サクラ大戦~来たれ次世代の戦士~   作:ユウジン

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真の力

「う……うぅ」

【皆!聞こえてる!?返事をしなさい!】

 

撫子さん?と八重は眼を開けながら答える。それからさっきの攻撃で割れているディスプレイを見ると、青龍がこちらに歩み寄ってくるのが見える。

 

「と、とにかく動き出さないと……」

 

と八重が光武を動かそうとした次の瞬間、

 

「だぁ!」

「ん?」

 

八重の光武を飛び越え、旧式の光武が飛び蹴りを放ってきたのに少し驚きつつ青龍は横に跳んで避ける。

 

「おいおい、出てくるなら一回で全員出てこいよ」

「うるせぇよ」

 

と言いながらローアは、八重達に近付くと、

 

「皆、大丈夫?」

「ロ、ローア?」

 

舞が苦しそうに声を出す。そして他の皆も意識を取り戻したようで、次々と体と言うか、光武の機体を起こしていた。

 

それからローアは青龍を見ると、

 

「しかしそれは旧式光武か?余程金がないのか……」

 

だからと言って加減はしないがな。青龍はそう言って刀を手に走り出して来た。それを見たローアは、

 

「八重!刀借りるよ!」

「え?」

 

咄嗟に八重の光武の手から刀を取り、青龍に向けてブン回す。しかしそれを青龍は軽く止めると、

 

「お前素人だな?(それ)はオモチャじゃないんだぞ?そんな棒でぶっ叩くみたいな振り方をする奴があるか」

 

青龍そう言って刀を捻ると、ローアの光武が大きく体勢を崩してしまった。そしてその隙を見逃さず、青龍は流れるように刀を振り上げ、ローアの光武の首めがけて振り下ろすが、

 

「む?」

 

刀が当たる直前、ローアが光武ごとテレポートして避けた。

 

(今のテレポート……そうか、乗っているのはさっきの小僧か。それに今ので気づいたがあの小僧……普段はそこまでじゃないが、いざというときに霊力が爆発的に増幅する。元々霊力の出力量は感情に左右されるが、その振り切った瞬間の量が尋常じゃなかった)

 

恐らく普段は無意識か意識的にか分からないが抑えているんだな、と青龍は結論付け、ローアに向けて刀を構え直す。

 

「なぁ!なんでこんなことするんだ!?」

 

そんな青龍にローアは問う。まぁ正直に言うと、八重達が漸く立ち上がってこっそり撤退行動に入り始めたのを見て、そっちに意識が行かないように気を引いているだけだ。

 

しかし、

 

「お前に答える必要はない」

 

と言って刀を振るうと闇のオーラが斬撃に変化して飛んでいくと、こっそり移動していた八重の光武の体を切り裂く。

 

「キャア!」

『八重(さん)!』

 

そのまま地面に転がった八重を庇うように、皆は前に庇うように立ち塞がった。

 

「お前!」

 

ローアはそれに怒りを爆発させ、青龍に突っ込む。

 

「愚か者が!」

 

それを青龍は刀で受け止め、鍔迫り合いになった。だが、

 

「なっ!?」

 

青龍が驚愕するのも無理はない。何せ鍔迫り合いを始めたその後、ローアの乗っている光武が目が眩む程の発光。

 

ローアの爆発的な速度で上昇していく霊力に、光武の霊子エンジンが反応した結果なのだが、ここまでの反応が出るのが余程の霊力量じゃなければ起こらない。

 

それを見ていたのは、撫子達の方もで、

 

「霊子エンジン許容範囲を超過!110……120……130%!まだ越えます!」

「霊子エンジンがオーバーヒートしています!このままでは光武が持ちません!」

 

秋菜と冬美が叫ぶ中、撫子はローアに、

 

「ローア君!今すぐやめなさい!このままだと光武が持たないわ!」

 

しかし一方戦闘中のローアは、

 

「ウォオオオオオオオ!」

 

抑える所か更に霊力を爆発させ、

 

「ラァ!」

「ぐぉ!」

 

そのまま押しきって強引に腕を切り落とし、相手の刀を奪った。そしてそのまま、

 

「これはアツバの分!そしてこれは舞!」

「っ!」

 

二刀流で青龍を斬る。だが終わりじゃない。二本の刀で滅多斬りにしていく。

 

「レミィの!それに巻き込まれた人々の!そして八重の分だぁああああああああ!!!!」

 

