サクラ大戦~来たれ次世代の戦士~   作:ユウジン

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魔の目覚め

「おはよう八重……」

 

光武の訓練があった次の日の朝。休日のため少し寝坊して起きてきたローアは、一階にある食堂にやって来ると、丁度八重がお茶を飲んでいた。

 

「あ、おはようございます」

 

二人は挨拶し、ローアは食堂に調理場から持ってきたご飯や味噌汁にオカズ諸々を持ってきて、

 

「いただきます」

 

と食べ始める。それを見た八重は、

 

「ローアさんって箸を普通に使われてますね」

「ふふ~ん。日本には郷に入りては郷に従えって言う言葉もあるからね。箸の使い方を覚えたんだ」

 

そう言いながらご飯を口に運ぶローアに八重は少し笑って、

 

「ローアさんって思ったんですけど結構日本オタクですよね」

「日本のアニメやゲームはフランスでも人気だからさ。 いやぁ、今でも少し実感がわかないもん。ずっと憧れだったからね。日本はさ」

 

ローアはそう言って最後の一口を放り込む。すると、

 

「それでは折角ですし今日はローアさんに東京案内しましょうか?」

「え?」

「他の皆はそれぞれ用事があったらしくて居ないんですよ。なので手持ち無沙汰だったんですけどローアが良ければ案内しますよ?」

 

八重のそんな提案に、ローアは考えてから、

 

「じゃあお願いしようかな」

「そうですか。じゃあ今からだと……11時集合で良いですか?」

 

あぁ、大丈夫だよとローアは答えると八重は席を立って準備してきますねと走り去って行く。

 

(こっちも急いで食べて準備するか)

 

それを見送ったローアは少し急いで食事を終わらせたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、良い天気だなぁ」

「そうですね」

 

お互い支度を終えたローアと八重は駅を目指して歩いていた。

 

「それにしても八重。その桜色のワンピース凄く似合ってるね」

「そ、そうですか?」

 

そんな中突然のローアの言葉に、八重は照れながらも礼を言う。

 

「八重って結構そういう色の服や小物持ってるから好き何だろうなっては思ってたんだけどさ。八重の大和撫子の雰囲気と桜色って凄くマッチしてるよ。元々美人だけど今日は特に綺麗だ」

「ロ、ローアさん?そんなに冗談でも誉めても何も出ませんよ?」

「いやいや、冗談じゃないって」

 

ローアがそう言って誉めちぎると、八重は顔を赤くしながら少し眉を寄せて、

 

「ローアさんって意外と軟派なんですね」

「そう?女性を誉めるってのは普通じゃない?それに嘘言ってる訳じゃないし」

 

嫌だったら辞めるけど?そうローアは言うと、八重は嫌ではないですけど……と言う。嫌と言うか、照れてしまう感じが強いようだ。そんな中、

 

「それで最初はどこ行こうか」

「じゃあまずは浅草に行きましょう」

 

八重は気持ちを入れ換えてそう提案し、ローアは頷く。

 

それから地下鉄に乗って暫し揺られ、八重に案内されて着いたのは浅草の雷門。真っ赤な門をくぐり抜け、中には所狭しと店が立ち並んでいた。

 

「凄い沢山あるなぁ」

「ここなんかは美味しいお店も多いんですよ。あとここの近くにある高村屋って言う煎餅屋さんもおすすめですよ?」

 

食べ物ばっかりだね。とローアは笑い、八重はハッとなって頬を染める。それを見てローアは、

 

「じゃあ八重オススメの美味しいお店に連れてってよ」

「そうですか?じゃあまずは……」

 

と、八重が案内しようとしたその時!

