コワイ? 学校のカミュ   作:Towelie

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何処かの教室のようだが授業の為の普通の教室ではなく用途別に分かれている特別教室のように見える。もっとも旧校舎には特別教室しかないのだが。
暗くて判然としなかったので、ライトの明かりを照らしてスイッチを入れてみた。
カチッと音はするが照明は点灯しなかった。燐は少しムキになって何度もカチカチとしてみるが明かりが灯すことはなかった。

仕方なくペンライトで辺りを照らしてみる。やけに殺風景な教室で少数の椅子と机、後は空っぽになった棚が幾つかあるだけでがらんとしていた。なんとなく天井を照らしてみると、肝心の蛍光灯が入っていなかった。

(なんで梯子を登った先がこの教室に出るんだろう?トイレの用具室から入ってきたはずのに)
首を傾げて考えてみてもこれまでの現象と同じで答えようがない。

一方、蛍は体を休めながら先ほど必死に登ってきた穴を見下ろしていた。教室の中が薄暗いので穴の中を見ても何も見えないが……地下からうめき声のような音が風に乗って聞こえてくる。あまりの不気味さに恐怖を感じて、慌てて地下への入り口を閉じる。その勢いで燐が少しびくっとしたが蛍は愛想笑いで返した。

「ど、何処なんだろうね、ここ、ちょっと埃っぽいかも」蛍は何事もなかったように辺りの様子を伺う。二人は思わず座り込んでしまっていたが、よく見ると埃だらけで靴も真っ白になってしまった。掃除した様子もないようだ。
「あまり長居する場所じゃないね。とりあえずここから出よう?」蛍の手を引いて燐が立ち上がる。蛍もゆっくりと上体を起こした。

教室のドアに手を掛けて出ようとするが音がするだけで開かなかった。
構造上、中に閉じ込められないように外から鍵を掛けても開く仕組みになっている筈なのだが。燐は教室の前にある、もう一つのドアまで走りよって開けようとするがこちらも開かなかった。
「やっぱり開かない。燐、そっちはー?」蛍はもう一度開けようとしてみたがやはり無理だった。
「こっちも、ダメ。ガタついているわけでもなさそうだけど……?」

「窓は……やっぱりダメだよね」燐はドアを諦めてると教室の窓にそっと近づく。
旧校舎にある殆どの窓には転落防止の為、格子がしておりここも例外ではなかった。
隙間から外をみると町の夜景が目に映る。下を覗きこむと校庭が見えるが、闇夜の為か結構な高さに見えて少し怖い。
首を回して上を見ると校舎の屋根らしきものがうっすらと見えた。どうやら3階の教室に居るようだった。

「ねぇ、燐、もしこのまま出られなかったらどうする?」蛍が何時の間にか隣に来ていた。二人はしばし窓からの夜景を眺めていた。
「どうするって、最悪、警察呼んじゃうとか?」大事になってしまうがいざとなったら止むを得ない。このまま学校で一晩明かすよりはマシだった。
「その手があったね。じゃあ少し安心かな?」ぽん、と手を叩いて納得する蛍。
「なるべく使いたくはないけどね」燐は苦笑いをしてしまう。

「今日って、普通の日だよね?一日でこんなに色々なことに遭遇するっておかしいよね?」
「そうだよねー。なんかずっとお化け屋敷の中に居るみたいだったよー」
「じゃあ結構楽しかったってこと?」「全然!もう逃げ出しちゃいたいぐらいだった」
「わたしもだよ」蛍は手を当てて微笑んだ。

「でも燐が一緒だったから大丈夫だったんだと思う。どんなに怖くても燐が居てくれたらそれだけで……」蛍が両手を差し出す。その手を燐はしっかりと握る。
「わたしも、蛍ちゃんが居てくれたから逃げ出さなかったんだと思う。蛍ちゃんと一緒だったから頑張ることができたんだ」
「でも……わたし達の想いが心霊現象っぽい?のを産み出しちゃったんだよね」
「うん……あの娘がそう言ってたよね……」
「じゃあ、結局この七不思議ってなんだったんだろうね?」
「…………」蛍は答えることが出来なかった。七不思議の噂を元に自分たちの想いが七不思議そのものを作り出したということになる。正直言って訳が分からなかった。