斬って斬って斬りまくる。その間に光武のあちこちから火花が散っていき、光武の全身にヒビが入っていく。

 

「ぐぅううううう!」

 

光武の内部も火花が散り、小さな爆発が起き始めた。

 

「負けるかぁあああああああああ!」

 

ローアの咆哮。それと同時に光武が霊子エンジンの負荷が限界を超えた影響で大爆発を起こし、

 

「ローアさん!」

 

八重が悲鳴に似た叫びを上げる。すると、

 

「あちち!」

 

テレポートでローアが飛び出してきた。

 

「あっぶねぇ……もうちょっと遅かったら死ぬとこだった」

「大丈夫ですか!?」

 

皆はガシャガシャと駆け寄り、ローアは埃を払いながら立ち上がる。

 

「大丈夫大丈夫。まぁ、流石にこれは倒したんじゃ……」

 

ローアはそう気を抜く。だが、

 

「成程……油断するもんじゃないな」

『っ!』

 

立ち上る黒煙と炎の中には、ボロボロになった青龍の魔操機兵が立っていた。すると落ちていた自分の刀を拾い上げて鞘に戻すと、魔操機兵が霧のように消え、青龍自身が出てくる。

 

「我が名は青龍!黒華会四天王の一人!小僧、名を聞こう」

「ローア……ローア・シャトーブリアン!帝国華撃団の一員だ!」

 

ローアははっきりそう答える。それに対して青龍は、

 

「シャトーブリアン?成程……そう言うことか。まぁ良い、その名は覚えた。いずれこの決着は改めてつけてやる!」

 

青龍はそう言い残し、自身も霧に姿を変えて消えてしまう。そして今度こそ全身から力を皆は抜いて、

 

「敵は帰ったのか?」

「た、多分」

 

八重の答えを聞きながら、ローアはそのまま地面にヘタりこんだ。今頃になって恐怖を自覚してしまったらしい。しかし、

 

「ローアさん。まだ終わってませんよ?」

「え?」

 

ローアはポカンとしながら振り替えると、皆は光武から降りてきた。そして、

 

「戦いが終わると帝国華撃団は約束の締めがあるんです」

「へぇ?どうするの?」

 

ローアは立ち上がり八重に問うと、じゃあ合わせてくださいね?と言い、

 

『せーの!勝利のポーズ!』

 

皆はくるりと回ってビシッと決めポーズ。そして、

 

『決め!』

「……」

 

ローアはその光景を静かに見守っていた。

 

「ちょっとローアさん!ノリが悪いですわよ!」

「え!?今のやるの!?」

「意外とやると楽しいわよ?」

「じゃあもう一回やろうか」

 

アツバに怒られ、舞とレミィに押されてローアも強制参加である。

 

「い、いや良いって!」

「そう言わずに!それじゃもう一回!せーの!」

 

ローアは逃げようとするが完全に捕縛されて、八重はそんな様子を見ながら笑って音頭を取った。

 

一方撫子は、椅子に座り込んでその様子を雷門の監視カメラで見ながら、

 

「皆、監視カメラの削除をよろしくね」

『はい!』

そう指示をし、撫子は思案に耽る。

 

ローアの一件は想像以上だった。まさか彼にここまでの力があったとは……だが嬉しい誤算だ。しかし、

 

「黒華会か」

 

恐らくここ最近の謎の魔操機兵は恐らく黒華会の仕業だろう。そう考えると、

 

「まだ戦いは始まったばかりね」

 

これは急いで他のメンバーも召集するべきだ……撫子はそう考えつついると小春が、

 

「総司令!テレビ局の記者が集まり始めています!封鎖を無理矢理乗り越えて来そうです!」

「またマスコミの連中ね……」

 

撫子は頭を掻き、通信機をオンにすると、

 

【皆!急いで帰投して!テレビ局が来たわよ!】

『え!?』

 

一般的に正体が秘密の帝国華撃団なので、テレビに光武が写るくらいならまだしも正体がバレないように取材が来ても逃げるのが鉄則……と言うのは世界的にどこも同じである。

 

なので、

 

「ローアさんこっちです!」

「え?」

八重達は光武に飛び乗ると、八重が光武でローアをお姫様だっこにし、ローアに若干恥ずかしい思いをさせながら皆で逃走。

 

「あ!あそこよ!逃がすな!」

 

と後ろで聞こえるが、皆はそのまま隠し通路まで走るのだった。

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