また地震なの!?」「きゃあ!」必死に梯子に捕まって揺れをやり過ごすことしか出来ない。ぱらぱらと暗闇の頭上から木の粉の様なものが降ってきて二人は戦慄を覚える。
幸い揺れはすぐ収まった。頭上にはそれ以上なにも降ってはこなかったので安堵のため息をつく二人。
「早くここから出ちゃおう!」もう視線とか気にする余裕はなく、燐と蛍は梯子を勢いで登り出した。ここだと不安定な足場だし、先ほどの地震が暗闇の閉塞感を隆起させて二人を焦らせたのだ。
だが頑張って登ってもまだ先が見えない。明らかに下りてきた以上に登っているはずのに出口の光さえ見えなかった。
(なんでまだ出られないの?異常な現象は全部終わったはずなのに!)燐の額に汗が滲んできた。底知れない恐怖と焦りが体力を奪っていく。
蛍は足を上げるのがやっとの状態になっていた。休憩したいのだが足を動かさないと闇に追い付かれそうで下を覗きこむことさえ出来ない。だがそれでも必死に梯子を登り続けた。
(折角、燐と想いを伝え合ったのに、こんなところで終わりたくない!)
限界に近い蛍の足を動かしているのは燐への想い、ただそれだけだった。
とん、とん、とん。
あの時のような音がした。体育館の時に聞いた毬をつく音がまた耳に響きだす。
(またあの音。オオモト様なの?)
二人はきょろきょろと辺りを見渡したがやはり方向が分からなかった。改めて頭上を見上げるとそこには今まで見えなかった天井が先にあった。行き止まりかもしれないが、確かめてみるべく天井まで必死に登る燐。辿り着いた天井は木で出来た板のようだった。試しに押してみると少し重くて引っかかる感触があったが、天井板が持ち上がって脱出口となった。
燐は残った気力を振り絞って地上に這い出た。即座に辺りを見渡してみるが、薄暗くて良く見えない。多分、旧校舎のどこかの教室だろう。何処の教室かはまだ分からかったが、そんなことよりも先にやることがある。
「蛍ちゃん、もう少しだから頑張って!」燐は出てきた穴に体ごと腕を突っ込んで蛍の手助けをした。その声に勇気をもらって蛍は最後の踏ん張りをみせた。
必死に登ってくる蛍の手を燐が掴んで引き上げた。勢いあまって二人は抱き合う格好になった。
「……はぁ、はぁ、はぁ。ありがとう燐……」息を絶え絶えにしながら蛍も階上に着いた。
蛍と抱き合いながらも改めて周りを見渡してみた燐、だが……やはり暗くてまだよく分からない。月明かりさえ差し込まない部屋で息を整えながら助かったことに今は安堵していた。二人は体を休めることだけ考えて互いの体をきつく抱きしめた。
結局先週の土曜日には投稿出来なかったし、今回で終わりでもなかったーです。プロット出した時点で長すぎだと思ったけど色々詰め込みたくなっちゃうなあ。
今回はなんかエロレベルが高くなったせいかリテイクしまくっちゃったねぇ。ものすごく百合百合させたかったんだけど語彙力が足りなすぎる…。ちなみに少し前まで「ごびりょく」って呼んでました…学も無さすぎる…。本編では69はやってくれた二人ですけどキスは無かったので今回で入れてみたけど、やらなくてもよかったかなーとか思ったり。ギリギリのところで止めたほうがよかったかな?だがGLタグ付けている以上やるしかないってカンジでした。最後の最後まで取っておいても良かったけどねー。
今回のサブタイは……英語だと生々しい感じがしたので、本編リスペクトのフランス語にしてみたらよけいに生々しくなったでござる。まあ単なる思いつきなので深く考える必要はないかなーとか。
さてさて今度こそ、次こそがファイナルだと思ってます。拙い小説だけど最後まで書ききるぞー出来れば今月、いや来月頭までにはなんとか、かんとか。
それでは最終話でーー。