「でも……」
「ん?」
「でも、もう、変な事は起きないんじゃないかな?ほら、なんかこう、想いに気づいちゃったったというか……」
「あ。そうだよねえ、一応除霊?みたいなのした、よね?確か……」と燐は思い出したように同意したが、ふと蛍との行為も思い出してしまっていた。
(そういえばあの時、蛍ちゃんとわたしは……)顔が熱を帯びてるのが分かる。蛍と顔を合わせる度に唇が視界に入ってドキッとしてしまう。
「燐……」蛍が指を強く握ってくる。繋いだ両手を下げて見つめ合う少女。この体勢だと自然と顔が前に出てしまう。それはお互いに分かっていたことだった。

雲に隠れていた月が微かに室内を照らす。二人の影は寄り添う様に重なって。

「わたし蛍ちゃんのこと大好きだよ。綺麗な蛍ちゃんとずっと一緒にいたい」
「燐……大好きだよ燐。ずっと、ずっと前から好きだった」

月が二人を映し出す。二つの影と二人の少女が一つになった。
三度、柔らかい感触を唇から味わい合った。その行為には理屈はなく、ただもう一度確かめたかっただけなのかもしれない。

(嘘じゃなかったんだ、全部本当の事だった。だって同じなんだもの。あの時と同じ燐の味……)蛍は全てを忘れて夢心地になっていた。それは燐も同じで快楽の坩堝(るつぼ)の中にいた。

吐息と舌と唾液を絡ませ合う行為に没頭する少女達。
例えこのままここから出れなくても、時が永遠に止まっても良かった。ずっと二人でこうして唇を通わせているだけで何も必要としなかった。


「やっぱり仲が良いわね」二人の世界に割って入るように聞き覚えのある声が室内に響く。

二人は幻想から現実に戻されたように静かに瞳を開いて、名残惜しそうに唇を離し、余韻に浸ったまま声の方を向く。暗闇の教室の中に外の光が入りこみ、見覚えのあるシルエットを浮かび上がらせる。

「「オオモト様!?」」二人は抱き合ったままその名を呼んでいた。






trinity

「オオモト様!!」二人の前に姿を現したのは、あれほど探していたにも関わらず見つけることができなかったオオモト様だった。

 

「こんなところに居たのね。放課後は情事の時間ではないわ。でも二人が仲良くしてるのは良い事ね」オオモト様は一応釘を刺しつつも、優しい笑みを浮かべていた。

 

「情事って……あ、ごめん、燐!」「はうっっ!こっちこそごめんね蛍ちゃん!」二人はようやく恥ずかしさに気づいて慌てて距離を取った。そして何故か二人で謝りあった。

 

「えっと、た、たしかドアが開かなかったんですけど?」「そ、そうどんなに頑張っても開かなったんだよね」動揺しながらも弁明をしてしまう二人。

「……そう」オオモト様は怒ってはいないようだがなんとなく気まずくなってしまう。

 

「ご、ごめんなさい何といいますか、その……」「つ、月が綺麗だったからそれで……」

「そういう隠語もあるわね。燐も蛍もとっても綺麗で可愛かった」二人の頭を撫でてくるオオモト様。色んな意味でとても恥ずかしかった。

 

「もう学校に残っているのはあなた達だけよ。今日はこれで下校しましょう」

「はい…」「わかりました…」

気恥ずかしさで膠着している燐と蛍に向きなおる。

「大丈夫、二人の事は誰にも言わないわ」

「あ、ありがとう、ございます…」「…………」そんな事言われると余計に意識してしまって恥ずかしさが増してしまった。後悔はないのだが。

 

二人は俯きながらもオオモト様に促されて教室を後にする。何の教室だったんだろうとドア上部にあるプレートを見て蛍は驚愕する。そこには「新聞部」のルームプレートが付いていた。蛍が上を向いて固まったままなので、燐は不審に思って同じように上を見上げる。燐は目を丸くして同じように膠着してしまった。ここは新聞部の部室だったのだ。

 

「でも中に何も無くなってたよ!?それになんで部室に出てきちゃうの?」今は部員二人とは言っても創設以来続いてきた部なのだ。中には様々な資料や備品がぎっしりと棚に詰まっていたはずなのに。確かにめぼしいものは無くなっていた。