 

『っ!』

 

ドン!と大気が震え、背後で爆発音が起きた。

 

ローアは咄嗟に八重を抱き寄せ、爆発音の方角から庇うように立つと、その方角を見る。そこに居たのは……

 

「魔操機兵……」

 

見上げるほど大きな鋼鉄で出来た感情の感じられない姿に、ローアは無意識に寒気を覚えた。すると、

 

「あ、あのローアさん。大丈夫ですので……」

「ん?あぁ、ごめん」

 

八重に言われ、ローアは彼女を解放。そしてさっきまで買い物や観光を楽しんでいた人々が、悲鳴を上げる中二人が魔操機兵を見ていると、魔操機兵は巨大なツボのような物を設置したかと思えば、

 

「なんだ!?」

 

突如逃げ惑っていた人々が地面に膝をつき、突然苦しみだしたのだ。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

「う、うぅ……」

 

八重が慌てて近くの人に駆け寄るが、踞ったまま動かない。するとそこに他の魔操機兵とは明らかに違い、龍をモチーフにしたらしき造形の魔操機兵が現れた。

 

「ほぉ、魂喰いが効かないほどの霊力を持つものが今の世にも居たとはな。まぁ良い、【(おん)】よ!あのガキどもを殺せ!ただし周りの人間を巻き込むなよ!大事な贄なのだからな!」

『ギィ!』

 

そうして、ローア達は知らないが、青龍と呼ばれていた男に命令された、怨と呼ばれた魔操機兵達は、ローア達の方を見ると走り出してくる。

 

「八重!」

「え?」

 

それを見たローアは、八重の手を引くと、迫り来る怨の手にあった刀が振り下ろされる中、突然姿が消える。

 

「む?」

 

龍をモチーフにした魔操機兵に乗っていた青龍は中で眉を寄せながら、その視線を横にずらすと、そこには八重の手を引いて走るローアの姿がある。

 

そこに別の怨が刀を振り下ろすが、また姿が消えて、少し離れたところに現れた。

 

(テレポートか。だがあれは余程霊力が高くなければできないはず。あの小僧から感じる霊力は並程度だが……)

 

そう青龍が思っている間にも、ローアは八重の手を引いて怨達から逃げる。すると、八重の携帯が鳴る。

 

「はいもしもし!」

《八重!?いまどこにいるの!?》

 

そう電話越しに叫ぶのは撫子で、八重は今雷門にいること、更に謎の魔操機兵に襲われていることを伝えた。

 

《成程……分かったわ!とにかく貴方達は雷門の隠し通路から地下に来てちょうだい》

 

すると撫子が言った直後、ローア達を後ろから追いかけていた怨の頭が銃声と共に吹き飛ぶ。

 

「え?」

 

ローアが驚いて銃声が聞こえた方を見ると、黒がパーソナルカラーの光武が銃を構えている。アレは昨晩見た舞の光武だ。更に、

 

『帝国華撃団!参上!』

 

と、舞に続いてアツバにレミィの二人が登場。

 

「二人とも!このまま行ってください!」

「ありがとうございます!」

 

アツバに見送られ、八重とローアは更に奥に向かって走る。

 

「結構一般の人もいるね」

「二人とも、八重もすぐに合流できると思うけどまずは一般の方を影に避難させながら、あの周りの魔操機兵を撃破。その後に、リーダー格と思われる魔操機兵を叩くわよ!」

「それでは行きますわよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか雷門の所に、こんな隠し通路があったなんて……」

「こういう隠し通路は東京中にあるんです」

 

そう言いながら二人は少し開けたところに出ると、そこには線路が敷かれておりその上には……

 

「電車?」

「はい。皆さんが何時も帝劇にいるとは限らないので、有事の際には各地にあるこの隠し通路に来て、この【風来丸】に拾ってもらってから目的地に全員で向かうんです」

 

そう八重は案内しながら、風来丸に乗り込むと、中には撫子や四姉妹がいた。

 

「二人とも、無事で良かったわ。それで八重、悪いけどすぐに出撃して」

「はい!」

 

八重は撫子の指示に頷き、別車両にすぐに移動。移動した先には様々な機材が置かれているが、その先の車両を幾つか越えていくと、光武が置かれている車両がある。その車両に置かれている自分専用光武の隣にあるポットに入った。

 

ブシュ!と一瞬蒸気が出て、ポットから出ると、八重の服が変わり戦闘用の服になっている。

 

それからスイッチを押して光武の乗り口を開けると、乗り込み光武を起動。そして風来丸から飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヤァ!」

「ハァ!」

 

アツバの薙刀とレミィのランスが怨を破壊し、

 