そして地下室から3階の新聞部の部室まで上がってきていたのだ。構造的におかしいことだったがそれを説明してくれるものはなさそうだった。

 

全ての答えを知っているような気がして、二人は思わずオオモト様の姿を見つめてしまう。オオモト様はあの手毬を持っていた。地下であった少女と同じ模様の手毬を……。

深いため息をついた後。

「この旧校舎は……」と言いかけたところで足元が揺れる感覚がした。

 

「また地震……!?」「今日は地震多いよ!」二人は思わず手を取り合って近くの壁に寄りかかった。

 

「これは地震じゃないわね。もう持たなくなってきている」

 

「え?」オオモト様が言ってることが分からなかった。地震ではないとしたらこの揺れの原因は何だと言うのだろうか?

 

「まさか悪霊とかの仕業とか言いませんよね?」揺れの激しさ焦って、ついオオモト様を問い詰めてしまう。

「……」

その無言が肯定していると受け取ってしまって燐も蛍も青ざめてしまう。

 

(今更悪霊の仕業とか。でもそう思ってもおかしくない現象ばっかりだったから)蛍は逡巡してしまっていた。

 

そうしてる間にも校舎はギシギシと揺れていた。身の危険を感じるほどの揺れ、その場に留まることを本能で嫌がるほどに危険な予感がしていた。

その時。

バキバキと何かが裂けたような音がして立ち竦んでしまった。何事かと思っていると突然天井から梁の様な巨大な木材が裂け落ちてきて3人とも声を上げることすら出来なかった。

重量感のあるものすごい音と、埃が舞って事態の深刻さを認識した。

その瞬間、廊下の照明が全て消え非常灯だけになってしまった。

 

「二人とも早く脱出しなさい!」オオモト様が珍しく叫んだ。その切羽詰まった様子に我に返る燐と蛍。

 

「わ、分かりました!蛍ちゃん!」「うん!」二人は頷き合うと手を取って崩壊しつつある校舎から出ようとする、が…。

 

――オオモト様はその場から動いていなかった。目を伏せて手毬を撫で続けている。

 

「何してるんですか!?」「オオモト様!」二人の悲痛な叫びを聞いても微動だにしない。

 

「……わたしはここに残るわ」静かに言い放つオオモト様。

 

「どうしてですか?」蛍は疑問を投げかける。

こうしている間にも揺れは収まるどころか徐々に強くなってきているようことが足元から感じとれた。頭上からは木の粉が雪の様にぱらぱらと降ってきていた。

 

「……」それでもオオモト様は動こうとしない。

蛍はあの地下であった少女と何か関係があるのでは思っていたが何も言えずにいた。

 

「もうこうなったらっ……!」燐と蛍は頷き合ってオオモト様の元へと引き返す。そしてその腕を両側から無理やり絡めた。

「あなたたち何を……!」両脇を二人に抱えあげられて明らかに動揺しているオオモト様。

 

「いくよ!」「うん!」

燐と蛍はオオモト様の両脇を挟んだまま走り出す。建物が揺れていて不安定な中、3人一緒に横一列で走りぬける。廊下や壁の木材の軋む音がして焦燥感を煽る中、ひたすらに出口を目指す。時折壁にぶつかりそうになり手をつきそうになるのだがギリギリのところで重心を取っていた。

オオモト様が軸となり二人に負担を掛けさせないようにしていたのだ。

 

昇降口に近い階段から2階に下り、後は1階の昇降口に向かうだけなのだが……。

1階の踊り場の先が何も見えないことに燐は違和感を感じていた。

「蛍ちゃん、待って!!」燐は叫んで制止を掛けた。踊り場で踏みとどまる3人。慌てて階下にペンライトを向けると……。

 

――1階の階段が無くなっていた。

さっき凄い音がしたのはここの階段が崩れ落ちた音だったのだ、と理解した。

 

「そうだ、もう一つの階段に!」と燐が身を翻そうとしたのだが足元がぐらっとなった。3人が立っている踊り場は既に支えを失っていて今にも落ちそうな場所だったのだ。

 

「ど、どうしよう燐……!」一刻の猶予もない。燐は素早く決断する。

「飛び降りるしかないよ!3人で一緒に飛ぼう!」確かにこれしかない、だが気がかりなことがあった。二人は思わず真ん中のオオモト様を見てしまう。今の体制だと着地の際にかなり危険を伴うことになる。それにタイミングを合わせないと飛ぶ前に床が抜ける恐れがあった。

オオモト様は暫く目を伏せて黙っていたが、ため息をついて観念したように口を開いた。

 

「……分かったわ。3人で行きましょう。でもその前に…」二人に抱えられた腕をゆっくりと解いて手にしていた毬を見つめる。色とりどりの毛糸であしらわれた綺麗な手毬、あの少女と同じ毬。

少し悲しそうな目で見つめているとその刹那――

 

ぽーんと上に投げ放った。一瞬の事だったので声を掛ける間もなかった。燐と蛍はその手毬の軌跡を口を開けたまま見届けることしか出来なかった。

 

手毬は何処かに引っかかったのか落ちてくることはなかった。

「これでいいの。元々わたしの物ではなかったから」

あの手毬は毒と言っていた気がしたがその事を質問する気はなかった。何よりそんな余裕はなかった。

オオモト様は手毬を失い手ぶらになった両手で燐と蛍、二人の手を片方ずつ握って微笑む。

 

「燐。タイミングは任せるわ」「わたしも燐に任せるよ」

「うん。分かった!じゃあ時間もないし即、行っちゃうよ!1、2、の3!!」正直カウントを数えることすら煩わしいほど焦ってはいたが燐は律儀にもカウントした。

 

そのカウントに合わせて3人は闇の中に飛び降りた。暗闇の中、飛んでいるのか浮いているのかさえ分からない。1秒にも満たない浮遊感ののち着地への恐怖と衝撃が襲ってくる!

 

……はずだったのだが重力が無くなったかのようにふんわりと着地出来た。まるで木から葉っぱが落ちるように緩やかな接地感だった。

燐と蛍は声も出せず顔を見合わせていた。そしてオオモト様を見る。その落ち着いた様子を見て二人は察してしまっていた。

 

「……ここは危ないわ。早く出ましょう」二人の頭上からオオモト様の声が届く。その声に我に返った2人はオオモト様の手を固く握って出口に急いだ。

昇降口は開いたままだった。月明かりが差し込む中、微かに外の景色と校庭が見える。

3人は手を取り合って校舎から飛び出した。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」

燐も蛍もオオモト様さえも荒い息を上げながら出来るだけ校舎から離れるように懸命に走る。

 

校門近くまで来て燐はようやく足を止めた。それを合図にして3人の脱出はようやく終わりを迎えた。

滝の様に汗をかいて荒くなった呼吸を整える。蛍は校門に体を預けて今にも倒れ込みそうだった。オオモト様も……流石に余裕がなかったようで蛍の隣で体を休めていた。

 

休憩の最中、燐はあることにようやく理解が出来た。自身の左手を握ったり開いたりしてあの時の感触を思い起こそうとする。

(あの時トイレで握った手。あれって多分オオモト様だ。でもどうして?)

長い黒髪を揺らしながら息を整えているオオモト様を見る。こちらを振り返ると優しく目を細めて微笑んでくれた。

 

「あれ?学校大丈夫みたい、だね」すっかり校門前に座り込んだ蛍が旧校舎を指さした。

 

さっきの揺れの影響で旧校舎が崩壊してしまうのかと思っていたのだ。現に逃げる時も一部が崩落していたので無理もなかった。

 

「木造って耐用年数が20年ぐらいじゃなかったっけ。流石にもう危ないんじゃない?」燐のいう耐用年数とは不動産としての価値の年数のことであって、建物のそのものの寿命とは違った意味になるのだが。

「木造でもその構造を理解して適切なメンテナンスすることで長く使うことができるのよ」すっかり回復したオオモト様が二人の話に加わった。

 

「でも存続か……それとも、解体かで意見が分かれていたの」

 

「じゃあ新聞部の中が空っぽになってたのって、もしかして!」燐が思わず叫んでしまっていた。話の腰を折ったようで何とも気まずかったがオオモト様は気にすることなく話しだす。

 