「こっちです!」

 

舞が一般人を避難させながら、銃を撃って怨を撃破。それを見た青龍は、

 

「成程。流石に場慣れしてきたか……こうなるともっと怨の数と種類を揃えなければならないか」

「よそ見は禁物ですわよ!」

 

そこにアツバが薙刀を青龍に向けて振り下ろす。だが、

 

「だがまだ弱い!」

「きゃあ!」

 

青龍の魔操機兵は腰の刀を抜くと、アツバの薙刀を弾き、そのまま切り返して彼女の光武の腕を切り落とした。

 

「なっ!」

 

アツバは慌てて薙刀を切り落とされていない方の腕で持ち、距離を取る。

 

「ショット!」

「ふん!」

 

すると舞が背中に背負っていたライフルを構え、青龍に発砲。だが、青龍は刀を振るって一刀両断した。

 

「そんな……」

「どんなに速くても真っ直ぐしか飛ばないからな」

 

そう青龍は言い、舞に向けて走り出す。

 

「くっ!」

 

舞は銃を構えて発砲しまくるが、それを全て弾き落とされ、

 

「た、弾が……」

 

すぐに弾切れを起こし、舞は慌てて弾をリロードしようとするが、弾を落として拾い直そうとしている間に、青龍との距離を詰められる。

 

「させない!」

 

だがそこにレミィが舞と青龍の間には入り、ランスを突き出す。

 

「ちっ!」

 

それを青龍は刀で受け止め、鍔迫り合いになる。更に、

 

「レミィ!そのまま抑えてて!」

「むっ!」

 

八重が腰の大太刀を抜いて居合い抜きの要領で青龍を切る。

 

「ぬぅ!」

 

咄嗟にレミィの槍を弾いて下がるが、少し切られたようだ。バチっと火花が散る。

 

「成程。まだいたのか」

 

だが致命傷ではなかったのか、特に動きに変化はない。それどころか、

 

「まぁ良い、いつまでもお前達と遊んでいる場合ではない。あの御方の大願のためにもな」

 

そう言った青龍は、刀を掲げるとそれを中心に、おどろおどろしいオーラが集まる。

 

「闇に巣食いし暗黒の龍よ。我が呼び掛けに応え、今こそ森羅万象を喰い散らせ!」

 

その言葉と共に、青龍の刃から黒い龍が何匹も飛び出し、八重達に襲いかかった。

 

『キャアアアアアアア!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「八重!皆!」

 

一方その頃、ローア達は風来丸にあるディスプレイから、雷門の監視カメラを使って八重達の戦いを見ていた。

 

「全員の霊子エンジン出力が大きく低下。このままでは駆動率が30%を切ります!」

「今の爆発で搭乗者もダメージを受けています。このままでは彼女達の身に関わります!」

 

そう叫んだのは小春と千夏で、撫子は眉を寄せて険しい顔になる。それを見たローアは、

 

「もう光武はないの!?」

「え!?えぇと一応皆さんの光武に何かしらの異常があったときのために、予備として昨晩も使った検査用の光武が……」

 

ローアに詰め寄られ、秋菜は驚きながらもそう答える。それを聞いたローアは後ろの車両に行こうとし、

 

「待ちなさい!貴方が行ったところで何もならないわ!」

 

撫子が叫びながら、ローアの腕を掴む。だが撫子の方を振り替えると、

 

「俺が日本に来たのは……誰かが戦ってるのに自分だけ安全な場所にいるためじゃない!」

 

と言って撫子の腕を振りほどき、後ろの車両まで一気にテレポートしながら移動。そして昨晩も使った旧式光武に乗り込むと起動していると、

 

【ローア君!】

「あぁもう!何言ったって出ますからね!?」

 

撫子の通信にローアが怒っていると、撫子はそうじゃないと言い、

 

【良いこと?それは旧式だしメンテナンスだって最低限しかしてないの!だから絶対無茶しないで!第一目標は全員の救助よ!】

「……了解!」

 

ローヤはニッと笑いながら、車両から飛び出す。光武でも余裕で通れる広さ道を通り、外を目指して走り出す。

 

(八重、皆……今行くぞ!)

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