「そう、明日から解体の為の検分が急きょ決まったの、だから今日の内に目ぼしいものは新校舎の方に移しておいたわ」それを聞いて納得した。道理で旧校舎に立ち寄る人を見かけないし、部室の中がさっぱりとしているわけだ。

 

「じゃあ結局解体ってことですか?」蛍は残念そうに尋ねる。

「そうではないわ」オオモト様は首を横に振る。

 

「むしろ今回の一件で校舎が教えてくれたのよ。脆くなって直さなければならない箇所をね」つまりあの地震のようなものは校舎自体が震えていたものだと言いたいのだろうか?校舎が確固たる意思を持っているかのように。

 

「もしかしてわたし達が異常現象を体験した場所も何らかの構造上の問題があったってことですか?」燐は首を傾げながら発言する。

「恐らくね」

 

「どうしても老朽化は避けられないわ。だからと言って壊してしまえば、もう元には戻すことはできない。似たようなものを作っても思い出や情感、材質さえも違うものになってしまう」

 

「だから解体前に校舎が教えてくれたのね。ここさえ直せばまだ使える。壊さないで欲しいって……」オオモト様はその木造の校舎をまっすぐに見据えていた。昔から知っているかのような温和な眼差しで。

 

「でもわたし達の想いっていうか歪みみたいなものがこの現象を起こしたって地下にいたあの娘が言っていたよね?幻だったのかもしれないけど……」

「うん。そんな事言ってたよね、蛍ちゃん。わたしも覚えてるよ」

二人はあの地下であった少女に言われたことを思い返していた。歪んだ想い。それは二人に極僅かにあった心の迷いのようなもの。だがそれは誰しも持ち得るものではないのだろうか。何故二人の想いだけが形となったのだろう。

 

「……ここの地下に昔、防空壕が作られていたって知っているわよね?」前を向いたままオオモト様が口を開く。

 

「はい」二人は同時に頷いた。

「えっと、その後はなんか恋人たちの秘密の場所として使われていた?みたいですね」エッチな事とかには使われてないはず……と燐はぼそっと小声で呟く。

 

「あそこでは色々な事があったみたい。逢引に使われるだけならまだいいけど、中には神隠し的な事案もあって行方不明になった生徒がいたらしいの」オオモト様は眉根を下げてため息をついた。

 

「ええっ!」余りの事に蛍は驚いてしまった。

 

「それは最後まで未解決のままだった。それからはあそこは、半永久的に閉鎖されて一部の人しか存在を覚えていない場所となった。でもその想いの欠片がまだ残っていて校舎に影響を与え続けたのかもしれない……」

 

二人は顔を見合わせてなんとも言えない気持ちになっていた。もしかしたらあの地下室には行方不明になった生徒の身柄がまだあるかもしれないのだ。そう思うと夏なのに寒気がして燐は身震いを起こす。

 

一方、蛍はその行方不明になった生徒とあの少女はイコールではないと考えていた。

少女は生徒という感じはしなかったし、何より蛍たちより幼く見えた。それに何故かオオモト様に似た格好をしていたのだ。つまり少女とオオモト様には何かの接点があるはず。そしてそれこそが全ての謎を解くカギになるのではないかと思ってはいた。

 

――でもその事を今はオオモト様に聞くことはしなかった。二人ともそんな事は望んでいなかったし、何よりも今は、校舎から出て3人が無事だったことだけで十分だったのだ。

謎の解明とかに使うリソースはもう今日の分は残っていなかった。

 

月明かりに照らされて木造の校舎がまるで神殿のように幻想的な風景を作り出していた。その光景を3人は言葉もなく眺め続けているだけ。

解体かどうかの判断は自分達には分からないし、校舎の意思的な物も何も感じ取れなかった。

だがとりあえず、今度こそすべて終わったんだと燐も蛍も安堵のため息をついた。

 

――長い長い放課後。

ようやく解放された少女達は帰宅の途につくことしか今は頭になかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次でファイナルと言ったな、アレは嘘だ………った……。なんか9話だと半端な気がしたので10話で完結としたいですー。
……本当は気力が続かなかったので投稿して少し楽になりたかっただけなんですけどねー。

今回もつらみでした。書ける時とそうでないときの差がデカいでかいですわー。@1話分のネタは残っているのだろうか?最終話は短めになりそうですね。
次回こそファイナルにしたいです。

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